Infini-T Foreceを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
ヒーロー変身不能! 再登場したダミアン・グレイの、冷酷なる知略がケンを襲う! 特別な力が英雄の資格ではないことを、生身一つで証明するために、今昭和のオッサンが立ち上がるッ!!
というガッチャマン回。普段とテイストの違う知略バトルがとても新鮮
今回のお話も芯は非常にシンプル、かつ強力で、『特別な力が、ヒーローの資格なのか?』という疑問に答える回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
真っ直ぐな昭和のヒーローを信じられなくなった僕らの疑問を、笑がクソガキ全開で問いただす構図も、これまで通りだ。キミは本当に素直になれん子だなぁ…そこが好きだが。
タツノコレジェンドをリボーンさせるにあたり、このアニメは原典に強いリスペクトを払いつつ、時代の変化を鋭敏に取り込んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
ただ前だけ見て前に進めた時代…ってのはどこにもなくて、いつの時代も複雑な鬱屈があったと思うが、とまれ、共通幻想としてのヒロイズムが成立しにくい現代。
そこに原作通りの英雄主義を持ち込んでも、視聴者の心に届くものにはならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
非常にひねくれた現代っ子、笑のフィルターを通して、ヒーロフィクションが一通り語られた後の時代、アフター・ヒロイズムの批評意識で伝説を再話する構造が、キャラ設定段階からこのアニメには仕込まれている。
メタ・フィクショナルな要素を強く含む創作は、そういう眼の良さが絶対必要だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
今、わざわざ英雄譚を再話する意味、理由、効果。それを看板だけでなく、血の通った物語としてどう伝えるべきなのか。様々なことが考えられ、映像に必要な体温込みで叩きつけられる。そこが強い。
『ヒーロー変身不能』というのも、神話時代からの定番ではある。『チカラではなくココロが、英雄の資格だ』という答えも、すでに何度も語られている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
しかし真実は何度でも確認する価値があるし、確認しなければ薄れていってしまう。そして、自分たちなりのスタイルで真実を語るのは、とても大事だ。
今回はかつて完璧なヒーローであり、今は完璧な悪役を目指すダミーが敵に回る。『空っぽの笑に、偽りの望みを生み出す』という目的をはっきりさせたことで、即殺しない展開にロジックが通っていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
ダミーは英雄を試す。それは物語全体のテーマを強調するためだし、彼個人の救いのためでもある。
彼の悪役志願が、反転した英雄願望であることは明白だ。『善になりきれなかったら悪になるしかない』と思うのは、善になりたい気持ちが強すぎるからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
だから、かつて憧れた英雄がどれだけ強靭かを、生死を賭けて試す。彼もまた、愛を裏切られて拗ねてしまった笑のような、哀しい子供なのだろう。
ヒーローの精神性を把握したダミーの、油断のない罠、えげつない奇襲。知略で攻め筋を作ってくる戦いはこれまでとちょっとテイストが違っていて、なかなかにワクワクだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
アクションシーンのバリエーションが多く、視聴者をあきさせないのもこのアニメの強さであろう。ありがたいなぁ。
個別回で掘り下げられたように、『世界中の人と友だちになりたい』ポリマーのシャドウたるダミーは、『孤独』を起源とする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
たった一人で笑を守っている時、ガッチャマンはひどく頼りない。仲間が駆けつけた後、ダミーは彼らを分断し、『孤独』に追い詰めて倒す。一人では勝てないのだ。
これはとても現実的な戦術であると同時に、ダミーが自分の『孤独』をヒーローに押し付け、同質化する心の叫びのようにも感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
『貴様らも私と同じように、たったひとりの悪となれ!』という、悪の侵食/救済への願い。ヴィランに感情移入し始めると、痛ましくて悪事を見てられんな。
しかし、同じ釜の飯を食った仲間たちはダミーの試練にも負けず、不屈の闘志を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
笑が初めて、チームメイトとして戦いに挑んだのは大きな変化だ。無能力で闘うしかない今回の戦い、『変身できないから』という言い訳は通用しない。只の人間でも出来ることはある。あと犬もな。フレンダーつええ。
ボウガンとバールが異常に似合うケンは、仲間たちの支援を受けてダミーに対峙する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
前半はダミーに味方していた知略が、無力なケンの剣に変わってダミー自身に襲い掛かってくる構成は、とても良い。ヴィランが望んでいた形とは別の方向で、ヒーローは悪を理解し、同質化し、利用するのだ。
ダミーのコピー能力はマジ無双だが、所詮は借り物。オリジナルが把握している弱点を見落とし、性格を読み切られて逆転する流れも、綺麗に前半の戦いが反転している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
元正義の悪が、正義を強く理解しているように。正義もまた、元正義の悪に共感し、弱点にたどり着ける。
ダミーはインチキコピーという過剰な力に溺れ、押し付けた孤独を克服されて負ける。無力でも諦めない不屈、無力を補おうという智慧が、ヒーローに勝利をもたらす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
かなり図式がはっきりした話なんだが、ダミーの卓越したキャラ立ちとアクションの見事な組み立てで、熱量を持って見れる回となった。
『心が勝利を連れてくるんだッ!』と、ただの根性主義を押し付けられていたら、今回の話は食いにくかったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
敵も味方も知略を尽くし、『心』だけでなく『団結』と『智慧』が勝敗を分ける油断のないロジックの組み方が、メッセージに分厚さを与えていた。読みあい・ハメ合いはやっぱイイなぁ…。
ここまで完璧なオヤジとして、頼れるリーダーとして弱さを見せなかったケンが、心に踏み込まれて傷を見せる展開も、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
無敵に見えるオッサンだって、当然怖いし弱い。その弱さを認めた上で、勇気を持って踏み込む。そういうヒロイズムは、全人類に共有可能なパワーだ。
ズカズカ他人の事情に踏み込みつつも、守られる側のプライドを守っているのがケンの良いところかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
彼は笑を『被保護者』としては扱っても、『弱者』とは言わない。自分の人生を決断する権利を大事に、その助けになるよう言葉をかけ、体を張っている。いつか立つ日を信じている。
そんな思いを受け取ったからこそ、笑はワイヤカッターを握って鉄火場に立ち、ようやく笑ったのだろう。段々と、現代っ子のニヒリズムが古臭いヒロイズムに溶かされてきている描写で、あの笑顔いいな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
笑の本当の願いが見える時。それが、お話のクライマックスなんだろうなぁ。
冒頭、男三人でキャイキャイパスタ試食会やってるシーンから始まり、カレーを食って終わる。このアニメの食事の扱いはとても意識的だし、機能的でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
大して美味いモンもないだろうが、異世界に流れ着いたケンにとって『家庭の味』なんだろうな、笑のカレー。
あそこで笑のカレーを求めることで、彼女の自尊心、『必要とされたい』という願いを叶えてやっているのは、ケンの優しいところだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
あくまで『昭和のオッサンのわがまま』という体をとって、笑を上に押し上げて自分が下にはいるところが、ダンディズムだな…むしろ『父親』なのか。
そんなわけで、力と心の関係性を洗い直し、チームであることの強さ、孤独であることの弱さを語り直す、ダミー再び回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月7日
『心の強さこそが、無限の力の源泉だ!』という話をやっておいて、『コピー可能だから、無限の力だよ?』というヒキで終わるの、凄いよなぁ。来週も楽しみです。