徒然チルドレンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
基本四編、時々三篇。超短編アニメの基本形式をキッチリ守ってきたこのアニメも、最後のまとめは長く取る。
横幅広く色んなカップルを映す前編と、二組のカップル(と一人の女の子)を深く掘り下げていく後編。金子ひらくのポエジーが凄まじく全速で、余韻のある終わりだった
というわけで、最終回である。二話前くらいから露骨に『こいつらの関係性でフィニッシュキメッから!!』と宣言していた、高野-菅原組と千秋-加奈組を進展させて、気持ちよく終わらせた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
その前に色んなカップルを出してグランドフィナーレ感を出したり、すれ違いの不穏さを演出したり。
球技大会はとにかく色んなキャラが入れ替わり立ち代り、元気に楽しくでてきた。というか、ここまでメインエピのなかったパトリシアが最後のオチを持っていくという、開けた展開に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
色んな恋がヴァラエティ豊かに取り揃えられているデパートメント感覚が楽しいアニメだったので、横幅広い終わりは良い
色んな人達の肖像を切り取りつつ、高野さんのボーっと熱のこもった視線、千秋と加奈の関係が関係性が変化する兆しを、きっちり盛り込んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
加えて言えば、しっとりとトーンが落ちる後編に向けて、アッパーな笑いとネタを描ききっておく始末の良さも感じた。
陽性の笑いもラブ・コメディであるこのアニメの大きな柱で、例えば山根くんや恋愛マスターのカラッとしたコメディ力には、随分笑わせてもらった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
そういう作品の味、良さを最後に味あわせつつ、シャレで終わらせちゃいけないクライマックスに向けて、笑いを使い切っておく。
1/4を四回、あるいは1/3を三回。構成自体にリズムと意味合いをもたせ、独特の味わいを載せるのがとてもうまいアニメだったが、最後の特別編成もまた、強い意志と意味が込められた、良い組み方だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
短い時間で何をやって、それをどう組み上げるか。ここへの目の良さが確かな強みだった
そんなわけで、後編は詩情が強く、ポップなムードを残しつつ雰囲気の明滅が鮮やかなお話となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
他人の意見や自分の思い込みで未来を塞いで、足踏みしてすれ違う時の薄暗さ。そこを抜けて恋の温もりに進んでいく時の光。そこから少し離れたところで切り取られる、終わった恋と終わらない友情。
あそこでカップルという軸から外れた、ソロのよっちゃんを切り取ってくる所が、なかなか凄いなぁと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
戯画化され、カップルという関係性に閉ざされたラブコメ圧力鍋。外部など存在し得ない密閉感が楽しかった作品は、気づけば『ふたり』を成り立たせてくれる『だれか』を全面に押し出してきた。
よっちゃんと高野さんが窓に向かって話す時、これから菅原くんとの恋を具現化していくだろう高野さんの前には、無限の未来が広がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
青い空、光、あるいは夏。開け放たれた窓ガラスは、そこに向かって開かれている扉…主役の特権だ。
これに対し、作品に選ばれなかったよっちゃんの窓ガラスは閉ざされている。主役と同じように恋を抱き、告白にたどり着き砕けることすら許されなかった名もなきモブ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
どん詰まりの世界を表すかのように、夏への扉はよっちゃんには開いていない。彼女はこのオムニバスの、自分の世界の主役ではないから
沈んでいく加奈と上がっていく菅原くんの、階段で繋がった/切り離された明暗の描写も見事だ。下げ調子にプレッシャーを高めていた映像が、あの菅原くんの猛ダッシュでグッと明るくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
それは予兆で、二人の恋は風通しの良い場所にたどり着く。開かれた窓ガラスが、心を覆ってたカーテンを開放する
そういう、爽快で特別なすれ違いの克服…カップルになりうる特権をしっかり盛り上げ(るために、的確に影を落として一旦盛り下げ)つつ、見守るよっちゃんを写す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
恋の主人公にはならずとも、友情の担い手にはなれる可能性を、作品内に取り込んで終わるのは、凄く開放的だと思う。
別の場所を写すがゆえの立体感は、高野-菅原組と千秋-加奈組が同時並列で進行するラストで高まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
高い部室と低い玄関。心的ポテンシャルを交換しつつ、2つの恋は並列して進む。心を明言しないまま先に進んでいく初恋未満と、ネタを捨てて本心を素直に伝えることで再出発する恋。
色んな恋を描いてきた物語は、二組のカップルを代表選手にして終わる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
ラブとコメディ、色んな属性。それぞれ個別にいろんなものがあって、いろんな歩み方があって、色んな終わりつとその先がある。
『それって、なんか良いじゃない』と語りかけられるような、見事な構成と内実だった。
冒頭以来久々にコンテを切られてみると、やはり金子ひらくの持つ圧倒的な詩情に言葉を失う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
ぱっと切り取った一瞬が、非言語的…というか超圧縮言語として言葉よりも雄弁に語るメッセージ性を以て、フォトジェニックに立ち上がってくる。その無言の詩情が、甘酸っぱいラブコメの背骨を支える。
超短編をつなぎ合わせる形式に食い足りなさがなく、馥郁たる広がりと満足感があるのは、やはり一瞬の勝負カットがきっちりキマっていたからだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
定形とネタの鮮度で押し流すアニメでありつつ、ふとそこから離れて凄くナイーブなものを、カメラが切り取る瞬間がある。それが情景に潤いを与える。
原作を知らず、『肌色アニメの鬼才』金子ひらくの見落とされがちなポエジーが、『甘酸っぱいラボコメ』という題材の中で花開くのではないかという期待感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
それにしっかり答えてくれる最終話であり、シリーズでもあった。
が、それだけではない余韻を、12話の視聴はしっかり与えてくれた。
時に笑い、時にときめき、バラエティ豊かにテンポよく楽しませてくれた、作品の小気味よさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
コメディとラブ、それぞれ得意分野は違っても、自分たちなりの心のうねりを楽しく届けてくれた、キャラクターたちへの愛着。
柔らかさとぬくもりのある色彩も相まって、ホッと一息つけるいいアニメだった。
個人的趣向としては、やはり『超短編連作』という形式が要求してくる内実、それが可能にする表現に、強く注目してみていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
軽薄でポップな形式だからこそ描けるものがある。軽やかなテンポ、置き去りにされる重み、その再獲得。
このアニメでしか出来ないことを見据え、しっかり実現していたと思う
短編連作という形式上、恋は一つの形に結びついても良いし、まだ続いても良い。始まらなくてすら良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
そういう『恋』に限定した幅広さだけではなく、よっちゃんや本山くんといっった自分の『恋』を持てない連中を、ちゃんと好きになれるような重みを与えて描いてくれたのも、とても良かった。
笑いとシリアス、光と影。長短軽重様々に取り混ぜつつ、それぞれの良さがお互いを引き立てるよう、よく考えられた構成が心地よかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
序盤は作品とキャラに引き込むべく、狭い話をディープに繰り返して『形』を仕上げ、そっから段々変奏や混成、拡大に至っていくペース配分もグッド。
総合的に見ると、特異な形式のオーソドックス(あるいは定型的にすぎる)題材を、素材の強さを活かしつつ、必要なだけ風通し良く仕上げてくれたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年9月19日
シャープでウェットで、知的でありつつ詩的。凄く僕の好きなアニメとして終わってくれて、とても嬉しい。いいアニメでした、ありがとう。