イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイドルタイムプリパラ:第10話『助っ人アイドル始めたっす!』感想

二ヶ月の間、(ゲスト交えつつも)二人のアイドルだけで支え続けたパパラ宿の舞台に、ついに生粋の新人爆誕!!
虹色にのちゃん初ステージなアイドルタイム第10話……と言いたいところなんですが、完全にやりきるという感じではありませんでした。
嵐のように過ぎ去った東堂シオン、まだまだスポーツ優先なメンタリティ、最後に意味深に顔見世したドロレオと、次回に続く要素は満点。
実質『にのデビュー編・前半』って話なのかな、と思いました。


さてはて、プリパラらしい脈絡の無さでガンガン進む今回。
にのはステージに立ちましたが、『アイドルでならなければいけない理由』を未だ見つけきれていない感じです。
第8話の流れを引き継ぎ、ゆい&らぁらの熱さに感銘を受けているのは事実だし、シオンにカルタ(『何故カルタ!?』と思うが、まあこのアニメプリパラだからな)で負けて火が付いた部分もあるんでしょうが、アイドルはあくまでにのにとって『楽しいことの一つ』であり、『唯一絶対の正解』ではありません。

スポーツ万能な彼女は助っ人としていろんな社会に接触しているし、評価も高い。
地頭も良く、基本気が良いけども断るところは断るバランスの良さも持っています。
ここら辺、愛情と妄想を全開にして、リアルでもヴァーチャルでも全てをアイドルに捧げている……のに、世界は全然アイドルのことを好きになってくれないゆめとは好対照ですね。
メインアイドルすらも、別にアイドルが好きではない状態から始まるのはアイドルタイムっぽいな、と思います。

にのはあくまで助っ人であり、(例えばラブちゃんにおけるテニスのように)特定のスポーツに足場を置き、『唯一絶対の正解』を持っているわけではありません。
座組としては、アイドルがそのポジションに入る話ではあるんですが、なんでも器用にこなせて、視野が広いことは必ずしも悪いことではありません。
今後物語がどう展開するにしても、にのが持っている明るい社交性を否定することなく、彼女が見つけた新しい『楽しいこと』としてアイドルが描けると、見ていて楽しいな、と思います。
あまり体重を預けないところから、アイドルの魔力に引っ張り込まれるにのを描くことで、パパラ宿にアイドルが広がっていく本筋にも陰影がつくだろうし。

にのが今後自分の物語を歩く上で、アイドルとしてのポテンシャル、それを見せる初ステージはとても大事です。
ヴィヴィッドな青を基調に暖色を照らしたカラーリング、八重歯を強調する元気な表情変化、ぴょんぴょん跳ね回る可愛らしい振り付け。
圧倒的に『勝てる』ヴィジュアルに助けられて、お披露目としては120点って感じでした……やっぱ強えーわにのちゃん。
なんの意味もないと思っていた八話の円月ダンスが、アイドルダンスへの適性を示す伏線になってるのが、なんか腹立つな……。

今回の話はあくまで途中経過なので、決定的で重たいイベントでにの新生! というわけではありません。
トンチキでゆる~い、いつものプリパラ調のドタバタを通して、じっくりにのの心が傾いていった感じですね。
ゆいの妄想が特にエンジン全開で、にのの社交性が強調されていたのと合わせて、『ああ、こりゃ限られた友達しか出来んわな……』という感じだった。


にののハンパな立ち位置を受けてか、シオンもワンポイントリリーフにとどまりました。
いやホント、嵐のように現れて、三歳下の小学生に本気で立ち向かい、カルタやって帰っただけだからな今回のシオン。
先輩アイドルとしての凄みを見せるのは、パラ宿で寂しそうにしてたドロレオと合流してから、って感じなのかなぁ。
過去キャラが出てくるなら、その経験を活かした分厚い影響をちゃんと残して欲しい派なので、説得力のある見せ場は欲しいよね。
俺シオン好きだし。

思いっきりど真ん中にツンデレ入れてきたドロシーを見ると『お前ホントにシオン好きな』って言いたくなりますが、お好み焼き屋で弟とダラダラしている風景には一抹の寂しさもありました。
ソラミは神アイドルとして全国飛び回り、シオンも廻国修行に勤しんでる(まぁ隣町だけどさ、今いるの)なかで、二人だけが無印第137話に置いてけぼりにされてしまっている感じ、というか。
それを煽るかのように、ドレシ最後のステージの写真を大事に飾ってあるカット挟むからなぁ……。
来週はソフトボールで忙しいだろうからあんま濃厚な絡みは期待できないでしょうが、そのうちドレパ再結成でドカンとエモい話を出してほしいもんです。

ゆいらぁは今回……なんだろう、ドタバタしてたね。
アイドルタイムは志ある続編の常として、無印でやってきたことの裏を打っています。
無印の座組では掘りきれなかった部分を大事にするために、らぁらの相棒は同級生だし、誰もアイドルを必要としていないパパラ宿が舞台だし、超すごいアイドルが世界を一気に書き換える快楽より、地道に一歩ずつ無理解を感動に変えていくお話が展開される。
そしてそういう変化は、確かに新しい楽しさを連れてきてくれていると、僕は思っています。

なので、ゆいらぁが等身大の小学六年生であり、人を劇的に変える魔法が使えないのは納得……ではあるんですが、パンチは足らないかな、とも思う。
にのもゆいらぁが見せた凡人のあがきを見て心を動かしたからこそ、『とりあえず、アイドルやってみていいかな』という気持ちになったわけですが、プリパラが成し遂げてきたものを忘れられない視聴者としては、もっと大きいものを求めてしまう。
しかしこのじっくりとした変化が、アイドルタイム固有の時間感覚なのだろうしなぁ……来週を見てみないと、どうとも言えない、か。

ただ、らぁらがゆいという同じ背丈の相棒と、のびのびおバカ小学生をやってる姿はとてもいいです。
妄想全開野郎で時々汚い声だけど、ゆいは根本的に優しいやつで、そういう子を相棒に二人三脚、ボロッカスなパパラ宿に夢を託している姿は、無印では見れなかった真中らぁらだな、と思う。
いうなれば、神の能力を剥奪されたからこそ見える、人間・真中らぁらの表情、というか。
そこら辺は、歌おうが踊ろうがどうにもならない赤ん坊・ジュルルを相手に悪戦苦闘していた三年目前半と、少し重なるものなのかもしません。(そして俺は、ジュルル絡みの話が死ぬほど好き)
らぁらの自然な表情を引き出してくれることで、ゆいへの感謝と親愛も深くなってくしね。
そういう意味では、毎回規範意識を押し付けてアウトサイダーの気持ちよさを引き出し、乗り越えるべき困難とトンチキな笑いを連れてきてくれる委員長も、仕事しまくってくれて好きよ。


というわけで、アイドルタイムの歩調を再確認するような、煮え切らない、もしくはじっくりと進める回でした。
にのは頭の良いリア充なので、生活のすべてをアイドルに捧げる理由はない、シビアでリアルな価値観を持っています。
そういう子がステージに立つからこそ、『アイドルは凄くて、特別なんだ!』と強調できるわけですが、しかしまだアイドルは『にのの特別』にはなっていない。

同時に、『興味ないっす! アイドルはヌルいっす!!』と言ってた女の子が変わる様子、変える過程も、このアニメはじっくり描いています。
来週描かれる試合とグランプリの同時進行で、一気にゴールにたどり着くのか。
はたまたそこも、大切な階段の一つとしてじっくり描いてくるのか。
色々気になるところですが、チラ見せされてるドレパをどう使うかも含め、来週とても楽しみですね。