アイドリッシュセブンを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
北風が勇者を作る! グループ内格差、大手の横槍、すれ違う心。衆目に触れ、発生する新たな波風。激しい風にさらされる度、人は魂の地金を晒す。
乗り越えるべき困難を多数配置し、圧力上げてキャラを見せていく回。高まった熱量が飛び出す出口もしっかり用意、手際良し
というわけで、凸凹道を進んでいくアイナナである。色々問題も起きているが、細かく意思疎通を測り、丁寧にストレスを抜きながら状況を進めているため、停滞感は薄い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
障害がキャラを鍛えるのは事実なんだが、その重たさに疲れて見れなくこともまれにあるので、この空気抜きは上手いと思う。
前回からの引っ張りであり、今回最大の壁でもある壮五&環の抜け駆けデビュー問題から開始。額に『肥大したエゴをどこにぶっ込めばいいかわかんない大人子供です! 俺を憎め!』と書いてある八乙女父も、色々ちょっかいかけてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
分かりやすい悪役が出ると、やっぱ対立構図が鮮明になって芯が入る
環が『TV出演』に過剰に拘る理由も、ようやく明瞭に表札に。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
家族と経済とプライドが関わるナーバスな問題なので、環自身は表に出せない問題を、悪役がズケズケ喋って公開札にするのは、役割をしっかり果たしていていい感じ。
そういうナーバスな問題に土足で踏み込むことで、八乙女のエグさも描けるし
環は内面ホントベイビーで、身勝手で純朴で思慮が足らない。壮五がコーヒー飲む中、一人メロンソーダ(パーソナルカラーの緑色)を飲んでる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
そういうガキが必死にしがみつくものを、どうにか守ってやれるのか、やれないのか。ナイーブなものが表に出てくると、色んなものが試される。
※訂正 環のパーソナルカラーは水色なので、そこを拾った演出ではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
ただ、壮五との精神年齢差を強調する配置なのは変わらないと思う。
環を壁に使うことで『売れること』『成功すること』それ自体を目標にするのではなく、手段として使う屈折が可能になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
ガツガツとサクセスだけを求める姿勢は、(八乙女父が背負っているように)あまり良いものではない。しかし、物語としては主役が強く大きくならなければ、充実感がない。
ここのジレンマを『売れれば、妹に会える』というロジックを挟むことで和らげ、『成功すること』に振り回されないベーシックな価値(環の場合は家族愛、再開)を付与していくことになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
アイナナは売れて『アイドル』になることで、『アイドル』以上のものを掴める、と。
マテリアルなものにメンタルな価値を付与していく操作は、ありとあらゆる創作(現実も含む)でやるわけだが、それだけに上手くスライドさせないと作品内の価値観軸がブレる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
環の頑是ない真っ直ぐさ、優しさが上手く心に刺さる形をしているので、アイナナの『アイドル』は『アイドル』以上に見える。
『アイドル』は歌って踊ってキャーキャー言われて、金を儲けてビッグになる物理現象(だけ)ではなく、そこを超えて家族を再開させ、不和を解消し、人生の目標を叶えてくれる魔法でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
おとぎ話だが、創作はそういう価値操作を必ず兼ね備えていないといけないと、僕は思う。
同時に様々な人間のプライドがそこにぶら下がる、大きく硬い現実でもあるべきで、そこら辺の描写はアイナナに熱が入るたびにいい具合になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
甘さと苦さ、夢と現実のバランスを整え、サスペンスのある物語として提供する手腕が優れていると感じる。いい具合にドキドキしつつ、ほっと安心して見れる。
『アイドル』に『アイドル』以上のものを見ているのは環だけではないようで…というより、裏方敵役含めて全員そんな感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
壮五はなぜ、頑なに『みんな』でいる事に拘るのか。『仲間を裏切れない、みんなでいなければいけない』という強迫観念はどこから来るのか。
そっちの札はまだまだ伏せ札で、色々想像の膨らむところだ。環の手を強引に引いて、店から道に連れ出す時、『イイコ』の壮五は『ワルイコ』の環の事情を見ていない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
そういう広い視野を隠す何かが、壮五の中にもある、ということだ。それを取っ払わないと道が拓けないのは、陸エピでやったことだ。
環は自分の方を向いてくれない陸のロジックを借り受けて、敬語が使える『イイコ』を演じる。その不格好な歩み寄りは、ひどく無様で哀しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
敬語を使う意味も知らないまま、大人の真似を差し出し、話を聞いてもらうしかない子供の無力さ。その中でバカガキなりに考えしがみついたのが『アイドル』だ。
※訂正 陸→壮五
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
その情を、誰かが拾ってやらなきゃならん。『大丈夫だ、俺たち全員でやる。みんなか家族かなんて、悩まなくていい。全部取る』という無茶苦茶を、堂々と宣言してやらなきゃならない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
こういう正解にたどり着けるのか、上手く宙ぶらりに運んでいるところが上手い。
今週は小鳥遊父が開眼し、ビッと『仕事をする大人』な顔を見せた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
現実的なゼニカネの話として、七人同時は無理。露出の多少、持ってる運、持ち前の資質。『みんな』でいることは自動的に、グループ内部の格差を生む。
そういう状況で、何を選択し何に集中させるか。
社長は『二人をデビューさせ、五人はその後を追う』という選択をした。結果として八乙女父と同じだが、それは夢と現実の結節点をギリギリまで見極め、環や陸が『家族』に向ける柔らかい感情を受け止めた上で選ばれた、現実的なチョイスだ。非情とも、情があるとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
『アイドル』として現場で動いては見えてこない、見させないために『社長』や『マネージャー』として働いている部分が、その選択をさせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
夢は現実の上に乗っかっていて、それはすべてを支えられるわけじゃない。厳しい状況の中で、ギリギリ『みんな』を守れる選択を。
社長はそういう道を定めた。
子どもたちが激しく動揺する中、大和が社長のリアリズムを受け入れた上で、『それでも、全てを掴む道があるはずだ』というオルタナティブを提示するのが、本当に好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
ギリギリ『大人』になりきらない、現実見れる『アイドル』の最年長だからこそ出てくる言葉だと思う。
大和は社長(や八乙女父)が足場を置いているリアルを、横目で見れる程度には身の丈がデカい。同時に、『みんな』でアイドルやってる時間が楽しい程度には夢見人だ。それは、妹への思いに引き裂かれつつ『みんな』と手を繋ごうとした環の幼さ(と優しさ)を、一部共有している、ということだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
色んな厳しさが埋もれたリアルの中で、切り捨てたくないものを大事に、欲張りに選び取って、そのために最大限可能な道を探る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
そういう姿勢が『ワンチャンくれや』という提案には出ている。メインキャラにそういうチョイスが出来るやつがいることが、アイナナの『アイドル』を『アイドル』以上にする
幾重にも押し寄せる厳しい現実を相手に、青年が『それでも』といい続け、甘っちょろい夢をつかむために体を張る。アイナナはガンダムUCだった…?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
とはいえ、『それでも』の物語は凄く強いし、夢を追う物語においては最も基本的な構図だと思う。それを、大和はしっかり言葉にし、仲間を道に乗せた。
偉い。歴史の教科書に載るくらい立派である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
それと対比させる形で、一織の怜悧さがスッと顔を出していたのは、なかなかに怖くもある。
『アンタが俺たちを見限ったんだ。俺もアンタを見限りますよ』
他人の事情を斟酌できず、表面に現れたもので判断してしまう。クレバーで冷たい実務家の顔。
リアリズムだけ追いかければ醜くなることは、八乙女父が見せている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
情に寄り添えない哀しさは、壮五が環の手を強引に引く時仕草で判る。
兄という身内のために戦略を積み上げる情。それが自分を突き動かしているはずなのに、同じエンジンで動く環の事情には眼が向かない。
完璧機械に見えた一織が、機械的であるがゆえに取りこぼしてしまっているもの。現実を怜悧に乗りこなすだけでなく、その狭間でどうしても軋んでしまう人間の感情を、強く優しくすくい上げる余裕。それがないキャラが、プロデューサーとして影からアイナナを引っ張っている。地雷原である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
薄暗い部屋を開けて行われる、一織と陸の会話シーンは、そこら辺を上手く照射していた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
あの部屋は未だ過去の兄にとらわれる陸の心象風景であり、一織はそこに踏み込み、わかりにくい言葉で『今の俺たちを…俺を見ろ!』と言ってくる。しかし機械の言葉は、人間にはわかりにくい。
マネジの背中に隠れて糸を引く今のスタイルは、色々軋みが出ている。噛み合わない会話は、一織がプロデューサーの立場を隠して動いているから、札を表にしないで立ち回っているから発生している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
ここら辺も、そのうち表になるのか。その時は火傷じゃすまないんだろうなぁ…。
それでも、暗い場所を開けて光を差し込ませ、『みんな』として手を引っ張ろうとする善性も、一織の真実(の一つ)なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
みんな裏腹な気持ちに揺れながら、自分の道を探している。それが触れ合って影響しあい、困難ありつつより良い道になる。こういう構図が好きだ。
『アイドル』を一番愛しつつ、『アイドル』に一番愛されていない三月の片思いもまた、迷い路のさなかだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
環が自分たちから離れようとしたことではなく、事情を隠していたことに怒る。彼もまあt子供の手を握れる『大人』なのだが、夢に届かない小さな身の丈に悩む『子供』でもある。
そんな彼の努力を、大和が見ている。声をかけ、一緒に潤い、「お前がいてくれてよかった」と言葉にする。歴史の教科書に載るくらい立派であるマジでッ!!!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
俺は強く賢く優しい男が大好物なので、大和のクレバーで情のある立ち回りにはマジでビンビン来てる。やべーよアイツ…エモの核弾頭かよ…。
しかしグループの最後尾をどっしり支える大和を、一体誰が支えるのか。彼もまた『裏切り』の過去を抱えているようだが、その伏せ札は誰が表にするのか。愛するものを愛し、守るものを守るのは誰か。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
この波風が収まった時、そこら辺も掘るのかねぇ…時間ね~かなぁ。
ソロで意味深な仕草してるナギの伏せ札も、表にしてる時間があるのやら、ないのやら。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
キャラ個人の内面のドラマと、その外側にある社会的障害競走を同時にやることで熱量を入れているアニナナ。たくさん積んでいるだけに、尺はどれだけあっても足らんな。やれるだけやってください!
そんなアイナナにひっそり道を作るのが、我らがTRIGGER。横柄な社長に対し、現場の彼らは仕事を真剣にやりきり、挨拶をしっかりやり、他人に敬意、自分に自信のベスト・メンタル・ボーイである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
アイドルの天井がちゃんとしてると、そこを追うアイナナの道もしっかり整備されるなぁ。
フェスにアイナナを推薦したのは、社長への反発半分、アイナナへの期待感半分、という感じか。やっぱ『何か』を感じてるんだな、TRIGGERは。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
天お兄ちゃんが、気づかれないように陸にボール投げた意味合いもあるかな。みんな愛情表現がシャイ過ぎんよ~(大好物)
とまれ、波乱ありつつ道は定まった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
フェスで大活躍して知名度爆ハネさせれば、環の家族も、みんなのデビューももぎ取れる。しかしそれは過酷な道で、やりきらなければ何かを切り捨てる必要がある。
そういう選択肢、成功条件をスマートに提示しつつ、キャラ個人の魂を掘り下げていくエピソードでした
いわゆる『カウントを整える玉』『整理回』ってやつではあるんだが、状況をダラーっと流すだけではなく、細やかな描写、繊細なやり取りの中にキャラが抱えている矛盾や行動規範、譲れないものが見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
これが後々、大きいドラマが回る時の爆発力、説得力に繋がる。
小技の中に大きな展開へのタネを仕込み、大きな展開で生まれたものを細かく膨らませていく。自分の病をネタに出来るようになった、陸の変化みたいに。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月4日
そういうアニナナの手法が鮮明でもある、良いエピソードでした。勝負の10時間生放送、とっても楽しみですね。