イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイドルタイムプリパラ:第19話『旅立てアイドル!レッツ・イゴー!』感想

夏休みだよ特別編! ついに全国巡業を開始したアイドルタイム、第19話であります。
ざっくりと仙台ネタを扱いつつ、これまですれ違いを続けてきたドレッシングパフェの和解を、地元吹奏楽アイドルの分裂に重ねて描くお話。
全体的にゆる~い感じながらも、これまで積んできた魅惑の風来坊シオンと、そんな彼女が好きすぎて素直になれないドロシーという素材を活かし、ホッコリとまとめていました。
ユニットへの憧れとか、旅の道連れになったWithとの関係構築とか、謎の一番アイドル『み』の存在とか、今後必要になるだろうクスグリも仕込んだ、よく締まった回だったと思います。


つうわけで夏休み突入、本筋回すわけに行かないので迂回路に入ったアイドルタイム、第一弾は北陸ペンダイが舞台です。
色んな事情で入った巡業編ですが、やってみると特別な旅路感もよく出るし、パパラ宿が影響を及ぼせる範囲が広がった感じもするし、なかなかグッドでした。
偶然ツアーが被ったWithと仲良くなったり、引率のババリア校長の『面倒見の良いオバちゃん』感が良かったり、地元じゃ出せない空気があるのが良い。

そこら辺はたとえざっくりでも、仙台の町並みをしっかり写し、ずんだに牛タンに仙台弁で地方色を出して、『今回しか出来ないこと』をやろうとした結果だと思います。
なんつーかな、いつもと違う場所で、いつもと違う飯食って、いつもと違う人と楽しく暮らしているゆい&らぁらを見ていると、凄く幸せな気分になれた。
夏休みという特別な地感に、知らない場所に行くワクワク感が、とてもいい方向に働いたエピソードだったと思います。

話の軸はドレパにあるわけだけども、パパラ宿の使者・ゆい&らぁらが親善大使の使命を背負って、アイドルタイムシステムを全国に広げていく展開も、達成感があって良かった。
彼女らの仕事がうまくいくってことは、時計台を通してファララの影響範囲が広がるってことで、案外後半大きな仕事しそうなネタなんですよねぇ……。
パパラ宿内部でコンパクトな成長を追いかけていた物語が、全国スケールに広がっていく話としても今回、なかなか良かったと思います。
ひっさびさに引っ張り出してきた『みんなトモダチ!』の看板も、強引ながらいい話風味にまとめてくれてたし。


んで今回の本題、風来坊と毒舌少女のすれ違いと仲直り。
元々シオンはハンサムな女で、ドロシーはシオンが好きすぎる寂しがり屋だったわけですが、アイドルタイムになってからはその側面を強調しつつ、今回の話しに繋ぐ形になってました。
にのをアイドルに引き込む仕事をシオンがやったり、不在のシオンにドロシーが強い執着心を見せたり、これまでの話で材料は揃ってるんですよね。
なんで、このタイミングでドレパ再結成をやる物語的必然性は揃ってたし、感情の熱量も十全という。

吹奏楽部の分裂はそれを際立たせるスパイスなわけですが、軽すぎず重すぎず、いい塩梅だったと思います。
吹子かららぁゆい、レオナと仲裁の手がリレーされて、年長のシオンが譲る形で関係が修復されてったのも、善意が伝播していく優しい話で、なかなか良かった。
プリパラは我の強い『悪い子』が雁首揃えているので、こういう衝突は当然あるわけですが、それは上手く修復し、絆をより強めることが可能な断絶。
久々のトモチケパキりといい、プリパラがいかに『みんな』を結びつけていくかに注目したお話だったかなぁ、と思います。

キャラクター描写から見ると、実は一番いい仕事をしていたのはレオナかな、と思う。
普段はあまり前に出ず、他の人の意見に乗っかることも多いレオナだけども、我の強い連中の潤滑油として、あるいは一歩引いた位置から状況を分析する参謀役として、ドレパをまとめる要です。
そんな彼が、素直になれない姉の人知れぬ努力とか寂しさを代わりに代弁し、状況をあるべき姿に持っていくのは、とてもいいなと思いました。
『こういう形でユニットが纏まってんだなぁ』と納得できるのは、個別エピソードとしてはすごく大事だと思う。

毒舌ばら撒きつつドロシーがシオン好きすぎるってのは、これまでのエピソードでも描写されてきたわけで、レオナが媒介したその思いをシオンが受け止め、年長者の務めとして断絶を最初に乗り越え、手を取る流れも良かった。
ドロシーはあそこで素直にはなれない子なので、シオンが折れる……というか、最初に素直になるのは正着だと思う。
シオンは超が付くほど変人なんだが、人間の柔らかい感情を無視するほど心が尖った人間でもないわけで……エキセントリックなキャラを扱いつつ、こういう柔らかな描写を忘れないところが、プリパラの好きなところです。

『レオナが繋ぎ、シオンが導き、ドロシーが活力を与える』というドレパらしさが回復されて、ステージを見たゆいがユニット結成への憧れを持つのも、地味に上手い運びでしたね。
無印が1クールで駆け抜けた主役ユニット結成、アイドルタイムは相当じっくりやるようですが、こういう小さな積み重ねがいざ大イベントってなった時、展開に説得力を与えるんだと思います。
ココらへんを積んでいく確かさは、Withの描写でもそうだなぁ……ショウゴお兄ちゃんは、頑張ってツンデレしてくれてるのう。

あと露骨な伏線、いっちば~んなアイドル『み』の謎な。
マトモに要素を繋いでいくとDMFから『み』あ先生乱入なんだが、今更レジェンド復活ともいかんだろうし、裏をかいて『み』み子な気がするなぁ。
ここらへんはファララと合わせて、今後どう使って話を盛り上げるかが楽しみな伏線ですね。


というわけで、色んなことをやりつつ、夏のスペシャル感漂うペンダイアイドル旅でした。
全体的に『夏の旅ッ!』っていう感じが上手く出てて、普段と違う楽しさがしっかりあったのが良かったなぁ。
それでいて、プリパラの根本にある『みんな』の大事さを忘れず、ドレパ再結成に合わせて味あわせてくれるのもグッド。

旅はまだまだ続いて、次の舞台は北海道。
今回のドロシオのように、なかなか素直になれない夢川兄妹メインのお話のようで、どう掘り下げるのか期待大。
今回見せたような、肩の力が抜けたヴァカンスな感じと、コンパクトに真芯を捉えるテーマ性を上手く両立してくれると、凄くいいなぁ。
来週も楽しみです。