ゆるキャン△を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
雄大な自然、実用的ながら可愛い洋服、お洒落なキャンプ用品。醸し出されるいい雰囲気の中、女と女が出会うッ……!
ディテールを詰めたいい塩梅の空気と、そこで触れ合って生まれる小さな変化の予感を、すごーく静かに小さく積んでいく。清潔で小気味よいアニメ。
別に世界の危機ってわけでも、青春が激動するわけでもないゆる~いセッティングの中で、非常にゆったり時間は進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
そこを埋めていくのがキャンプのディテールであり、現実を立脚点にしつつ、現実よりも魅力的な一瞬を詰め合わせるフィクショナルな輝きである。
自電車を漕いで、用具を出して、焚き火を集め、飯を食う。時々おしっこにも行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
東山奈央が、驚異的な芸達者力で魅力的に演じるリンちゃんさんのキャンプは、特に波風なく進む。なのに、凄く魅力的な雰囲気がゆったり漂って、そばに寄りたくなる温かみがある。
これはよく現実を観測し、細部を詰めていく眼と、そこから学び取ったリアリティがきらら的デフォルメをぶち壊しにしないよう注意深く使っていく腕の、細密なバランスが産んでいる引力だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
いい具合に嘘っぽくて、適度にホントっぽい。『あー、なんか良いなぁ』と素直に思える中間点に絵を置く。
そこら辺気を使いながらタイミングを測り、音を入れ、動きを作り、背景と小物を書き込んでいった結果、ああいう独特で魅力的な間合いが生まれているのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
ホント大したことは起こってないのだが、グッと引っ張ってくる。この引力は凄く頑張らないと出ないと思う。
『よく考えたらあるわけないが、あったら良いなぁと思える』というのは、身近なファンタジーを描く理想的なバランスだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
『アウトドア』というなんとなーく知ってるつもりで、そのくせ全然知らないテーマを描く時、この重心点が掴めているのはデカい。メインテーマがとにかく魅力的に見えるからだ。
この不思議なバランスはキャラにも生きていて、寡黙なソロキャンパーのリンちゃんさんは寡黙だけど、なんか魅力に満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
アホの子なでしこに自分から構うわけではなく、でも出会ったことはちゃんと受け止めて、カレー麺食べさせてくれる。優しい女だ…(暖かいメシ食わせてくれる人に弱いマン)
キャンプド素人・なでしこにとって、今回の放浪と邂逅が特別なイベントなのは、良く分かる。周囲は寒く見知らぬ土地で、気付けば暗い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
そんな時出会ってしまった女と焚き火。湯気立つカレー麺。魂を吸い寄せられるには十分な魔力である。ここから彼女のキャンプ道が始まるのであろう、多分。
そして表情あまり変わらないリンちゃんさんにも、なでしことの出会いはココロ動くものだったことが、富士山にかかる月光の演出で見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
美しい静寂をヴェールで包むように、美しいものの輪郭を露わにしていく月の光。それが照らしたのは、逆さ富士の絶景だけではないはずだ。
こういう感じで、美しく静かな雰囲気を壊すことなく、フッと情を景色に乗せる演出が全体的に巧かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
『寒い』と言葉でいう代わりに、焚き火を前の逡巡とそれを乗り越えて火をつける過程を丁寧に描く。さらっと『5℃』の看板を見せる。
ここら辺のストイック…ともちょっと違う、抑揚が効いたポップさを感じさせる演出で、淡白な展開と画面に色を付けていく筆使いが、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
静かなんだけど静か過ぎず、心地よい音が流れている。ここら辺のバランスは喋るなでしこと、黙るリンちゃんの描き方にも現れているか。
キャンプの一仕草、一アイテムを疎かにしないリアリティが、いかにも漫画っぽいデザインと不思議なマッチを見せて、魅力を作っているのも良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
全力で全部忘れられる聖域を作り上げるというよりは、日常から半歩はみ出したファンタジーを大事に作っていく姿勢というか。好きなスタンスだ。
寒かったり暖かったり、メシ食ったりおしっこしたり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
ツルッとセルロイドなアニメ美少女に、キャンプの肌触りを宿すべく人間の仕草を細かく織り込んでいるのも、テーマとデザインを巧く馴染ませる工夫だと感じた。
服飾が『現実にありそうだけど、とっても素敵』なのも、手触りあって良い。
ストレンジャーたるなでしこが、キャンプのある世界に飛び込んでいって何かが変わる。あるいは何も変わらない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
静かな世界の中で、『そういううねりはちゃんとあるよ、そしてそれは良いもんだよ』というテストケースをしっかり見せてくれたのも、第1話として嬉しい限りだった。女と女が出会ったのだ。
今回は学校の外に出た本栖湖畔で1話が展開したが、今後学校を舞台に色んな子が首を突っ込み、何かが起こるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
そしてその語り口も今回のように、基本静かで、でも確かな感情のうねりが穏やかにあって、美しく楽しそうな世界で展開するのだろう。
そういうヴィジョンと期待感が、しっかり高まる良い出だしであった。ディテールがホントしっかりしてて、『現実より現実っぽい嘘』がちゃんで来ている所が、作品のウリを静かに視聴していて、健全なる野心を感じた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
『オレたちは『こう』だぞ』っていうメッセージは、声高ではなくても大事だ。
世界観、キャラ描写、ドラマの展開、メッセージの見せ方。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月5日
全般的に抑えた調律だが、その静けさの核に確かな美しさと温もり、楽しさの予感があった。これはいいアニメだと、スッと心に滑り込んできた。
今後もじわじわ、キャンプのある美しき日々を穏やかに見せていただきたい。来週も楽しみだ。