BEATLESSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
道具存在の範疇を超越した自律機会が、情欲と殺意を加速させていく。ただのモノを『家族』と思い込めるほどの強烈なアナログハックは、当然歪んだリビドーを吸い寄せる。新たな闘いも。
エロスとバイオレンスがほんのり暴れつつ、妙に上品で思弁的。このアニメらしいエピソードだった
というわけで、アラトの心に、彼の家に、レイシアさんがズブズブと切り込んでいく回であった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
数多の萌えヒロインを演じこなしてきた東山奈央の芸達者が唸り、HIEの魔性がよく見える冒頭が、非常に良い。エグい角度でピュアな童貞のキンタマ握り込んで、魂をガッツリ掌握してくる。
レイシアさんは高度な演算能力を色んな部分に使っているわけだが、『お姉ちゃんモード』もその産物だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
魂から湧き出るキャラクターではなく、ビッグデータで編まれた仮面。その精度と、人格などという曖昧なものがないマテリアルな演技は、アラトを存分に翻弄する。
そこまで強烈に魂を握り込んで、レイシアは何をしたいのか。構造は見えているのに目的が見えないことが、見えないからこそ色々想像してしまう僕ら人間を、また刺激する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
陽炎のように揺らいで逃げていく、レイシアの行動核。それが存在していると思い込みたくなる誘導も、アナログハックの一種か。
人間は多分、何の目的もないリアルで不条理な世界を、そのままでは飲み込めない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
愛情、野望、憎悪、欲望。どんな形であれ、表出全てを支配する根本原因があって、それが組み合わさった何らかの物語が世界に満ちているのだと、因果は繋がって意味をなしているのだと、信じたがっている。
レイシアは常に『私はマテリアルな不条理で、そこに意味も根源もありませんよ。あなたが想起する物語の外側に出ている存在ですよ』と率直に述べているのに、アラトと僕らはどうしても、レイシアに物語を読みたくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
表層の行動と、深層の原理の連動が存在していると思い込みたくなる。
そういう人間の習性を、逃れがたい業ではなくただの現実、種の性質として冷静に読み、操作できる存在。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
アナログハックに長けたレイシアは、そういう装置なのだろう。物語を読みつつ、自分の物語を語らない。語るべき物語を持たず、必要ともしない。
しかし人間が、恋なり家族なり敵なりと編む物語を、眼の前の現象からどうしても読みたくなってしまう習性は理解(把握?)していて、それを利用し『何か』を為そうとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
『お姉さんモード』も、都合が良すぎる青信号も、全てはそのためにある。
すっかり脳髄にレイシアを刷り込まれてしまったアラトは、彼女を『家族』と思い込み、学校をサボって体を張って暴漢に立ち向かう。先週、HIEを守って怪我をしたオーナーと、全く同じ行動を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
レイシアならずとも、人型の高性能な機械は、存在するだけで共感の物語を発生させる。
しかしそれは、HIEとの間にだけ発生する物語だろうか。友情という物語に支配されているからこそ、二人の少年はHIEへの嫌悪を押さえ込んで、アラトの暴走に協力する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
その結果、メガネは性悪人形の良いように操られ、負のアナログハックをねじ込まれることになる。あんなに人形嫌いなのに。
アラトはケンゴが、ネオラッダイトという物語に飲み込まれ、その構成因子となっている事を知らない。相手が人間だからといって、伏せられた物語を読めるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
しかしそれでも、物語は友人と、家族と、あるいは敵と共有され、ヒト(あるいはヒトガタ)を繋いでしまう。
面白いのは、超HIEである紅霞もまた、『家族』という物語を嘲笑しつつ自分のものとして引き受け、レイシアとの関係を作っていることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
それは殺し合いという繋がりであるが、魂なき人形もまた、物語によって繋がる。それが人類を模してのことか、人類を超越したレッドボックスの習性なのかは判らんが
どちらにしても、(僕らが普段そうしているように、このシンギュラリティ以降の近未来においても)物語は身勝手に読まれ、進行し、別の物語に接合される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
その創造主体ではない、と明言しているにも関わらず、レイシアと姉妹は人間社会の中で大きな物語に組み込まれ、共感と反発を受け止めていく。
重要なのは、自分の中の物語(勝手な妄想)と他者の抱える物語(ある種の真実)が適切に合致するか、否か、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
一話のゲストにしてはあまりに濃口で面白いキャラした変態野郎は、レイシアに『完璧な女』という物語を見た。美しく、従順で、蹂躙して破壊可能な存在。
その性的ファンタジーは、しかしレイシアにもアラトにも受け入れがたく、アラトはARゴーグルという仮想の装置を、超現実的な暴力の延長として使いこなす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
いやーアラトお兄ちゃん、案外暴力適性あるねぇ…暴力という形で主人公の意思が発露するのは、なかなかに面白い。
猿のマウンティングのような、優劣をつけるための政治ツールとしての制限された暴力。アラトが選び取った穏当で過激な手段を遥かに超えて、レイシアは暴漢の物語を拒絶する。つまり、殺人による脅威の排除である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
魂なき機械の殺人は、その所有者の責任となる。これもまた、法と倫理の物語か。
暴力を振るいつつ、殺人はしない。曖昧とした人間社会の物語を、レイシアは機械の怜悧さで拒絶し、契約の履行を迫る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
『お姉ちゃんモード』の甘い虚偽とはうって変わって、冷たいモノのロジックを突きつけてくるレイシアは、しかし同じものだ。そこに物語の断絶を見るのは、ヒトの価値観なのだろう。
ヒトとヒト、ヒトとHIE。それぞれが暴力という言語を用いて、異なる物語を描いた後に紅霞がやってくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
人類未達の超技術、レッドボックスを抱えたHIEとHIEの暴力。かっちりカロリー上げて超かっこよく描いてくれれば…と思わず嘆いてしまう、初のガチンコ対決である。
人類のベーシックを遥かに超えた超戦闘のさなかに、レイシアはアラトの承認と責任、コミットメントを求め、アラトはそれが自分の物語とは(実力的にも概念的にも)かなり遠い場所にあることを理解しつつ、それを受け入れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
そこで、物語の拒絶で進んできたエピソードが、物語の受容に転じる。
レイシアはなぜ、アラトを求めたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
道具存在として生まれ、ユーザー(あるいはマスター)を必要とするHIEの性質なのか、はたまた優越種でありながら人類と共存しようという『本当の魂』を持っているからか。
それを問うていくのがこの物語の大筋だとして、真実がどうあれ、二人は契約した。
わけがわからないながら、アラトは恋とも家族愛ともピュグマリオンコンプレックスとも付かない複雑な感情を抱えて、レイシアの助けになりたいと願う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
レイシアもまた、超越的能力を最大限駆使して、感情と状況を操作して運命を作り上げ、アラトを唯一の使い手として囲い込んでいく。
そうやって二人の物語がくっついては離れしていく中で、自分に理解できない物語(を抱えた他者)をどうしても求めてしまう人間の性質(こう言ってよければ『魂』)がどんな形をしているかが、うっすら素描されていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
その古くて新しいアンドロイドSF的スケッチが、僕にはとても刺激的で楽しい。
もーちっと絵力が上がって、未来未来したぶっ飛び感で脳みそ殴って欲しい気持ちはあるし、バトルのヘニャヘニャ感はかなりガクーっとも来る。HIEを画面外にぶっ飛ばして、超絶バトル作画を回避する涙ぐましい努力とか、ホント泣けば良いのか笑えば良いのかわかんない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
しかしそういう弱点を抱えつつ、妙なチャーミングさと真摯さがグングン加速していて、原作読んでない僕をグイッと引き寄せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
こっちの勝手な想像力を力技で乗り越えていく、レイシアさんの異質で不気味なヒロイン力も良いし、流されているようで不思議と芯のあるアラトくんも好きだ。
やぐちひろこの温もりあるデザインが、なんか不思議な部分でいい仕事をしていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
変質しながらも現在に通じる未来の中で、日常と超日常をまぜこぜにして運命を泳いでいるキャラクターたちが、不思議と身近に感じられるのだ。俗っぽく言うと、アイカツ顔で親しみやすい。可愛いし。
そういうアナログハック(『まぁディオメディアだししゃーねーな! 京アニとかIGとかオレンジじゃねーんだから!』という割り切り含む)を仕掛けられつつ、僕はこのアニメをだんだん好きになっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
その感覚が、アラトとレイシアの物語に重なっているのが、妙に気持ちよかったりもする。
お姉さま呼ばわりの性悪暴力人形がメガネの家に居候し、唯一のドールを決めるバトルが本格始動しそうなヒキで、来週も楽しみである。やっぱAI世代のローゼンメイデンじゃないか!!(歓喜)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
HIEを破壊する組織を手玉に取って、ケンゴを脅迫しアラトを殴り飛ばす紅霞。彼女を突き動かす物語は何なのか。
アラトがレイシアの物語に巻き込まれていくように、ネオラッダイト主義者は赤いHIEの物語に、凶暴にまくりこまれていくのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
ほんわか未来世界にメガバイオレンスが打ち込まれて、いい具合にエンジンかかってきた感じがある。来週も楽しみである。やっぱ近未来女戦士はエグいハイレグなんだなぁ…。
あんま関係ないが、今週レイシアさんが拘束具をバリーっとパワフルに破り捨てた瞬間、『ディオメディア謹製おとなしそうなお嬢がサイボーグの本性を公開するアニメ』として、悪魔のリドルと変なリンクが発生した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
トンチキ風味と漂う可愛げは、どっか共通しているかもしれん。 pic.twitter.com/JWbmyMUwWi
BEATLESS追記。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
契約主に誠実に嘘はつかず、しかし自分の目的を達成できるように状況を積み上げ、それが契約主(が代表する人類)への試練にもなっている。
レイシアさんは非常に古典的な意味での由緒正しい悪魔で、つまりこのアニメはアラトくんが不断の練磨により聖人となるまでの物語ではないか。
紅霞以外のレッドボックスがどういう欲望(製造理由?)を持ち、それを与えた神がどんな存在かが気になるところだ。そこはじっくり掘っていくんだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月27日
主役に取り憑いた悪魔が魅力的すぎて、高潔なまま人類以外のロジックに頭から飛び込んでいく作りは、新世代の誘惑の物語としてなかなか面白い。