神撃のバハムートVSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
ミュージカルめいた音合わせのコミカルなアクションが楽しい脱出ごっこと、悪魔を屈服させた証としての闘技場の血。そこで為される宣戦布告と、神を諦めない人間への弾圧。
遊戯と惨劇が混じり合わないまま同居する、VSらしい回。
看守の目の前で堂々相談してきた、ゆるーいニーナの脱獄計画。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
世界のシリアスさを内面化できていない彼女のメンタルそのままに、ジェイルブレイクはひどくのんきに進む。
彼女を押しとどめる武器は全て刃がなく、現実は怜悧にニーナを傷つけない。シャリオスが剣を持って降り立つまで、遊戯は続く。
アクションのアップダウンとBGMの上げ下げが噛み合う、オールドスクールな音楽劇の手法が、全体的な空気を抜く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
ニーナは未だ、幼いまどろみの中にいる。シリアスな政治と暴力のど真ん中にいるシャリオストは世界観を共有できないので、指弾する言葉も『いじめる』というのんびりしたものだ。
この言語選択は実際凄いと思う。ニーナは他人の生き血を啜って生き延びる世界のことが、ずーっと『よく分かんない』ままだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
死に名前を付けられないように、自分の胸の高鳴りを恋だと名付けることもできない。行き当たりばったりのドラゴン脱獄計画が、アザゼルのテロルと共通なのが皮肉だ。
覇王にして暴君たるシャリオスは、ニーナにとっては『他人をいじめる悪いヤツ』だ。ヒーローショーに熱狂する子供のような、シンプルで拙い世界観。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
それで通用してしまうほど、ドラゴンの力は無双だ。人間を縛り付ける足かせなんぞ、ただの足輪だ。奴隷格闘技であるカポエィラなアクションがグッド。
そういうのんきさへの違和感をのんびり維持し続け、シャリオスが現実を突きつけてスパッと終わってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
一話使って失敗する今回のお話、色んな意味でVSっぽいなと思う。尺の使い方もそうだし、ニーナの幼さにシャリオスが憧れつつ、その無力さには目こぼししないところとか。
ジャンヌもニーナの長閑さに引っ張られるように、まだまだ乾ききっていない表情を贅沢に見せていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
断られて殺さない辺り、やっぱシャリオスは『正義』とか『善』に関して一種のあこがれがあるのだと思う。彼の中でニーナとのダンスは、『善い』思い出ではあるのだ。
しかしシャリオスもジャンヌも、ニーナの幼さには戻れない。一炊の夢のように、誰かの生き血をすすらないと生きていけない世界に戻らなければいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
むしろ夢から醒めるべきなのはニーナなのかも知れない。暴君に対し『いじめる』という言葉しか持ち得ない童話の国は、あまりに綺麗で無力だ。
アザゼルのテロルを文字通り叩き潰し、同族殺しを悪魔隊として軍事組織に組み入れたシャリオス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
子供すらちの熱狂に溺れるなかで、ムガロちゃん改めエルくんを旗印に掲げた天使達との正面戦争が、堂々と宣言された。
恩寵のごとく虐殺を語るガブリエルの傲慢が、さらなるろくでもなさを予感させる。
母を求めるエルの純粋さを良いように利用する天使の姿は、前作でアーミラを道具扱いしていた悪魔たちと何にも変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
繰り返される母恋しき少女兵器の悪用はマジ勘弁してくれよって感じだが、ピカピカして羽が生えてりゃ『善』ってわけでもない。むしろ神々しさが、浅ましい性根を飾り立てている
親子の情を利用しようとしているのは、ジャンヌを説得に来たシャリオスも同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
神、悪魔、人。みな暴力のみを共通言語に、相手を殺す形でしか関係を築けない荒野。そこでは真心を逆手に取るのは美徳で、のんきな善は遊びでしかない。価値は転倒しているし、誰もそのことを気に留めない。
ニーナの無邪気さが価値になるためには、『悪いものが善くて、善いものが悪い』捻くれた世界を認識しなくてはいけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
自分から見えるのどかな世界だけを見ていたのでは、ニーナは愚かな子供のままだ。その良さを維持したまま、面白くもなんともない、遊びではない世界を把握しなければいけない。
そうすることで、今回不発だったドラゴンの力も、それを適切に爆発させるべき場所が見えてくるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
もう一人のハーフであるムガロは、クソ天使の甘言に乗って言葉を取り戻し、半強制的に大人になってしまった。彼の剣が誰かを傷つけるより先に、誰かが止めてあげることを切に望む。
神との全面戦争を前に、人間サイドも一枚岩ではない。シャリオスの覇道も、天使教徒の熱狂もどこか他人事な『普通』の人たちの煮えきらなさが、妙に刺さる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
シャリオスが悪魔に見せた『異物への容赦の無さ』は、人間たる天使信徒にも牙を剥くのだろうか。なんとなく、人間には甘いような気もする。
どう転がるにしても、シャリオスの覇道は休むことを知らない。悪魔の紫色の血、天使の光る死骸を燃料に、どこまでも走り続けるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
再び牢に戻った二人の『脱獄ごっこ』は終わった。遊びですまない殺戮が吹き荒れる外界へ、リタおかーさんの助けを帰りてシリアスに脱出できるのか。来週も楽しみ。
…反逆者を前にしてるのにどこか楽しそうなシャリオスは、まだ遊べる、まだ止まることができるニーナやジャンヌに叶わぬあこがれみたいなものを持ってるのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月17日
自分の意志で転がした運命を恥はしないが、叶わなかった夢を眩しく思うような表情。シャイで切なくて、結構好きだなアレ。