宇宙よりも遠い場所を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
よりもい第一部"館林青雲編"完ッ!! と言わんばかりの、圧倒的なエモさと詩情、衝撃と感動をみっしりと詰め込んだ五話。…五話、まだ!?
保護者であり幼年期への楔でもあっためぐみとの対峙、キマリ旅立ちの瞬間に目を奪われるが、非常に横幅広く四人を描く回。
というわけで、色んなものがパンパンに詰まったエピソードである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
とにかく映像の圧縮能力・伝達能力が高いため、ここまで物語を高速化しても語り足りない部分がなく、淀みが開放され飛び立つ力に変わる展開が、スーッと入ってくる。巧さを強さに変えている部分である。
今回も…というか、今回こそ暗喩に満ちた絵力はフル回転しており、冒頭の朝礼シーン、拳を合わせて決意を確認する二人のアバンで、それは良く分かる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
あの仕草一つで、二人が作り上げた関係の濃さは即座に判ってしまうのだ。安易に手を繋がせず、戦友のようにぶつけ合う所が、パワフルでいい。
話の主軸はキマリとめぐり、二人の幼年期の終わりにあるので、冒頭めぐみのモノローグから入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
淀んだ水。幼い二人には明確な上下があって、見えない支配がある。第1話でキマリを館林から出さなかった重力の発生源が、静かに呪いを紡ぐ。
あの砂場に込められた重たい情念は、通奏低音のようにエピソードを貫き、めぐみの無表情の奥に隠された想いを掘り下げる足場になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
『この女は、なんかヤバい』
そんな予感を正確に差し込み、『いい友人』だっためぐっちゃんの中に巣食う闇を掘り下げる話に付き合う覚悟を創るシーンだ。
恥ずかしながら、めぐみが色々企んでた悪くて黒い子だということは、さっぱり見抜けなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
一度答えを得てから見返してみると、確かに引っかかるポイントは多数用意されている。物語的に不自然な部分も、彼女が用意した障壁だとわかるとストンと落ちる。非常に巧いひっくり返しだ。
キマリを支えてくれる彼女は、『いい友人』であって欲しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
そういう想いが、彼女の陰りを僕から遠ざけていたのかもしれない…単に見る目がなかっただけだな。
ただ、キマリがめぐっちゃんを疑いもしなかったのは、その幼さ、純粋さが徹底的だから…バカだからだ。
バカだから、優越感を得るための道具にされていることに気づかない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
バカだから、そんな友人が巣立つ自分に執着して、邪魔をしていると見抜けない。
バカだから、全てを告白され離れようとしている彼女を抱きしめ、許してしまう。
圧倒的に気持ちのいいバカである。
キマリが放つ、陰りのない光。それが様々な人を照らし救ってきた描写は、ここまでの物語でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
『南極』とバカにされ仲間がいなかった報瀬、集団から弾き出されて光を見つけた日向、渇望していた友情を手に入れた結月、隠していた思いを引き出された隊長。
彼女の純粋さは、色んなものを輝かせる。
しかし強い光は陰りを生む。メインメンバーに背負わせるわけに行かない、グズグズに煮込まれた黒い闇。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
それを一番近くで体現し、叩きつけ、闇をも受け止める更に強い光へと鍛え上げるのが、今回のお話と言える。ブラックホールに吸い込まれても抜け出す無量光である。
(この『真っ白な光』というキマリの性質が、遮るもののない『南極』の風景とシンクロしているのは、凄く巧妙だし強いと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
純白極寒の極地は、虚飾を剥ぎ取り人間を素裸にする。そこにたどり着くことで真実自分と出会う物語と、主役の人間性は既にシンクロを開始しているのだ)
今回のお話も具象と同時に抽象が折り重なる作りになっていて、キマリの荷造りは『本当に大事なもの』を見つけられない彼女が、家族の力を借りてその準備をしていく儀式となる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
その時言及される『自己責任』…真実に自力でたどり着く必要性が、めぐみとの対峙に重なっているのは面白い。
今回は何者でもない『卵』たるキマリが、殻を破って巣立っていく回であり、殻であり巣でもある『家』がもう一人の主役とも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
暖かく光に満ちた『家』で育まれた心が、キマリの純粋さを支えている。めぐみ周辺に闇が集まるのに対し、玉木家は常に光に満ちてくすまない。
暖かく見守り、助言し、好物を作って背中を押してくれる人たち。その温もりの中でキマリは心を整理し、自分に必要なものを探し、旅立っていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
第1話でも印象的に使われた『掃除』のモチーフが、キマリが幼年期を出て行く展開と見事にシンクロしていて、非常に感慨深かった。
荷物を整理するシーンは他の三人の心境も巧く引き出している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
100kgという限られた重量の中で、あえて母との思い出を封じ込める報瀬。
インドっぽい内装の部屋で、ボロボロの陸上シューズを睨む日向。
虚飾の友人たちのアドレスを未練と一緒に消して、決意を固める結月。
それぞれが『本当に自分に必要なもの』を制限の中で選び取り、幼年期に別れを告げる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
今回非常に頼もしい部分を見せただけに、日向周辺の描写が怖い。何かがある。が、それはまだ明らかにされない。おそらく、南極で爆発する。
『いい友人』だっためぐみが暗転する今回は、その予行演習でもあるか
キマリを中心軸に、三人の状況をオーバーラップで見せる演出は、ラストの旅立ちシーンでも生きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
家族に見送られ幸福に旅立つキマリに対し、報瀬は母へのメールを握りしめて一人旅立つ。仏壇の前のあまりに小さな祖母の背中が、涙を誘う。
制服を着た少女たちの波に逆らい、重荷を引いて前に進む日向。衝突しても有り余る愛を、母と確認する結月。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
それぞれの思い、それぞれのドラマがあって、四人は旅立ちの場所へと集結する。めぐみと対峙する中心軸が太いので、サラッとした描写にも運命を感じることが出来るのが強い。
絵の強さが情報を圧縮する語り口は、めぐみの家に押しかけてゲームをやるシーンでも顕著だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
まず三年前のゲームを返しに来る行動自体が、旅立ちを前にしての整理、めぐみとの癒着関係を切り捨てる運動(とめぐみが取りかねない)立ち回りだ。
あ、いなくなってしまう、と。めぐみは思ったのではないか
よりにもよって『南極』をテーマにしたゲームは、キマリが唯一めぐみに勝てる要素だ…った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
報瀬に出会い、『南極』を見つけて走り出した結果、めぐみによりかかっていたキマリの幼年期は終わり、彼女は自分の道を思い切り走り出した。めぐみは置いて行かれている。絶望的に置き去りにされている。
ここら辺の構図や、キマリを引っ張る動因が何なのかを、ゲーム(『南極』)に夢中になってめぐみの方を見ないキマリが、非常に巧く表現している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
新しい遊びに夢中になって、自分の知らないヒトの話を楽しそうにし続け得る。CPU戦であってめぐみを相手にしたコミュニケーションではない、未知のゲーム
話題が世間話から『南極』に移ると、めぐみの瞳は描かれなくなる。感情の窓、心の現れである器官は、カメラから遠ざけられる。キマリの独走が加速し、めぐみは更に置いてけぼりにされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
ゲームを強制的に中断させる犯行は、黒の中に封殺されて見えない。キマリは悪意に気づかない(気づけない)。
ここでコミュニケーションが成立していないこと、キマリが底抜けの善性を持っていること、めぐみが苛立ちと孤独を抱えていることを、ゲームに仮託して描いたことで、後半のどんでん返しは非常に飲み込みやすくなっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
一見気さくな友人関係の描写な所が、とても良い。
そういう当たり前の温もりの中で、めぐみは優越感と独占欲を育ててきたし、キマリの幼さはあの場所で保護/停滞されてきたのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
そのノンキさには、視聴者が遠巻きに見たときだけ判るサスペンスがみっしりと満ちている。でも、そこには否定しきれない温もりもある。キマリの楽しそうな表情。
めぐみが『いい友人』であったことは、完全な嘘ではない。そこに醜いエゴがあったとしても、彼女がキマリと育んできた幼年期は、楽しく温かいものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
でも、巣立つ時にはその光が生み出す影を、ちゃんと見ないといけない。ゲームに夢中で犯行現場を見落としてはいけないのだ。
そんな予感を孕みつつ、荷造りを終え教室を抜け、二人は茂林寺へと赴く。分福茶釜…人を騙す怪物で有名な寺をこの話でロケーションしてくる所が、なかなかにクレバーである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
キマリのいない三ヶ月の間に、めぐみは改心して幸運をもたらした腹黒タヌキになれるのだろうか。なって欲しいところだ。
第1話と同じように、女と女の感情を密着させ、心の光と影を具象化する東屋に、二人は座る。キマリはとっとと影の中から飛び出すが、めぐみは当然外に出れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
影の中で迷いながら、東屋の太い柱がめぐみを捕らえ、動かさない。『南極』から飛び出したキマリとの間にある、宇宙よりも遠い距離。
『誰かの噂』に仮託しながら、犯行を告白していくめぐみ。気づいてほしいが、気づかれたくはない。近くにいて欲しいが、行ってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
キマリへのアンビバレントな感情を体内に溢れさせながら、めぐみは一歩も動けない。幼いキマリは陰りに気づかない。無表情と満面の笑み。盲目を産む、二つの仮面。
既にサスペンスを埋め込まれている視聴者としては、『ぬうッ…』と唸るシーンである。花束に紅茶、切り取られているアイテムは温かいのに、キマリの無防備な幼さ、めぐみから溢れ出る淀んだ闇が、額面通りに場面を受け取らせない。受け取らせないように、考え抜かれた印象を作っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
めぐみは紅茶を置いて、決意を込めて東屋から出る。カメラが横から二人を抜くが、分厚い柱が邪魔をして近づけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
手をこまねいている内にアホバカ二名がやってきて、『誰かの噂』の話になる。こっからのめぐみへの追い込みがエグい。
匿名を装って悪意を垂れ流しにしてきためぐみは、ここで『私がやりました』と告白し、楽にはなれない。それは、キマリを下に見ることで保たれ生き延びてきた彼女のプライドが許さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
だから、アホバカどもが悪意なく投げてくる糾弾の槍を、そのまま受けるしかない。
『誰か』を非難するキマリと報瀬の言葉は、眼の前にいる悪意そのものにぶっ刺さっていく。プライドを守り、親友を自分のそばに置き続けるために悪意を振り回していても、めぐみもまだ子供。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
正義の非難を前に完全に開き直れるほど、強くはなかったからこそ。この告発を受けて、朝に告解することになる
ここでも日向の人間力は健在で、『人間には悪意がある』『悪意に悪意で返すな』とクレバーな意見を言う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
非常に頼もしいが、そういう結論を自分のものにするだけの体験を、彼女がすでにしている、ということでもあろう。
重たく熱いドラマを走らせつつ、未来の破綻への予兆を貼る。巧い。
めぐみが全てを告白するキッカケは、やはり帰り道でのキマリとの会話だと思うが、この日当のスタンスもまた、彼女を揺るがせた気がする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
悪意を振り回して、必死に親友(であり優越感のための餌でもある存在)を引き留めようとしても、バカは止まらないし、傷つきもしない。
上に見るべく『南極』『バイトの子』と距離を取った呼び方をしても、報瀬の純粋さ(バカさ)、日向の賢明さは出会ってしまえば否定できない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
名前のない存在として、名前のない存在を追い込んでいた関係性は、あそこで出会うことでほころんでしまうのだ。
日向が私服で『大人の意見』をいう時、悪意に振り回される制服姿の三人と、東屋の柱で切り離されているのはとても示唆的だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
子供たちが溺れている悪意の海から、賢い日向は離れている。違う存在であるが、なぜそういられるかは、まだ明らかにならない。判るのは、その距離が危うい、ということだけだ
バカたちはもやもやを叫ぶべくカラオケに向かい、めぐみは必死に匿名の暗い空間に帰ろうとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
無邪気に犯人を引き寄せる子供たちを、振り払えないのはなぜか。『良い友人』という演技を続けるためか。闇に包まれてなお、光に眼が引き寄せられるからか。それは『南極』に何かを見た四人と同じ視線だ
あそこで楽しく騒いでしまったことも、めぐみの仮面を引っぺがす大きな一撃になったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
何も知らないままなら、あだ名で突き放して悪意を突き刺すことも出来たろう。しかし相手が歌い、傷つき、固めの盃(ジュース)をすすめて一緒に盛り上がれる『人間』だと判ってしまえば、もう耐えられない。
ここでも状況を進めていく『大人』役は日向がやって、オッサンぽくおかわりをおごりつつ、腰が引け気味なめぐみを神輿に乗っけている。その空気読み能力に助けられて、キマリはのんきに『マイフレンド』などとぶっ刺す。この女…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
日向の成熟は頼もしいが、やはり怖くもある。
淀んだ水を開放する快楽を、キマリに譲ってあげた時。めぐみは『大人になる』気持ちよさに取り憑かれてしまったのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
その悪霊を振り払えないまま、ずっとキマリの側で支配力を発揮し、『大人』である優越感を感じてきた。でも、その闇の奥には未成熟の子供がいる。
あの砂場から一歩も出れないめぐみと、『南極』に引き寄せられて『自分』になりつつあるキマリの距離は、開く一方だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
それをなんとか止めようと、悪意を振り回してキマリの決意を壊そうとする。コンセントを抜いて、母なる暗黒に一緒に帰還しようとする。
その憎悪の仮面は、直接『南極』と触れ合って、一緒に歌い鮭を酌み交わせば溶けてしまう、黒くて脆い氷でできている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
その中には弱々しい子供…キマリと同じく光を放つ善性がまだ眠っていて、それが黙っていられないところまで追い込まれる様子を、カメラは丁寧に切り取る。
その仮面に致命的なヒビが入るのは、夜闇の中二人で歩く帰り道だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
キマリはこれまでがそうであるように、白く無邪気な光の中を行く。該当がスポットライトのように二人を照らし、輝かせる様は遠景。そこから出て、夜闇の中にもう一度入る瞬間、めぐみの顔がアップになる。影がかかっている。
キマリはすぐそばにある闇に気づかないまま、楽しそうに歩き、微笑む。めぐみは闇と同化しながら、その輝きに眩しく慄く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
めぐみの跡を付いていた幼年期にサヨナラを告げながら、キマリを支配していた過去が手元からこぼれ落ちながら、二人は道を歩く。ガードミラーが、二人の現在を映し出す。
ここである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
曲面に歪んだ鏡は一種のタイムマシンで、そこに映し出された二人はとても小さな子供に見える。砂場での風貌と、あまり変化していない二人の未成熟が、縮んで縮んで、全てが始まった時間に戻る。
それは歪んでしまっているが、消え去ったわけではない。たしかに幼い子供は、胸の中にある。
キマリが前に進み、置き去りにしようとしている時代。それは一概に否定されるべき過去ではなく、光に満ちた『家』と同じように、キマリを支えてくれた過去だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
だが、それはあくまで虚像で、必死に追いすがらなければ本当に消えてしまう。そんな自分とキマリを、めぐみは歪んだ鏡の中に見た。
だから、憂いなくまっすぐに光の中に歩み出すその瞬間、闇そのものの衣装でキマリの前に立ち、絶交を告げに来たのではないか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
(僕も含めた)バカどもが気づかない悪意と闇をしっかり告げて、スジを通して関係を清算し、気持ちを親友と自分自身に叫んで、自分の中の子供を開放したかったのではないか
真っ白な光を背負って、めぐみは本心を吐露していく。無表情の仮面で押し通してきた表情が、複雑に歪んで涙が流れる。彼女もまた、硬い殻を持った『卵』から孵化し、自分の時間を前に進めようと苦しむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
玉木家の明るい卵パラダイスとは正反対の、黒い世界卵の羽化。
そのまま薄汚い自分を隠し、出会わぬまま消えていくことも出来たはずだ。だが、めぐみはそうしなかったし、出来なかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
それは匿名だと思い込みたかったバカどもの体温に気付ける、キマリの赤心の吐露に揺さぶられる、幼くて白い光がまだ、胸の中に灯っていたからだと思う。
めぐみの心は、あの砂場で淀んだまま停止し続けていた。なまじっか『大人』の快楽を知ったから、白くて素直な幼さから距離を取って、プライドで世界を遠ざけて、唯一近くにあるキマリの温もりをそれと気づかれない内に握り込み続けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
そういう自分を思い知らされて、揺さぶられて、孵化したくなった
わざわざ出発の朝に超重力の感情をぶっ刺してきたのは、そういうことなのではないかと僕は思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
報瀬の母がそうであるように、もしかしたらもう会えなくなるほど遠い場所に行く前に、タイムマシンを使って自分の中の真っ白な子供を、茶ンと外に出してあげたかったのではないかと。
その時生まれるのは、純白の赤子などでは当然ない。黒くまとわりついた泥は『良い友人』という堰を破って、キマリに押し寄せる。幼い彼女はそれを受け止めきれなくて、当惑し、泣きわめき、苦しむ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
ここのブッサイクな泣き顔が、最高にいい。キマリは白いから、黒い感情は分かんないし、怖いのだ。
それでも、去りゆく親友と彼女の中に溜まっていた黒い泥を前にして、一瞬立ちすくみつつキマリは光の方に歩く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
報瀬を媒介に『南極』に出会った時。
日向をコンビニのガラス越しに引き寄せた時。
孤独を告白する結月を迷わず抱きとめた時。
いつだってキマリは、光を背負って、光の中に飛び込む。
初めて叩きつけられた薄暗い感情は、かつて砂場でめぐみが対面し、飲み込まれてしまった優越感だ。『大人』を形作る毒を浴びるのは、幼いキマリにとってはキツイ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
彼女を形作った『家』の光を、丁寧に描いたのがここで効いていると思う。
それでも、ここで踏み込まなければ親友のすべてを失ってしまうというタイミングで、彼女は今一番深く胸に突き刺さっている『南極』の光を叫び、めぐみを引き寄せようとする。暗い闇に踏み込んで、新しく生まれ直した子供を抱擁し、祝福を囁く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
めぐみが自分の中の子供を生み直したように、キマリもまた、黒い闇の洗礼を受けることで、あの瞬間少し『大人』になったのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
『人間には悪意がある』と呟いた日向と、少し近い場所まで自分の足で、苦しみながらも飛び込んでいったのだと思う。
それは、とても強くて立派なことだ。
わけの分からないモノに当惑しつつ、それでも自分の胸の中の衝動に素直に、無明の中に飛び込めること。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
主人公としてのキマリの資質は、やはりそこに決定的にある。白い光も、強すぎれば視界を奪う。キマリは自分の発する幼い光で時折盲目になるが、それでも『南極』へ恐れつつ飛び込むのだ。
『一緒に南極に行こう!』とキマリが叫んだ瞬間。背中を向けた友人を引き止める魔法として、悪意に立ち向かう武器としてそれを選び取った瞬間、この作品の『南極』は物理的な場所であると同時に、人間がより自由になれる精神的価値の体現に、なったのだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
めぐりはキマリという真っ白な光に抱擁されて、一人取り残される。恐れていた未来がやってきても、彼女は多分停滞しない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
それはキマリとバカな仲間たちが、身をもって『南極』を示してくれたからだし、それで揺さぶられた殻の中から、幼いままのめぐみが勇気を持って、世界に生まれ直したからだろう
それもまた、とても強くて立派なことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
彼女の悪意は、当然褒められたもんじゃない。バカどもがバカだったから良かったが、その淀みに足を取られて沈んでいた未来は、十分ありえる。
でもそれは、人がみな沈み込んでしまう淀みだ。主役が南極に持ち込めない余計な荷物だが、描く必要のある闇だ。
だから、『南極』に行かない五人目の少女がここで、キマリに闇を見せたこと、そして殻を破って自分の中の光を開放できたことには、凄く大きな意味があると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
ここで学んだ闇の意味が、多分白い南極の中で道を見せるタイミングが、必ず来る。そのための伏線は、巧妙に張り巡らされている。
館林を足場に『南極』への道を探し求めたこの五話、最後にこういうイニシエーションが来たことが、彼女達が『南極』に行く意味を、更に強める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
そういう回だったと思います。開放された淀みは、清らなかな流れになって先に進む。あのシーンに『川』が配置されてる巧妙さですよね。
巧さといえば(書き忘れ)、船の前でバカどもがTV収録漫才するシーン、ポンコツ報瀬を前に『敵がいると大丈夫なんだけどね』とキマリがぼやく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
あそこ、『親友じゃないよ』と言ってた時代から更に関係が進んで、お互いをよく知った感じが出てて最高に巧かったです。
実は出会いから結構時間が立って、省略も多数あるんだけども、ああいう圧縮率の高いやり取りを簡勁にぶち込んでくることで、変化がスッと入る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
先週クールビューティー維持できたのは、隊長を『敵』と見て自分を保っていたんだと判るし、めぐみの正体を知らぬまま匿名の『敵』に奮戦する展開も創る。
そういう巧妙さが積み重なって、1クールアニメを5話に圧縮したような、しかし疾走感と充実感、納得と感動がみっしりと詰まった視聴体験が成立しているのかなと、つくづく思うわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
強いなぁ…本当に強い。手際よくやりつつ嘘がないのは、無駄がないからだなぁホント。
そして『いい最終回だった…』という感慨をぶん殴る、謎のマーライオンと溶けたアイス。おめーオーストラリアだって言ってただろ、なんでマレーシアなんだよ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月2日
意味深にTVを見つめるめぐみで引いた先週にも劣らぬ、気になるヒキでした。一体彼女らの南極行、どうなってしまうのか。非常に楽しみです。
※訂正 マレーシア→シンガポール
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日