アイカツスターズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
ユニット回第三回は、二期開始からずっと積んできたきらあこ最終局面!
エルザのためにアイカツするあこの純情と迷妄、かつての自分を支えようとするあこの尊厳と慈愛。サブキャラの描写も含めて、様々なことを描ききった傑作エピソード。
というわけで、圧倒的きらあこである。二人の女の間に渦を巻く複雑な感情を細やかに切り取る筆、情念の熱量と湿度。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
カプ厨大満足の仕上がりであるが、そこで足を止めず、非常に大きなもの、たくさんのテーマにアプローチできていた事が、今回のエピソードを楽しく見れた理由なのだと思う。
あこはとにかく『持ってない』キャラであり、『自分から背中を向けた』キャラでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
特別なグレードアップグリッター(長い!)とファンを天秤にかけて、ファンを取る。翼は出ないし、アイカツランキングにも参加しない。女優業という自分の夢を守るべく、一点集中で戦い続ける。
凡人ゆえの誇りと歯ぎしりで、必死にアイドルしてS4している早乙女あこのことが、俺は好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
そんな彼女が求めてやまない『才能』というものを、きららは無遠慮に振り回す。ブランドも翼も勝利も、あこが欲しくても手に入らないものを悩まず手に入れ、捨て去る。
血が滲むほど欲しいけど手に入らないものを、軽く扱われる。怒って良いことだし、実際あこちゃんは怒っていたわけだけども、その怒りからスッと離れて、あこちゃんはきららの面倒を見るようになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
きららが自分に近寄ってくる歩みに、悪意はないと、それほど幼いのだと知っていたから。
花園きららは二期で一番、変化の兆しを積めてきたキャラだと思う。エルザのエゴが物質化したVAから離れ、意識せず『みんな』でいることの意味を呼吸して、またVAに帰る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
あこちゃんが隣りにいてくれることの尊さを知らない子供のまま、二人で触れ合った時間は確かに、きららを変えた。
今回の物語(に限らず)、きららは作中一番子供として描かれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
可能性と才能に満ち、苦労も努力もせずに結果を出し、自分が何を踏みつけにしているかを認識しない。無遠慮で無邪気で、だからこそ脆い子供。
それに作中一番の凡人であり、苦労人でもあるあこが対峙する時、彼女は母になる。
きららの無遠慮で残酷な愛情を、「仕方ないですわね」で受け入れて、身を粉にして走り回る。彼女の願いを叶えるために、忙しい日々の合間を縫って時間を造る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
トップアイドルS4としての忙しない日々をちゃんと切り取った今回は、赤服を着ることの意味もしっかり描ききってくれた。そこもよし。
あこが『良き母』として描かれたのは、『悪しき母』であるエルザとの対比を鮮明にする意味合いもあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
冷淡と無関心。自分がかつてやられて、ここまで歪んでしまった愛情の反射行動を、意図してか無意識にかエルザは再生産する。関係性の再生産、虐待の呪縛が異常に生々しい。
エルザがきららの愛情に対し感情を返せない『悪しき母』であるのは、彼女自身が自分の現状を認識していないことに大きな原因がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
自分がなぜアイドルをやり、何を求めているのか。望みに虚心に向き合えば、歪みがどこにあるかもわかろう。
だが彼女は『完璧な自分』で目を覆って、何も見ない。
『完璧な自分でありさえすれば、母は私を見てくれる』という思い込みだけが、エルザを支えている。そこから離れ、世界と自分をありのままに見る『正しい成長』に踏み込むということは、『愛されるかもしれない可能性を持った自分』を投げ捨てることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
それは、母に愛されたい子供には辛すぎる。
だからエルザは、母のぬくもりを残した太陽のドレスを求め続け、それさえ手に入れれば完全な世界が回復されるという妄想にしがみつく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
その誤りを唯一訂正できるポジションにいる騎咲レイは『完璧なエルザ』しか求めないので、彼女を子供に戻そうとはしない。死ぬほど残酷だな、と思う。
レイちゃんもまた、自分の願いに向き合ってエルザの隣りにいるわけではなく、『完璧なエルザを求める完璧な自分』というセルフ・イメージが唯一の救いだからこそ、エルザを求めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
孤独なエゴイズムが、誰かを求めるポーズだけ取りながら踊り続ける。星星の調和とははるか遠い、VAの空疎な中心。
母という太陽との距離感を狂わせたままなので、エルザはきららと適切な間合いを造ることが出来ない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
きららの変化を見て取って手を離したにしても、子供であるきららには通じない。親に捨てられたのだと、かつてのエルザと同じ気持ちになるだけだ。自分がやられて嫌だったこと、他人にしちゃダメよね
エルザの思い込みと孤独を解消するのは、おそらく二期のラストクエストになるので、今回はきららの『母』になるのはあこだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
彼女を無条件な『聖母』にせず、迷いも哀しみもある『人間』として描いたのは、とても良い。あこちゃんは今回、とても悲しそうな表情を一瞬、でも何回も浮かべる。
自分ではなくエルザを求め続けるきららを見た時。ファンではなく、自分でもなく、エルザの関心のためにアイカツしているきららを見た時。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
彼女の表情は辛そうに歪んで、また戻る。無邪気な子供の前でアイドル・早乙女あこが浮かべている笑顔の仮面を、きらら相手にも被り直す。
その強がりは、偉い。
あこちゃんが辛い立場をずっと走ってきたことを、ここまで見てきた僕は知っている。選ばれない惨めさ、勝ちを譲られる情けなさを飲み込んだ上で、S4としてアイドルとして自分のスタイルを確立し、結果に結びつけたことを知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
システムが認めなくても、早乙女あこは誰よりも立派だ。
生身の人間としての早乙女あこは、キツいスケジュールでぶっ倒れる。人間だから当たり前だ。でもそのよろめきを噛み締めて、笑顔を届けたい誰かのために立ち直って、背筋を伸ばしてアイドルを続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
かつての彼女がそうでなかった、嫉妬と歪んだい願いで暴走する女の子だったことも、僕は見てきた。
すばるきゅん恋しさだけでアイドルをやって、ファンも自分も見ていない。そう指摘されて、己を改めたことがあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
気に食わないライバルに強く当たったこともあったし、気持ちを素直に伝えられないこともあった。そういう歪みそれ自体が早乙女あこで、それは『母』にまでなった今回でも変わりがない
歪んでいること。至らないこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
人間ならば必ず備えている欠陥を認め、己の一部だと愛し、世界と調和するよう方向づけていくこと。
早乙女あこの報われないアイドル道は、そういうすごく当たり前の、だからこそ尊い人間の道だった。それはあこ以外、誰も歩けない彼女の道だ。
それと同じ道を、きららは歩いている。道の先にいる相手を見間違えて、それを失ったからすべてが駄目になったと、かつてのあこのように勘違いをしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
その時助けてくれた誰かのように、今早乙女あこはきららを助ける。恩に恩で報いる人道を、真っ直ぐに踏破する。歴史の教科書に載るくらい立派だ
素直じゃないあこがこの道に踏み込めたのには、ゆめとの夜の会話が大きな後押しとなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
S4として、ライバルとして。一緒に時間を積み上げてきたからこそ、静かにいちばん大事なところを支えてくれる親友として、今回のゆめは最高に良かった。こういう描写が現S4に、てんこ盛りで欲しい。
あこはまだまだ不完全で、色んな人に支えられている。完璧でないからこそ完璧を目指し、より良い方向に歩き続けることが出来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
未完成な自分を肯定し、より未完成な過去の自分として、きららを救いあげる。かつて助けてくれた『誰か』に、人気としてようやく追いつく。そんな成長を見届けた。
『頑張ってるアナタを認めてくれないことが、何よりも悔しい』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
あこの透明な涙の意味を、子供のきららもようやく理解する。自分の身勝手な愛を受け止め、支え、見守ってくれた相手がいたと
『母』からの愛に目を開けることは、会場を埋め尽くしたフアンに顔を向けること、自分のアイカツを見直すことだ
きららが無自覚に放射していた才能は、色んな人をひきつけ、真似させた。それだけの引力が、花園きららにはちゃんとあったのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
エルザだけを向いていた時、きららの眼にはフアンも入っていないし、それを引きつけた己自身も入っていない。愛に目を開くことは、世界と自分に目を向けることと同じだ。
自分が一人では生きていないこと。エルザとの孤独な関係だけで走っていた過去が、気づけばとても広い世界に繋がっていたこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
あこの慈愛に導かれ、きららはそれに気づいて、『子供』であることをやめる。自分が振り回している才能、それで傷つく人、引きつけられる人を見るようになる。
かつてあこが果たした、世界と自己の認識変化、それに伴う成長を、きららも果たす。思いと献身は継承されて、二人の前に新しい道が開く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
それは『母と子』だけでなく、『先輩と後輩』としてもとても正しく美しい描写であって、真実の強さがある。後輩を導くS4の面目躍如だ。
新しい道に走り出した二人を見て、より多くの人が自分に出会い、世界に出会い、ちょっと善い人生に踏み出せるだろう。なにしろ、二人はアイドルなのだから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
過去を受け入れ現在を変えるだけでなく、そんな未来への夢まで広がる射程の長さは、本当に素晴らしい。
きららは今回の物語を経て、エルザにサヨナラをする。『母』に依存し固着する時間を止めて、自分のアイカツを探しに行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
あこちゃんが新しい依存対象にすり替わったわけではないことは、見ていれば判る。彼女はきららの『母』であると同時に、『相棒』であり『先輩』であり『親友』でもある。
色んな側面を持つ人間と、その複雑さごと繋がれる強靭さ。それもまた、『子供』には持ち得ない資質だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
敵味方、好きな人嫌いな人というシンプルな色分けから飛び出して、濃淡のあるありのままの世界に踏み出していく。その事が、色んな人を支える足場になる。そういう場所に、きららは漕ぎ出した。
きららの泳ぎはまだまだ拙いだろう。間違えて、傷つけるだろう。でも、それで良いのだ。不完全であることを受け入れ、正し、癒してくれる仲間は、必ず隣りにいる。愛はいつでもそこにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
そのことを、あこちゃんは今回身を以て証明したのだ。何よりも立派なことだと思う。
そしてその偉業に踏み出せたのは、きららの無遠慮な愛情が真実だったからこそだ。素直じゃないあこにゃんこを、ずっと至近距離で好きだって言い続ける。ガキだけが可能なバカ正直な愛情表現が、ちゃんとあこちゃんに届いていたからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
『母』が『子供』を導くように、『子供』の愛が『母』を支える。
そういう双方向なエネルギー供給がしっかり描けたのは、遂に真実ユニットとなった二人の関係を公平にしていて、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
与え、与えられる。海賊のように一方的に奪うのではない領域へ、二人は飛び込んでいく。未来は無限で、ステージはどこへでもつながっている。
花園きららの過去、早乙女あこの過去。間違いも痛みも否定せず、むしろそれこそが道を作っていくのだという意思に溢れた、見事なエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
二人が到達できた場所の高み、それに道を示される人々の肖像も、しっかり描けていた。アイドルに何が出来るかを、エピソードで証明した。
そして『母と子』『自己発見と世界の拡大』『過去の肯定と変化と未来』を描く今回のエピソードは、ずっと硬い殻の中で一人迷っているエルザに投射されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
きららが一歩先に果たした飛躍を、エルザもまた果たせるはずだ。同じ人間なのだから。そんな予言としても、今回のエピソードは受け取れる。
しかしきららにとってのあこが、エルザにはいるのか。母として友としてライバルとして、慈愛と献身で脆い心を支えてくれるキャラクターはいるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
今回のお話は、細かく積んだ変化の描写があってこそ、これだけの説得力を持つ。エルザの心に現状、深く切り込めているキャラはいるのか。
距離感だけならレイちゃんだが、あの人のエゴイズムとマゾヒズムがエルザに悪影響ばっか及ぼしているのは、それこそ細かく積まれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
脆くて弱い自分を肯定することから変化は始まるのに、レイちゃんは『完璧なエルザ』を求め続ける。その共犯関係が、エルザをVAに閉じ込め、腐敗させ続ける。
誰かがここに、でっかい風穴をぶち開けなければいけない。それは魂が消耗するキツい行為だ。誰かの人格に寄り添う大変さは、今回(に繋がる全てのエピソード)あこちゃんが証明している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
そしてそれをやらなければ、エルザはどこにも行けない。完璧を自認する悲しい道化、迷える子供のままだ。
母を求める悲しい子供に寄り添い、『あんたがやってきたことは、あんた自身は大事にしなかったけど、凄く偉いことなんだ。こんなに沢山の人があんたを見て、あんたを求めたんだ』と言ってやる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
それはとても大事で、そういう思いを伝えることこそが、アイドルのミッションだと思う。羽貰うとかより。
あこちゃんがきららの手を取って(あるいはきららが、あこちゃんの手を取って)たどり着いた場所に、誰がエルザを連れて行くのか。それに必要な強度を、今後長くはない時間でどう獲得するか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
アイドルがアイドルたる、人間が人間たる証明を果たし、作品の価値を世界に叫ぶのか。
そういう所に到達してほしいと僕は思うし、今回のエピソードは見事に成し遂げていたとも思う。親友としてのゆめ、多忙でもやりきるプロアイドル、後輩を導くS4の誇り。いろんなものが輝くお話だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
そういうお話を、今後もっと見たい。その先にある景色を、ちゃんと掴み取って欲しいと願う。
追記 普段はあんまこういうデケーことは言わないんだけども、今回希望メーターがちろっと回復したので、未来への展望と希望を書くことにする。
エルザのマザコン拗らせ虐待再生産加減、レイちゃんの誰かのためと嘯きつつ己のマゾヒズムナルシシズム満足させたい偽王子っぷりは、即座に決闘広場に飛び込めるくらいのバロックさがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
問題はスターズに、ウテナほどの劇的装置も真摯さも無いことだ。踊る舞台間違えてねあの二人。
なまじっかキラキラした一般的成長物語の清潔さを貼っ付けて取り繕ってるので、自分で切り取ったエルザとレイの歪みを歪みとして堂々表現できず、持て余して描ききれない可能性が、ほんともったいないなァと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
あこちゃんの無様さは、ギリギリいい形で昇華できた。おんなじ感じでエルレイも頼む。
キラフワ世界の主役として、リアルでディープな感情に揉まれなかった(揉まれたかもしれないが十全ではなかった)ゆめが、サブキャラの重たさを背負いきれない形になってるのも、難しい所か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
”あの力”にしても譲られた価値にしてもS4にしても、匂わせて踏み込んでないから、主役が適切に汚れない。
(オメーやり過ぎだろナメてんのかってくらい)汚して拭って育てたあこちゃんは、今回の話を支えるだけの足腰の強さに頷けた。『ああ、そうだよね』と思えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
今後ゆめが主役として歪んだ世界を救済する時(それは主役の宿命だ)、同じように思えるか。今後の積み方次第ではあるが、正直不安だ。
小春との離別、ステージの失敗がゆめを鍛えきるチャンスだったんだろうが、”あの力”が茫漠とした装置で終わったこと、間を置かず小春が帰還したことが、失敗の苦味をハンパなものにし、経験値を稼ぐチャンスを主役から奪った気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
それを今後三ヶ月で挽回できるか、否か。
たった24分の物語で、シリーズ全体の評価がひっくり返るような奇跡は、確かにある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年11月30日
そうでなくとも、スターズが仕込んでいる爆弾は、良い火力を期待はできる。爆破するためには適切に導火線を組んで、目に見える形で着火して、余すところなく要素を使い切る必要がるけども。さてはて、どうなるかな。