宇宙よりも遠い場所を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
眩しい光の、その先へ。オンボログルマに乗っかって、目指せ夢への第一歩。ついに四人となった前髪パッツン夢見る行動力バカ軍団が、地味な訓練にワクワクを詰め込んでゆるキャンプ△な回。
弾む期待感と、確かにある陰り、とびっきりの光と各々の個性が見える話だった。
というわけで、やっぱり色んなものがみっしり詰まっている第4話。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
本命の訓練シーンがやはり印象に残るが、キマリの家庭環境や大人チームの雰囲気、コンパサーとしての主役の資質と、彼女が切り開いていく隠された者の気配などなど、非常に豊かに展開していた。
暗喩の性能が高いので色々詰め込めるな
もともとシリアスな部分とコミカルな部分のバランスが良く、弾むような楽しさと、要所をビシっと締める真剣さが両立している作品である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
しかも真剣さを担当するキャラが毎回変わるので、皆がアホで皆が真剣で、つまりは色んな顔を持つ人間なのだ、と納得できる。アホ役を押し付けることがないのだ。
報瀬は今回、2話・3話の大バカっぷりが鳴りを潜め、第1話のクールビューティー力が復活していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
それはキャラがぶれているというわけでなく、今回の報瀬も、アホバカ大臣の報瀬も、両方報瀬だ、ということだ。そんな女が、ほんとうに南極に生きたいから、顔が締まる。お母さんを思い出す。
ペンギンとオーロラに大はしゃぎし、小指をぶつけて悶ていた等身大の(以上にスケールのデカい)バカだが、実際『南極』が近づいて、失われた存在を思い出せば、どうしても黙り込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
そこにキマリは手を伸ばそうとし、日向はそれを押しとどめる。真心と知性が、アホバカ高校生にもちゃんとある。
人間と人間が出会って、眼を見て近づき、接近しすぎたと気づいて離れる。その複雑な動き、多層的な表情がアホバカ楽しいムードからフッと顔をだす時、僕らには嬉しい裏切りと映る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
ああ、アホなだけじゃないんだ、と。彼女らなりにマジで、色々あって、それでも楽しいんだな、と。
そういう味わいの複雑さは、色彩やライティング、タイミングやレイアウトという『動く絵』の力、アニメのベーシックにしっかり支えられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
とにかく光の具合がいい。緊張感のある合宿前半は影濃いめに、段々と心が緩いでいくに従って、光は鋭い色合いからオレンジの暖色へと移っていく。
そこら辺は圧倒的にいしづかあつこ的心理主義の勝利で、絵でムードを創り上げ説明できているから、スルリと心の中に滑り込む。自然なだけでなく、密度と情報量が多い。製作者の言いたいことが、ロスなく視聴者の心に入っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
作品を目と耳で呼吸できてしまう幸福を、たっぷりと味わえるアニメだ。
仲間集めの運命を追いかけた三話までに対し、今回は地面に足を付けて、でもスキップしながら第一歩を歩む回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
夢とのファーストタッチである、オンボログルマの見せ方がいい。ゴミだらけの車内、居場所の無さ、現実の汚さが圧縮されている。
でもそこにあるのはスポンサー募集のチラシであり、夢を現実に引き寄せるための燃料だ。蔑ろにしてはいけないものだと判るから、少女たちはその中になんとか居場所を見つけ、自分の腰を下ろしていく。遠い『南極』に馴染んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
やっぱ暗喩の精度が尋常じゃねぇなぁ…心臓、狙ってるよ。
『母親の死体』という、これ以上無いリアルを見据えている報瀬は、今回常に真顔だ。百万円貯める情熱、現実に夢を積み上げてきた足跡は伊達ではない。その冷たさも、一応肌で知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
キマリは遠足気分で浮かれまくり、とにかく楽しくはしゃぎまくる。それは危ういスキップだが、でも輝いている。
今回のお話は訓練と、距離の近い(何しろ狭いテントに四人だ!)会話によって、四人の距離が更に縮まり、『南極』への距離も縮まっていく話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
報瀬が真顔で見据えている場所へ、浮かれポンチのキマリも近づいていく。同じ光を見据えていく。それはとても遠くて、でも近くなれる場所なのだ。
四人が見たご来光(あるいは隊長と見た朝焼け)の前段階として、冷たい夜の景色がよく効いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
三人がはしゃぐ場所から距離をおいて、ガラス一枚隔てた大人二人を見ている報瀬。その視界を、三人はまだ共有できていない。出来ていないことに無自覚なバカもいるし、勘づく日向もいる。
大人たちは寒い現実の中で、死んでしまった貴子の想いでを言葉少なく共有している。それを乗り越え、弔うための現実は、資金不足で寒い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
それでも、青春を走り抜けた後の大人だって、埃まみれの夢を共有している。オレンジ色の小さな光を、一緒に見つめている。彼女たちもまた、仲間なのだ。
手触りのある訓練シーン、ムードと楽しさに満ちた夜会話を経て、キマリは『南極』に近づいていく。彼女は何も知らないからこそ、その真っ白なキャンパスに夢を描いて、その軌跡/奇跡に夢中になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
そしてその無垢なる光は、隊長や報瀬という、物をよく知った連中に全く新しい景色を見せるのだ。
母との思い出、現実の中の夢をずっと見据える報瀬は、言葉静かにうつむき続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
でも、報瀬の中にあるアホバカな『楽しさ』だって、死に負けないくらいの大事なリアルで、今度はキマリがそれを見せてくれる。
そして、朝焼けの景色は報瀬がキマリを連れてこなければ見れなかった場所なのだ。
そうやって、百億の輝きに幾度も出会いながら、少女たちはとにかく走る。埃だらけの現実を、夢の輝きで満たしながら、何かを決断し、何かを切り開き、何かに出会い何かに憧れながら、ただただ前に進んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
その道筋を定めていく主人公が、コンパスを持つ存在なのは圧倒的に巧い。正しい。
キマリのコンパスは今後も、無自覚に新しい世界を、正しく見据えるだろう。迷いの吹雪の中、真っ白な現実の中で道を見失った時、仲間に新しい真実を思い出させるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
具象的な訓練の中で、そういう抽象的なキャラクターの仕事をしっかり予言し、実感させる運びの巧さは、本当に素晴らしい。
そんな大きな道を見定めつつ、とにかく元気に弾んで停滞感がなく、愉快で楽しいのがとても良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
演出能力をフル動員し、キッチリスリラーテイストに仕上げてきた家庭内闘争のシーン。繰り返される『ぴしゃっ』がテンポの笑いを生んで、玉木家が仲良し家族だということが良く分かる。
ああいう暖かさと面白さの描写があるからこそ、報瀬が今回思い悩み続ける『母の不在』がスッと入ってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
キマリが意識せず暖めれているものを奪われたからこそ、報瀬はしゃくまんえん貯めて南極に行くしかないのだ。その欠落はだが、けして不幸ではない。ある種の熱と決意を生み出す源泉でもある。
修学旅行の夜の、形にならない興奮と多幸感を見事に切り取ったテント内のシーン。『うるかい』がお腹の中をくすぐってきて、思わずわーわー騒いじゃって、そういう空気を共有できるのが楽しくて。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
その皮膚感覚的な気持ちよさが、三人の親しさと、そこから外れざるを得ない報瀬の心を浮き彫りにする。
事程左様に、押し付けがましくなく現状を丁寧に切り取ることで、あの山の上で報瀬が何に出会ったのか、どんな欠落が充足され満たされたかが判る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
それが判るから、少女たちにとって『南極』が、そこが繋いでくれる仲間がどれだけ奇跡なのかも、よく伝わる。アホバカ高校生の体温を失うこともない。
そこら辺の押し引きの感覚、ムード作りのセンスが、よく吠えたエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
シリアスな訓練を足場に、またキマリの赤点を補助線として使うことで、日向の地頭のよさもしっかり強調されてきたし。あんだけ頭のいい子が学校からドロップする事情、これも爆破予告済みの、埋められた爆弾よな。
とにかく元気にはしゃぎまくる少女たちが可愛らしくて、でもはしゃぎっぱなしではなく、汗水たらして『南極』を自分の現実に引き寄せ、仲間と仲良しのその先まで間合いを詰めていく歩みが愛おしくて、良い回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
何度も言うが、感覚と理性両面でのバランス取りが圧倒的に巧い。
本編で四人+それをしっかり見守ってくれている大人組の緊密な暖かさを描きつつ、Cパートのヒキ…めぐみちゃんの不穏さと孤立に繋げたのも、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
対比の巧さ、個別の輝きを相互に高めていく巧さが、エピソードにブリッジを架ける形になっとるな。素晴らしい。
『南極』から離れた場所に位置しつつ、めぐみちゃんは太い存在感と確かな優しさ、友情の篤さ、現実を見据える冷静さを兼ね備えた、もう一つの価値観軸だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
『出来っこない』と嘲笑する、顔のない世間とはまた違った、凄く優しくて厳しい彼女が、一体どんな真実と勘定を叩きつけてくるか、楽しみだ。
めぐみちゃんの存在感も、暗喩の巧さと圧縮率の高さが生きている部分で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
尺自体はそこまで出ているわけではないのだが、印象的な絵を的確に使うことで、この子が軸の話しが一個ないとダメだ! という気持ちが、ちゃんと生まれとる。巧さを的確に楽しさ、面白さに変換できている部分だと思う。
少女たちが見つけた景色が、凄く絵画的な冴えを宿して鮮明であったのも、お話に説得力を持たせていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
冷たい夜、厳しい岩肌、美しい朝焼け。絵画の中に迷い込んだような特別な美術が、特別な運命と出会った少女たちの現実を、風に乗せて教えてくれる。草薙やっぱすげーな。
いろんなものが強く、そのバラバラの強さをぶっとい哲学でまとめ上げ、物語に変える。そういうアニメの自力を、たっぷり堪能できる第4話でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
やっぱ感情にしても描写にしても、積んで積んで使って積んで積むことが使うことにもなる、そういうアニメは贅沢でいい。見てて幸福だ。来週も楽しみ!!
追記 職業意識と自意識の差もまた『宇宙よりも遠い』のであろう
よりもい追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
立川改札で合流するシーンで、結月は『ガーリィな服が嫌い』という。
しかし彼女が職業にしている(おかげで『南極』にもぐっと近づけた)『アイドル』はその『ガーリィ』を売る仕事であり、似合わないガーリィを求める他人の幻想をまとう仕事でもある。
キマリの芯の無さ、報瀬の母の喪失、日向と高校。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
向かい合うべき欠損がさり気なく、しかし見事に描かれているこのアニメの筆は、結月と『アイドル』の距離感もまた、静かに確かに描いてくる。今後掘るところであろうし、その時は面白くもなろう。『アイドル』を押し付けてくる母との対決もせんとだし
ああいう何気ない、体温のある会話の中に、ひょっと『こいつはこういう奴で、ここが欠けてて、そのうち埋まります』ってサインねじ込んでくるのは、ホント凄いなぁ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月24日
強すぎない程度の絵の『圧』が後押しになって、スッと刺さる仕上がりにもなってるし。丁寧にアニメだ。素晴らしい。