このはな綺譚を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
夏だ! おばけだ!! 怪談だ!!!
ってわけで、彼岸の時期に相応しく、迷い出てきた未練の御霊、切り捨てるのは忍びなく、長い夜咄お付き合い致す って感じのエピソード。
仏弟子という柚のオリジンと、愛されたい系怨霊を知らず成仏させる展開が綺麗にハマっていた。
今回はABで割らず、長い夏の夜をじっくり追いかける話。ドタバタ騒がしい怪談の合間に、ピンクと黒髪の限界レズの大発情が混じり、イノセントで賢い主役が無自覚なまま、溜まりに溜まった俗念の相手をして清めるという展開に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
尺が長いと、色々やれていいやな。
俗気満載の幽霊騒動はギャーギャーやかましく、クソレズ発情とも相まって賑やかな色彩。柚の過去と。赤い彼岸花咲き誇る三途の岸は白と黒に花弁の色を少し散らすだけと、色彩の対比で見せる手腕は先週Bパートから引き継ぎか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
話のテーマもあそこで変わっているんで、良いヴィジュアルだと思う。
今回は冒頭、無言で比丘尼と柚が出会うシーンがとても良い。慈悲によって死地から救い出した野人は、比丘尼の情に触れて自分なりに手伝おうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
しかし智慧を持たないので、集めた木の葉は散らし掃除をすれば汚すばかり。でも比丘尼は怒らない。花は花弁で大地を汚したいから咲き誇るわけではない
あの時の柚は言葉を持たない野の生き物であり、比丘尼が根気強く寄り添い、教えたから人の仕草や智慧を手に入れられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
そこら辺は彼岸での二度目の回想、此花亭にたどり着く前夜の描写が、巧く際立たせている。拭き掃除も木の葉集めも巧く出来るようになったが、野人ではなくなったから愛に悩む。
法師として、とにかく比丘尼は徳が高い。けして怒らず、しかし柚が思い上がればこれを戒める。日々の行も良く勤め上げ、人々に混じってなお、俗気に染まらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
出会った時の野卑、別れる時の執着。柚の煩悩も引っくるめて愛し受け止める姿勢が、今の柚を作っている。
柚が亡霊の恨みつらみを聞き届け、受け止めて彼岸に送り出す展開も、比丘尼の弟子であるからこそ可能だったのだろう。他の連中は騒ぎ、殴るだけで、亡霊の苦しみに近づこうとはしなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
それは柚が何も知らない子供だからこそ可能な、無垢の勝利だ。いつも限界黒髪が原液ぶっ込まれてるやつだな。
救うべき悪霊と知らないまま、柚は自分が比丘尼にされたように虚心で寄り添い、偏りなく愛する。他人の真似をするだけだった亡霊は、最後に自分を取り戻して彼岸へと向かう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
迷い子という境遇は同じだが、柚は比丘尼に拾われ、亡霊は一人で地獄に落ちた。柚はあの時凍死した、もう一人の自分も救う。
三途の川を渡った亡霊は、柚にされた回向を覚えているのだろうか。そもそも、人に再び生まれることが出来るのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
獣が人の形を取って、色んな存在と触れ合う曖昧なる此花亭が許されているのなら、自死の罪業も洗い流されて、再び出会えるのかもしれない。そういうメロウな感想も生まれる回だ。
それにしたってピンクと黒髪の限界連中の限界っぷりはマジ限界で、綿菓子はドロドロになるくらい亜音速で発情するし、黒髪はまーた『強い自分』を演じようとしてズブズブになってるし、マジダメだな!! って感じ。素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
素直になれないダメ女達と、素直に亡霊と向き合う柚の対比は結構好き。
ケモミミ女たちのポップな情欲と同時に、団子っ鼻の普通のオッサンが回想シーンでよく出ていて、良いなと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
亡霊に問われた『好きな人』に与平さんがいるってことは、子供時代の偏見を乗り越えて、オッサンの乱暴な愛情表現を素直に受け止めれるようになったのだ。比丘尼はほんと良く育てた。
愛ゆえに懐に入れ守り、飛び立つときを見逃さず手放す。卒啄同時、頃合いの見切りも見事だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
我執がなく、かと言って冷淡でもない。比丘尼の人格的完成度がそのまま、柚の無垢さと不思議な賢さに繋がっているのだろう。法統が良いんだな。
花は必死に咲いているだけ。そこに慰みを見出すのは人の都合であり、でもその偶然の重なりが、無常なる人の世に色をなす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
比丘尼の言葉は、イノセントな柚にズブズブ入り込んでる皐にも通じるかなと思う。ほんと無自覚ジゴロは困るよなー、あんだけ人格あると、堕ちるのもしょうがねぇけども。
前半のドタバタ騒動も、此花亭の日常を感じ取れてなかなか良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
気づけばブサイクな貘も生人形も、旅館の仲間として自分の居場所と仕事を見つけ、必死に咲いている。キレイなお姉ちゃんだけでなく、怪物やオッサンそれぞれの花も写し取る筆は、歪みと公平が同居していて面白い。
ほんとピンクの綿菓子が勝手に体温上げまくるシーンとか、『自分を硬く鎧っている限界女が、天然由来の成分で心の殻をピキピキ言わされて、情と愛にズブズブになるところが見たいッ!!』ていうリビドーしかねぇからな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
その欲望が、話しに勢いを与える。素晴らしい。
比丘尼は露骨に近代、亡霊は現代的なセーラー服というわけで、此花亭はやっぱり時間的にも境界線上に立っているのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
過去と未来が交錯する不思議な場所では、色んな存在が曖昧なまま咲き、受け止められる。朦朧としてあやふやさな美徳は、なんとも日本的だと思う。
というわけで、夏の怪談話を肴に、主役の過去を掘り下げる回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
柚はかなり特権的に『強い』存在で、ともすれば理由なき無邪気な強さが違和感にも繋がる。のだが、今回比丘尼という良い道師との過去が明らかにされ、彼女なりに修行を積んで『強く』なったのだとわかったのは、とても良かった。
あそこまでよく鍛えられていると、シスコンと劣等感を解消できないまま、黒髪クールの殻で自分を守ってる限界女なんて小指で『コロッ』だよなと、納得もいった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月8日
今後も低身長ふわふわ無敵少女の胸の中で、思う存分ズブズブする様を追いかけて欲しい。あと妙に日本的で曖昧な美徳もな。来週も楽しみ。
追記 今回の話能っぽいね
『業を煮詰めきって自分を見失い、他人の顔形をコピーすることしかできなくなった亡霊が、高僧・八百比丘尼の薫陶を受けた柚に因果を語り、感情を整理して成仏する』という今週のこのはな綺譚、構造としてはかなりオーソドックスな夢幻能なのだな。狙ってやってんのかな。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月11日