衛宮さんちの今日のごはんを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
まさかの不意打ちでブチ食らわされた、あり得ない可能性の世界。血と宿業に塗れた戦士たちよ、今は休め。温かい我が家で美味い飯を食い、当たり前の人生を丁寧に生きろ。
超巨大コンテンツだからこそ許される、平穏極まる物語。UFOの新機軸としても面白かった。
というわけで、Fate×飯アニメである。内容はFateキャラが全員まったり生きて、飯を食う『だけ』という、なんとも異形のスピンオフである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
のだが、ただ食べるだけではなく、下ごしらえ含めた調理過程、それがどういう文脈でどのような感情を励起しながら食べられるかを丁寧に追う筆が、グッと引き込む
ギリギリご家庭でお出しできる範囲で、極限的に丁寧に仕立て上げられていく天ぷら蕎麦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
普段はファンタジックなアクションシーンで唸るUFOの作画力が、まったりした空気を壊さぬ加減でしっかりほとばしり、彼らが生きている空間の丁寧さを切り取ってくる。その空気の出し方が、とても良い。
京アニともシャフトとも違う、鮮明な輪郭を保ちつつもアニメキャラと馴染む、優しい美術。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
『メシ』という生活感の塊だけを扱うに相応しいリアリティと、現代伝奇アクション出身の尖ったキャラが巧く馴染むよう、デザインも色彩も丁寧に整えられ、尖りすぎず丸くなりすぎず、いい所に落ち着いている。
15分という時間も、女衆がこたつの魔力に囚われ、それを横目に見つつ充実した日常を提供してあげる衛宮士郎を切り取る『だけ』のスケッチを、いい具合に保たせている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
もうちょい長いとダラケてきて、短いとこの空気を堪能できない。一つ一つの仕草に気遣いと温もりがある、優しく充実した時空間。
じんわりと『ああ、良いなぁ』と思えるよう、細かく尖った部分を削り取り、視線や仕草に相手を思いやる感情を込めながら、アニメは進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
凄く張りつめた計算で成り立ってるのに、そこら辺を水面下に隠すことで、ただただサラッと食える。こういう『陰』の技量をUFOが使いこなしているのが、特に面白い
ピンと張りつめた色彩で冬の肌寒さを感じさせてから、買い物シーンのほっこりした空気で減速して、イリヤと藤ねえのいる衛宮家でフッと弛緩させるトーン・コントロールも良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
本編では血みどろの死闘を際立たせるスパイスだった食と日常は、ここでは還るべき家、語るべき本題なのだ。
それはまぁ、儚い夢というか、強まったファンの寝言というか、確かにそういうもんを拾い上げて作り上げた嘘ではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
のだが、そういう嘘を見たくなる手触りが本編にはあって、その延長線上をきっちり見切って、このアニメは置かれているとも思う。見たかったアニメを、見たい風に仕上げてくれた。
個人的には、士郎とセイバーが二人連れ立って歩くシーンが、凄くロマンティックなのが良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
ポップアイコンとして色んなメディア、色んな画風、あるいは色んなキャラとして量産され続けるセイバーだけども、『可憐なる10代の少女』としての側面を巧く切り取った、いいデザインだと思う。
料理シーンにしてもキャラデザインにしても、また美術にしても。全体的にキチッキチッと丁寧に収めて、乱れたところがない。清潔感と生活臭がふわっと漂っていて、画面の向こう側に誘い出されるような地道な引力がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
その中心に、セイバーがちゃんといてくれるような作りであった。
戦場では苛烈な強さとして表現される、澄んだ色合いの騎士王の魂。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
過酷な展開がそれを試し踏みにじることが多いけども、やっぱりセイバーさんの魅力は背筋の伸びた清潔さにあると、僕は思う。
あの可愛らしいデザインの奥で、そういう『冴え』が忘却されず顔を見せてくれて、画面全体に滲んでいる。
推しの贔屓目として、そういう印象を受けたのだ。正しくアイドルムービーの作り方だな、コレ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
無論他のキャラも優しい世界に巧く馴染んで、戦のない世界ゆえの魅力をグッと引き出されていた。『うまいもん食わせてやるかッ!』って気概を自然に食事に込められる衛宮くん、ハンサムボーイね…。
というわけで、非常にクオリティの高い日常アニメであり、食事アニメであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
下ごしらえの部分に作画力を使い、独特の楽しさを宿らせることで『食事行為の全体』をポジティブに掴まえたのは、凄く良いと思う。
口に入れて飲み込む瞬間だけが、食事の意味でも尊さでもないよなぁ、っつう。
今後も月イチでやってくれるようで、非常に楽しみである。『冬』の気配の切り取り方が非常に洗練されていたので、次回はまた別の季節をどう捉えるのか、見てみたくもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月1日
肩の力を抜いたUFOがどういうアニメを創れるか、そういう視線でも面白い。新年早々、今年の楽しみができてありがたい限りである