キラキラ☆プリキュアアラモードを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
個別回のアンカーは、気まぐれ猫ちゃんゆかりさん。なんでも出来る代わりに、何も持ってない空疎な少女が見つけた夢と旅立ち。ゆかりさんのパーソナリティをしっかり掘り下げつつ、キラパティという『場』の話であった気もする。良い話だった。
というわけで、結構いい感じにプリモードをまとめつつある個別回ラストラップ。ここまで一年ゆかりさんに猛烈な燃料を入れてきた坪田さんだけに、ハードに上げて暴走するか…とも思っていたが、希望ある離別をしっとり奏でる展開となった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
落ち着いた造りが良いだけに、エリシオの乱入が目立つ目立つ
イイコが多いキラパティで、ゆかりさんは一人ズルくて自分勝手なワルイコだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
楽しいことを知らないから、楽しいことを探している。体重を預けれる仲間がいないから、チヤホヤされても満足できない。大人びた空疎をあけっぴろげに振り回す、人格完成度の高いお姉さん。
そういう子が実は凄く寂しくて、自分に欠けている部分をキラパティに求めていた…というのは、結構どっしり語られたネタだったりする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
闇の誘惑を弾いたり、リオくんを手玉に取ったり。何かとパルフェな部分が目立つ人だったが、第25話で語られた脆い部分は、その完璧さの隙間で結構丁寧に積んできた
気まぐれで自分勝手と言いつつ、ゆかりさんはキラパティに何かを求め、キラパティも自由で気ままな彼女を愛した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
そこら辺の呼応は、冒頭グイグイ前に出てくる似合わない仕草を、意外に思いつつ嬉しく思う仲間の描写で、巧く前に出せていた。それは意外だけど、良いことなのだ。
『キラパティのお父さん』であるあきらとの関係性がよく目立つ人だったが、ではいちかに抱擁をせがみペコリンを抱きしめる行動は、積み重ねのないブッコミか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
そうではない。彼女がいちかの発想力、ペコリンの無垢を相当気に入っている描写も、これまで結構ちゃんと描いてきたのだ。
そういう感じで、今回のお話はこれまでの『琴爪ゆかり』を丁寧に振り返りつつ、そこから必然的に導かれる結論を、肯定的に描くエピソードだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
なんでも出来るから、何もない女の子。キラパティに出入りして、プリキュアとふれあい、変身して戦い、スイーツを作る。そういう日々が彼女の空疎を埋めた。
ゆかりさんはようやく、欠けていたキラメキを埋める方法に自分でたどり着いたのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
『仲間と出会ったスイーツを深め、祖母に学んだ茶道を盛りたてる』という夢。それはこれまで自分を支えてくれた人の繋がりへの、分厚い敬意に満ちた決断だ。
あおいは奪われてなお光る夢を、大声で叫んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
ひまりは『自分が嫌いな、引っ込み思案な自分』を一年かけて肯定した。
あきらは自分の中のある寂しさと、生まれついての善性に踏み込んだ。
そしてゆかりは、空っぽな自分を一年かけて充足し、見つけた夢と絆をより輝かせるべく、キラパティを出ていく
最終エピソードはこれまでの経験、そこから導かれる変化を多角的に描いていて、かなり面白い。(既に揺るがない自分を見つけいるシエルの物語が、ジュリオ軸で回ったこと含めて)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
同じ物語を共有してきた子供たちが、それぞれ違う結論にたどり着き、自分なりの道を歩く。その多様性は、結構好きだ。
ゆかりが本格的にパティシエの道に進んだことは、弛緩気味だった『スウィーツ』というテーマを引き締める、良い決断だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
オママゴトめいた夢の日々から、自分の一生を決める決断へ。キラパティはそういうものが生まれる場所で、スウィーツは夢を預かるに足りる、価値を持っているわけだ。
シエルの手を取って『思いだけではなく、それをより伝えるための技術』を学びに行くのも、ともすれば甘くなりすぎるテーマのバランスを上手く取り、引き締めていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
いちかがマインド全振りなんで、どーしても『心の料理』全肯定になりがちだが、『技の料理』をちゃんと認めたのは、凄く良かった。
完璧に見える女の子が、その実空疎と倦怠に蝕まれていたように。そしてそれが、キラパティを中心としたじゃれ合いの中で満たされていったように。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
スウィーツ(に限らずあらゆるもの)も、正反対に見えるものが補い合って、より善くなっていくのだろう。どちらも欠けてはいけない、大事な特質なのだ。
そういう意味で、エリシオに「心がからっぽの道化が何をしようと虚しいものよ」と啖呵を切ったのは、かっこよく残酷な彼女が未だ活きていることを見せてくれて、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
からっぽの心を情で満たされた彼女も、孤高故に輝く彼女も、全部同じ琴爪ゆかりなのだ。
キラパティで作り上げ、確かめたものを胸にしまって、去りゆく決断をスパッと決めてしまえる所も、なかなかにハンサムだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
そんな自分になれるのも、一年間の物語が、空っぽの女の子の中身を埋めたからこそ。エリシオはやっぱり、鏡役としていい仕事をするなぁ。
ゆかりさんの人格をディープに掘り下げつつ、彼女が造った関わりも切り取る今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
子供としてのペコ公が目立ってたとか、ビブ公のあざといムーブが炸裂とか、すっかり姉スキーを隠さなくなったリオとか、サブキャラの描写もいい感じだった。
別れを前にしてなお、まっ先にそれを肯定してしまえるいちかの『イイコの檻』みたいのも、巧く描けていたと思う。そこら辺、あきらさんと似てるね。自分の寂しさより、絶対的な正しさの方にまず踏み出してしまう性質というか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
…自分に欠けてる公平性を、ナチュラルに補ってくれる女がスキかゆかり…
あきらさんはどっしり構えて、『キラパティのお母さん』の決断を慌てず祝福していました。あんま派手にはやらなかったけども、一歩引いた所で話を支えてくれた二人の距離感がちゃんと詰まっていて、良いなと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
一番動じてねぇのビブ公なんだよな…さすが100歳超え。
そんな涙の別れに、空気を読まずに乱入してノルマをこなすエリシオ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
個別回も無事走りきり、『もうゴールしてもいいよね…』とばかりに手札使い切ったのに、ノワール様はまだまだ命を燃やせという…。
あ、今週のクソダサ冥衣(サープリス)は過去最悪のダサさで、最高に良かったです。
ゆかりさんが猫をあやす仕草と、ノワール様がエリシオを撫でる指先が似通ってるのが、なかなか鋭い所で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
振る舞い自体は同じなのに、他人に期待する少女と、何も愛さない怪物の内面は正反対で、それが微笑ましいじゃれ合いをおぞましい誘惑に変える、というね。
プリキュアの幹部連はナニカとハラスメントな職場が多く、黒く甘い誘惑漂うノワール一味は、結構特殊だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
だがそこには、心の欠けた子供や人形を思うがまま操り、使い潰して顧みない、凄く生々しいエゴイズムが詰まっている。家族性を最悪の形で濫用してくる感覚。
誰にも期待してなかったゆかりさんが、偶然と運命でキラパティに立ち寄り、『新しく出会ったもの』で自分を満たす。あるいは、祖母や茶道といった『すでにあるもの』の価値を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
今回描かれた物語は、巧くノワールの誘惑を照らし出し、その邪悪な色彩を強調してきた。
プリモードは巨大なスペクタクルも、デカいスケールの世界の危機も描かない。敵も味方も、いちご坂というローカルな場所で、小さな善悪を積み重ねる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
その結果、『愛を装う邪悪』という形態をラスボスに背負わせ、独自の描き方になったのは面白いことだと思う。
思えばノワール様は、ずっと心に欠けた子供に甘い言葉を囁き、良いように使って使い潰してきた。ピカリオもビブリーも、多分エリシオもそうだろう。人形呼ばわりだし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
それは暴力で全てを押し流すのと同じくらい、あるいはより質の悪い、甘く優しいエゴイズムなのだ。そのハンディな描き方は好きだな
物語の終りが見えてくるこのタイミングで、闘うべき悪の顔、そして『別れ』のポジティブな意味を取り込めたのは、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
仲良しムードでずっと続いてきたこのお話、『離れていくってのも、結構良いよ』とカウンターを当てる仕事は、イレギュラーたるゆかりさんが一番似合うわな。
敵だったものが味方になったり、仲良しだけど別れたり。明るく優しい語調を基調としつつ、色んなイレギュラーがあるからこそ、物語は面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
未知に胸おどらせる『ワルイコ』だったゆかりさんらしい、良いエピソードだったと思います。個別エピとして深度があるのに、横の広さも確保できてる。
これでいちか以外は最後の個別回を終え、自分たちなりの結末をちゃんと語った。色々悩ましいところもあるプリモードだが、最後のまとめはしっかりやったし、急に付け足したものもそんなになかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
自分たちが造ってきたもの、語ってこなかったものをちゃんと見据えて、今できる精一杯を出してくれた
それはとても良いことだなと、僕は思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2017年12月24日
残り一ヶ月、加速する決戦の中でも、いちご坂のトンチキなヒビを切り取ってきたローカルな目線を活かし、巧く運んでほしいものだ。
まずは次回、エリシオラストエピか…お前は本当によく仕事したよ、最後のお勤めもキッチリな! クソダサ冥衣期待しとるぞ!!