セントールの悩みを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
異種族共存ゆるふわ百合学園アニメに、致死量の思想統制と形態差別をぶち込み誕生したモンスター。
穏やかで平和的な日常に見え隠れする、過剰な平等という名前の暴力的不平等。むせ返るような毒と、キッチリ文脈を抑えた百合描写のミスマッチがぐっと引っ張り込む。
とにかく奇妙なアニメである。ここ五年位で一気にオタク市民権を獲得したモンスター娘モノ亜種…と思わせておいて、異物が一箇所にまとめられたときの必然的リアクション、つまりは差別がお話のどまんなかにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
差別を制圧するには別種の差別、というわけで、人権は抑圧され監視委員が学校に来る。
そこら辺のヤバみを感じさせず、ごくごくフツーのにゃんにゃんふわふわ~な百合アニメとして、Aパートは展開する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
女の子の可愛らしさ、学園の気さくな空気、チューのドキドキ感。非常に手慣れていて見事だ。適度に緩くて、優しい感情があって、それが揺れ動く。瑞々しく百合色の青春絵巻。
学園で暮らす若い世代は、統制された日常の中で暮らしている。自分の意識を曲げるわけではなく、フラットであることが当たり前の世代。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
学生だけが集まる学校はある意味、差別と殺し合いの歴史から切り離された楽園であり、だからこそゆるふわにゃんにゃん百合ライフが成立もする。
しかし楽園は歴史の上に乗っかっているもので、血まみれの歴史は授業の中でちゃんと教えられる。進化史まできっちり設定しているところに、作者のマニアックが見えて面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
生徒たちも別に天使というわけではなく、違うこと、違うことが殺し合いの理由になった時代の影響を受けて生きている。
そういう本音を飲み込みつつ、絶対平等という建前を警察力で押し通すディストピア・ジャパン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
本当に平等な社会なら強制力はいらないわけで、いかにも日常系なダラダラマラソンの中で、思想警察と投獄について語るさり気なさが、逆に地獄を強調もする。ホント変なアニメだな。
説明もOPもぶっ飛ばし、学園内部のリラックスした平等を見せるAパート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
学園の外を走りながら、馬族生来の身体的優越(それは否定しようがない不平等でもある)や平等地獄を成立させている抑圧について語るBパート。
作品の甘みとエグみを、パートを分けて見せてくる構成がなかなか親切だった。
今後学生世代以前の、血みどろの闘争を経て平等を獲得した(あるいは自分の知らないところで押し付けられた)世代の話とかもやるのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
やるよなぁこのシニカルさだと…抑え込まれた差別の海の中、浮島のように平等な学(校楽)園だけで収まるほど、牙がゆるいアニメじゃあないだろコレ。
獣人差別は現実の歴史や政治を参考にしつつ創作されている。このアニメが政治的戯画となるか、はたまた個別のファンタジーとなるかは受け取る人次第になると思うし、どっちが偉いって話でもなかろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
アニメ見て差別のこと考えるのも、笑って楽しむだけなのも、多分おんなじように良いことだ。
ただ、ネタとして扱い世に発信する側には知識と繊細さが求められる。がっちり歴史と設定を作り込み、エグみを二本目の軸に据えて展開するスタンスには、それなり以上の真面目さを感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
まぁその上で、ヒネたインテリ特有の歪みもビンビンなのだが。そうじゃなきゃこんな皮肉作らんし、それが良い。
六足を前提に分岐してきたあの世界では、四足がデフォルトな我々の地球はファンタジーでしかない。『人間』という中心がない世界でも、むしろだからこそ、差別は加速し、それを押さえ込むには国家機構全てが暴力的に動員されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
肌の色が違う程度で差別なんて。ヒドい皮肉だ、素晴らしい。
そんな感じでフィクションの外側を睨みつつ、内側の感情を丁寧にやってくれているのは良いことだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
キャラクターが作者の皮肉のためのスピーカーになっちゃうと、悲惨だし可哀想だからね。姫が可愛くて、獄楽ちゃんが恋にドキドキな様子がちゃんと伝わるのは、すごく大事なことだ。
しかしここにも、『形態差別の地獄の中で、同性愛差別は存在し得ない』という皮肉が出てくるのは面白い。狙ってやってるのか、百合が好きなだけか。描写にこもる熱量考えると後者かなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
『形態差別からフラットな学生世代は、性差別にもフラットである』ということかも知れんがね。
コアの不穏さと皮肉、表面である穏やかで温かい日常生活。両方にリキを入れしっかり描写してくれる、いい第1話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
AパートとBパートの明確な差が、作品全体のテイストを巧く飲み込ませてくれて、色々と納得がいった。やっぱ、構成は内実を伝える大事な要素だなぁ。
モンスター娘モノ、百合、日常モノ。色んなジャンルの要素を孕みつつ、不穏さと知性のハンマーでお約束を思いっきりぶん殴ってくるネジレ加減も最高にナイス。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
今後も悪趣味のナイフを切れ味鋭く振り回しつつ、ゆるふわ学園生活部分も本気で描ききって欲しいと思います。面白いなぁ。
あ、毒を飲ませるためのユーモアが豊富で、笑いの間合いがよく考えられているのは凄く良いと思います。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月9日
こんだけエグいと当然人は選ぶんだけども、可愛さと笑いのセンスでしっかり包むことで飲みやすくなってる。んで、その包装紙は作品の本分でもあると。面白いなぁ。