からかい上手の高木さん を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
あらゆるクソ童貞が夢見て誰もたどり着けなかったという黄金郷…デコ出し鎖骨系賢いエロい強くて弱い女の子とのイチャイチャパラダイス! 探せ、全てをそこに置いてきた!(流れ始める"ウィーアー")
そんな感じのアニメの、テストと嘘と雨のエピソード。
というわけで、今週も青春からかいバトルは西片の全敗、恋心バトルは気づいてもらえない高木さんの全敗と、いつもの調子で進んでいった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
勝利は常に敗北であり、勝敗のルールそれ自体を書き換えるまで物語は続く。偉大なるパターナリズムであるが、しっかり起伏と瑞々しさはもぎ取ってくる。
キャラの良さでぐっと掴めるパワーが有るこのアニメ、まったり進みつつ細かく腑に落ちる描写を入れてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
西片の点数が悪いのは、あんだけイチャコラしてたら当たり前だし、高木さんの点数が高いのは、あんだけボーイを手玉に取れるなら当たり前だ。
テストの点数の上下ではなく、それにどれだけにアピンできるかというゲーム。もっと言えば、高木さんは一発で点数を当てたので、どれだけマージンを取って西片との楽しいゲームを維持できるかというゲーム。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
青春の遊戯は、優秀なゲームマスターによって的確に難易度を調整され、維持され続ける。
しかし『からかい』が続く限り…西片が己の恋に自覚的になって、なんで高木さんとからかい合うとあんなに楽しいのかに正解してしまうまでは、高木さんはある意味負け続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
自分から『好き』っていうのは、ゲームのマナー違反。言わせたい系小悪魔女子である。こんにゃろー!(唐突な照れ激怒)
クレタ人のパラドックスめいた『嘘をいうことはない』という告白と、『嘘って言ったのが嘘』という翻弄。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
高木さんは自分の賢さを足場に、様々なゲームを西片に与え続ける。西片はお釈迦様の手のひらの上にいることも知らず、本気で遊び続ける。その戯れには、不思議と邪気がない。
やっぱ西片がバカなのがデカいな、そこら辺。高木さんが仕掛けてるゲームの構図に気づいてしまえば、ある意味玩弄されている自分に気づいてプライドも傷つくだろうし、遊びは終わりになってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
でも西片は狭い視界の中で必死に、高木さんの出す課題に負けて、失敗して、つまりは勝ち続ける。
真っ直ぐに告白できない高木さんは、ゲームが続くことを望んでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
西片がゲームに勝ってしまって、自分が恋人(それこそ体操着交換が暗示した『西片姓の高木さん』あるいは『高木姓の西片』が実現するまで)になっても…ゲームが終わったとしても勝ちは勝ちなのが、なかなか強い。
もう一個の終わりとしては、西片が高木さんを嫌いになって離れていく…だが、まぁ無理だありゃ。魂の根っこの部分を完全に抑えられちまってるんで、回り込まれて逃げられねぇ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
そしてその構造は、西片を熱心に追いつつ必死さを隠す、高木さんの二重の努力によって成立している。
二駅先の本屋まで『偶然』行くはずないし、本来本屋にいたのに見てないふりでマウント取ってくるのはおかしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
でも高木さんが前にいるだけで高まる体温は、そういうヒントを西片に読ませない。読めるくらい大人になったら、ゲームが終わっても問題ない、ということだ。どうやっても高木さんが勝つ。
繰り返されるあらゆる局面で、高木さんは完全に勝つルールではなく、西片が少年から男になって、『からかい』が『恋』になりうるルールを制定している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
冷静になって、ヒントを繋いで、高木さんが余裕を装いつつ耳を真っ赤にしてアピールしている気持ちに気づけば、西片の勝ちだ。
でも、バカな西片は気づかない。遊戯は続く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
そんな西片の打算の無さ、冷えた客観性の蒸発っぷりが好きだから、高木さんは色々手を凝らしてゲームを作るのだし、僕らも彼らのことが好きになる。
この『からかい』は、濁りのない純粋な愚かさと、愛おしさを冷静に隠す賢さの終わらないダンスなのだ。
そんなことを、テストとクソダサ私服と少女漫画を買う恥ずかしさと消費税がない時代と雨と黒キャミと体操服交換に満ちたお話を見ながら、ほんのりと思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
サッカー漫画を対話のネタに使う展開を、ユニフォーム交換…試合自体が無化されるノーサイドの儀式と重ねてくるのは、ホント天才だと思う。
西片が必死になってるゲームは、勝ってしまえば終わる。その時、西片は大好きな恋人にちゃんと向き合って自分の気持ちを言える、気持ちの良い青年になっているだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
そしてそれは、高木さんの臨んだ敗北であり、勝利でもある。最初から勝ちしかないゲームを、西片は遊ばされている。
ノーサイドが成立するためには、ルールを守り相手を尊重する信頼感が大事だ。警戒はしつつも、愛情の捻くれた発露として負けん気を出し、高木さんに突っかかっていく西片。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
彼は高木さんをライバルと認めつつ、凄く根本的な部分で信頼している。つうか愛している。気づいていないだけで。
それは高木さんも同じで、いつか自分を破ってくれることを確信しながら、そのためのヒントが大量に詰まった必死の遊戯を作り、無敵のチャンピオンを演じ続ける。『からかい』の中で戯れながら、それが終わることと終わらないこと、両方を心から楽しんでいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
非常に高度で豊かな、青春のゲームだ。
それはノスタルジーに溢れたユートピアとしての青春…どこにもないけど、どこかにあって欲しい夢として、まったり進行していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
当たり前だけどどこにもない日常が、周囲をいい具合に包んでいる。田舎町の描写が先鋭でいい。
甍を練り込んだ土壁、神社の境内での雨宿り。驟雨。
まったり進行にかなり尖った演出を目立たず乗せて、飽きさせない工夫をしているのも素晴らしい。心理変化に寄り添った劇伴の使い方は、本当に強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
ジジババの急所を射抜いてくるEDのチョイス、声優陣の名演。音関係が本当に強いアニメだなぁ。
翻弄される西片をひらひらと揺らぐカーテンが覆っていたり、メタファーの聞かせ方も良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
本筋が非常に淡白に同じことを繰り返すので、絵で詩情の圧を上げて、『なんかすげぇ特別なことが起こってる…起こってる!!』って感じをひっそり盛り上げるのは、やっぱ大事なのだろう。
甘ったるいイチャコラのミニマルな連続が、飽きずに食べられるのはやっぱり、色々攻めているからだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
本筋を壊さないよう細やかに調整されたアバンギャルドが、永遠のリピートに命を与え続ける。その奇跡は、永遠の青春というもう一つの奇跡の光に紛れてしまって、あんま目立たない。狙い通り。
そういう細やかな調整能力が、ちょっと高木さんが仕掛けてるゲームに似ていて、なんか面白いなぁと思うエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
西片、もう一生高木さん以外で発情できない体だよなぁ…精通もまだだろうに…なんと幸せな男なんだ…。
来週もどんなラブ・ゲームを見せてくれるのか。とっても楽しみですね。
追記 BGM:目を覚ませ、と呼ぶ声が聞こえる(BWV645)
高木さん追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
『100%片思い』も非常に良い小道具で、西片が照れつつ憧れている少女漫画的ロマンスは目の前にあるっていうかお前がその当事者だし、『100%片思い』どころか両思いであることに欠片すら気づかないまま漫画に夢を求めているしで、西片の愚かさとピュアさの象徴なのだな。
いつか漫画の中の恋から、自分が主役の恋が始まる。ゲームの構造を破壊して、西片が勝つ時が来る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月5日
でもそれは、少なくとも『からかい上手の高木さん』では描かれない戦いだ。そして西片は、そっちにも余裕で勝つだろう。バカだけど良いやつだからなーアイツ…ほっそい体しやがってマジアイツよ~。