3月のライオンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
雨の仙台を泳ぐように、二人の棋士は征く。沈黙の世界を離れ、世界が音に満ちなおしても、少年を引きつける静かなる駒音。そこをぶち破る、友の笑顔。
音を抑えて抑えて宗谷冬司の世界を描き、色彩を取り戻した世界の最後に二海堂晴信の復活を置く。収まりの良いエピソード。
というわけで、先週に引き続いての宗谷回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
雨音だけを乗っけて六分、石田の台詞は『ありがとう、助かった』だけ。徹底して沈黙とモノクロームで魅せる、ストイックな前編である。
いじめ回のどす黒い感情のうねりと同じアニメが、この静謐を描く。やっぱこの横幅好きだな、俺。
宗谷の静かな世界はAパートで終わり、久々の川本家料理漫才を経て二海堂晴信の復活に続く。モノクロからカラーに色づく世界から、しかし零ちゃんは置き去りにされる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
『夢みたいだった』と自分で口にしているのに、仙台を離れても夢から覚めない。東京にも、静かに雨が降る。
宗谷が孤独なルートを突き詰めていった完成形である以上、その静謐な美しさに零ちゃんが引かれるのは当然といえる。在り得たかもしれないもう一人の自分は、キャリアを突き詰めた果てにいる憧れだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
だが、道は変わった。今の零ちゃんの世界には色と音が満ち、騒々しくも面白い。
宗谷の長いまつげ、妖精のような寝姿と同じように、二海堂の満面の笑みはとても可愛い。美しく魅力的で、どっちにも引力がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
静謐と雑音、超越と卑俗。両方とも良いもんだけど、零ちゃんは音を取り戻していくんだよ、と静かに告げる形を絵で作れていて、とても良かった。
宗谷という存在、彼と彷徨う仙台を異質なれど魅力的なものとして切り取れたことが、零ちゃんの残響に説得力を与えている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
東京に帰還し、スミスの言葉を耳に入れず棋譜をコピーする零ちゃんは、あの魔力に魅入られたのだ。それは長く長く響く、沈黙の音符だ。
それがけして、悪いもんでもなく、また完全な静寂でもないというふうに見せれたのは、とても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
宗谷だって会長に面倒見て貰って、ガーガーうるさい雑音に愛おしく寄り添いながら、孤独な沈黙を泳いでいる。変わったスタイルだが、でも完全に孤独でもない。
同じ生き方はもう出来ないけど憧れで、異質な存在だけど惹かれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
宗谷という美しく強く侘しい、とても特別な男を上手く描いた結果、零くんの世界はまた大きく広がった感じがある。ここら辺のニュアンスとテーマの捉え方、広げ方は、ほんとに3月のライオンアニメの秀逸な部分だ。
Bパートのサブタイトル『再始動』が、白い仙界に囚われかけた零くんが音のある世界に戻ってくること、『元気づけてやってくれ』と頼まれたのに自分の元気で零くんを引っ張り戻した二海堂にかかっているのは、まぁ間違いがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
同時にBパート冒頭のバカバカしい家族漫才を通し、川本家復活も意味する
ああいうアホアホ仲良し漫才は、これまでずっとやってきて、零くんの灰色の世界を彩ってきた。だがいじめがあって、息を潜めていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
それが取り戻され、いつものように旨そうなメシを前にアホ家族がアホアホハイテンションで騒いでいる。そういう場所まで戻ってきて、再起動である。
これまで実体のない守護霊みたいだった二海堂が、存分にはしゃぎ騒ぐのと合わせて、生命の鼓動と色彩をどどんと叩きつける、元気なBパートだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
ニカが自分の名前を将棋史に刻みたがるのが、どう見ても死を前提にした遺言準備でキツすぎる。生きろホンマ、原作でなんかフラグ立っとるけども!!!
というわけで、零くんの胸の奥に深く食い込んだ沈黙と、それとはまた違ういつも通りの騒々しさの再動を、綺麗に対比させて描くエピソードでした。鮮明さをアニメに落とし込む手腕が毎回巧妙で、色んな方向から驚くことが出来てありがたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
真面目にシャフト新境地だと思う。
良いエピ来たんで、これを反芻しながら一ヶ月待つ!! のはシンドいが、まぁ放送しねぇもんはしょうがねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
カメラは零くん中心の世界を少し離れて、枯れたジジイと冴えないオッサンの、これ以上ないほどにアツいぶつかり合いに移ります。一ヶ月後の放送が、マジで楽しみ。