イマワノキワ

TRPGやアニメのことをガンガン書き連ねていくコバヤシのブログ

アイドルマスター SideM:第9話『Over AGAIN...』感想

幾度だって青春、理由(ワケ)あってアイドル!
315事務所の『現在』を切り取る合宿を終えての第9話は、事務所の稼ぎ頭たるJupiterの『現在』を描くエピソードとなりました。
765プロのライバルとしてアイマス時空に登場し、決別と再出発、孤闘と結縁を繰り返しながらJupiterがたどり着いた場所の高さ……だけでなく、そこに立ち続ける『人間』としての三人が、優しく切り取られていました。
その眼差しが、過去から現在を経て未来に繋がる時間的広がり、Jupiter内部にとどまらない人と空間的広がりをしっかり捉えることで、315プロという場所の尊さもより鮮明に、体温を込めて描かれていました。
時に真っ直ぐ、時に折れ曲がりながら歩いてきたJupiterの長い道が、今再び新しい輝きを指し示そうとしているクライマックス前夜にふさわしい、穏やかながら熱量のあるエピソードでした。


というわけで、EoJ以来のJupiter回。
あれだけ分厚い物語をもらったし、315のアイドルたちの物語でも存在感があったし、まさか再び個別エピソードを貰えるとは……というのが、次回予告を初見したときの正直な感想でした。
何ていうのかな、美味しいお菓子を特別に貰って満足してたら、その倍以上の追加がワッと襲ってきた時の子供の呆然感というか。
そこから抜け出した後は、モリモリ腹がはち切れるくらい食べて、『あ……もう食べれない……アリガト……』ってなったわけですけども。

第0話に当たる『Jupiterの物語(Episode)』が『Prologue SideM』と名付けられているように、Jupiterは様々な意味で物語を先導する立場にいます。
デビューしたてのアイドルをバーターで仕事に引き込んだり、プロとしてのキャリアに裏打ちされた厳しい目線で細やかな指導をしたり、半人前達とはレベルの違うタフさを見せたり。
輝が言葉にする『一番星』も、身近で光り輝くJupiterを見て、あるいはJupiterのステージに憧れてアイドルになったからこそ出てくる言葉なのかもしれません。

『遠い存在』あるいは『神様』として、Jupiterを棚に祀って遠ざけ、余ったスペースを『現役世代』に明け渡す劇作も、あったと思います。
しかしSideMアニメは『Jupiterもまた、個別の悩みと体温を持つ『人間』であり『現役』なんだ』と考え、実際に今回貴重な話数を割り振ってきた。
S.E.Mがそうであるように、経験を先に積んだ『大人』は何も感じない人形ではなく、躍動する心臓と野心を持った人間なのだ、同じ事務所で切磋琢磨する仲間でライバルなのだと、物語で語ってきました。
それは物語全体を貫く大きなテーマを、Jupiterというユニット、それを構成する三人それぞれの表情を真摯に描くことで支える、強靭なエピソードだと思います。
EDでもありサブタイトルでもある『Over again』は幾度も道を折り返してきたJupiterのテーマであると同時に、理由(ワケ)あって一度道を閉ざし、『アイドル』という新たな光に歩きなおした315のアイドル達、そんな彼らを見て現実を歩く勇気を貰っている僕ら視聴者にも通じる、テーマソングなのかもしれませんね。

冒頭の合同レッスンシーンでは、Jupiterは非常に頼りになる存在として描かれています。
半分素人のアイドルたちが気づかない甘さを瞬時に見抜き、ファンに向けて完璧を目指すプロフェッショナルな姿勢。
急な仕事にも瞬時に対応し、心を切り替えていくタフさ。
それはここまで、新米アイドルの物語を主軸に展開してきた物語と同じ視点であり、その頼もしさに引っ張られる形で新米達も走ってきました。
彼らが完璧で隙のない先輩、目指すべき『アイドルの天井』『一番星』であることには、とても大きな意味がある。

そしてカメラはすぐ次のシーンで、後輩の追い上げに焦り、自分を高めようと汗を流している冬馬を写してくる。
夜の公園で、あるいはレッスン室で、理想の自分に追いつこうと、後輩が追いかけるに足りる自分であり続けようと、あるいは見失っていたファンの思いに応えようと、『一番星』は頑張って光っているわけです。
あくまで限界がある『人間』として、Jupiterを描く。
そんな人の体温を、同じ部屋で感じられるユニットの距離感を大事にする。
これはEoJで一度描かれた迷い路だし、同時に事務所に所属し、優秀なスタッフに支えられ、一緒に走る仲間ができた『第9話のJupiter』独自の姿でもあります。

時間が流れていく中で変わっていくものもあるし、幾度繰り返しても損なわれないものもある。
過去と現在を行ったり来たり、あるいは空っぽのステージから未来を夢見る今回のお話は、『一番星』と『人間』の中間地点にあるJupiterをとても丁寧に、優しく切り取っていきます。
その往復運動もまた、"Over AGAIN"なのかなと思いました。

(ここでJupiterを完成形の『アイドル』ではなく/であると同時に、『人間』として描く。
理想を背負うアイドルを簡単に神様にしない視座には、劇場版アイドルマスター天海春香を『アイドルの神様』に押し上げてしまった物語への、一種の批評性を幻視します。
それは間違いなく、僕個人があの映画に感じ取った違和感の延長線上にあるわけだけど、デレアニの過剰な象徴性を適度に取り込みつつ踏み込みすぎない演出のラインと合わせて、やはり過去作への批評的眼差しはSideMの中で鈍く光っていると感じます。
この共感が妄想なのか、一つ芯の通ったスタンスなのかは、最後まで見通してみないと分からんところですが)


さて、そんな反復の中にいる今回のJupiter、特に目立っていたのは北斗でした。
冒頭のバーからラストのJupiter部屋まで、北斗で始まって北斗で終わるエピソードは、しかし特に大きな起伏があるわけではない。
レッスンして、仕事して、仲間と酒飲んで飯食って、とても充実した穏やかな時間こそが、『第9話のJupiter』なわけです。
それは嵐をくぐり抜けてたどり着いた宿り木であり、羽根を溜めてより高い場所にみんなでたどり着く前準備でもあります。
765の結束を遠くで見ながら夢見ていた理想郷であり、そこで満足していてはいけない途中経過でもある。
そういう穏やかながら複雑な景色を切り取るのに、315プロでおそらく最も人格完成度が高い伊集院北斗を軸に据えるのは、良いチョイスだと思います。
まぁ俺北斗好きだからね、目立ってくれるの大歓迎よ。

EoJが961を離れた後の奮闘と迷走、そこから抜け出し道を見つける物語だったこと、その中心に天ヶ瀬冬馬という強力なエンジンがいたことと、今回のお話の真ん中に北斗がいることは、面白い対比だと思います。
EoJは自分たちの輝き、それに引き寄せられるファンに相応しい箱を見つけられない苦悩が真ん中にあるエピソードで、その重荷を引っ張ってエンドロールまでたどり着くためには、冬馬の熱血を真ん中に置く必要があった。
その迷い路を抜けてたどり着いた、3151の平穏と溜め込まれるパワーを描く今回は、発熱するエンジンではなく、それを制御するハンドルの方に足場が置かれる。
時間とともに物語のテイストは変わり、その度に主演も変わっていくってのは、歩みを止めず進んでいく315の物語にとって、とても大事なことだと思います。

一つの物語が終わり、別の個性にバトンがパスされることで、活力と新鮮味を失わず物語が進行していく面白さ。
キャラクターが多数いて、年齢も前歴もバラバラである多様性の魅力を、最大限活かす物語形式は、ユニットの間だけではなく、一度物語を語り終えたユニット内部でも有効、ということかな。
まぁ今回は(も)、キャラクターの人格を掘り進む縦の強さと、幅広く人間関係や環境を切り取ってくる横の強さが両立しているので、『北斗の話』という切り取り方はは『あえて』になりますけども。
さっすがにJupiterに三度話は回せないと思うので、翔太が真ん中に来るエピソードは(少なくともこのクールでは)見れないかなぁ……見たいけどね。


さて、冒頭のバーのシーン、異常に『蒼い』です。
『そういうカラーリングは765の如月さんとか、346の渋谷さんの領域でしょ!』と言いたくなるくらい、壁から酒瓶からカクテル、顔の見えないエンジェルちゃんに送る薔薇まで蒼い。
まいたるとのラジオ仕事、ブース外で光ってるインジケーターもビカビカと蒼い。
北斗の成熟した人格は、蒼い少女たちが持っていた尖ったナイフのような未熟さとは遠いわけで、ちょっと違和感を覚えるカラーリングでした。
クール属性といえばその通りなんだけども、冷たさを冷静さに、他人を受け入れない冷厳さを穏やかな包容力に成長させた北斗は、個人的には『蒼』のイメージ薄いのよね。

が、最後まで見てみると彼もまた『蒼い』。
天ヶ瀬冬馬の、315の仲間たちの熱気を感じて燃え上がり、もっと高い場所へと駆け上がりたくなる熱血を澄ました顔に秘めた、未だ熟せざる果実であることを際立たせる意味で、あのシーンは蒼かったのかなぁ、と思いました。
蒼穹というよりは、青りんごの『蒼』だったかな、と。

今回北斗を描く筆で面白いのは、彼が周囲に目配せできる大人(冒頭の蒼いカクテルはそ、の象徴でしょう)だと強調した上で、『君は物分りのいい大人じゃなくて良いんだ。年相応に血を滾らせ、感じたものを素直に発露して良いんだ』と言われ続けることです。
EoJで、あるいは合宿で見せたように、彼は雑務から渉外、指導までなんでも出来るし、やろうとする『大人』です。
だけど今回、Pちゃんは事務仕事の手伝いを、S.E.Mのオッサンたちは酌をせき止めて、北斗をただの『アイドル』に押しとどめる。
それは自分より年上の仲間、あるいは『アイドル』以外の仕事を担当してくれるスタッフを手に入れたからこそ甘受可能な、特別な伊集院北斗なんだと思います。

そういうバックアップがあってようやく、彼は『世の中が結構面白いと思えるようになった』自分に素直に、『羨ましい』と見上げていた天ヶ瀬冬馬の背中に追いつくように、熱い自分をむき出しにしてくる。
優しいクールガイが体内に滾るエゴイズムに素直になる瞬間が三度の飯より好きな人間としては、非常に心を動かせるシーンでした。
765の結束を『羨ましい』と呟いた冬馬が仲間を手に入れたように、北斗はJupiterを成立させるために自分に課してただろう物分りの良さを剥ぎ取って、『蒼い』自分を表に出せる贅沢を、315事務所に入って手に入れたんだなぁ、と。
それはやっぱ、凄く良いことですよ。


今回のお話は売れっ子として先に行っているJupiterと、アイドル坂を登り始めたばかりの新米達が上手く対比され、あるいは混ざり合っています。
まだアイドル仕事のイロハが分かっていない後輩たちと、彼らの手を引いて現場に連れていけるJupiter。
そこには距離があいているのだけども、Jupiterにもデビューしたての時期があって、思い出になったその時間を懐かしみつつ、出発点から積み重なった関係性を確認=共有していくことで、時間と人間関係の立体感が生まれていきます。

冒頭、北斗とPちゃんが親しげにお酒を交わすシーンは、カウンターが水平方向に大きく張り出しています。
他のお客がいなくなった(時間経過の見事な表現です)広い世界で、二人は肩が組めるほど近い距離にいて、間を遮るものは何もない。
途中で回想されるEoJ補完シーンもまた横に広いカメラで二人を切り取って、しかしその距離は遠く、間には椅子やロッカーが縦に入り込んで邪魔をしている。
あの出会いのシーンから、バーでの親しい距離感まで近づくことこそが、315プロに身を預けたJupiterの物語なんだろうなと、見ていて思いました。
第0話から第9話まで流れた物語の中で、細かく細かくJupiterの現在を切り取っていたことも、あの対比が唐突なものではなく、二つの必然が繋がった一つの歴史なのだと納得させる力を産んできました。
やっぱ怠けず細かく描写を積んでいくのは、ことこういう群像劇では非常に大事だなぁ。

仲良くなったのはPちゃんだけではなく、S.E.Mとの家飲みでの示されます。
例によって例のごとく『運命共同体として、一つになるための儀式』として、差し向かいで飲み、モツ鍋食べる場所。
それは北斗のテリトリーと言える『蒼い』世界ではなく、狭くて家庭的な次郎ちゃんのお部屋なわけです。
温かい夕日が差し込むオレンジの世界では、背筋を伸ばして敬語で話すだけでなく、寝っ転がって缶ビールをグイグイやることだって出来る。
そういう慣れない世界でも、北斗は新しい楽しみを見つけて警戒を解き、当人の前では言えないJupiterへの敬意を言葉にしていく。
酒と一緒に熱気をもらえたのは、自分の中で沸騰していた仲間への愛、それゆえに掻き立てられるライバル心を、しっかり言語化したからなのかなと思いました。


『案外後輩の面倒見がいい』と称されていた翔太は、Wと交流を深めていました。
何かと閉鎖的で歪な印象が(僕には)強いWが、翔太の手から『みかん』を受け取って食べたシーンは、食事に特別な意味を持たしているSideMアニメにおいて、とても重要でしょう。
合宿で合流し、だんだんと『アイドル』に馴染んでいく中で、Wは3人目のブラザーとして、あるいはかっこよくバク転できるあこがれの先輩として、翔太を受け入れつつあるのかなぁと感じられました。
オッサン、あの二人が仲良しなのとっても良いと思うけども、仲良しすぎて狭くなっちまうのがどうにも心配で、余計なお世話と思っていても自然体でバリアー越えて滑り込んできてくれる御手洗先輩に『ありがとう……』って言っちまいたくなるのよなぁ……。

軽薄とすら感じられる軽みが魅力の翔太だけども、その奥にJupiterへの思い、アイドルへの決意が熱く秘められているのは北斗と同じ。
場所は違えど、仲間との過去と敬意を言葉にしていくシーンを重ねることで、彼の魂の地金が見えたのは非常に良かったです。
俺は道化めいた仕草の奥に魂の潜熱を隠している男が三度のメシより大好きなんで、非常に心が動きました。
軽口叩きつつ、冬馬くんの背中に追いつこうと汗を振り絞り、冬馬くんの隣に立って一緒に踊る体温のアツさ、やっぱ良いね。

そんな冬馬くんは、後輩の猛追に焦ったり、Wセンターブラザーズでイチャコラしたり、ゴールの先を見据えたり、さすがの主人公力でした。
EoJでも熱量と引き換えの危うさ、思い詰めてしまう真剣さが印象的だった冬馬は、やっぱ一番焦って一番熱い男なのよね。
そんな冬馬の熱量に引っ張られ、あるいは道を整えてきた二人は彼のそういう資質が好きだし、それあってのJupiterだと確信してる。
だから惹かれるし、負けられないと思うし、支えようとも感じる。
ユニット間のキャリア差・年齢差でうねりを創るだけじゃなくて、ユニット内部でも対流する思いをちゃんと切り取ってくるのは、人間模様の解像度が高くて素晴らしい。

輝との赤髪ブラザーズっぷりは過去エピで幾度からスケッチされ、全開の合宿で強く強調されたところです。
それぞれの持場、それぞれの輝きがありつつも、あの二人は『真ん中』に立つ宿命があって、だから一番最初に夢の舞台に立つ。
年の離れた兄弟のようであり、敬意とあこがれをかすがいにした先輩後輩でもあり、似通っていて違っていて、だから面白い。
あの二人の描写は、SideMらしいなぁと思いました。


あの空っぽで大きなホールを見て、輝はゴールを、冬馬はスタートを見る。
お互いのキャリアと実力の違いを感じさせてすごく良い会話なんですが、冬馬もまたあそこをゴールだと思いたい気持ちはあるのでしょう。
961でさんざん傷ついて、フリー時代に苦労して、ようやくたどり着いた315の仲間たちとのステージに、一つの物語を終えた安心感を求めるのは、人として自然なことだと思います。

だけど、そこで足を止めてしまったら。
信じてくれたファンに、憧れて追いついてくる後輩に、一緒に走る仲間に、どこまでも高みを目指す自分自身に嘘を付くことになるから。
ただの『人間』の天ヶ瀬冬馬を、『アイドル』であり続けさせるべく、自分と仲間にに投げかけた未来へのエールが、あの『きっとすぐ、物足りなくなる』という予言だったんじゃないかと、僕は思います。
そういう震えと決意がちゃんと切り取られているの、ホント凄いと思う。
どこにも完璧な神様なんていなくて、未熟さを一歩ずつ乗り越えながら、あるいはかけがえない止まり木の上で傷を休めながら、必死に自分を取り繕って勇気を振り絞って『アイドル』を見せてるわけですよマジ!!!

うっかり興奮しましたが、年下の『アイドル』のそういう姿勢を謙虚に受け止め、背筋を伸ばし直している輝の姿も、キラキラしていましたね。
『あのクッソ面倒くさい黒髪、俺が側にいるとツンツンしちゃうから、ちょっと距離おいたほうが良いんスよ』発言といい、やっぱ天道さんは人間関係の視力が良いなぁ……。
『蒼』直系として過去と本音を隠し、仲間たちから距離を取ろうとする桜庭を翼がちゃんとケアしている所も、SideMっぽい眼の良さですね。
隣り合う仲間がどういう震えと思いを背負って『アイドル』してるのか、見落とさないし感謝も出来る視力の良さが、あのホールをサイリウムで埋め尽くすだろうライブまでにどう生きるかは、非常に楽しみです。
細かく細かく、黒髪乙女の繊細ハートを気にかけてる描写が入ってるので、そこまでヘヴィに凹まないと思うんだけどなぁ。


そして三人はホームに帰り、カレーを食う。
その行為が持っている意味、繋ぐ絆は今更再確認するまでもないですが、『近づいて、離れて、また近づく』というユニットの書き方は、ここまでSideMが重ねてきた語り口ときれいに重なっています。
第5話のランニングでも、第8話の合宿でも、あるいは今回のバーター仕事でも、ユニットというホームの親密さを描いた上で、そこから離れて別のユニットと交流する姿を描き、そして再びユニットに戻ってくる。
こうやって繰り返すのは、アイドル個人ではなく、定められたユニット単位でキャラが設定されているSideMの特徴を、最大限活かす描き方なのかなって印象ですね。
変えるべきホームがあるからこそ、新しい可能性をより善く取り入れて、新しい自分に飛び込めるわけだなぁ。

冬馬の得意料理であるカレーを、翔太が貰ってきて三人で食べる。
お互いバラバラの個性を混ぜ合わせ、その刺激で自分たちを前に進めてきたJupiterの現在を巧く切り取った食卓ですが、北斗はその前にS.E.Mとモツ鍋を食べています。
ユニットという『運命共同体』の定番を繰り返し食べるだけでなく、違う家の釜の飯を口に入れることで、これまで稼働してなかったエンジンに火が入る。
315事務所という大きな『家』の中で、Jupiter以外の可能性に触れていくことは、そういう良い結果を持ってくるわけです。
そしてJupiterに起きた変化は、同じようにユニットという『家』を持っている他のメンバーにも、Jupiterと接する中で生まれている。

先輩と後輩。
既にある程度ゴールをくぐったものと、現在進行系のスタートライン上にいるもの。
共に食べ、飲み、思いを言葉にして、熱量を交換していく。
Jupiterにクローズアップすることで、Jupiterがいる315事務所、315事務所にいるJupiterの遠近法を丁寧に切り取る、良いエピソードだったと思います。
ようやく手に入れた日常の穏やかさ、かけがえのなさを切り取りつつ、先に進んでいく熱量と野望、嵐の過去をも慈しめる時の流れを入れ込んできたのは、ホント強欲な作りよね。
それを破綻なく成立させちゃう巧さは、やっぱ凄い。

そして来週は、待ってましたのHigh×Jokerエピ後編ッ!
多幸感満載、無敵の仲良し高校生ユニットの光は、常に危うさと寂寥感の陰りと同時に描かれてきました。
『青春の黄昏』をサブタイトルに据えた次回、一体どんな物語が展開されるのか。
非常に楽しみです。