アニメガタリズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
科学史タイムトラベル青春アニメの傑作"タイムトラベル少女〜マリ・ワカと8人の科学者たち〜"を制作したワオ・コーポレーションが贈る、アニメオタク同好会群像劇アニメ。
ベタで流行りなネタと素直な展開、辻田邦夫の色彩設定の生み出す妙な清潔感が噛み合い、独特の味。
"究極超人あ~る""涼宮ハルヒの憂鬱""げんしけん"…世代ごとに色々あろうが、クソぼんくらが頭数揃え、部室という聖域にワサワサ集まって奇行と交流を深めていく物語は、好きだし面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
別にオタクをネタにしてなくても、あの時代のあの場所には独特の空気があり、不思議な魅力がある。
お話としてはアニメにさっぱり明るくない主人公・阿佐ヶ谷未乃愛がトンチキクソオタクお嬢様・上井草有栖にとっ捕まって、アニメ同好会復興とアニメ趣味に右往左往、という話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
ベーシックなガール・ミーツ・ガール部活モノに、アニメパロディとオタクの厄介な正解をスパイスとしててんこ盛り。
パロディしているネタは"アルプスの少女ハイジ"から"RE:ゼロから始める異世界生活"まで多岐に及ぶが、元ネタ探しが大事な話ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
んじゃあ何が骨子かというと、良いところも悪いところもある青少年が、一つの場所に集まって時間を共有し、友だちになっていくベタな青春物語である。
アニメはあくまで人と人を繋ぐツールであり、メディアである。主人公はアニメにわかとして物語に入ってきて、上井草さんの押しの強さにグイグイ押し込まれて状況に持って行かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
『クソ変人と常識人』という構図は、ハルヒとキョン、あるいはRくんとさんごと、先行策でも成功例のある組み合わせだ
では先行作の美味しい所丸コピーかというと、そうでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
主人公は他者の美点を見つけるのが非常に巧い女の子だ。
陸上に青春をかけている友人がどう『凄く』て『良い』のかを、拙いながら真摯に語る。その真っ直ぐさは、『アニメを見る』というやや薄暗い行為も捕らえる。
専門分野で同好の士がいると思ったら、全速力で口が回転を始め、他人の顔色お構い無しで自分の『好き』を叩きつけてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
まるで鏡を見ているかのような千本木さんの『オタク仕草』を、『何かに熱中できるって良いね』と、ポジティブに捉え、伝える。他人に動かされて、他人も動かす。
アニオタド素人の主人公は、暑苦しいオタクたちに取り囲まれ、『アニメの知識』がものを言う部室では弱者だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
しかしオタクが見失ってしまっている自分たちの良さ、アニメを見る行為の良さ、それを共有する場所の強さを見つけ、言語化し、共有することが出来る。それが主役の特権なのは、凄く良い。
環境と他者に、ポジティブな変化を起こせること。見失っていた価値を再発見し、他人を勇気づけることが出来ること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
それはアニメ知識と関係ない(そして、アニメ知識と結びつけばより良い)美質であり、これが伝播していくことで色んな人の人生が変わるのだ。
そしてこれは双方向の変化で、彼女は千本木に押し付けられたアニメと出会うことで、研究会を立ち上げ、癖の強いアニメオタクと仲良くなっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
まだ作品を見て何かを感じるところまではいかないが、他社に対して開かれ/他者を開いていく彼女の特質は、物語と自分を変化させる強力なエンジンだ。
この『人と出会、変わり、変えていく』というベーシックなお話が、濃口(に見える)アニオタ題材からいい具合に毒気を抜いて、凄くベーシックなお話に仕上げている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
青春の話で、部活の話で、何ら特別なことはないけど善いものとして、『アニメガタリ』を受け取るフィルタになっているのだ。
第2話ではラノベオタクで原作厨の高円寺さんと、オールラウンダーアニメオタクの上井草さんがあわや離別の危機を迎える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
そこでぶつかる意見もアニオタなら『あー、あるわ。つーかやるわ』という衝突なのだが、人の縁が切れそうになったとき、オタクではない主人公が間に入り、縁をつなぐ。
その時、彼女が自分が感じたこと、己の『好き』を拙く、しかし熱心に『語る』ことが状況を帰るのが、凄く良いな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
アニメというメディアそれ自体に拘る(あるいは何らかの特権を付与する)のではなく、そこに込められる感情の強さ、前向きな善意を、問題克服の特権にすること。
アニオタクソ素人の未乃愛の『語り』が、部活結成即解散の危機を乗り越えさせることで、お話全体の価値観みたいなものが、うっすら見えるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
その後先輩が「アニメに関しても、おんなじように語れると良いな」と言うことで、未乃愛がアニメを学び、何かを手に入れていく未来が見えるのも良い。
とまぁそんな感じで、『アニメ語り』をテーマに選びつつ、アニメド素人を主役に据えて視聴者の入り口にし、より広いものを書こうとする姿勢が、とてもいいなと感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
今こうして『アニメを語ってる』自分が、どうして語っているのかをポジティブに照らしてくれる、鏡みたいな魅力を感じてもいる。
キャラの配置としては非常にベタベタで、クソド素人と厄介お嬢、ラノベオタクのメガネに、ギャル偽装した腐女子、強まった邪気眼ボーイ、そして顔だけはイケてるドルアニオタという、厄介人間大集合である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
あと喋る猫もいる。…ベタベタなのかなこれ。『オタク』っぽくはあるが。
2話は一話で作った部室という箱に、この濃口のオタクたちがガバガバ入っていくエピソードだ。色んなやつが集まって、早口で専門用語をバスバス喋って。化学反応と衝突が起きる。それを乗り越えて一応の仲間となり、即座に生徒会が『廃部です!』と飛び込んでくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
たっぷり乗せてるが妙に食べやすい
一年女子三人が厄介ポイントをぶつけ合い、あるいは良さを再発見する前線に立つ中、先輩方は一歩後ろに引いて、様子をうかがっている感じだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
ギャル先輩の面倒見がいい所、邪気眼先輩があんま挙動不審じゃない所が、後輩が思う存分青春する舞台を安定させていた。
ラノベオタとアニオタのクソオタク性が正面衝突し、部活解散となったとき『またか』と言ってたところを見ると、先輩たちにも過去にドラマがあり、今後掘っていくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
その時未乃愛の『語り』が仕事をすると、主役の強みがリフレインされ、作品の骨もドンドコ太くなると思うのだが。楽しみだ。
パロディ要素も結構濃口に展開する(ハルヒの『バニーで部員募集』シーンにかかってたBGMの『それっぽさ』には笑ってしまった)のだが、それはあくまで賑やかしというか、人と人を繋ぐ(あるいは衝突させる)メディアとしてのアニメを際立たせる道具立てに収まっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
『クソアニオタ部活青春モノ』という狭いジャンルを扱いつつ、なんか妙に受け幅が広いのだ。『このパロディ、分かってくれても良いし、分かんなくても筋立ては進みますよ。こいつらがクソオタクだってこと分かってくれればOKっすよ』って感じで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
『俺らマニアっすから』とドヤ顔しない所が好きだ。
まぁ分かれば分かったで面白いんだけどね。ここら辺のパロディの扱いの上手さは、特撮とアニメというジャンル違いはあれど"アクションヒロイン チアフルーツ"を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
もうちょっと薄味にして、部活内部の躍動感、ダラダラ感、作られる関係性に寄ってくれてもいいかな、とも思うが。
あ、地味な所ですが最初名字呼びで敬語だった未乃愛が、自分が引き付けられたクソオタの情熱が爆裂して部活が解散しそうになったとき、思わず名前で呼び捨てにしちゃう感情の描写、関係変化の描写は二億兆点でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
情熱に背中を押され、境界線を思わず超えてしまう描写に弱い。
かくしてちょっと仲良くなったアニ研の面々を、ソッコー廃部というピンチが襲う。さて次回やいかに、という引きも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年10月16日
先輩方の個別エピソードも楽しみだし、そこでどういう感情がうねるかも期待できる。『語り』の力を大事に、どっしりクソオタ青春を切って欲しい作品だ。来週も楽しみ。