ボールルームへようこそ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
清春博士の改造手術を受けた多々良は、新しい身体感覚の制御に手一杯で『ダンス』をする余裕がない。リードもフォローもあったもんじゃないギクシャクの中で、ちーちゃんの才能と献身が開花する。
雨降り続く嵐の中で、新しい扉を開けるため二人が手を取る回。
AパートとBパートがわかりやすく分割される今回。Aパートはマッドサイエンティスト・清春に実験された多々良の悪戦苦闘と、競技ダンスの細やかな解説で埋まる感じ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
解説担当な記者さんとガジュくん、観戦者と競技者で観点が違ってるので、面白い解説になってたなぁ。
マグネット・コーティングだと思ってたら、自転車のギアにクレ556をぶちまけるような結果になった、清春の筋膜リリース。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
母親の観察主義に反感持ってるのに、やってることはほぼ同じという厄介な血筋が炸裂していた。『ん、間違ったかな?』て、お前はアミバか。
それでも多々良の可動域を上げたのは、自分が理想とするダンススタイル(それはマリサ先生の理想でもあるんだけど)に多々良を近づけるため。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
小さな体を大きく使い、ディスアドバンテージを武器に変えるスタイルは、実は仙石さんが世界で戦うための方法論と同じでもある。色々繋がるなぁ。
清春は『ダンス』という凄く大きなものに接近できる才能と献身、直感を兼ね備えていて、多々良のダンス(の完成形)はその理想に近い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
なので、色々世話を焼いて引っ張り上げようとするわけだが、自分の中で固まってる理論を被験者に伝えない辺り、ホントダンスバカである。言わないのも母そっくりな
競技者が自分の身体を使って接近していく『理想のダンス』という曖昧で、巨大な影。しずくやまこが直感できないそれを、清春だけが掴みかけている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
ここらへんの才覚の差の描写は、やっぱ面白い。もうちっと言語化…はしてるので、それを他人に伝える方法だけ掴めば、最高の指導者で競技者なのにね。
『新しい景色が見たい。お前を勝たせたい。なので勝手に改造する』という、清春博士の異常な愛情を飼いならすために、多々良は必死になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
筋肉は制御を失い、重心は暴走し、心は動揺する。パートナーとの距離ばかり考えていた彼は、ようやっと自分勝手な思考を己の身体に向けるようになる。
ここで多々良が自分のことばっか喋り倒して、ちーちゃんがどう思っているかを語らないのは、Bパートに効いてくる『タメ』だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
ちーちゃんがあの境地にたどり着くには、ちーちゃんちーちゃん問い続ける子供が手を離す必要がある。自分のことで手一杯、相手の顔色伺う生き方を忘れる必要が。
あれだけギクシャクした合宿でも追い込めなかったところに、多々良を放り込む。清春の改造手術は結果として、長い間探していた二人の調和点に、多々良ペアを力技で放り込む形になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
その覚醒がないと、ダンスの王道を真っ直ぐに歩く釘宮ペアに勝つのは不可能だ。
競技ダンスが追求するスタンダード、『美』の基準点を説明しておかないと、釘宮ペアと多々良ペアの対立は理解が難しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
Aパート結構な時間を使って、各種競技の見どころ、力点を解説したのは、今後ぶつかり合う二組のバトルを、分解し飲み込む道具を視聴者に造るためだ。
実地で動くし、各ペアの『強み』がすぐさま動きで追いかけてくるので、なかなか飲み込みやすい説明だったと思う。一生ダンスバカの思考しかしない清春のモノローグも、良いアクセントになっていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
ドタドタした踊りを切り取ることで、段々と整ってくる変化を確認する意味合いもあるんだろうな。
そしてBパートは、破綻寸前まで崩れたダンスを、ちーちゃんが整えていくパート。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
彼女が選び取った『相手の身勝手な動きを裏まで読み切って、調和を捏造していく』というスタイルが、かつて多々良がまこ(そしてチーちゃん自身)相手に選び取った方法だってのは、なかなか面白い。確かに因果応報
ドアの比喩はアニメになるとかなり面白い絵面だったが、競技ダンスにおけるパートナーシップの表現としてとても理解しやすかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
ドアを開けて新しい景色を見せることに慣れた千夏のリードは理想的で、明は相変わらずその眩暈に捕らわれている。抱かれたことを忘れられないほど、ハンサムなリード。
翻って多々良のリードは、顔色ばかり伺って自分を導いてくれない。そらイラつく。扉も蹴破る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
だが、感情を叩きつけるだけの暴れ方は、やっぱりダンスの本道ではない。自分がリーダーの時はナチュラルにやれてるのに、その理想形を巧く伝えられない辺り、千夏は案外清春に似てるのかもしれんなぁ。
そんな乱暴なパートナーシップでも、多々良はなんとか手を取って踊ってくれた。だが清春の改造手術でいっぱいいっぱいになって、迷子の清春はちーちゃんから手を離してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
そうなって始めて、自分がどれだけ臆病な子供に支えられていたのか、握った手が頼もしかったかを思い出す。
嫌われないように相手のことを考え、望む扉を開けさせようとする多々良の優しさ。それは母に捨てられたトラウマが生み出した処世術であり、『リード』の理想を体現出来てた強い女にはなかなか通用しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
『あんたは優しいけど、私は怖いやつが好き』
かつての千夏の言葉である。
まこ相手には、扉を選ばせる優しさ/及び腰はベストチョイスだった。なりたい自分を選び取れない優柔不断、扉に導いてやれないガジュの不器用さが、まこのつまづきだったからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
しかし千夏は『扉を開けて』欲しいのだ。リーダーとしてのアナタの理想を見せて、と。
ここらへんやっぱ、自分の中の理想像があればこその苛立ちで、清春の千夏評価が高いのも良く分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
女性でもリーダーを続けられるなら、思うまま扉を開け続けられたんだろうけども、システムはそういうことを許容してくれない。
結果として、千鶴は多々良の『パートナー的なリード』から『リーダー的なパートナーシップ』を学習し、土壇場ですがりつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
彼女の中のパートナー・モデルはそこにあり、そこにしかないからだ。じゃじゃ馬を見捨てず、隣り合って歩いてくれた男への信頼感。回想される衝突の嵐が、それを育んだ。
タフな暗闇の中、必死に踊る多々良と千夏。自分の体ばかりを見る多々良と、ようやく多々良に寄り添うことを覚えた二人が一瞬の調和を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
釘宮さんのコンセントレートをぶち破って、ダンスそのもので挑戦状を叩きつけるシーンの歪み作画が圧倒的だ。米林監督原画だろうなぁあそこ。
リーダーが扉を開けて上げるのではなく、パートナーにだけ開けさせるのでもなく。二人で手を繋いで、一緒に扉を開ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
それは明が理想とする過去の千夏のリードともまた違う境地。強い女の欲張りな願いを受け止め、なお折れ曲がらないリーダーだから可能な、新しい世界だ。
千夏を神格化し、その導きに身を預けきってしまっている明だと、『一緒に扉を開ける』という千夏の理想には、どうやっても追いつかなかったんだろうなぁ…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
ダンスだけを真摯に追い求める不器用さが、あの平等なオン・バランスを可能にする。千夏が多々良と組んだのは、運命の必然なのだ。
献身と優しさという『らしさ』を千夏に学習され、お株を奪われた多々良。それはフィジカルの強さと自己主張という、千夏『らしさ』を多々良が学習する未来につながっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
”お互いのテンポが 優しく重なるって素敵じゃない”
”Swing heart direction”は作品のエッセンスを詰めた名曲だなぁ。
千夏の『らしくない』献身に支えられて、ずっと影に潜んでいた多々良の主張が、『僕を見て!』という欲望に相応しいエゴが吠え声を上げるなら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
二人のテンポはようやく揃って、より大きな音になる。力強く王道を行く釘宮ペアを脅かすに相応しい、強敵となりうる。
さて、それが可能なのか。来週はそんなライバルの内面に潜る話であり、再び主体を多々良に移し、新しい挑戦を見守る回にもなろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月28日
遂に既刊は追い抜いてしまった。こっからは未知の領域、何が見れるかドキドキである。そして、必ず良いものが見れるだろう。楽しみだ。