ドリフェスRを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
王者は去る。空白を埋めるべく燃え上がる若手の中で、可能性を見込まれ玉座を任された幼き勇者。しかし好事魔多し、天から落ちた奏を前に、DearDreamの仲間たちが下した決断とは…。
状況を一気に前に進めつつ、周辺の描写もしっかり固めるクライマックス前夜のエピソード。
三貴士解散というジョーカーが、裏か表か握り込んだまま状況は進む。決定的な部分を隠したまま、ハラハラ感を維持してクライマックスまで繋いでいく手腕は巧いなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
個人的には解散してもしなくても、どっちにしても納得は行く。どちらに転んでも、三貴士は熱い夏を自ら終えたのだ。
フィクションはフィクションであり、現実の写し絵である必要はない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
ただ、ある国民的アイドルグループが自ら行く末を決めたとは思えない状況で解散し、その先にもなお道が続いていることをリアルタイムで見た2017年の僕らに、三貴士解散は生々しく、潔く映る。
アイドルの行く末を、アイドル自身が決められる。ドリカが出たり、エールが形になったりするより、それこそがドリフェス最大のファンタジーなのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
すこしニヒルな気持ちになりつつも、現実の陰影を背負って三貴士の存在感は大きい。それが消えることで生まれる空白のデカさも、よく伝わる
そこを主人公たちが埋めていくまでの流れは、正直少し駆け足で強引だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
『D4プロ全体、アイドル界全体、エンタメ業界全部の大トリになる』とデカく貼るなら、三神さんの一存ではなく、もう少し公平な審査があっても良いかなと、思わなくもない。
ただ、そこに至る三神さんと奏の感情が必要十分にデカい
他の男達が気づいていない、三貴士が隠している『何か』。奏は繊細な感性と愛で、特権的にそれに気づいている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
夜の街を流す移動する密室の中で、濡れた瞳が火花を交わらせ、奏の口から言葉が漏れる。
『今夜は、帰りたくない…』
相変わらずトレンディードラマの文法である。
ただそれは、恋に似た感情であり同時にそれとは違う。アイドルという職業に自分を導き、憧れでもあり、実際に手を触れ言葉をかけてくれる身近な支えでもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
複雑に入り混じった感情が奏の湿った瞳にしっかり乗っていて、ロマンティックでムーディなシーンだった。夜の『気』を活かす演出が巧い。
ふたりが出会って物語が始まったのは、海沿いの公園だった。先週、三貴士が『何か』を決めたのも海沿いだった。奏は三神さんの特別な場所を共有し、踏み入る特権を既に与えられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
出会いは明るい光の中だったけど、決別とも取れる今回の会話は月明かりが照らす夜が舞台になる。
そこで目を開けていられるくらい、夜闇に紛れるものにピントを合わせられるくらい、奏が大人になって自分を見つけるための物語が、Rだったのかな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
ただ真っ直ぐに光に向かって歩いていた時間が終わったことは、寂しいが豊かなことなのだ。そして、その夜から去るものもいる。
三神さんのチャンス論は、主人公への不公平な肩入れをフォローすると同時に、一面以上の真理をついてもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
努力も誠実さも皆が全力で動員する中で、最後の一線を分けるのは運。そして奏に預けてみようという独断は、ここまでの物語での成長が引っ張り込んだ好機だ。ただ座っていたわけじゃない。
三神さんの独断がギリギリ通る(と僕は思った)のは、やっぱ第8話で一回ディアドリの頂点を描いているのが大きい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
ファンを前に『生きてきてよかった!』と言ってしまうアイドル。奏の型破りな『器』を見ていると、そこに夢の名残を預けたくなる気持ちは、何となく分かる。
とはいえ、競う前に追い抜かれてしまった形のKUROFUNEには辛い運びだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
そこで圭吾がちゃんと凹んでいる様子、相棒が未だくじけていない様子を描いて、かつて自分を殴った不良がエールを構えている描写を入れる。選ばれなかったものにも、戦場はある。
あそこで可愛い女の子ではなく、ブッサイクな不良がドリカ構えている作りにしてくるの、凄くドリフェスっぽいし好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
姉さん方にキャーキャー言われるのも、身近なオス共が態度を変えてくるのも、全部アイドルの力なのだ。圭吾と勇人がぶつかり合って鍛えたパワーだ。
今までのKUROFUNEなら、勇人が暴れて圭吾が支える形になっていたと思う。だがR第2話、第3話、第9話と積んできて、勇人は優しさを、圭吾は自分を出す荒々しさを、それぞれ学んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
役割をチェンジしても、KUROFUNEは自分らしくいられる。不良相手のちょっとしたフォローの形に、そういう変化を見た。
これはラストの助っ人宣言も同じで、バチバチとライバル意識に燃えつつ、仲間として支えもする柔軟さを手に入れられたのは、Rで積んだ物語の成果だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
闘争心しかなかったKUROFUNEは、見守り支える強さも手に入れたのだ。残り2話で話をまとめるために必要な、物分りの良さもあるけどさ。
さて、チャンスの神様がくれた翼に引っ張り上げられて、奏は夢の空を舞う。地面に足がついていない抜擢は、あっという間に地面に落ちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
『まぁ、そうなるな』というベタな展開で、同時にベタなだけで終わらせないドリフェス力も感じる。出るのは既定路線として、そこに導くまでの流れが良い。
『無理っしょ』『行けるっしょ!』は無印時代から活用されてきた、ドリフェスのキラーチューンだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
思いが道を切り開く、チャレンジ精神が何より強い。
以前振り回していたポジティブさが、今回同じセリフからは抜けている。無理だし、行けないのだ。言葉だけでは、折れた足は動かない。
それはR第1話、気持ちだけで先走ったデビューしたてのひよっ子から、主役たちがどう変化したかを見せる言葉でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
思いは今も変わってない。その純粋さがあるから、三神さんもトリを預けた。でも、思いだけでなんとかなる領域はデビューとともに終わってしまった。プロアイドルはどうするべきか。
そこをまとめ上げるのは、純哉くんしかいない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
他メンバーがあえて後ろに下がり、決断を純哉に預けるまでの『タメ』が巧い。
プロとして四人で演るのか。思いを優先して危うい賭けに出るのか。視聴者の脳内に『どっちかな?』という二択が浮かぶよう、展開が制御されている。
そして純哉が出した答えは、『奏の気持ちも、プロとしてのステージも両方やりきる』という、圧倒的な正解だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
そういう無茶苦茶を形にしてしまう奇跡を、三神さんのステージに幻視したから、今純哉はここにいる。かつての憧れと同じような奇跡を実現できると、自分と仲間を信じられるようになっている
今回の純哉のあまりにもアツい答えを、笑いつつ泣きつつで僕は受け止めた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
そこには成長した自分と仲間への信頼があって、無茶苦茶な奇跡を実現してみせるアイドルへの信仰があって、三神さんから受け継いだチャンスを掴みたい欲望があった。体温と尊さが喉から迸っていた。
奏が『センター』という特別な位置にいるように、純哉もまた『リーダー』という特別な場所で、特別な決断をした。そこにたどり着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
R全体を通じて追い求めてきた、独力で立てる足、仲間を支えられる背中。その価値を試すかのように、『やる』のだと世界に向かって吠えたのだ。
俺はそれが、凄く嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
無茶苦茶なんだけど納得してしまう、それしかないという一手を言葉に、物語に、アニメにして届けてくれるドリフェスという物語を、全部背負って純哉が『正解』してくれたように感じたのだ。
アイドルならそういう決断をするよね、っていう所にしっかりたどり着いてくれた
それは過大な夢で、押し付けられた幻想に追いつくためにどれだけアイドルが摩耗しているかも、この夢物語は描いてきた。三貴士の撤退も、そういう視線と直面し続けた疲弊の果てにあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
それでも、僕らの身勝手な夢を背負って、アイドルは輝く。無茶苦茶な奇跡を、意思と奇跡で手繰り寄せる。
佐々木純哉という一人の少年が、『本物のアイドル』になった瞬間としても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
そういう夢を追い続ける物語が、嘘をついていないと証明したシーンとしても。
純哉が吠えるシーンは本当に良かった。君がDearDremのリーダーでいてくれてよかったし、君を好きでよかったと思う。
Rが思い求めてきた『自分で立てる足』は、ギブスが巻かれてボロボロだ。抽象と具象を巧く融合させた負傷を背負って、DearDreamは夢の舞台へと降り立つ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
その傷ついた足で背負うものはなんだろう。
奏が個人として抱く、三上さんへの愛か。ファン全てからのエールか。仲間との絆か。
次回のステージは多分、そういうものを全部ゴタ混ぜに叩きつけて、それ以上の場所へと飛び立つような物語になると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
勝つのは解っている。危うさも思いもプロの責務も、何もかも背負って『やる』と純哉が決めたときから、それは確定している。それぐらいの熱量が、あのシーンにはある。
ならば、どう勝つかが、何がアイドルにとって、ファンにとっての勝利なのかを見せる筋道こそが、来週の焦点になるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
汗も、涙も、愛も友情も全てが渾然一体となるステージの先に、どんな答えが待っているのか。奏は憧れから預けられた玉座で、去りゆく神に何を見せるのか。非情に楽しみである。
本番を前に、メンバーを支える身近な人達をちゃんとスケッチしてくれたのも良かったなぁ…俺純哉のねーちゃんがマジで好きで。普段は憎まれ口叩いてるのに、弟の晴れ舞台ではガチ泣きしてくれる情がありがたくてさ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月9日
そういう横幅にも期待しつつ、奏のセンター力でどこまで深く切り裂くか。楽しみだ。