神撃のバハムートVSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
天と地に別れた家族は合流し、母と天使は子を追って天から降りる。バラバラだったものが一つにまとまり、恋人たちが再び出会う回。そして、皇帝の身体が人間であり続けることの矛盾を静かに語る回。
VSのロマンティックな語り口、静かな表現力が最大に生きた回だった
というわけで、今週もいろんなことが起きているVS。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
前半は牢獄でまとまりかけたゴールデンメンバーが別離を経て、再び合流するまでのお話。あの時はいなかったムガロちゃんもプラスだ。
ファバロの鍛え上げられた背中が、むせ返るほどのセクシー。あいつ過剰セクシー罪で逮捕とかした方がいいよ。
ファバロは持ち前の器用さを活かし、失われたカイザルの腕を修繕する。奪うだけではなく、作ることも出来る『腕』の多面性。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
それは人殺しの武器であるソフィエルの槍が、ジャンヌの命を狙う結界を切り裂くシーンと呼応している。いかに武器の自律的凶暴性を制御するかが、英雄の資質だ。
武器を握りつつ、それを使わないこと。武器を握る腕を使いこなすこと。出来る出来ないは別として、このアニメのキャラクターは二種類の『Arms』の扱いを常に問われている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
先週はいのちを守ることを選んだムガロも、地上に降りて迷いの中にいる。傲慢に奪うか、優しく慈しむか。
カイザルがムガロに話しかけるとき、子供扱いしない丁寧な口調ながら、目線はムガロの背丈に合わせるところがらしいなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
誠実でクソ真面目、誰も侮らず無下にもしない。その手を取っては貰えなくても、カイザルの思いはムガロに届くだろう。彼の父たるアザゼルがそうだったように。
ムガロは血縁という意味ではジャンヌという母しかいないのだが、人生に与える影響という意味ではかなりオヤジの影響がでかい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
アザゼルの不屈のテロル、カイザルの誠実、そしてバッカスのぶっきらぼう。腐れアル中なのに、守るべき最後の一線をきっちり抑えるバッカスの描写が、愛情あって良い。
その母は脅迫まがいの無鉄砲で、ソフィエルの人間味をぐっと引き出していた。今週のソフィエルは全体的に作画がソフトで、可愛らしかったなぁ、素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
思い込んだら一直線なところはほんと息子そっくりで、親子なのだなぁと思う。キャラクターの芯の重ね合わせを巧く使うのは、VSの強みだ。
死に飛び込むジャンヌを見逃せず、自分の立場を振り捨てて飛び込んでいってしまうソフィエル。シチュエーション的にも価値観的にも、これは先週ニーナを助けたムガロと同じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
むき出しの弱肉強食と同じくらい、命の危機を見過ごせない仁愛は人間の本性である。少なくとも、英雄の資質あるものには。
チーム・ニーナとチーム・カイザルがサラッと合流したように、チーム・ジャンヌも結びついていくだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
命を守りたい、人間がただの闘争動物だとは思いたくない。
綺麗事、あるいは真実で繋がった主役たちは、運命に寄せられ一つになっていく。似た者同士は惹かれ合うのだ。
後半はそんなふうに、惹かれ合う男女にグーッとクローズアップした展開。第6話以来のデート回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
あの時は自分の気持ちも、シャリオスの立場も全くわからなかったニーナだが、いろいろあって少しは成長し、彼女なりの賢さを得た。重なり合うことで、違いが強調されていく。
シャリオスは今回、これまで暗喩にとどめていた弱さや脆さ、一個人としての人間性を明確に露わにしていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
血も涙もあり母とのつながりもあった時代…皇帝ではなく人間だった時代の名を明らかにするのは、ニーナへの恋心がそれを蘇生させたからだ。殺しても殺しても蘇る、熾火のような恋慕の情。
蘇った感情は、涙となって溢れ出る。ニーナの涙を片方だけ拭い、抱擁と一緒に溢れさせるロマンティックな演出が、ドラゴンの背に乗って自由に飛び回る一瞬、人間として涙を流すシャリオスと響く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
重荷を捨て、本当の自分でいられる恋人たちの瞬間。その真実味に、このアニメは甘えない。
シャリオスが一人間であると同時に、冷酷強壮な人類の皇帝であることは否定しようのない事実だ。それで踏みにじられるものもいたが、同時に救われるものもいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
ファバロがカイザルの腕を修繕したように、皇帝の威信は天との闘争で傷ついた王都を癒やした。今回のデートは、冷静にそれを確認する。
ニーナはあくまでのんきな一少女、国という巨大な乗り物に預けられた重責のことはわからない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
わからないなりに、好きになった男をわかろうとした結果、少しでも公益性に接近していくのが、VSに於けるニーナの物語だ。
恋を制御した結果、彼女はドラゴンの暴走を自分のものとする。
無軌道で危うい暴力が抱擁とともに手綱を付けられるのは、もちろんロマンチックな恋愛無敵主義の結果でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
それと同時に、自分と正反対に大きなものを背負い、人間としての自己を犠牲にしてきた男を理解することで、認識のスケールを拡大した結果でもある。他人が判れば、自分も判るのだ。
今回シャリオスもニーナも、どんどんと覆いを外していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
視力矯正具ではないメガネ、頭を覆うターバン(第13話の兜の演出との照応)、隠されていた過去、せき止められない恋心。
悪魔の扮装、人間の姿、身体を覆う衣装。素裸で触れ合い、最も弱い部分を晒しあうことで、恋人たちは恋人となる。
僕は今回、シャリオスとニーナはセックスしたのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
天にも昇る心地で月までぶっ飛ぶ飛行の暗喩というだけではなく、心と体をお互い晒し、もっと近づき支え合いたいと願う男女が交わるのは、寿がれるべき自然の道のりだからだ。
飛行が終わった後、お互い服が変わってるしね。
しかし汗と汗が交わるほど近くにあっても、心が完全に交わることは無い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
皇帝の責務はシャリオスにとって、重荷であると同時に使命でもあり、恋のためにすべてを捨てて国に背中を向けることは、これまでの生き様、踏みにじってきた命が許さない。そしてニーナは、その重さに接近しつつも理解できない
今回の物語が幸福な一男性の笑顔ではなく、片目と人生を国に捧げた修羅王の表情で終わるのは、さんざんロマンティックに描いた恋の限界点を視聴者に刻むためだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
シャリオスは人間であり、同時に王でもある。その矛盾は、恋したら、セックスしたらぶっ飛ぶほど軽いものではないのだ。
"Virgin Soul"をタイトルに背負う今回、ニーナは恋を乗りこなし、ドラゴンである自分を乗りこなした。Virginを失って大人の女となり、恋人の脆さを背負いたいと心から願った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
それは立派な成長だ。そして、それでは全然足らないものをこのアニメは扱い続けている。
今後物語は""Virgin Soul"を超えた先にあるものに、向かい合うことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
一個人が胸の底から強く願う、愛しい人との幸せ。それを踏みにじってなお立たなければならない、種族と国家、王と世界の宿命に。
その時、ニーナはもう一つ、強制的に大人にされてしまうのだろう。
シャリオスもまた、今回確認した己の人間性をあえて踏みつけ、前に進むことを余儀なくされるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
皇帝の二つの身体は、どちらが本物というわけではない。恋だけが世界の意味ではなく、戦いだけが人間の真実でもない。だからこそそのバランスをとるのは難しい。命すべてを賭けるほどに。
闘技場では悪魔を殺し合わせる男が、スラムでは頑是無く微笑んで子供とサッカーをする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
玉座では赤い竜に死を宣告した男が、赤い竜の娘を愛おしく抱きしめる。
それは矛盾であり、共存でもある。切り離さなければシャリオスは生きていけなかったし、ニーナによってそれは崩されつつある。
皇帝の身体と人間の身体が分離しつつある局面で、漆黒兵隊長が存在感を増してきたのは面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
『あの娘にたぶらかされていたか』と呟く彼は、ニーナとは逆にシャリオスの人間性を理解できない。してしまったら、死斑が浮き出るほど命を削った覇道に、意味がなくなってしまう。
何が皇帝と隊長を結びつけるのか。それはシャリオスがニーナに秘匿し、カイザルが知りたがってもいる真意に、強く関係しているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
子供たちをスラムに押し込め、己の命を削っても成し遂げたい大望。これが明らかにされる時、物語はまた新しい局面を暴くことになる。楽しみだ。
シャリオスやニーナ、ファバロの立場の違いを、『腕輪』という共通のアクセサリで表現しているのは、とても面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
シャリオスのそれは禁断の力へのアクセスキーであり、国を守護する手段であり、己の身体を苛む死の棘だ。
ニーナのそれはあくまでおもちゃ、何にも縛られず、何の力も持たない玩具だ
そしてファバロのそれは、かつて世界を救うペテンの鍵となり、賞金稼ぎの誇りであり、他ならぬカイザルの政策によって無効化された、かつての正義の象徴でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
皆が皆、何かを守るように、あるいは縛られるように『腕』を覆っている。それは己の生き様と契約した証、エンゲージリングのようだ。
ニーナのおもちゃのような恋は、今回猛烈にロマンチックで真剣な交流を経て血肉が通り、本物になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
飛行の後のやり取りに凄まじいまでの『女』が宿っていることを、「はい…」一つで理解させる豪腕は、大石静の真骨頂だろう。イヤほんと、完全に空気違うから凄いよねぇ。
その腕に輝くおもちゃの腕輪にも、破滅の道具として、あるいは正義の証としての輝きが宿るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
いまだ皇帝であることを止められない、止めることを許されない、そして止めるつもりがない恋人と同じく、全く油断がならない。このアニメでは恋は無敵で、そして無力だ。それがとても面白い。
ソフィエルがジャンヌと抜けた結果、ガブリエルの驕慢を抑えるキャラが天界から抜けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
首輪を外し自由を手に入れたアザゼルの動向、道を見定めたカイザルの今後。気になるところは山盛りある。その状況で、二週間の休憩。全く、焦らしてくれる。
恋は成った。さて、その先は。非情に楽しみである。
追記 サブタイトルと首飾り
VS追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
週サブタイは『Virgin Souls』と複数形であり、つまりニーナもシャリオスも無垢なるVirginだった、ということだ。処女性は肉体器官でも性別でもなく、Soulsに宿るという主張のこもったこのサブタイトル、僕は好きだな、とても。
あと装飾物繋がりで、シャリオスがニーナに送った首飾り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年7月29日
二人を繋いだコメディリリーフの唐辛子くんを再び舞台に上げてるフェティッシュであると同時に、具象としてはバハムートの爪であり、災厄の予感でもある。
一期でも凄くろくでも無いことになった過剰な力が、ニーナの側にある。どう転ぶか。