ボールルームへようこそ を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
さぁ飛び込もう、愛おしき未知へ。
決勝の舞台で更に磨き上げられる、多々良の革新、釘宮の伝統。女たちは新たに咲き誇り、あるいは仮面の奥の本性を剥き出しにしていく。
ダンサーの階段を駆け上がっていく多々良と、堕ちかけてしがみつく釘宮さんとの対比が良い。
というわけで、ついに不明領域突入…ではあるんだが、懐かしい人々や過ぎ去った思い出が適度に挿入され、前に進むばかりではないお話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
踏みしめてきた過去があればこそ、現在の先にある未来もある。進歩と縁に嘘をつかないアニメなので、小笠原の面々再登場が懐かしく、嬉しくもあった。
冒頭”Sing Sing Sing!”の思い出から入るところは叙情性あり、多々良ペアの新境地を動きで見せる圧力ありで、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
体中の細胞が高らかに歌い上げている状況であり、Wを足してSwingしている状況でもあり、ちーちゃんという大型エンジンに振り回され振り回されるペアにふさわしい曲よな。
『ダンスホール一気持ちの悪い男』こと清春が適度に解説してくれたので分かりやすいが、ちーちゃんという特大のエンジンをようやく乗りこなした多々良は、大きく強い踊りを手に入れた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
それは釘宮さんが決死にしがみついてきたクラシックと対峙するスタイルであり、雑音のように司会に入る。
あのモジャモジャは釘宮さんの高い集中、自分のダンスへの確信であると同時に、ひどく脆い本性を隠す鎧でもあったのだなと、回想を見て気付く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
それをぶち破って侵入したのは、必ずしも悪いことではない…と思いたい。正美ちゃんが受け止めきれるのなら、だけども。
今回のダンスは多々良-仙石のラインが体現する『革新』と、釘宮-国枝のラインが背負う『伝統』の対立軸で支えられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
しかし多々良と釘宮さん、あるいはそのパートナーたちがお互いを高めあったように、『伝統』と『革新』は単なる対立概念だろうか？ 対比され得るからこそ、新たな進化も起こる
仙石さんは多々良を優しい嘘で包みつつ、『異質を愛せ』と囁く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
性が違い、感性が違い、理想が違う相手とそれでも手を取り、同じ曲で踊る行為。つまりはダンスを愛せ、ということだ。
細やかな技術や勝つためのダンスを教えられなくても、仙石さんは多々良の最初の男だ。特別なのだ。
子犬のようにはしゃぎまわる多々良の表情は、嘘を嘘と疑わない無邪気さに満ちている。そしてしっかり女を抱きしめ、その先にある開花を導くタフさも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
元々エロティックな表現を活かし、ダンスという身体表現を二次元に落とし込む魔法に変えてきたアニメだが、多々良の出産には度肝を抜かれた。
多々良は仙石さんから受け取った嘘≒魔法を体内で熟成し、千夏を咲かせる。受け止め、育み、輝かせる『女の性』を自分のものとして、渾然一体の境地へ辿り着く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
ダンスにはそういう魔力があるのだ。境界線を維持したまま、己が新しい場所へ飛び出していく活力が。
自分の大切な存在を『見る』ことが好きな少年は、同時に『見られる』ことも大好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
己を振り返ることなく去って行った母の代理として、会場中の視線を掻っ攫う。まこを抱いて踊った時は引っ込んでいたエゴが唸りを上げ、『俺を見ろ』と吠える。その踏み込みが、別のパートナーを咲かせる。
額縁から溢れ出す黄色い花と、多々良自身から花開いた赤い花。全く違う咲き方で、全く違うパートナーだが、それは『花と額縁』というクラシックなダンスの理想に寄り添っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
相手によって咲き方を変える多々良の感性が、パートナーに反射して拡大する。なるほど、ダンサーになったのだ。
そんな風に大きく、激しくスウィングする多々良に対し、釘宮さんは縮こまる。『見る』のも『見られる』のも嫌いな男の腕の中で、じゃじゃ馬が仮面を引剥して前に出る。『リーダーがパートナーを尽き従える』という古典から、意を決してはみ出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
井戸川さん…あんたどこまでいい女なんだい…。
そばかすだらけの無表情に見えて、井戸川さんもまた情念の女だった。リーダーを引っ張り上げる、リーダーの資質を持ったパートナー。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
それは革新のエンジンである千夏と同じ、ストロングな資質だ。正反対に見えるライバルは、お互いよく似てる熱量を持っていた。
それはリーダー側も同じことで、多々良だって釘宮さんの背中の傷を知っている。そこに込められた歴史を知って、敬意を持っている。本気で戦うにふさわしい、『見る』に足りるダンサーだと認めているのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
そんな多々良の思いは、『伝統』を背負う釘宮さんに届くのだろうか。
それは来週以降として、ツンツンキツいことばかり言ってた釘宮さんが、井戸川さんの情念をしっかり受け止め立て直してくれたのが、とても嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
審査員も分かっているように、釘宮さんはダンスに真摯だ。地獄と知りつつ戻ってくるほど、ダンスを愛している。そんな釘宮さんに、井戸川さんも本気だ。
井戸川さんもまた、『ダンスは趣味』と嘯きつつ、ぶっ壊れたパートナーを信じて寄り添い、折れそうな時は自分が前に出た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
多々良とちーちゃんがたどり着いた『二人で扉を開ける』パートナーシップによく似た、でも違う関係性。アシンメトリーな鏡像が混じり合い、高め合う。
そんな風に相反して見えるものを取り込み、影響し反発し合いながら、ホールの温度は上がっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
何かが新しく生まれそうな、辿り着いた高みをさらに超えて飛翔しそうな予感が、みっしりと踊りの中に満ちていく。良いクライマックス直前、決勝三種目目だ。
決勝四種目目はヴィニエーズ・ワルツ。ベーシックの完成度が問われる、釘宮得意の種目だ。『革新』の荒々しさで踊りきれない難事を前に、尊敬する相手を『見て』盗む多々良の異才が、ひっそりと的を絞っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
傷を隠して踊り続ける、大好きな先輩の『伝統』をじっと見据えている。
過去の描写を適度に挟むことで、懐かしさと成長、変化と対照を見事に切り取ってくる回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月11日
お互い譲れないものと共通点を際だたせることで、最終局面に必要な圧力と温度は十全。真摯にダンスを踊り続けた者たちが辿り着く高み、来週が非常に楽しみである。
