プリンセス・プリンシパルを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
パーティー会場を舞台にした危うい綱渡りを抜けて、プリンセスはスパイの世界へと飛び込んできた。しかしお付のベアトリスの警戒心は解けず…というお話。
世界観的推しドコロである空中戦艦を舞台に、ド派手なアクションしつつ、少女たちの面倒くささもよく見えた
今回はアバンの二分間、Case1.5というべきプリンセスとアンジェの会話が、時間の割に超重要だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
凝った撮影で明暗が複雑に入り乱れる中、スパイの顔(おそらくアンジェという偽の名前も)を捨てて、ただの少女としてプリンセス(アンジェでもある)に近づく少女から、物語は開始する。
嘘に嘘を重ねなんとかスパイ世界を泳いでいるアンジェが、作中全ての仮面を脱ぎ捨てているのはここが初めてである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
コントロールすら欺き、もう一度プリンセスに会うという念願を果たした彼女は、『カサブランカの白い家』に逃げることを提案する。
好きでやってた稼業で無し、恋に生きたいお年頃。
壁を乗り越える=王国に取り残されたプリンセス=アンジェに再開する唯一の手段として、スパイを選んだアンジェ=シャーロット。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
王国の社会システムを他人事と割り切って、遠いモロッコに逃げ出そうとする彼女は非常に個人主義的だ。10年の年月が、王女の責務をアンジェから引き剥がしたわけだ。
しかし現役でプリンセスであるアンジェは、もっと大きなものを望んでいる。女王となり、国家のトップから世界を変える。スパイに身を落とさなくても、親友と再開できる世界を作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
これも個人的エゴなのだが、それを叶えるためにはクイーンという社会的立場が必要になる。
アンジェ=シャーロットにとって、朝焼けの中での再会はゴールであり、気の進まないスパイ稼業を続けていた最大の理由である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
しかしプリンセス=アンジェにとっては、コントロールに食い込むのはスタートでしかない。味方のいないお飾り王女から国のトップに上り詰めるための、必然の一手。
それが大人の野心だけではなく、10年前の幼い約束に縛られてのものであることも、同時に示される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
革命により取り替えられた二人の立場、名前、祈り。お互いを強く求めているのに、その視線はどうしようもなくすれ違う。眩しすぎる光の中で、プリンセスはアンジェの表情を読むことが出来ない。
かくして、二人の女はスパイ稼業を続けることにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
プリンセスをクイーンにして、壁を壊すという大望のために、アンジェはスパイであり続けることを選ぶ。
自分も他人も世界も騙して、届かないゴールに向かって歩き続ける、果てのない道。それを選ばせたのは、白い家を拒絶したプリンセスだ。
アンジェにとってスパイは仮面でしかないのだが、被り続ければ嘘も本当になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
騙し、殺し、奪うのが当たり前の世界の中で、アンジェは10年前のシャーロットではもうない。汚れてしまった純真に、それでもしがみつくしかない無残。
アンジェが光の仮面を被り直すシーンが、それを強調する。
という感じで、どうあがいても二人は思い合っていて、それが残酷な形でしか成就しないことを暗示するアバンでした。カサブランカがユリ科の植物ってのが暗喩的だね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
『Casablanca』の『白い(blanca)家(casa)』はちと重ね過ぎではないかとも思う。そのクドさが持ち味か。
そんな二人の間に割り込もうとする小型の狂犬ベアトリスは、機会の吠え声をがなり立てつつ、血まみれのイニシエーションを強要されていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
今回あんだけスパイを拒絶してたベアトが、Case13では電話ボックスに死人転がして涼しい顔だもんなぁ…アンジェもそうだが、スパイ稼業は魂を染めるわ。
アンジェは『薄汚れたスパイ稼業とかマジない! 国家のために命かけるとか頭おかしい!』と吠えているわけだが、それはプリンセスがアンジェと接触した理由の否定だったりもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
国という巨大な装置に挟み込まれることを、強制的/自発的に選び取るプリンセスの生き様を、ベアトは理解してないのだ
嘘やエゴイズムを引っくるめて、アバンでプリンセスの野望を飲み込んだアンジェの姿と、『姫様の一番』であることに自己存在を賭けるベアトの空回りは、結構残忍な対比だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
今回のベアトはずっと子供だ、身勝手さでミッションをかき回し、自分が捕らえられた後の悲劇も想像できない。
10年前の革命により、子供で居続けることを世界に拒絶されたアンジェは、そんなベアトを冷ややかな目で見つつ、見捨てることは出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
プリンセスへの愛情に支配された同士としてか、袖すり合った他生の縁を無視できない性質か。どっちにしても、優しくてスパイには向いていない性格が再話される
大人と子供、スパイと一般人。凸凹コンビの珍道中を追いかけつつも、スパイ稼業はシビアでハードだ。人もバンバン死ぬ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
さんざん一般人ムーブしてたのに、阿鼻叫喚の現場に実際飛び込むと度胸が決まるあたり、ベアトはスパイ適正高いんだろうな。根っこの部分で残酷というか。結構好きな性格。
ベアトの喉とアンジェの耳を組み合わせ窮地を乗り切るシーンは、凸凹コンビが綺麗にハマった状況を、分かりやすく見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
修羅場で通じ合った心を追いかけるように、穏やかなお茶会で黒蜥蜴星に入国してくるベアトを描くのも、余韻があって良い。
それが下手くそでも、ユーモアは人間関係の潤滑油だ
『プリンセスの一番』である自分にしがみつき、スパイに巻き込まれていったベアトは、アクションの中でスパイを理解し、アンジェを理解していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
その結果が血みどろエージェントと思うとやりきれないが、アンジェを認めることでベアトも、『プリンセスの一番』への過剰な思い入れを乗りこなしていく
今回のアクションは、子犬のように身勝手で危ういアンジェが、コントロールの一員として居場所を見つけるために必要なイニシエーションだったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
同じポジションを争う(そして絶対に勝てない)アンジェを道連れにして、スパイを、自分を、アンジェを理解していく少女の成長譚。
スパイ一年生の未熟さが、アンジェの練達を輝かせる良い光源になっていた。そこからはみ出してしまう天使(Ange)っぷりも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
命がけの落下シーンで本心を告白してしまうベアトと、嘘をつき続けるアンジェの対比も良かった。『プリンセス≒自分が大嫌い』というのは本心でもあろうが。
一生消えない刻印として、喉に刻まれた機械の呪い。泣くほど嫌悪するサイバーウェアを、スパイとしての武器に作り変える辺りも、イニシエーションらしさを際立たせていたか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
己の最も醜い部分で、最も愛するものに奉仕する。アンジェもベアトも、そこら辺は共通だなぁ…痛ましい。
このアニメ、結構ベタ足の演出を巧く使っていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
落下シーンは土壇場だから、キャラクターの地金を分かりやすくセリフにしてもイヤミがない。
素直に食えるタイミングで、『コイツはこうですよ』と叩きつけることで、複雑な設定の複雑なお話を解体し、悔いやすくするメソッドが、結構面白い。
アバンの露骨な光と闇演出も、情報量の多いネタを圧力のある演出で食わせ、複雑な関係性、キャラクター性を飲み込ませる工夫なのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
アンジェとプリンセスの顔にかかる明暗。表情が見えるタイミングと、見えないタイミング。価値観の揺れが巧く絵になっていて、読みやすいシーンだった。
あと『海軍大臣のアンキテーム公』という発言からして、やっぱ共和国はフランスに足場がある国家な気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
ケイバーライト技術で、英国が大陸まで拡大した世界なのかなあ。タイミング的にフランス革命が起きてないIf世界だから、爵位が実を伴って残っているのか。
共和国ではない。王国ですね、訂正。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
正当王室を背負いつつも、大陸側の後ろ盾がなければ共和国に飲み込まれてしまうあたり、すんげぇ政治力学捻れてそう。プリンセスの政略結婚話もそのうちやるんだろうな。
飛行戦艦の艦長がさらっと『カリンガの紅茶』と言ってたり、かなり仮想地理学の方向で遊びまくってるアニメだと思う。アショカ王がカリンガを滅亡させてから、大体2000年後だもんね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
部室の博物学趣味といい、ゲップが出るほどペダントリーよね。好みだわ。
あ、カリンガはインドではなくケニアの方か。英領東アフリカの成立は1895年。茶葉くらい入るか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
プリンセスとドロシーは脇役だったが、フォワードとバックスの役割分担が見てて気持ちよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
セクシー担当の色仕掛けが巧くいって、ようやく面目躍如といったところか。各々分かりやすい強みがあるのは、チームモノとして良いところだ。はようちせのブレードダンスが見たい。
偽物な上に味方が少ないプリンセス。マッドな親に人体改造され、寄る辺がないベアトリス。過去を奪われ、似合わないスパイするしか生きる道がなかったアンジェ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
コントロールの少女たちは皆、自分の預けどころが全然ない子たちなのだな。だから味方でより合うしかないという。
アバンでのアンジェの発言からしても、コントロールという組織に忠誠を捧げ、アイデンティティを守っている感じではないからなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
そして唯一生きる理由であるプリンセスとは、スタート/ゴール意識がズレていると。アンジェも難儀だな。
ドロシーも孤独な子供なのかは、個別回で見えることだろう。
という感じで、アンジェとベアトの血まみれ珍道中を軸に、今週も中身の濃いエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月25日
ベアトの危うい純白が強調されると、それがスパイ色に染まっていく無残さも際立って、エグくて良い運びだと思います。アバンで見せた感情の質量も良かった。
さてこっからどう転がすか。来週も楽しみ。