イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイドルタイムプリパラ:第14話『ガァルマゲドンがきた!』感想

にのを仲間に迎えやってきました新章開幕、アイドルタイムプリパラも第14話であります。
前回凄まじい流れでパラ宿追放と相成ったガァルマゲドンを向かい入れ、今後の展開のための種を蒔く回でした。
その気になれば単品でいくらでも押し込めるガァルマゲの強さを活かしつつも、地獄委員長やみちる、ファララといった新キャラへの導線を引き、にのやババリア校長といった新顔の掘り下げも細かくやる。
ふでやすかずゆき脚本らしい、クレバーで冷静な横幅の広さ、それを無味乾燥にはしないネタの使い方が目立つ、活き活きとしたエピソードとなりました。

というわけで、今週の主役は当然ガァルマゲ。
特にあろまがアクセルベタ踏み大全開で、権威に縛られずやりたいことをやりたいようにやるちびっこギャングっぷりが、ノーリミットで暴れまわっていました。
大人や保護者、先生の言うことを聞かないフリーダムさが彼女らの人気を支えてもいるし、何よりガァルマゲは『そういう奴ら』なので、転校先でも冒頭からして大自由。
そんな自由さを認められたり、キッチリお灸を据えられたりして、パパラ宿でも地歩を固める描写がしっかりしていました。

今回のお話の巧妙なところは、あろまは自分のために思う存分フリーダムなのですが、その活動が個人の領域で留まらない所。
『悪い子』ゆえの身勝手さを活かして、先輩であるみちるを丸め込んでコネを作ったり、地獄委員長攻略のために接点が生まれたり、色んなキャラとの接点が生まれていました。
みちるはメインアイドル3人目、地獄委員長はメイン攻略対象と、大事なところにいるキャラクター。
やりたい放題暴れつつ、今後話しを展開していく足場をしっかり作る(そして、足場を作ったことをコンパクトに視聴者に分からせる)展開が埋め込まれていて、非常にスマートでした。

みちるを使い魔として話の中心に引っ張り込む手際は、年下に良いようにされているインモラルさも相まって、妙にテンポよく感じました。
持ってる本の題名から話題を作り、存在することのない『左肩の悪魔』と押し通す話術で一気に状況をつかむのは地頭が良いと評すべきか、宗教詐欺スレスレでやべぇと言うべきか。
必要な情報を採取し、必要な形に編集して出すことで状況を操作していく手法、完全にコールドリーディングだからなぁ……。
みちるが非常にネガティブなキャラで、素面だと接触を拒絶してしまう流れになるので、正気を奪って強引に接点作るのは良いと思うんですけどね。

あろまは今回(も)スゲー我欲で動いていて、みちるの劣等感を解消してあげようとか、アイドルの素晴らしさを教えてあげようとかは考えていません。
しかし今後、巧くお話が転がってみちるがアイドルとなり、その活動からなにか良いものを得たら、あろまの『悪魔と悪魔しかいない心』がそのきっかけを作った事になります。
最初は別の目的があったけど、やっていくうちに本気になって、結果として善い結論に繋がった……みたいな描き方になると、今回の利己的な繋がり方もヤダ味少なく運べるかなぁ、という印象。

プリパラは『人間はエゴイズムでしか動けない』『しかしそのエゴが、他人にとって助けとなることもたくさんある』という哲学を徹底しているので、みちるの弟子入りも巧く取り回し、綺麗事だけでは見えない真実を掘り下げていってほしいですね。
しかし、小学六年生に押し切られ、あっという間に良いようにされてしまう中学二年生はエロかったなぁ……。
『年下に梶握られる年上』ってのも無印でやってない関係性なので、今後のあろみちに期待大です。
二期中盤から薄くなった『らぁらとの同い年描写』も太めで、やっぱやってなかったことを見据えつつアイドルタイムは運んでるなぁ。


みちる以外の掘り下げも今回はかなり横幅が広く、特に地獄委員長に細かい描写が回されたのはとても良かったです。
ババリア校長がプリパラ容認の方向に変わったので、梯子を外された形の委員長。
心と耳を(物理的に)閉ざす彼女を描くことで、トンチキながら生徒を気にかけているババリア校長のキャラも太くなり、あろみかの手綱を握る描写にも繋がるというね。
個別のキャラ記号を笑い混じりで掘り下げつつ、それが衝突するシーンを多数運用して人数捌くテクニックは、さすがふでやすって感じですね。

委員長は悪役としてのさじ加減がなかなか難しく、今後デレるための素材を細かく集めなきゃいかんキャラ。
『プリパラが憎い、でも惹かれてしまう』という内面的矛盾(これを解決することがアイドルたちの勝利になる)を、ガァルマゲドンへの興味で積んでいくのは良い描写でした。
信頼していた大人が手のひら返した(ようにしか、委員長には見えない)結果、年相応に傷ついてる描写とか、妙に可愛げのあるシーンが多かったなぁ、今回。

先々週敗北に終わったにのが、ウェスト姉弟のもとで自主トレに励んでいる描写とかも、細かくて良かった。
ガァルマゲステージへの感想も『勉強になります!』だし、にのは基本的に真面目で、自分を高めるチャンスに貪欲な人間なのだな。
敗北にメラメラと燃え上がり、リベンジを誓う姿勢も健全かつ新鮮で、これも今後太らせていってほしい部分だなぁと感じました……強敵であり親友でもある関係を巧く書けたら、こりゃ当然面白いでしょ。

新アイドルは『にのがドレシ、みちるがあろま中心でガァルマゲ、ゆいがらぁら中心でソラミ』という師弟関係を積みつつ、あくまで対等で気安い感じに進めていくのかな。
全体的に『ゼロから積み上げていく楽しさ』を大事にしているアイドルタイム、ニューカマー達が先輩からアイドルを学び、ステージで発揮していく様子には新鮮な楽しさがあります。
そこら辺も今後、モリっと活かしてほしい所ですね。

プリパラ外部での描写が多めなのもアイドルタイムの特徴で、その影になって掘り下げられない部分を、今回はガァルルが担当。
拠点としてファララの時計塔を選んだのは、露骨に今後への接点づくりでしょう。
当然のようについてきて面倒見ているネコ姐さんの頼もしさとか、ジュルルに見せた『お世話したがり気質』が健在だとか、物語進行に必要な仕事させつつ、キャラのみずみずしさを感じる描写もたっぷりだったのが嬉しい。


というわけで、あろまを中心にガァルマゲを好きなように暴れさせ、パパラ宿(と新規視聴者)にご挨拶をする回でした。
相変わらずのちびっこギャングっぷりであり、ガァルマゲの持つ無軌道な『らしさ』(と、それを活かしつつコントロールするババリア校長の役割)を、巧く活性化させる展開でした。
こんだけ『こいつらこういうやつだから!』と吠えつつも、2クール目に展開に必要な接点を複数整えたり、他キャラの持ち味を引き出したり、元気なだけで終わらないテクニカルさもある。
良いエピソードでした。

あろまのエネルギーにまくり込まれるように、話の中心に躍り出てきたみちる。
来週は早速プリパラに足を運び、そふぃ&ちりちゃんの跡目を継ぐような人格豹変アイドルとしてデビューを果たすようです。
ゆめにしてもにのにしても、アイドルタイムは『ステージに立つ』ことが一つの終わりではなく、むしろそこから転がり進んでいくスタートとして使われている印象。
みちるのアイドル修行旅も長くなりそうですが、今回蒔いたタネを巧く芽生えさせ、太いストーリーラインに育てる船出を果たせるのか。
2クール目のプリパラも、非常に楽しみです。