このはな綺譚を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
今週も季節の移ろいに合わせAB二本立て。呪い人形が旅館にやってきてプリティーリメイクされるお話と、黒髪限界概念系OLがケモミミ天然少女にズブズブされるお話だ。
…Bパート冒頭では『今週は不思議話で押すかぁ』と思ってたんだが、やっぱ極限感情のスパークは起きるね
まぁそういうズブズブ加減を堪能したくてこのアニメ見てるフシもあるので、まったくもってOKであります。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
Bパートは彩度を抑えたモノクロの世界に、緋傘と紫陽花だけが色を持つ色調の演出がとても良かった。虹を編み上げて、世界が一気に色づくオチもしっかり際立ち、幻想の空気がよく出ていた。
Aパートのお菊もそうだが、何かをはっきりと定めてしまう世界では居場所を見つけられなくても、此花亭はそれを肯定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
この世とあの世の境にある、マージナルで曖昧な特権を活かして、バケ人形もハンパな次女の仕事ぶりも、『そのハンパさが良い』とばかりに肯定する。曖昧な日本の曖昧な私。
是非生死を明瞭に定めるルールが世界を成り立たせているが、そこからはみ出してしまうものは必ず存在しているし、それは思いの外大きい(『多い』ではない)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
放っておけば恨みが凝り、あるいは思いのやりどころがなくなってしまう曖昧さを、曖昧なまま肯定する装置として、境界がある。
あるいは河原、あるいは辻。日本(に留まらず世界全域)で不可思議な力を持つとされる『場』の延長線上に、あのズブズブ限界旅館はある。電灯を継承した最新鋭だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
何もケモミミ女が、女の柔らかさにドンドコズブズブになっていくためだけの場所ではないのだ。そっちが強いんで、うっかり忘れがちだが
梅雨という季節自体も、春と夏の境目に水気が高まり、天から降り注ぐ時節だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
そういうタイミングで、この世に居場所がなかった生き人形が旅館の仲間になる話と、責務と気持ちのバランスを崩しかけていた機織り女が自分を再肯定する話が来たのは、なかなかいい図式だと思う。全ては境目にあるのだ。
あっという間に今風リメイクされたお菊だが、回想シーンのホラーっぷりはガチだ。先週の人形譚もそうだが、基本女のズブズブ感情とドタバタ旅館生活で押しつつ、恐ろしい空気をぬかりなくちゃんと出してくるのは、メリハリが効いていい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
ああいう暗さはちゃんとあった上で、脳天気な旅館生活がある。
可愛いシザーマンとかした不思議生物・櫻ちゃんの出番も多かったし、ブサイクな貘も悪夢を食べるいい仕事したし、Aパートは旅館メンバーがそれぞれ役目を持って、自分なりに色々やっている共同体の姿も見れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
ズブズブパートはどうしても一対一になるんで、こういう形で横幅取るのは良いことだ。
ピンクの綿菓子も、王子様に懸想するだけじゃなく持ち前の女子力を活かし、問題解決の鍵を握ったしな!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
ホントなー、本来こういう感じのキャラのはずなんだよ…メインが来ると感情の重量と湿度が先に立って、強みが後ろに引っ込むから忘れるが。そういうグズグズな脆さも込みで、好きだがね俺は。
仙骨が目立つ和尚は、気軽にケモミミと話し、生き人形を幽界に預けてたけども、結構凄いことなんじゃなかろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
あの世界の『現実』には異界への穴が合いていて、和尚みたいな境界線の人がちょくちょく調整しているのだろう。なかなかガチに心霊譚だな。現実サイドの描写が少ないんで、目立たんけど
恨みと喜び。現世と冥界。シリアスになりがちな『越境』があくまで画面の端にあって、ナチュラルに境界をまたぐ調子なのは、この作品の独特さだし良さだとも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
境目はそこにあるし、結構重たく引っかかるものだが、それを日の常としてのんきに受け流せる特権が、此花亭にはある。良いことだ。
まぁ性別っていう境目は、全く気にせず女たちはズブズブズブズブ、感情重力に引き寄せるまま湿度の高い領域に飛び込んでいくわけだがな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
生殖を基底に置く現世の性規範と、そういうの飛び越えた所に存在してる神霊のセクシュアリティは、全く別のもんなのかもしれん。女と女を描きたいだけかもしれん
そんな作者の欲望が、もろっと溢れるBパート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
ふわふわ天然系に見えて案外直感力と言語化能力に長けた柚ちゃんは、今週も黒髪限界女の心の隙間に忍び寄り、パーフェクトコミュニケーションを連発してました。
ほんっとツンケンした殻の奥に旨い感情を秘めた、黒髪甲殻類を貪るのが好きだなぁ柚は。
機織さんの張り詰めた心、姉妹と自分を比べるコンプレックスに、柚は切り込んでいく。他人と自分の境目を、何の気なしに越境する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
褒めるのが上手いのは、心に反射した他人の良いところを見つける眼と、その反射を素直に口に出す心が両立しているからだろう。案外地頭良い子なのだな、柚は。
自分でも解けなくなっている心の糸。絡まりどころをスッと見つけてほぐす手腕で、女を絡めて眼で落とす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
柚ちゃんのレズジゴロっぷりはとどまるところを知らないが、機織りさんが心を許した証明として、食事を使ってくるのが勘所を押さえていて良かった。身の養いを受け入れることで、心を受け入れる
今回はかんたん作画も多めに使われ、ともすれば張り詰め過ぎになってしまいそうな空気を巧く抜いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
Bパートも最後の大仕掛けを成立させるべく、重たい画面が続くのだが、だからこそ警戒を問いた機織さんのさりげない笑顔、おにぎりモグモグシーンの可愛げが光る。メリハリの効いた回だった。
重たい梅雨を抜け、夏の到来を告げる虹が天にかかる。世界全体が色づく大きなオチと、人間サイズの小さな悩みと格闘した機織りの展開がシンクロするラストも、なかなか気持ちよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
本来結びつかない、巨大な世界と小さな悩み。その境目を飛び越える不思議も、此花亭に許された特権なのだろう。
肉の匂い漂うズブズブ女のドデカ感情も非常に楽しいのだが、そればっかだと卑近になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
呪いの人形をサラッと仲間に引き入れたり、手織りの布が虹に変わったり俗人が縛られる『普通』を歯牙にもかけないスケールの大きさが見えると、ファンタジックな設定が物語の中で行き、風通しが良い。
そういうカラッとした部分を気持ちよく届けてこそ、拗らせアマ共の感情ズブズブ煮込みも美味しくいただけるわけで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
無論重力一本勝負で突破する作品ってのもあるが、この話では乾湿のメリハリを活かして見せてくれたほうが、幻想も慕情も独自性を持って際立つと思う。
そういうポテンシャルを気持ちよく見せてくれる、良い梅雨のお話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月1日
春から冬までひと月ごとの移ろいを、1クールで追いかける作りなんだな。刀剣乱舞花丸と同じ、安定したビルドですね。
次回は朱夏。太陽にあぶられ生命の気力が満ちる季節に、女たちはどんな感情を滾らせるか。楽しみです。