ボールルームへようこそ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
嵐の合宿を抜けても、嵐は続く。未だ凸凹ギクシャクするカップルの試行錯誤と、蓄えた確かな実力の快進撃。飛躍の予感を蓄えつつ、踊りは続き少年は笑う。
ちーちゃんの男前、多々良の逡巡も印象的だったが、本人よりも多々良を理解してる清春の純愛が目立つ回。
つーわけで始まった都大会、そうそう簡単に答えが出るわけでもなく、主役カップルはバチバチぶつかり合う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
しかし合宿のときはぶつかり合う所までいかなかったんだから、清春が言うように正しく前進はしているのだ。マリサ先生が望んでいたのもあの衝突だろうし、流石は親子という感じか。
なんでも良いよ良いよで済ませてきた静岡までを考えると、今回ちーちゃんが『あんたは良いやつだけど、怖くないから好きになれない』と明言したのは、凄い進歩だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
それを言っても嫌われないという信頼の証だし、『怖くなって、奪ってよ…』というラブ・コールでもある。
男に体重を預けるのを怖がっていたちーちゃんは、出会いと衝突を経て内圧を高め、この都大会に挑んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
おっかなびっくり遠慮していたんじゃ、本当に支えてくれるなんて分からない。まだ、真実体重を預けるところまではいかないが、『預けてみたい』という欲望に向き合う程度には成熟したのだ。
そんなわけで、ちーちゃんは物分りの良いパートナーではなく、ハンサムな緋山千夏として、思い切り自分を主張し、ジョッキーである多々良より前に出る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
多々良だって相応のじゃじゃ馬なんだから、それが正解なんだと思う。むしろ、そういう相手じゃないと一皮剥けない、というか。
ダンスパートナーとして、男と女として、同年代の戦友として。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
多々良とコミュニケーションするうちに、ちーちゃんは多々良が気づいていない多々良を、肌で感じ取っているのだと思う。『怖くて強い』タタラに、それによって変えられる自分に期待をしているのだと思う。
多々良の美質である『優しさ』は、まこを花開かせた。でも、相手の顔を伺い後ろに下がるスタイルでは、『男』を演じ続けて身に染み付いたちーちゃんを前に進めることは出来ないし、自分自身も変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
お互い相手(そして自分)に『何か』を期待しつつ、未だ至らぬ現状が、ギクシャクな予選になる
ちーちゃんが怯える『多々良が身体の中に入ってくる感覚』が、性別のエロティシズムと重なって描写されているのは明白だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
『女と女』で組んではいけない領域に、ぽんと放り出された当惑を、ちーちゃんはまだ飲み込めていない。期待に震えつつ、潔癖を装うしかない乙女の強がり。
しかし才覚に溢れた多々良というパートナーを得て、ちーちゃんは新しい世界、新しい自分へ踏み込みかけている。変わりつつある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
そういう変化を自分がもたらし、一緒に変化したかったのに置いてけぼりにされた明が、『千夏の男』に凄まじい重力を向ける。目を離せないのは、愛し憎むからか。
多々良と出会って動き出したちーちゃんの時間から、明は切り離されている。知らない男の手を取って、勝手に大人になっていく憧れの女。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
『余計な脂肪』がたっぷり付いた大人の身体をしながら、明は『ちーちゃんと一緒だった』幼年期にずっとしがみついている。その存在が、ちーちゃんの歩みを照らす。
かつてパートナーだった二人の距離感は、来週本格的に切り取られることになる。確実にとんでもないことになるのは、今回かなり作画力をタメていた事からも判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
とはいっても、タンゴの切れ味鋭いステップ、確かな重心移動で合宿の成果を見せる作画は、必要十分に重たいわけだが。
回想シーンや止め絵を的確に挟みつつ、主役の成長を動きで見せる場面はちゃんと動かし、止める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
カロリーコントロールの上手さも含めた『作画の凄さ』は、キャラクターの現状を言語ではなく、アニメーションでしっかり示してくれる。これはずーっと変わらない、このアニメの強みであり喜びだ。
多々良は当惑しつつ、合宿…それ以前のちーちゃんとの出会いから溜め込んだものを体現していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
『頭が悪い』と言いつつも、身体は思考を先取りして正解にたどり着く。静岡での四足の幻影と同じだ。そしてその天才性を、清春だけが完璧に理解している。お前は多々良好きすぎ人間か。
カップルとの関係性にしても、尊敬する仙石ペアの『喧嘩するほど仲がいい』を無意識に再演している。コーチを離れても、多々良とちーちゃんにとってあの二人があまりに大きい存在であるのは間違いない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
困惑の中で、最も頼れる人をロール・モデルにする。そういう心理が垣間見える変化だ。
ダンスにしても、HSDAでの細やかな指導、基礎力の強化は確かな結果に結びついている。『惹かれない』と切って捨てた釘宮さんのリードすら、『まず男が見られる』予選でのフルチェックに繋がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
意識の外側から『見て学ぶ』多々良の才覚は、たしかに『何か』を掴みつつある。
そういう言葉が追いつかない学習の精髄が、二小節の一体感なのだろう。何が起きているかも分からないまま、ただ実際に踊ってしまえる。そういう才能が多々良にはあって、だからこそここまで奇跡を積み上げてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
あとはアタマが納得し、思うがまま使いこなすだけ…なんだが、そこまでが遠い。
多々良がまだ出来ていない体験の言語化を、観客席から見ているだけの清春が完璧に成し遂げているのは、とても面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
ダンスを感覚し、言語化し、そこで掴んだものを身体感覚にフィードバックする回路が、天才であり熟練者でもある清春は、特に鋭いのだと思う。存外、指導者向きなのだろうなぁ。
清春のそういう鋭さは、愛している対象にしか向かない。ダンスであり、多々良だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
興味がない領域にはとことん疎いし、他人とチャンネルを合わせる能力も低いし、その結果しずくとセパレート寸前までいく。そういう天才のムラッ気が、こと多々良の天才性に関しては一切間違えない。
言語化出来ない身体感覚の描画を、少しでも読者に伝えやすくするべく、『真実を解説する役』を清春が担当しているのはあるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
しかし根本的には、感情むき出しのダンスで目を奪い、ダンスへの愛情を再燃焼させてくれた多々良へのリスペクトが、『見る眼』を鋭敏にしているのだろう。
勝つのが当たり前、何故踊っているのか分からない。踊りながらあくびをするような序盤の清春にとって、多々良の踊りは特別だったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
先週しずくが多々良に伝えていた特別性は、パートナーの方にも…というかより深く強く突き刺さって、清春を決定的に変えてしまっていた。
多々良は、自分の中に秘められている多々良も、清春の中にいるあまりに巨大な多々良のことも、まだ知らない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
清春はあまりに不器用で、自分の中の多々良がどれだけ深く突き刺さっているかを、巧く伝えることが出来ない。誠実に伝えてるのに、『頭が悪いから分かんない!』とか言われちゃう。
運命が結び合わせた少年二人の視線は、強く惹かれ合っているのにいびつにすれ違ってもいて、これ以上ないほどにロマンチックだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
清春が多々良に抱く感情の大きさ、重さ、歪みをダイナミックな作画で見せるシーンにも、カロリーはしっかり払われていた。とても良いと思う。
というわけで、嵐の前の静けさ…というにはバチバチぶつかり合う感情の火花が激しい回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
ギクシャクしているようでいて、合宿で高まった内圧も、積み重ねたベーシックな実力も結果を出している。噛み合わなくてこれなんだから、爆発したときは凄いことになる。そういう期待をしっかり高める回。
メインカップルの導火線だけでなく、それに置いてけぼりにされる明の当惑、彼女のパートナーである峰さんの人の良さも、しっかり切り取られてました。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
コメディの切れ味が良いので、コンパクトな見せ場で人間味がグッと増して、愛着が生まれるのは素晴らしい。笑いって強いなぁほんと。
そしてクールな顔をして、ニトロのような巨大感情を秘めていた天才怪物・清春の描写も圧力があった。気持ち悪いのも歪なのも、お前が言えた義理じゃねー!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月6日
色んな感情が静かに渦を巻く都大会、まずは『昔の女』の始末が来週来ます。あのやべー重力源をアニメでどう描くのか、今から非常に楽しみです。