3月のライオンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
梅雨を前にして、棋士として一皮剥けてきた零くんを書く回。いじめにしてもブンブンハッチにしても、苛ついてたときの方が零くんはレベルアップが早いらしい。そのくせ草食系気取りなのだから、スミスじゃなくても『分かりにくすぎる』って言うよなぁ。
クソ担任のクソ対応で世界が真っ赤になっても、コミカルな楽しさは確かにそこにあって、急に無くなるわけじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
心通わせる戦友もいれば、イラつくけど人間らしいライバルもいて、優しいお姉さんもいる。色んな事がある世界は、今回も元気にブンブン回る。
Aパートが怒りや安らぎや笑いを原色のまま置いたパレットのような造りで、Bパートは静かな盤面の中で沸騰する感情を定点観測で切り取っていく静かな造り。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
こういう対比を一話でやれるのは、このアニメらしいなと思う。水彩絵の具みたいな柔らかい色彩と、崩したギャグ調。真っ赤な憎悪の世界。
あとソフトでにこやかなお色気。お姉ちゃんの豊かなおっぱいを写しながら「おっきな桃ね~」っていうシーンのスカッとした下品さは、かなり好き。おっきな桃だ~(IQ蒸発人間)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
実際、色気や笑いで淀んだ空気を抜いてくれるから、キッツい状況に引きずられすぎず見られる感じはある。
正直始まる前は、ずーっと重たくなる覚悟で腹筋固めていたわけだが、思いの外世界は面白くて、辛くて痛い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
ありえないほどヘヴィな重荷に苦しめられつつも、それだけで作品を塗りつぶさないよう、野心的に色んな表現をする。そのことで作品が捉えている多面性が見えてくる。僕が見落としていたものだ
零くんはひなちゃんが大事な高校生であると同時に、棋士でもある。2つはバラバラだし連続してもいる。そこのブリッジとなる、風の強い街を抜けて将棋会館まで歩くシーン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
第1話冒頭もそうだったが、このモチーフは作品内で幾度か切り取られ、長尺を割り振られる大事な表現だ。
零くんは川本家と出会い、交流する中で変化する。将棋との向き合い方、生きづらい生活の生き残り方も変わっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
そこら辺の肌理を無言で、細やかに切り取るのが『出勤』の描写であり、あそこの色彩、レイアウト、カット割りその他は零くんの現在を映す定点なのだろう。
ひなちゃんの危機を少しでも助けるべく、零くんは将棋という職業(が稼いでくる金)にポジティブになった。『勝つ理由がない』と言っていた過去に比べ、目線はまっすぐに、世界は青く冷たく鮮明になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
相変わらず風は強いが、零くんはもうそれに押し流されない。
『僕は誰かに必要とされたい』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
誰にも必要とされなかった過去からいろんなものを諦めていた少年は、赤い憤怒に焼かれてようやく、自分の望みに素直になった。身勝手なエゴイズムは同時に、無心に『誰か』を求める博愛の源泉でもある。人間が人間である以上、その2つは多分、切り離せないのだ。
だから零くんが、身勝手な欲望に素直に向き合い、それを肯定できたことは良いことだ。ナイーブな少年としても、エゴイスティックな棋士としても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
その2つを繋ぐ橋を、零くんは無言で歩く。敵は西のブンブン王子。歪んだ鏡越しに、認めたくない自分と対峙する時間だ。
蜂谷との対局は彼のシャカパチ殺法を皮膚感覚的に苛つかせるべく、荒々しい打ち方を強調し、BGMを消して生活音を切り取っている。確かにブンブンうるさくて、イライラが溜まっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
のだが、零くんはこれに押し流されない。徹底して自分を保ち、周囲の人が減っていくこと、時間経過にも気づかない。
将棋に没入すること。『勝ちたい、必要とされたい』という自分を肯定し、その手段として将棋を選び取ること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
ここに素直になれた零くんは、持ち前の集中力…というか独善性をフルに発揮して、自分の中にどっぷり潜る。ペットボトルの中の水は、揺れても溢れない精神そのものなわけだ。
前段階で二海堂の美しい運指、真摯な研究姿勢を描写していることが、蜂谷の身勝手さ、それを受け流す零くんの図太さの描写に効いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
滑らかで、優しくて、真面目。世界の中心に自分を置かない少年の将棋は、とても綺麗だ。エゴイスト同士の角つき合わせとは全く別物だな!!
そんな二海堂だって、勝負に焦る。ライバルで親友な零くんと晴れの舞台で戦うために、必死にもなる。そんな親友の焦りを前に、零くんは『大丈夫だ』と言えるようになった。それも、変化の一つだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
盤面を移す時間が長い今回は、色んな棋士のいろんな将棋、それが照らし出す人格と人生を切り取る回だ。
ハッチのシャカパチはどんどん生理的嫌悪感を増幅させ、しかし零くんは揺れない。むしろハッチの内面に入り込んで、語られてもいない『読み』を読み抜いてすらいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
自覚はしてないが、ゼニ稼ぐために将棋に初めて前向きになった結果、零くん実際強くなっているのだ。モチベって大事だなぁ。
荒々しい運指の奥に揺らいでいる自信のなさ。それは二海堂の焦りと同じものだ。マブダチ相手には気遣いも見せるが、盤面越しに真剣で殺し合っている相手には冷酷に、どっしり揺らがず対応し切る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
相手の顔を見て、将棋を指す。島田さんとの勝負から、大きく変わったもんだなぁ。
こうして盤面を長く写されると、やっぱり楽しい。棋士がバチバチ火花を散らしている緊張感と熱が楽しいし、厳しい試練が零くんをどう鍛え上げたのか、一番良く分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
原因だけじゃなく結果も、色んな形で露わになる。ゼニ稼ぐのも、ダチを気遣うのも、対戦相手を追い込むのも、みんな成長だ。
無論、零くんはまだまだ発展途上で、ハッチをブンブン言わせるだけ言わせて終わりだ。手のひらの上で転がす巧みさなんてなくて、反撃の超☆感想戦で逆に刺されて痛い目見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月26日
そのコミカルなオチ含めて、変わってきていて変わってない零くんと、彼を包む世界がよく見えるエピソードでした。