有頂天家族を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
阿呆後が大暴れしてきたアニメもついに最終回。叡電突貫、地獄の鬼、赤玉先生。デウス・エクス・マキナを突っ込めるだけ突っ込んで、パワーでまとめ上げて一気に終わらせる最終話。
強引は強引だが、扱った題材にはしっかりケリをつける良い終わりだったと思う。
というわけで、広がりきった風呂敷を思いっきり畳にかかる最終話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
金曜会と偽右衛門選挙に別れていた舞台は『電車を全力で突っ込ませる』というパワー勝負で一つにまとまり、全ての因縁が集約していく。
絵の無茶苦茶さで、展開の強引さを気持ちよく飲ませる。オレこの運び方は好き。
行きていた早雲の話も、完全決着つける尺はないので鬼が出てきてご退場である。天満屋もおまけで引っ張られていったが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
まぁここら辺は、地獄巡り含めて温泉でじっくりやった部分なので掘り下げるタイミングではない、とも言える。夷川の子供たちは、一応オヤジ越えは果たしているしね。
来週から地獄少女に復帰する能登麻美子が、早雲を地獄流しにする絵が面白いとか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
教授が英傑ぽんぽこ仮面として、震えながら立ちふさがるところが最高にいいとか。色々感想はあるが、そっちにかずらっている時間がないくらいに、今回は密度が濃い。説明不足になっても全力で走る選択は、オレ好き。
今回のメインは京都上空極限天狗バトルであり、優越主としてデカい面してた天狗が、その実身勝手な子供にすぎないことをアクションで表現することだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
矢三郎視点で進んできた物語の中では、能力的にも人格的にも優越存在として描かれてきた、二人の天狗。しかしその中身は、ただの子供だ。
100年前に置き去りにした、敗れた恋への未練と、父への怒り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
英国紳士を気取っても、洗練された調度で固めても、それは消えるどころか燻り、機会があれば燃え盛る炎だ。
二代目がバーニングフォームになるのは、そういう瞋恚の炎が外に吹き出したからである。
二代目は100年積み上げてきたものを叡電特攻でぶち壊しにされ、怒りのあまり吹き出した炎でさらに燃やし尽くす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
それは偽りではないが、本性に背いたものでもある。うまく自分と向き合えなかった結果、自分の積み上げてきたものをぶち壊しにしてしまう癇癪。子供の所業である。
矢三郎の阿呆に導かれ突っ込んできた電車は、二代目から炎を生み出しはしない。たぬきは所詮たぬき、天狗の相手になるのは天狗だけである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
偉大な父に愛されなかった二代目として、天狗を否定してきた二代目。
クソ天狗に攫われ、自分を見つけられないまま天狗を演じてきた弁天。
鏡合わせの二人。
PAの作画力が唸る京都大決戦は、鏡に写った自分自身を殴ってもいる。そういう形でしか、発見できない自己もある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
ドラゴンボールめいた戦いはいつしか、むき出しのつかみ合い、殴り合いになる。その時天狗は、たぬき相手のスカした仮面を脱ぎ捨て、ただの子供になる。
下鴨の子供たちは、あるいは思い出の中で父親に出会い、あるいは兄貴に思いを預けて自分を考えることが出来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
家の外から婚約者を向かい入れたり、旅に出ることも出来た。
しかし天狗は、優越種であるゆえに孤独で、向かい合って自分を見つける相手がいない。スカした態度で浮遊し続けるしかない。
そういうどうしようもなさが行き着く必然として、あの殴り合いは良かったと思う。普段のファンタジー京都が鳴りを潜め、落下してくる天井を『あぶね!』と思えるような生々しさがあったのも、あそこに込められたものを考えるととても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
ファンタジックに空は飛んでも、それはむき出しの暴力なのだ
鴨川の辺りから京都に舞台を移して展開した二回目の殴り合いも、二代目の勝利で終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
あの時は敗者である弁天に『悔しいなら強くなれ』と声をかけた赤玉先生だが、今回は二代目に同じ言葉をかける。
暴力で勝った、負けた。それで心が落ち着くようなものに、天狗の子供は縛られているわけではない
白いスーツも山高帽も、背伸びした巨大な邸宅も燃やし尽くして、二代目は大いに泣く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
こじんまりとしたホテルの一室に居を移した時、彼は英国紳士衣装をまとってはいない。それは二期において、矢三郎達がオヤジと語り合い、乗り越えてきた道程を、二代目も歩いたという証明だと思う。
100年迷い路を歩いた結果、ようやく大泣き出来た二代目に対し、まだまだ天狗歴の浅い弁天は尼削ぎになった髪を嘆き、たぬきに慰められるばかりである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
赤玉先生になることも、愛し切ることも憎みぬくことも出来ない。二代目に勝つこともよく負けることも出来ない。化けの皮が剥がれたのだ。
赤玉先生に攫われ、社会の接点、人間としての足場を失ってしまった弁天は、天狗になるしかない。赤玉先生の身勝手な生き方をコピーし、自分のものにしていく以外道がない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
しかし弁天は、赤玉先生の子供ではない。膝を抱えた二代目が、それでも赤玉ポートワインを持っていたのとは、正反対だ。
力で力を押さえ込む。これまで歩いてきた天狗道は、自分以上の力を持った二代目に否定されてしまった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
でも今更、殊勝に生きていく道など知らない。たぬきのように弱く健気に生きて行くことは、弁天には出来ないのだ。
ここら辺、扇子を投げた赤玉先生とは違う所だ。
そして矢三郎は、天狗合戦においてはあらゆる意味で傍観者だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
二代目を燃え上がらせることも出来ない。戦いの相手もできない。歪んだ鏡でも、寄り添える同種でもない。たぬきはたぬき、天狗は天狗。
その分を死ぬほど思い知った結果、彼は弁天への恋を殺す。憐憫は伴侶への愛とはなりえないのだ
異種の寂しい別れと平行して、同種の恋が話を収めていくのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
玉蘭の角隠し、海星とのツチノコ探し。たぬきはたぬきと番になる。そういうルールを矢三郎が認めるまでが、このお話の道程だったのだろうか
好きなまま阿呆に振る舞っていても、乗り越えられない道理が在る。矢三郎は大人になった
海星との背中合わせの恋は、弁天への失恋の代替品なのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
修辞疑問で分かる通り、僕はそうは思わない。2つの極の間で迷い、ふらりふらりと彷徨っていた少年が、決意を込めて一つの方向を向く。
父親においてそうだったように、恋においても同じ決断を、矢三郎は果たしたのだろう。
まぁ海星は『ポスト相手でもラブコメが出来る』熟練レスラーみたいなヒロインであり、良い結末にたどり着いたのはとても嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
ほんとなー、可愛いよなー。彼女の純情がちゃんと表になって、受け入れてもらいたい相手に受け入れられて、本当に良かったと思う。
しかし分をわきまえぬ矢三郎の阿呆は、とても魅力的でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
おとなになってしまった彼が、『それでも』と阿呆を貫き、もう一度弁天に向かい合う姿。未だ書かれぬ第三部では、それが形になるのだろうか?
果てない夢想になるが、ぜひとも見たくもある。可能なら今回のように、PAのアニメでも。
嵐のように退場した早雲の、跡目を継いだ真・呉一郎。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
これまでの折り目正しく物分りの良い姿は早雲の化け術だったわけだが、弟を檻に閉じ込め役目を果たそうとする居住まいには、形を変えてあの時見た希望があった。
やり直しにはなるが、下鴨と夷川の新世代は上手くいく。そう思えた。
海星への捻れた恋を解し、矢三郎が素直になったことは、2つの家の関係をより良くしていく助けにもなるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
親子関係や愛憎をこじらせるとどういう地獄が待っているかは、天狗たちがイヤってほど教えてくれたからな。せめてこっちの家は、のんきに平和に進んで欲しい。
かくして阿呆な少年は父への未練を、天狗への憧れと恋を、素直になれない自分の心を、長い迷い路の果てに一つのところに落ち着けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
いろんなことがドタバタ起きつつ、緩やかで大きなまとまりを感じられる、とても楽しいアニメでした。
完全に分別がつくわけじゃなくて、まだまだ阿呆なのが良い。
明暗や構図を巧く使って、場面に必要な印象を的確に積み上げていく演出力。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
軽妙で独特の魅力がある台詞回しと、声優陣の熱演。
笑っているうちに何処か寂しくて、シリアスなんだけど間が抜けているバランスの良さ。
強さと良さがたくさんあるアニメでした。面白かったなぁ。
一期で楽しかったものをそのまま引き継ぎ、鈍らせないようにしっかり研ぎ澄まさせてくれた、大満足の二期でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年6月25日
爽やかさと甘さの中に少しだけ苦さが残る恋の結末も、本当に素晴らしい。いいアニメでした、ありがとうございました。