少女終末旅行を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
タイトルに一切偽りなし。まんじゅう顔の変な声の少女が、モノトーンの終末を、まったり旅行するアニメである。他はない。
タンパク質の匂いを一切排した、滅びに滅びきった灰色の世界の中を、危機感のない黒髪と金髪がうぞろうぞろと這い回る。雰囲気しかない。最高。
とにかく『廃墟と少女を描きたい』という欲望だけが形になったような、最小限の音符で構成されたミニマル・テクノみたいな作品であり、その骨格を残したまま食べれるレベルまで身を膨らませたアニメはなかなか凄いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
人っ子一人いない灰色の世界の中、少女が二人ある。それだけだ。
エンドクレジットに声優二人しか出てこないことから判るように、極限的にミザントロープな世界であり、目に写るのはコンクリート、配管、錆、動かない兵器群。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
戦争の残滓、殺意の名残、はるか遠くに過ぎ去った殺し合いの情熱。
害することが人間の証明ならば、少女達は全く人間らしくない。
終わってしまった世界が当たり前のまま、『他人』が目の前の一人しかいない異界を、二人は泳いでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
背景から漂う『詰んでる』気配に気づくこともなく、まったりのんきに滅んでいく。そのギャップが愚者の道行きに悲壮感と、妙な開放感を産んでいて、欲しい所にストライクが入っている感じだ。
水瀬いのりと久保ユリカ、二大『甘ったるいんだけどヘンテコな声』が夢の共演を果たすこのアニメ、いい塩梅のBGMも相まって、睡眠導入剤としての精度が高い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
しかし人類最後の二人が眠ってしまえば、それで世界は終わりである。それでもいっかー! と感じさせる破滅的な明るさが、二人の声にある
基本的に起伏のないお話なのだが、内向きの性格して細やかなチトと、何でもかんでも外に出すユーリのアンバランスなオンバランスは、なかなか良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
戯れ事としての暴力まで許容される、みっしりとした距離感もいい。なにかとひっつきたがるね、キミら。凄く良いと思うよ。
かつて人類達が世界をここまで追い込んでしまった戦争や殺意や暴力は、二人にとっては『ネタ』である。殺し合うほどの人間性も捨て去って、野の獣の如くいまを生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
狩猟すらままならない人工物の墓場で、かつての文明の名残を漁って露命をつなぐ。ただただ、ケッテンクラートは前に進む。
その無目的な破滅が、妙に潔くて心地よい。頻繁に挟まれる、高い場所からのカメラアングル。神の視点から、うざらうざらと瞬間を生きる少女が切り取られることで、彼女達のひどく個人的な(個人的にならざるを得ない)旅に客観性が生まれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
こういう所で慎重に起伏を付けるの、好きだな。
この後、破滅した世界の真実とか、人間の生きる意味とか、最後に残された希望とかを探して物語は進行するのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
それとも美しい野獣のごとく、たった二人きり無力に支え合いながら、巨大な廃墟を彷徨い続けるのだろうか。冗談を言い合い、笑い合いながら死んでいくのだろうか。
モノトーンのように見えて、微細な陰影が廃墟を埋め尽くしている。清潔なエロティシズムが、ひっそりと画面の中に渦を巻いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
まんじゅう顔のキャラクターデザインでも、身体のラインはゆったりと曲線を描いていて、不思議と危うい。
その危うさが、この何にもないアニメを成立させていると思う
なんにも考えないままでは、なんにも考えない作品は作れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
単調さを清潔に繰り返しつつ、それが心地よく脳に滑り込む角度を見つけ出す努力。何も知らないまま、終わりの中で終わりに向かっていく二人に哀切と冷たい熱を感じられるよう、画面に写すものを絞る目線。
それがちゃんとあると感じた。
物語を捨て去り、キャラクターのドラマを捨て去り、真実や未来や価値観や殺意を捨て去り、ただただ終末を少女が旅行する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
これが成立するピーキーで特異なバランスを、見事に取った第一話だと思う。このまま12話、288分走りきれたのなら、相当な怪作(快作)になろう。
というわけで、今後も白い廃墟と、まんじゅう顔と、殴り合いすらコミュニケーションな靭やかな関係と、変な声と、世界が開けたと思ったらそこもどん詰まりな終わってる感を楽しみにしたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月6日
マジ俺の好きなものしか入ってない、俺のためのお子様ランチだった。来週もお願いしますホント。最高。