ボールルームへようこそ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
人生涙あり、笑いあり。甲本明のどこにも行かない重たい感情。空回りする清春の善意と好意。苛ついてるのに届く、釘宮さんのアドバイス。家族。
ダンスをめぐる様々な人間模様をコミカルに切り取りつつ、諸相全てを飲み込めてしまえるダンスの不思議な包容力を描く回
というわけで、色んな人と色んな感情が出たり入ったりする、重たくてコミカルで明るく楽しい回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
満仲監督のコンテが、要所に笑いどころを配置して賑やか。容赦なく崩す表情の笑いだけでなく、しみじみ感じ入る微笑も浮かんでくるのが、味わい深くて良い。
まずは明の感情の始末であるが、先週言い切れなかった本音がどっさりと叩きつけられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
特別な女神と信じたからこそ、裏切られたと思った。特別な存在なら、煽れば戻ってきてくれると信じた。ダンスとパートナーを道具に使って、明の不器用なラブ・コールは屈折を続ける。
クッソめんどくさい手段で『ちーちゃんしゅき…』と言い続けている明だが、その折れ曲がり方もまた、成長の一側面なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
彼女達からダンスを奪った時間の流れが、明から素直な感情表明を奪い、露骨に谷間を見せつけて策略を成功させるズルさを与える。峰さんが人格者でほんと良かったな明…。
明にとってダンスは、ツールでしかない。紳士にただそれだけを求める対象ではなく、千夏と繋がるための道具。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
そのふしだらを咎められて、千夏との距離は離れていったわけだが、だからと言ってすぐさま、真面目にダンスできるわけではない。だって千夏が好きすぎるから。ダンスより一番だから。
でも、道具として踊り続けたダンスは、明の欲望がどうあれ『何か』を彼女の身体に残した。一方的なツールではなく、それを通じて/それ自体と繋がることの出来るメディアとして、踊り続けた明はダンスの公平な清廉さを、知らず自分の体に入れていたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
だから、峰さんに謝ることが出来る。
ヤクザ顔の超人格者、峰さんは周囲をよく『見る』人だ。多々良ペアのギクシャクした感じを見落とさなかった眼は、多分パートナーの歪みも無関心も気づいている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
それでも、自分の娘に歳近い少女が自分から歩み寄ってくれるまで、待つ。待とうと思える。
甲本明の不純なダンスは、そういう期待を秘めていて、それがどこにも行き場のない明の感情をすくい上げることにもなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
手に入るはずのない、失われた黄金時代。ややこしい感情のもつれを解いて、ただ楽しく笑顔で踊りきることが出来る季節を、明は峰さんをパートナーにして、ようやく踊る。
そういう迷い路と落着は、やっぱ良いな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
峰さんとのダンスを終えた後、クッソめんどくさいちーちゃん大好き重力人間の素顔を晒して、あるいはゴリラ顔でもしゃもしゃバナナを食べれたのは、明がダンスを続けたからこそだろう。
不純でも、パートナーもダンスも見てなくても。
明の胎内に宿る黒い炎は、消えることはない。緋山千夏という女神はずっしり彼女の中にあり続けて、その重力にちーちゃんが答えることはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
それで良いのだと思う。その重たさは、明それ自身だから。それとの踊り方は、峰さんや家族やダンス自身が、じっくり教えていってくれるだろう。
そんな風に、明とダンス両方に希望を残して、超絶重力感情独白は落ち着きどころを見つける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
一方、もう一人の感情重力人間、兵藤清春。運命の決戦を前に、堂々主役にアプローチしてくるけども、相変わらずのズレっぷり、不器用っぷりである。お前は本当に多々良が好きだなぁ。
エロティックな姿勢で筋膜をリリースする美少年たちと、ゴリラ顔でたくましく燃料補給する女たちの対比が面白い。今回は全体的にコメディの空気が巧く出ていて、明るく楽しい雰囲気だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
ステージに立たない人たちもダンスを楽しんでいる気配が、話全体を覆っていたのも良いと思う。
しかしその楽しさに、多々良は浸ってはいけない。彼が戦うのは厳格な採点競技、ゼロサム・ゲームだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
そこら辺を教えてくれるのが、怖い顔の嫌なライバル・釘宮さん。あんだけ多々良が好きな清春のストレッチは上手く行かないのに、嫌味混じりの釘宮さんの忠言は刺さるのね…。
まさみちゃん過激派の双子がバッサリ切られたり、釘宮さん周りはかなりスリムになっているんだが、『怖いけど、悪い人ではない』『ダンスに真摯に向かい合っている』という描写はしっかり積めていて、キャラの美味しさは失われていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
そのことが、今回の裏腹なアドバイスに生きたかな、と思う。
敵だと思っていた人に救われ、あるいは味方に邪魔をされ。でも、その邪魔が可能性を羽ばたかせる窓になるかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
ダンスを離れたところにある大きな暖かさにアプローチしつつも、ダンスだけが繋ぐことが出来る特別な関係を切り取りもする、面白い回でした。
不純な明のダンスをも肯定しつつ、彼らは再びダンスだけに全てを捧げる競技者たちへと向かう。ただ真っ直ぐに向かい合い、衝突や不安もひっくるめて踊りきることでしか到達できない高みを目指す、夢追い人達。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月19日
その軌跡は来週、さらに色濃くなるでしょう。楽しみです。そろそろ原作追いつくな…。