キラキラ☆プリキュアアラモードを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
灰色の世界を抜けて、行くぞ最終決戦! 解禁されたステゴロが唸り、心象宇宙での説得バトルが吠える。
細かいツッコミどころはあるものの、終盤からラスボスまで『悪役』をやってくれたエリシオの内面をしっかり彫り込み、対話と未来に繋げるいい最終回だった
つーわけで泣いても笑ってもラストバトル、肉弾戦と概念戦の2枚看板である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
こういうスピリチュアルな展開になると、プリモードのトンチキな宗教っぽいムードがよく吠えるわけだが、スピンアウトしない程度に熱量のある描写になった
ビブ公説得シーンみたいな絵面になったらどうしようと思ってたよ…
最初の肉弾シーンは作画力開放、クリーム縛りで上がらなかった熱量をガンッガンに盛り込む、熱い戦いだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
ラストのラストで結局直接打撃を解禁したのは、プリモードの試みが一つ、目的を達成できなかった証明みたいで少し悲しくもある。
まぁそりゃあ、ぶち殴ったほうが分かりやすいわなぁ。
とまれ、プリキュア(というかあらゆるヒーロー)の戦闘は肉体を削り合う破壊であると同時に、拳で理解し合うコミュニケーションでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
愛と義務感ゆえに凪の世界を求めるエリシオに対し、プリキュアは戦いながら別々の理想を吠える。ラスト個別周で、各キャラの未来を確認したのが効いてるね。
あの発言はまんま、第41話から47話にかけての物語を支えにしての発言である。直近のダイレクトな支えがあることを喜ぶべきか、さらにデカいスパン、物語全体でそこにたどり着いた感じが薄いのを嘆くべきか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
ともあれ、各々バラバラの夢に、みんなでたどり着いたあの光景が、プリモードの終端である。
ペコ公の『美味しいお菓子食べたいペコ!』という願い含めて、俺はあのシーン好きだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
手をつなぐこと、みんなでいることは大事だ。そうやって支え合わなきゃ歩けないくらい、プリキュアも人間も弱い。だから、仲間がいることは死ぬほど大事だ。話のど真ん中に据える価値がある。
だがそれは、同じ方向だけを見据えて、狭い世界に閉じこもって『みんな』を守ることとイコールじゃない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
願いも資質もバラバラな連中が集まって、一つの夢を一時共有した。その結果、見つけたものはバラバラで、でもピカピカだと胸を張って言える。お医者になるのもお菓子食べたいのも、大事な夢だ。
プリモードは正直いろいろ粗のあるシリーズだが、ことこういう部分には嘘がなかったと思う。ちっぽけで、ローカルで、あんま強烈には結びつかないけど、でもだからこそ見える景色がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
今回の最終決戦は、そういう場所にちゃんと向かい合った展開であったと思うのだ。それは物語の幸福な終わり方だ
そういう真正さは生身の殴り合いが終わった後、宇宙規模にインフレする概念バトルでこそ、どんどん加速していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
有り余るラスボス暴力でプリキュアをふっ飛ばした後、フッと見せる哀しみの表情。エリシオの内面に(文字通り)入っていく展開の中で、その真実が見えてくる。
今回の主役は間違いなく、プリキュアの願いを照らす鏡として、戦いの構図を支える『悪役』として、終盤色々頑張ってくれたエリシオである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
クソ童貞拗らせたポンコツ戦闘兵器のオヤジと、彼に答えを与えられなかった昔のプリキュアなおふくろ。愛ゆえに争った二人の赤子として、愛のない世界を望む。
彼は『悪役』であることにとても真摯で、義務感の強い敵であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
強めの闇を持ち込むことで、プリキュア単品では向かい合えない心の奥底に直面させ、それを打ち破る答えを導いてきた。
心がない人形を自認しつつ、強く光に引き寄せられ、何かの答えを探し続けてきた。
そこら辺の下準備があればこそ、今回の掘り下げと救済がよく刺さる作りになっている。ビブ公やジュリオもそうなんだが、敵のほうがディープかつクリティカルに、話数使ってかけてる感じあるんだよなぁプリモード…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
愛ゆえに虚無を望むエリシオの『悪』は、欲しいものがちゃんと見れて大満足である。
愛が執着に変わって、世界全体を否定する所までこじらせちゃったクソ親父、ノワール。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
思いっきり反発しても良いクソっぷりだが、エリシオはその哀しみややるせなさを自分に引き受け、父の哀しみを消滅させるべく世界と心を殺す。孝行息子である。
ほんまグーパン入れてええぞ、ルミエルさんも。
ここら辺、いちかの父母が『家族に誇れる自分でありたい』という夢=現在を取り戻し、その繋がりで自分を再確認していく動きと対比になっていて、なかなか面白かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
ノワール一家のクソっぷりは、例えばビブ公とかジュリオでも主役と対比で描かれてたわけだけど、今回画角がちょっと違うのよな。
あの時は主役を支えるものを転倒させ、そこに潜む危険性を『敵』が背負う形の描き方だったけれども、エリシオの内面に潜ることで、その転倒をある種の主体性、正当性を持って描く形になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
親の願いを自分なりに叶えようとしたいちかとエリシオは、最後の最後で通じ合うのだ。
たとえ歪んだとしても、エリシオが果たそうとした願いには力と尊さがある。それ自体を否定してしまえば、いちかがあそこで立ち上がれる理由も、この話の主軸もすっ飛んでしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
なので、いちかによく似た『優しい良い子』であるエリシオの過去に潜り、その幼年期をちゃんと描いたのは良かった。
プリキュアが『敵』と同じ暴力を使うように、エリシオもまた闇のスイーツを作った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
陰りは常に人に付きまとうし、でもそれに負けるばっかりが人生じゃない。お互い求めるものはどこか似通っていて、でも間違えてしまう人と、正しく歩める人がいる。
そういう相互交流を、スイーツの形で描いたのは良い
いちかが親の事情を飲めてしまう『イイコ』であるのは、おそらくシリーズベストである第31話で鮮明に描かれた。それ以外にも、彼女の笑顔の奥の陰りは幾度も切り取られた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
それがあればこそ、頑張って笑顔を作っていく世界への希望で星を包み、再生するクライマックスには必然性が出る。
偏らせすぎた感じもあるが、主役・宇佐美いちかの陰影あるキャラクター、『イイコ』『アカルイコ』が背負っている軋みを伝え続けたことは良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
同じく孝行息子であるエリシオがラスボスに座ることで、鏡合わせの二人が一つに通じ合う展開が、いい具合に集大成感を出していた。
スイーツが星を作るぶっ飛び展開も、『みんなで創る』ことは重ねて描いてきた今作には、必然的なクライマックスであろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
ここまでは『悪』として拒絶するだけだった闇のキラキラルスイーツを、その『悪』の精髄たるエリシオの心を混ぜて作り直す。それを経ても、エリシオは皮肉屋な『悪』のままだ。
霊体になっても偉そうなビブ公も、善オチして別人になるわけじゃなかった。ジュリオも姉と二人三脚、ときにぶつかり合いながら生き方を学んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
ひねくれ者がひねくれ者のまま生き直せる世界観は、プリモードの好きなところである。可塑性はスイーツの強みなんやな。
形上は宇宙規模に拡大したクライマックスだが、それはあくまでエリシオの内面に世界が取り込まれた結果起こった、非常にコンパクトな物語である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
決戦を終えた世界は夢に消えて、日常が帰還する。当たり前の日々が当たり前に続いていく、ご町内単位のコンパクトな英雄物語。
その舞台づくりは凄く、プリモードが描いてきた範疇に合っていて良かった。そういう話しかしてないんだから、エリシオと分かりあっても世界は変わらない。いちご坂から出ることはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
それで良いし、それが良いと思う。そこからパリなりコンフェイト公国なり、広い世界へつながってもいるのだろう。
留学を決めたゆかりだけでなく、いちご坂ローカルに縛られた子供たちはいつか、どこかに旅立っていく。時間も流れて、少女たちはいちか少女でなくなるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
そういう可能性を肯定して、このプリキュアは最終決戦を終える。小さくて、前向きなクライマックスだ。
『拡大していく継続』は空間だけではなく、時間にも作用する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
自分の中の義務感と悲しみを混ぜ合わせ、一つのスイーツを生み出したエリシオは、『この勝利は一時の奇跡』だと釘を刺す。奇跡は何度も生み直され、継続されなければいけないと。
そういう不都合な真実を言えるのも、『悪役』ならではだ。
プリキュアの特別な戦いを切り取ったアニメは、来週で終わる。でも少女たちの夢と戦いはずっと、あの作品の中で続いて行く。拡大し、ときに挫折もするだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
その陰りは必然的なもので、毎回毎回頭を捻って、ときに独力で、ときにみんなで解決していくものだ。それで良いし、それが良いのだ。
エリシオの別れの挨拶は、そういう爽やかな想像に僕を導いてくれて、本当に素晴らしかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
お前は本当に良いキャラだよホンマ…最終決戦の晴れ着に、お父ちゃんとお母ちゃんを半々で取り込んだアーマー着込むとか、どんだけ両親好きなんだよお前。しかもプリキュアと悪のラスボスの融合体だよ。
誰よりも鋭い感性を、感情のない人形という(毒親ノワール様から押し付けられた)セルフイメージに押し込め、それでも光を求めてプリキュアと拳で対話し続け、見つめ続けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
そんな彼が、終盤『闇の変身ヒロイン』をやっていたのは必然であるし、最後にスーパーフォームになるのも納得である。
男性格である彼が、明言されないながらもプリキュアであったのは、キュアワッフルことジュリオと合わせて新しい流れ、いい傾向だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
男プリキュアをネタにせず使ってくれるのは、個人的には大事な前進であるし、必然でもあると感じている。まぁ堂々とカム・アウトできないところが限界点だが。
さておき、ネアカなふりして根暗な主役・いちかをしっかり掘り下げてきたことが、義務感で邪悪を演じる孝行息子・エリシオのラスボスとしての描写を明瞭にした、良い最終決戦であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
この対比はホント、シリーズ貫通してきっちりやれた部分だと思う。プリモードそういうの、あんま多くないねん…。
娘の奇跡で夢を取り戻した時、さとみはまず『世界中の人』を見る。家族はその後である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
良くも悪くも、宇佐美いちかの母親はそういう人であり、それ引っくるめて彼女を愛したいちかは、寂しさを押し殺して『イイコ』を自認し、母への愛を燃料に、その先へと飛びだっていく。
エリシオもまた、愛を拗らせた父母の戦いを悲しく見つめ、それを超越するために灰色の世界を臨んだ。主役とラスボスが、性別も生まれ方も超えて魂の双子な作りは、やっぱ最高にいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
そんなエリシオが父母を生まれ直させ、手放し別れる終わり方も良かった。ようやく、『悪役』やらんで良いんだね。
ラスト個別回から無駄なくエピソードを積んで、完全燃焼させた結果たどり着いた、とてもいい最終回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
残りは一話まるまるエピローグ。さんざん話の都合を押し付けられた長老が怨霊と化してたが、まぁ当然だろう。ラストでも亡霊の強みを好転のきっかけに使う辺り、よく出来た亡霊だホント。
一年を通じて、個別の夢を見つけたキラパティ。その歩みも楽しみだが、悪役連中が今回のバトルの後、どんな日常を見つけて生きてるかが凄く見たい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
拳を交える戦いが終わっても、人生という旅は続く。それは『悪』とされて生き残った人にこそ、語られるべき物語だろう。
最終話、とても楽しみです。
追記 変革と忘却は、多分等価に尊い
プリモード追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月21日
異世界とのゲートを開いて人類世界を改革し、プリキュアを政府公認にしてしまったドキドキと、世界の破壊と再生が夢と消えてしまい日常が続くアラモード。
両方が『プリキュア』の範疇に入っている所に、僕は凄く強くて豊かなものを感じるわけです。