アイドルマスターSide Mを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
主役とそのユニットの出発に焦点を合わせた第一話から、事務所の仲間全員の第一歩を描く第二回へ。初回で感じさせた作品の強みがさらに増幅される気配を感じつつ、テクニックと情熱で内容量の多いエピソードを、手際よく食べさせてくれた。非情に見事な話捌き。
先週感じた『キャラの物分りが良く、話が停滞せずテンポよく進む』という強みは今回も健在。というか、アイドルだけで3+3+3+5+3+で17人、Pに事務員に社長に…と足していけば更にオーバーフローする人数を、見事に捌いていた今回こそ、手際の良さと切れ味、省略と強調の妙味が生きていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
先週は『天道輝のアイドル入門』『ドラマティックスターズ結成秘話』。今週は『宣材写真は見せたい自分』『Jupiterライブ奮闘記』と、実は一話に二つの話を進行させているSideM。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
かなり欲張りな構成なんだが、適度に画面の情報量を上げ(つつ上げすぎず)、テンポよくこなしている。
まず冒頭、ザラッとユニットの名前と構成員を見せるわけだが、これは本当にラベルでしかなく、『こいつらがどういう奴らで、どういうユニットなのか』は描写で魅せていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
エピソードのテーマ自体が、アイドルが『自分』を見つけこちらに見せる話なので、主軸とのすり合わせはスムーズだ。
宣材写真はアニマスでもデレアニでも1話使った、序盤のビッグイベント。なんだが、これを半分に収め、かつ間にJupiterのライブを挟むことで、場面が停滞している感じを与えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
一回目の間違い…ってわけでもないけど正解でもない撮影を中断することで、物語にうねりが生まれている。
これが可能なのは、アイドル全員が過剰な自意識に縛られず、いうならば『よく出来たアイドル学校一年生』であるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
みんな自分が何も知らないことを自覚しているし、だからこそ学ばなければならないと思っている。問題点の把握が早く、学習意欲が高い。Pちゃん先生も安心の生徒たちだ。
年齢差があること、前歴を背負っていること、色々事情があって一処に集合したこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
SideMは実は変則的な夜間学校モノ(山田洋次の"学校"とか)ではないかと二話を見て感じたわけだが、現状生徒も先生もレベルが高い。ガンガン問題をクリアして偏差値上げていく気持ちよさがある。
このスムーズさの起点は間違いなくPで、けして頭ごなしに否定することなく、しかし問題のコアな部分をしっかり提示し、アイドルたちの知識と意欲を信じて解決を任せる姿勢が、優しくて強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
今回Pちゃん、答え自体は一切与えず、『見せたい自分』というコアワードだけを与えている。
漠然とした『アイドルのイメージ』にそうのではなく、むろん肥大化した自我に支配されるのでもなく、目に見えるファンと向かい合って『見せたい自分』を掴むこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
315の歩みは今回掴んだ確かなイメージに、生身が追いついていくことで進んでいくことになる。夢の骨格をまず、しっかり作ったのだ。
それを誰かに与えられるのではなく、あくまで自力でたどり着いた(形に持っていった)のは、アイドルにとって強い自信になると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
自発性の尊重は、Jupiterの姿勢を見て天道が踏み出すシーンでも感じられた。誰もやれとは言わないが、やるべきだと思ったから皆やったのだ。
何しろ上は三十路超え、口では一年生といいつつも、当然プライドはあろう。実力も地頭もある連中なんだから、青春ど真ん中で正面衝突するより、自力で気づいてもらったほうが効率がいいと、Pちゃん踏んだかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
焦って前に出ず、後ろから道を整える選択ができる男。マネジとして優秀である。
『見せたい自分』がドラマティックスターズではバラバラなのも、なかなか良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
第1話で主役をもらって、バラバラな彼らのカラーを保ったまま混じり合っていく快楽こそが、このアニメの一つの軸なのだと分かった。それはまだ解消されない。桜庭先生は相変わらずツンツンだ。かなりデれてるが。
同じ衣装を着て、同じ方向性に間違えていた他のユニットも、個別回をもらったら『バラバラである』ことにじっくり取り込めるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
それはとてもいいことだし、ひとまとめに描かれつつも細かく、既に個性の見せ方は際立っていた。硲先生のポンコツコンピューターっぷりとか、次郎ちゃんのスネ毛とか
同時にユニットの一体感、そこを飛び越えたプロダクションの一体感が、宣材写真に悩み、設営を頑張る中でじわっと醸造されていたのも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
年の差をちょっと意識しつつも、敬語禁止でハードルを乗り越え、フラットな立場で『仲間でありライバル』として関係を作っていく姿は、期待感に満ちていた。
新しい未来に飛び込むため、ユニットとして手を繋いだ仲間の温もり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
何も知らない連中が出会い、新しい何かが生まれていく胸の高鳴り。
話が始まった今、このタイミングでしか描けないものが、しっかり画面に埋め込まれていて、見ていて楽しかった。
やっぱ凸凹集団が一つにハマっていくのは楽しい
その気持ちよさを支えているのは、実は現実をしっかり取材した画面の落ち着きかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
宣材撮影にしてもライブ準備にしても、機材や仕事ぶりの描写がとても『それっぽく』て、夢が膨らんでいく浮遊感を、小物のリアリズムが地面にしっかり繋ぎ止めていた。ここら辺のバランス感覚は流石だ。
事態を停滞させず先に進めていくことで、キャラが持ってる濃口の記号と、そこに収まらない人格が見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
一つ一つの仕草、仲間との会話から、『こいつはこういう奴』ってのが語らずとも耕されていく。この筆が非常に滑らかなことも、テンポの良さを支えていた。一瞬でキャラ見せるの巧いね。
一回目の宣材写真では物理的にバラバラの方向を向いていた男たちが、Jupiterというカリスマの光に目を奪われ、同じ方向を向く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
視線をコントロールして物語内部の状況を伝える演出は、なかなか切れ味があった。過剰に不穏にせず、でも乗り越えるべき課題はあるよ、と見せるのが巧妙。
かくして男たちは一つになっていくわけだが、その時非常に大きな仕事をしているのが、315プロで唯一『アイドル』であるJupiterだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
0話として力の入った物語をやっておいたことが、Jupiterの背中を追って自分の物語にはいる展開を支える、強力な布石になっている。
アイドルが求めるべき『見せたい自分』。Jupiterはその答えに既にたどり着いていて、だからこそ舞台を背負える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
バラバラの服装がスタッフTシャツになることで、Jupiterの持つ引力の強さを見せるのも良いし、それを脱いでステージ衣装に着替えた彼らをに目を奪われる1カットも良い。
アイドル衣装は戦闘服であり、ファンの求めるJupiterを投影するスクリーンであり、Jupiterがエンジェルに報いる『見せたい自分』そのものでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
直接ステージを写すわけではない(それはEotJでやった)が、だからこそそこでアイドルたちが見つけたものの意味は強く伝わる。
二回目の宣材撮影を飛ばし、出てきた結果だけをスパッと出すのも、省略が持つ想像力の強さを信じた演出だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
彼らは皆で悩み、Jupiterという『答え』を間近で見て、それを自分たちの胸で育んだ。なら、Pちゃん先生から与えられたテストに合格するシーンは自明なので、飛ばしても良いのだ。
Jupiterが華やかさだけではなく、無所属時代に育んだ泥臭さもアイドルに伝えてくれているのが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
961に裏切られ、捨てられた後の迷い路があったから、冬馬はあそこで『俺がやりますよ』と言える男、手伝ってくれた仲間に『ありがとう』が言える男になったのだ。しみじみ良い。
そしてアイドル一年生たちも、そんなJupiterの生き様を無駄にはしない。現場に飛び込み汗を流す先輩を追いかけることで、思わずユニットの垣根を超えて仲良くなり、関係が深まる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
体を動かし時間を共有することで生まれる、不思議な連帯感みたいの我ちゃんとかけてて、設営シーン好きだなぁ。
今回の話はアイドルたちのスターティング・オーバーなわけだが、同時にEotJエピローグでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
大人を信じきれず苦戦していたJupiterが、事務所を、プロデューサーを、仲間を手に入れたことでどう変わったのかを、しっかり描いてくれたのが嬉しい。315入ってよかったな、最高だな。
横幅広くキャラを紹介するエピソードでありつつ、天道輝が要所を必ずまとめて、話の中心にいる意味を打ち出してきたのも、まとまりが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
『みんな』が主役の群像劇とはいえ、ゼロポイントは必要だ。全体的な方向性、エピソードがあった意味を言葉でまとめる役をしっかりやったのは、とても偉い
やっぱ言葉にしない描写を積み上げつつ、最後にしっかり台詞で物語の意味をまとめ、判りやすく食わせる進行はバランスが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
視聴者がエピソードの意味をつかむ大事な部分を背負うことで、天道が真ん中だって納得もできるしね。この時も、皆の視線が天道に集約しているのだ。非言語的言語の雄弁さ。
その上でOP、全員が順繰りに切り取られるフォーメーションが『円形』になっていて、センターも何もないフラットな関係なんだ! と印象づけているのも、理念が形に、コンセプトが演出になっていてとても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
何だお前ら、アイドル・オブ・ラウンズか。μ'sラストステージか。そういうの好きだぞ
というわけで、315プロ全体に間口を広げ、アイドルたちがどういう人格を持っていて、関係性を作って、何を学んでいくかをテンポよく見せる回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
JupiterやPちゃんという先生役も、年関係なく生徒たちも、状況をクリアに見て、自分たちに出来る変化を一歩ずつ、しっかり積んだなぁ。
ユニット内部、あるいはそこを飛び越えての繋がりも、宣材撮影とステージ設営という『ハードすぎずソフトすぎず、ちょうどいい』試練に汗を流す中でしっかり構築・描写されて、見ごたえがありました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
やっぱ男と男、人と人の繋がりが紡がれる瞬間は、見てて楽しいなぁ。
主役ユニットであるドラスタは、相変わらず桜庭先生が『言う』役なんだけども、既に完落ち調子であり素晴らしい。お前は本当にあざといな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
天道も柏木も自分らしさを保ったまま、スムーズな物語進行にしっかり寄与していて、良い主役ユニットだと思う。
他のユニットも、この筆で掘り下げて欲しい。
しっかり周囲を確認し、自分を見つめ、先を行く人から学べるキャラクターであり、アニメなのだと示した第2話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
今回固めた足場を踏みしめて、物語や個別のユニット、キャラクターが天高く飛翔していく予感に満ちていて、とても良かったです。
制作サイドへの信頼感みたいのが、生まれる回だった。
とりあえず今は、スネ毛がキュートなSEMが気になっています。超おっさんユニットが年齢というハンディを活かすか、殺すか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
前歴の使い方もさり気なく手応えあって良かったなぁ、桜庭の医療とか。
目の良さと技量の高さに支えられつつ、過剰にテクニカルにならないのも、良いバランスだと思います
そんなわけで、良い所がたくさんあった第2話。とても楽しかったです。来週も期待大ですね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月14日
追記 形式の違いと語り口の違いのシンクロニシティ
SideMアニメ、ここまでドラスタ(比較的高年齢/年齢差が少ない)で回してきたわけだが、三話以降他のユニットに軸足が映ると見せ方も変わってくると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
ハイジョーカーなら彼らの若さ、SEMなら年寄りっぷり、Beitなら年齢格差を活かして、それぞれ別の味付けで回してくんじゃないかと
EotJで見せた熱気や物分りの悪さ(≒若さ)や、ユニット無い年齢差の見せ方(北斗の頼りがい、翔太の幼い救い)は、Jupiterの特性をエピソードレベルに伸長した演出だと思う。んで、それは切れてない
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月15日
ので、ユニット単位で結構話のムード、方向性を変えてくるんじゃないかと期待しています