メイドインアビスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
さらば過去、さらば宿木。不動卿の懐で羽を鍛える、二羽の雛鳥が巣立つまでのお話。ただただ前を見て進み続ける少女たちと、過去にがんじがらめにされつつ、ライザとの約束をしっかり果たすオーゼン。
留まるものと落ちるもの、一瞬の交錯がしかし、妙に温かい。
非常にどっしりした足取りで進んでいるアニメアビスであるが、今回もオーゼン庇護下での生活を丁寧に切り取ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
カバをめぐる一連の冒険を見ることで、ウンコを含めた奈落の衣食住、それを自前で用意できるようになる子供の成長が、みっしりと重さを伴って伝わってくる。
想いに体がついてこないリコと、ロボットボディに知恵が回りかねているレグ。未熟な二人は補い合うことで、足らないまま奈落への挑戦権を得る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
まるで健全な冒険活劇のような、精一杯の背伸び、相棒感。オーゼンの庇護の下で子供たちは思い切り跳ね回り、成長していく。
あまりに健全な『あるべき大人と子供』は、一瞬の夢だ。アビス内部において、その周辺である街ですら、死と危険を大人が遠ざけてくれない世界で、リコは生きてきた。母のいないみなし児が、母の眠る暗い洞穴の中で見つけた、幽き灯火。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
そういう淡いものがあって初めて、リコはこの地獄で生きていける
今回はオーゼンの内面にもどっしりと潜る話で、ライザへの想いでパンッパンになった脳圧が、たっぷり感じられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
己を慕い、己に並ぶほどに成長した娘が、その成長故に自分ではなく、凡俗の雄を番に選んだ時の衝撃。勝手に孕み、勝手に産んで、それでも世界のすべてであるほどに愛おしい。
今回始めてライザの瞳が見えた。不思議な光沢、麗しい睫毛。全くリコには似ていない。つまりは親父似ということで、オーゼンが邪険にするのもそこら辺が理由だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
ライザに似ていたら、もっと度し難い関係になっていたはずなので似なくて良かった。マルルクくんに女の装いさせているのは代用か…。
ただ幸せな母娘として、アビスから離れ行き続ける幸福。ライザはそれにリコを縛り付けないために、探検家として死ぬためにラストダイブに挑んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
狂った世界の、狂った親子愛。それを引き継いだオーゼンも当然狂っているが、しかしその行いはタフで尊い。ていうか捧げる愛すぎ。
リコの死体を詰めた、白い立方体、秘められたライザの子宮。それを背負いつつ地上に帰った時、オーゼンはどんな気持ちだったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
自分が選ばれなかった理由が、背中で断末魔/産声を上げるのを聞きながら、慣れ親しんだ地獄を登っていく。上昇負荷。悪阻に似た吐き気を石女が追体験する。
ライザがリコを地上に置き去りにした決断も、その時の約束を受けてリコを血まみれにしたオーゼンも、狂った世界の狂った母性を、誠実に守っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
死に向かう欲求、アビスの重力が下向きに少女を引っ張る中で、一瞬だけそれに抵抗する母性愛、女たちの約束。
それだけがリコを最下層へと導く…より善く死なせるというあたり、アビスの狂気は正当に女系で伝承されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
適応できなかった弱い男は死んだ。レグはどうなのだろうか。『度し難い』がライザの口癖なら、彼もまた女系に位置する特例的少年なのだろうか？ ロボットとして、性別から切り取られた男
大枠は死で満ち狂いきってるのに、そこに宿る体温は本物で、飯は美味そうだし、活きるために必死だし、約束は輝いている。マルルクとの別れのシーンは、凄くジーンと響く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
このアニメが特殊であり、かつ普遍的なパワーを持っている理由を、じっくり確認するようなエピソードだった。非情に面白い。
産婆にして教師、母の母であり愛妾のなりそこない。オーゼンの複雑さを一切理解しないまま、リコは第三層へと挑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
厳しくも優しいオーゼンの鍛えは、巣を出てもリコを守り、母の元へと連れて行ってくれるだろう。そこに込められた愛情と憎悪、コールタールのような感情の淀み。素晴らしい。
オーゼンはもう、遠くからリコを守ってはくれない。レグと一緒に独力で生き延びる/死の方向に向かって進むしかない二人、最後の幼年期。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
その灯火が消えた後に、どんな光と闇が待っているのか。どんな異様な風景で殴り飛ばされるのか。薄暗く光るワクワクが、僕の胸にある。リコのそれと多分同じだ。
そういう不健全な共犯関係が、モニタ飛び越えてキャラクターと視聴者の間に成立すること。成立させるための分厚い世界観の作り込み、発熱するリビドー、堅牢な神話性の物語骨格。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年8月25日
いいアニメだなぁと、つくづく思う。こういうアニメを毎週見れるってのは、なかなか無いことだ。来週も楽しみである。
