WUG新章を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
動き出した商売の歯車。それに巻き込まれ引き裂かれていくアイドルと、自分の持ち場で戦うアイドル。それぞれの歩みが先に進む回。
…と言いたいところだが、展開に切れ味はなく、作画は停滞している。新章が求めた『普通さ』が凡庸の薄い膜になって、エピソードを覆っている。
前半は軽くアニメしており感情の奥行きも見て取れたが、後半パンが多用され、3Dステージもカメラが安定しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
それは世界が安定しないということで、作品に体重を預けられないということでもある。あの世界では何が普通で、何が異常なのか。価値判断の軸を共有しにくい。
とは言うものの、アイドルを全力で巻き込みつつリストラクチャリングに邁進するI-1と、アイドルに泥をかけず走ろうとしているグリーンリーブスの対比は、構図としては面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
だからこそ、もうちょっと充実した描写に後押しされ、浸ってみたくもなるのだが。それは望んでも詮無い。
売上至上主義をアイドルにも徹底し、結果を出せなければ外す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
白木ISMは『一回売れた』からこそ可能な没落への対抗策であって、二年アイドルやってもまだ素人目線が抜けないWUGには、商業主義に邁進する足場すら無い。
かと言って、デビュー時の初心な輝きがあるわけでもない。
エネルギーだけに満ちた新人三人娘が、自分たちなりに走るシーンを細かく切り取るわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
画面に写っているアクター全てが、自分なりの強さや輝きを持っていないまま、息苦しいシーンの底を歩き続けている。劇作的にもビジュアル的にも、凄くボヤケた絵が続く。
今はクライマックスに向けた苦労と努力のターンなので、ある程度くすむのは当然だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
ただ、ユニットとしてのWUG、作品としてのWUGが胸を張って主張できる自分らしさが、薄曇りの中でも光って見えないのは辛い。このアニメの何が強いのか、自己主張してはいるが届かない。
『むしろその停滞感こそがWUGなのだ』というのであれば非常に優れたドキュメントだが、そこまで後ろ向きのアニメとして打ち出す自虐も覚悟も流石に見えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
それが見えてしまっていたら、作画疲弊どころじゃないヤバさだろう。そこまで行ってないことを喜ぶべきか、取り繕われる状況を嘆くべきか。
絵の圧力がないので、現状も未来への展望もセリフで補佐する形になる。でもダイアログは普通…凡庸の領域を出ず、停滞した空気を突き破って風を起こすわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
そんな状況のまま、努力しているアリバイだけが積み重なる。その頂点から始まるクライマックスに、どういう期待を抱けば良いのか。
ここに来て早坂渡米+VRアイドルという四軸目も追加されて、回すべき物語は更に増えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
だがコアとなるWUGの物語は、そこで捕まえるべき『WUGだけの強さ』とは、一体何なのか。それを見つけるのが物語だとわかりつつ、答えへの鮮明な予感が一つ欲しくなる。
そういうものの無い回だった。ぼんやりと『あるのだろうな、あることにしたいのだろうな』とは感じられても、それを自分の視聴体験として画面から受け取れない回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
新章になってから(あるいは旧作まで遡っても)そういうぼんやりした不安を、いまいち突き破れないシリーズなのかもしれない。
社長がアイドルに泥かけない『良い大人』をやっていたが、そういう場所から外れていることが彼女のキャラだったように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
WUGが家庭と過去から切り離され、合宿場にひとまとめにされた時に、社長もまた過去から切り離されたのか。その切断を埋める『新しい自分らしさ』は9話やっても見えない。
アイドルとゼニにまつわる生臭い話は、掘り下げれば面白い題材だと思う。しかし今の態勢は、さじ加減を間違える露悪となってしまうゼニに適切に切り込む体力も鋭さも、多分持っていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
現実に飛び込んでフィクションの活力を掴まえてくる肺活量がない以上、表面をなぞって上がるのは正しい。
露悪に潜りすぎれば溺れ、浮かび上がるのが難しくなる。結果としてそうなった過去を乗り越えるべく、別のルートを選んだ新章。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
その結果が散漫と凡庸に見えてしまうことには、軽い哀しさと、それを踏まえつつの不甲斐なさを感じる。
このまま、画面の外の誰かのためのアリバイ工作として、物語が滑り続けるのか。はたまた、何か一つ自分たちらしい爪の立て方で、仮想のキャラクターが仮想の人生を生きている体温を確保できるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月4日
未来がどうなるかは判らない。軸を増やしたこと、対比の構図を造ったことが実感として生きるといいな