刻刻を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
静止した世界で、加速する状況。過去を思い出し、能力に覚醒し、意志に目覚め、闘争へと踏み出す。
湯川敦之のコンテと演出が冴え渡り、静止と運動の快楽が物語をブーストする、非常に切れ味鋭いエピソード。こんだけ動かさないで魅せる造り、ホント凄いな。
というわけで、樹里Changが覚醒して大暴れし、暴力と知略に圧倒的な適性を見せる回だった。異常状況にワーワー言うフェイズが終わって、主役の『凄み』が前に出てきた感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
精神的には、確実にスタンド出せる系女子だと思うわ樹里。一発即死魂潰掌も打てるし。
今回は作品全体のテーマである『静止と運動』が様々な局面で顔を出し、連動して快楽を作って来るエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
ヤクザの暴圧に押されるばっかりだった主役勢は、スピーディに状況を把握し、能力を掌握し、反撃を開始する。余計なバトルは無し、常に一撃退去。非常に気持ちがいい。
静止状況から一気に動き出し、相手を静止させるアクション。これは樹里の頭脳も同じ動きをしていて、急速な暴力で思考停止してた脳が、理不尽への怒りで覚醒し、瞬時に主導権を取る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
過去を思い出し、現在の情勢を把握する動きも、ノンストップで一気だ。止まってタメていたからこそ、これが心地よい
樹里とジジイがクレバーなので、かなり流され系な状況なんだが、ストレスはフーっと消えていく。パーツパーツが繋がって、勝利条件と困難が明瞭になり、視聴者も状況を整理して把握していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
ピースが収まるべき所に収まり、さぁ反撃開始。これを勢い良くやってく動きが、非常に鋭い。
魚眼やビッと決まったレイアウト、あえての止め絵に小気味いいダイアログだけ流して『聞かす』演出。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
物語が一気に動き出すリズムが、非常に鋭い演出とシンクロし、ドラマが有機的に加速する。これが本当に気持ちのいい回で、スピード感とパワーが有った。四話にこういうの来るの、強いわー。
『運動と静止』は至る所に見られ、オヤジをまくりこもうセリフ量で押し込む柴田の雄弁とと、即金に喋らせておいて結論だけ押してくる佐河の沈黙の対比が、なかなかに不気味だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
話が通じなくてバイオレンスに行くしかねーダークヤクザと、なんか話し通じそうな間島たちニュートラルヤクザがいるんだな
間島サイドも、過剰に興奮した鼻のひしゃげた男と、淡々とキレてる加藤さんの対比で、緩急をつけてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
静止した世界で、自死に向かって暴走する男の興奮が、加藤さんの静寂にぶつかって火花を散らす様子は、凶暴なリズムに満ちていた。ちょっと北野映画っぽいムード。
樹里が持ち前のクレバーな凶暴さに目覚めるのと、その『敵』であるヤクザにも頭のキレるのがいるって描写が同時に来るのは、複数勢力が同時に動いているバトルの醍醐味を感じて、とても興奮した。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
ヒャッハーなチンピラもまぁ面白いけど、敵さんにも骨のあるのがいねぇとな、やっぱ。
自分たちの状況を『細菌とマクロファージ』で説明する加藤さんの博識と、殴られてキレもせず淡々と蹴り飛ばす暴力性の同居は、ほんと面白い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
間島の止界博士っぷりと合わせて、ニュートラルヤクザ組が一気に存在感を増す回だった。半分ハメられたみたいなもんだし、佑河家と交渉の余地ありそうだ。
ヌルヌル動くわけではない。むしろ止めているシーンが多いのに、今回の話はカタルシスが強い。それは多分、印象的に必要なだけ、しっかり止めているからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
巧妙に計算された運動と静止がもつメリハリが、キャラクターやドラマと噛み合って、凄いパワーになっていた。こういう映像の作り方は強い。
『運動と静止』以外に、今週はもう一つの対比があったように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
それは因果応報というか、倫理の対比だ。
静止した異常な世界でも、店の食事を食べたらカネを払う。お母さんが無事か確かめに行って、異常な能力を崩した缶詰を直すために使う。そういう描写だ。
佑河家は小汚くて問題だらけ、クソみたいな小市民だ。柴田が大嘘並べ立てる大きな倫理なんて、背負いようがないちっぽけな存在だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
それでも、当たり前に正しいことを忘れず、なんとか真っ当でいようとする。過去回想の中で、ジジイが必死に止界を走り回り、樹里を探し出そうとしたように。
今後間島との絡みで大事になってきそうな過去の事件だが、あのとき樹里を助け出そうと走り回ったジジイの心は、ボロボロの家の中で茶ンと継承され、家族に受け継がれている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
だから家族全員で帰るために、必死になって色々やっているのだ。
『首をひねれば一発だ!』とこともなげに言って、管理人にぶっ殺される。万引きを『ゲスが』と吐き捨てた後、デカパイに眼が引き寄せられる。(別レイヤで起こってた樹里の戦闘で、事前に『デカパイ』を印象づけておく筆運びが巧い)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
『敵』は倫理をないがしろにする。過剰に加速し、止まらない。
看板に書かれた『スピード落とせ!』は、ドラマの速度、キャラの速度、倫理の速度への警告なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
異常な状況を背景にしているこのアニメは、しかし凄くオーソドックスで大事な人間の生き様を、色んな角度から切り取っている。死が隣り合わせの異常な世界で、問われるのは健全なブレーキの有無だ
異常な行動がいくらでも取れる世界だからこそ、いかにブレーキをかけるかが重要。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
暴走気質を過去に見せた樹里を、止界から遠ざけたジジイも。
一旦足を止めて、世界のルールをじっくり見直そうとしているニュートラルヤクザたちも。
そういうルールに基づいて行動しているようにみえる。
一方ノーモーションで加速し続ける連中もいて、佐河とダークヤクザたちはその筆頭だ。爬虫類のようにヌメッとした感触で、倫理の向こう側にぶっ飛んでいく彼らの側に、弱々しいオヤジがいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
果たして、目の前にぶら下げられた甘言と暴力を前に、当たり前のオヤジはブレーキを踏めるのか。
そこら辺も、今後物語の中で大事になってくるのだろう。逆に翼とまーたんは、暴力的な世界を前に必要なだけ加速できるかが大事になる。樹里はキッチリ適応してきたが、翼おいたんトロそうでなぁ…そこが良いんだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
色んなキャラがそれぞれの速度、それぞれの危うさで、異常さと健常さに向き合う。
そういう作品の図式を、静止と加速、倫理と暴走を小気味よく対比させた演出が、見事に際立たせたエピソードだと思った。『刻刻』という物語が、すっと腑に落ちる感覚が確かにあって、凄く面白かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年1月30日
この気持ちよさを活かし、次週も面白いものが見れそうだ。非常に楽しみですね。