アイドルタイムプリパラを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
失われた大陸を求め、見失っていた自分を取り戻した少女、幸田みちる。ガァルマゲドンとの幸福と不公平に真正面から向かい合う、最後の戦いがついに始まる…。
みちるとあろまの不均衡な支配の構図を、最後の最後できっちりひっくり返して風穴を開けるエピソード。
というわけで、みちるのラスト個別回である。前回はにのの成長を総括し、冠によって祝福する感じであったが、未だ乗り越えていない場所が明確にあるみちるは、しっかり大きな盛り上がりを作って感情のドラマを入れていく感じになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
その派手さは必要であったし、大事でもある。
第35話でプー大陸という『ここではない場所』、ミーチルという『私ではない自分』を求める気持ちに決着を付け、アイドルに夢を持っていた過去と、それを守るために夢を隠し守った現在とを融和させたみちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
それはとても大きな一歩であり、一つの完成だった。
しかしそれはあくまで内面の変化であり、彼女を便利に使うあろまとの関係は、内面の変化を反映していない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
今回は未知なるミーチルを知ったその先、夢を守りうる大人なみちるがどうするべきで、何をするかを追いかけていくお話だ。
今回の話はみちるが自信を獲得し、身近な支配構造(それがプリパラで最も『家族』的であるガァルマゲドン内部の共犯に擬せられているのは、非常に面白い)を解体・再構築していく物語だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
それと同時に、就学困難児童という顔を持つあろまが、社会と折り合いをつけるお話でもある。
あろまは自分の作り出した『悪魔の世界』を無理くり振り回し、好き勝手に振る舞う。それは『自由』ではあるが、テストの点数には結びつかない『自由』だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
あろまが作り出したアロマゲドン的な世界観は、ヴァーチャルなプリパラの世界で一定以上の成果を出した。『家族』も出来たし、ガァルルも救えた
学校を飛び出したそんな成功が、彼女のアイデンティティと強く結びついた結果、あろまは一種のコミュニケーション不全に陥っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
他人(学校という価値観共有社会)の言葉を理解してやるものか、擦り寄ってやるものかという、意固地な『自由』への固執。
パラ宿で思う存分悪魔的に振る舞った結果(そのハチャメチャを僕らが『アロマゲらしい』と望んだ結果、パパラ宿での出番が望まれて追放される形でもあろう。悪魔周辺には共犯が満ちている)、あろまは共同体から追放され、アボカド学園に流れ着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
その先でも一般的なコードを拒絶し、『自由』に自分らしく振る舞った結果、社会と衝突して追放されかかる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
同じく『自由』なプリパラらしさを、別人格を持つ異物として捕らえ、『無理無理!』と諦めていた…過剰に社会の言葉(常識)を聞き続け自分を抑圧してきたみちるとは、正反対の道だ。
あろまの『自由』に惹きつけられたから、みちるは年下の彼女に接近し、変化の予感を感じて下についた。実年齢は上なのに、ガァルマゲドンの末っ子として搾取され、その構造をひっくり返せずにいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
それは搾取されるみちるだけでなく、搾取し続ける自分から脱却できないあろまにとっても、不幸だった
みちるが憧れ、助けられてきた悪魔的な自由。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
プー大陸という嘘、ミーチルという虚構をあろまが与えたことで、みちるは失った過去への道筋を知らず手に入れて、仮想の世界で歌姫を演じる中で、自分自身を見つけることとなった。
その輝きを、あろまとみちるの『家族』関係は時折、激しく損なってきた。
あろまにとって、『悪魔』は引っ込み思案で真面目な自分を覆い隠す『キャラ』であり、アイドルとして勝ち残るための『武器』でもあった。(最近忘れがちだが)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
作り上げたはずの自由奔放な悪魔像が、『悪魔は自由に生きるものだ』というテーゼに固定化されて、優しい気持ちを置き去りにする。
そのことをうっすら認識しつつ(なにしろあろまは頭がいいので)、あろまはみちるを搾取する気持ちよさ、誰かの上に立つ快楽に抗えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
社会的には上級生、本来上に立たれる相手を下においているのだ。まさに悪魔的快楽。だが、それはやっぱり良くない。いつかは脱却しなければいけない。
自分と出会い直すために、アイドルを始め仲間と距離を詰め、友情を獲得してきたみちる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
彼女最後の冒険は、『あろまに強く出来ない自分』と向かい合うと同時に、『みちるを支配してしまう構図から抜け出せないあろま』と向かい合い、誰も言わない文句を大声で叫んであげる戦いとなった。
作り上げたキャラクターに支配されるのではなく、融和すること。第35話でミーチルと同一化したみちるが学んだ真実は、(交換ノートによる確認を経て)みちるの外側に出て、あろまにぶつけられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
あろまの悪魔スタイルを利用する虚像ではなく、眼鏡も飾りも外した素顔の幸田みちるがそこにいる。
僕はあろまのスタイルに乗っかって、ある種の方便として自分を偽るクレバーさをみちるが手に入れて解決するのも、結構ありだ、と思いながら見ていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
しかしあろまの賢さは虚偽を見抜いてしまって、みちるは自分を鎧うキャラクターを剥ぎ取られ、対峙するしかなくなる。
その時、ここまでの物語で彼女が手に入れてきたもの…過去の自己であり未来の夢でもあるミーチルの強さと、アイドルとして培ってきた度胸が彼女にやどり、髪留めと眼鏡を外した『ミーチル=みちる』として現実の中であろまに向かい合えたことは、幸田みちるの最終章としてとても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
キャラクターや虚飾を否定し、現実の自分だけを肯定するのでは、もちろんない。プリパラは『なりたい自分』を演じる舞台であり、ヴァーチャルな楽園だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
作品の根本からして、『真実が無条件に善である』という結論にはたどり着けないし、あろまの『悪魔』、みちるの『ミーチル』は分厚い価値を持つ。
だが、『悪魔』的であることに過剰に支配され、世界との対話チャンネルを自分で閉鎖してしまったり、それで軋轢を生んだり、他者の尊厳を搾取するような結果が生まれてしまっているなら、アイドルはキャラクターや虚構と、適切に戦わなければいけなくなる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
そしてみちるは、あろまが『正しくない≒悪魔的』だから怒ったのではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
自分が生み出したキャラクターに支配されてしまっている現在のあろまが、彼女が引き寄せられたあろまと食い違ってしまっているから。
我欲を優先させ自閉する言い訳として、『悪魔』を使ってしまって開き直っているから。
その結果として社会との対話チャンネルが潰れ、皆で時間を共有できる場所から今まさにあろまが追放されようとしていることが、とても哀しいから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
みちるは上級生らしく怒って、『やるべきことはやろう!』という『正しさ』を突きつけることになる。そこには、個人的な感情がある。
良いように利用され、プライドを搾取されながら、みちるはあろまのことが好きだった。だから付いていって、アイドルとして大事なこともたくさん学んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
あろまにとっても、みちるは『家族』の一員であり、ただ搾取するべき対象ではなかった。ただ、その関係は我欲と自閉によってこじれてもいた。
みちる最後の物語となる今回は、これまで未熟さが前面に出ていた彼女が35話で果たした成長を杖に、あろまの支配を脱する話だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
それは自分の道を切り開くと同時に、あろまに先輩(あるいは先生)らしく道を見せる物語ともなった。みちるの成長物語であり、あろまの変化の物語でもあった。
みちるの変化があろまの変化に連動するのは、二人の間に繋がりがあるからだ。師弟であり、家族であり、支配者であり、先輩後輩でもある複雑な距離感。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
それは結構曲がりくねった道を経て、『年上の先輩』というナチュラルな立ち位置にみちるを帰還させる、不思議な歩みとなった。
いわば『振り出しに戻る』形だが、年齢が要求する見識や自信、思いを素直に口にできる強さは、物語開始時のみちるにはない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
アイドルと出会い、ガァルマゲと出会い、ミーチル(つまりはみちる自身)と出会い直す物語があればこそ、みちるは『年上の先輩』としての自分を確立し、『悪魔』に向き合う。
ここまでの物語は何一つ無駄になっていないし、今回展開された物語は新しい地平を連れてきている。そして全てが、非常に幸田みちるらしい物語で、黒須あろまらしい物語でもあったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
キャラクター、搾取、家族、自由。キャラが歩んできた物語からしっかりテーマを拾い上げ、よく語った。
みちるとあろまが話の中心にあるので、みかんとガァルルはそこまで目立たなかったが、あろまが素直にコネクトできないみちる(と、彼女がコネクトしている常識ある社会)を手早く受け入れることで、話をスムーズにしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
そこら辺の素直さは、『天使』というキャラ故か。ガァルルはガァルルなんで
みかんが邪心なく『先生すごいのー!』と褒めることで、みちるは『年上の先輩』としての自分を肯定して、あろまに叩きつける準備ができた部分があると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
それは搾取で奪われたプライドと同じくらい、ガァルマゲの『家族』でいることでみちるが獲得してきた、かけがえないものの延長線上にある。
そういう尊さを内包しつつ、やっぱり歪みもあって、それがガァルマゲ追放というイベントで顕在化し、切開されて適正な位置に置き直される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
プリパラらしいコミカルな語りを入れ込みつつ、『家族』が時に持ってしまう支配の構図を最後の最後で適切に解体し、関係を再配置したのはとても良かった。
そんなファミリー・アフェアと同時進行で、クライマックスへの準備も進んでいた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
眠気に耐えるガァララは確実に死病を模しており、相変わらず女児アニフィルターでうっすら覆って生病老死を描くスタイルは揺るがねーな、と思った。完全にALSとかトリパソーマじゃん…。
しゅうかは運命に抗ってガァララを現世に引き留めようとするが、眠り(死の兄弟)は公平にガァララを抱きとめ、覚めない夢に引き込む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
そんな彼女を活かすべくパックは約束を破り、他人の夢を燃やしてガァララの過去の夢、自分の現在の夢を駆動させようとする。
それもまた、繋がり方が見えなくなった愛が誤作動した結果であるし、過去と現在を巧く調整できなくなった故でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
しゅうかと出会ってしまったガァララは、もうパックと同じ夢を見ていない。女の子の夢を食いつぶすのは『しゅうかが嫌がるから』やめたのだ。
しかし永遠にも等しい時をガァララと共存してきたパックは、簡単には過去の夢から出れない。壊れた機械のように、自分に定めたキャラクターを演じ続け、軋み続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
それは『悪魔』に乗っ取られたあろまに似ていて、みちるがそうしたように、どっかで是正するべき暴走だ。
ココらへんを(かなりざっくりだが)ピツジが背負いに行ったのは面白かったし良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
最初物理的に壁登ってる時は『オイ、ざっくりにも程があんだろ』と思ったが、彼も主の夢を奪われた過去を気にかけて、その実行犯であるパックを思いっきり殴りに行く。バイオレンス・コミュニケーション…。
現状、ガァララ&しゅうか含めてパックを正面から受け止める人間がいないので、マスコットたちがその仕事をしに行くのは、非常に良いと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
愛の置き所が完全に見えなくなってしまっているパックは、誰かが受け止めないと止まれない。そうすることで、マスコットたちの株も上がるだろうしさ。
愛の居場所をなかなか見つけられないのは、しゅうかも同じようだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
目の前で伴侶が死病にぶっ倒れて冷静でいられるわけもないが、壁を超えられないゆいを前にして焦り、自分が当事者になろうとしている。
てっきりらぁら超えが壁かと思っていたが、第29話を踏まえると決着は付けたほうが良かろう。
残り約二ヶ月、話をどこまで膨らまし転がすかは楽しみだが、主役トリオの成長を確認していく個別エピソードは、一旦次回で収まるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
キャラクターと自己イメージ、搾取と自由を巡って展開した今回のように、しゅうかとゆいは現実と夢、私とみんなを背負いながら戦うことになる。
それは二人の関係を切り取ってきたこのアニメが、過去にずっと描いてきたことであり、彼女達の魂に刻まれている大事なテーマだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
それを最後に語り直すことで、確認できるものがあり、新しく生まれるものもあるだろう。それは確実に、とても良いものになる。すごく楽しみだ。
しっかし死に際に「大っ嫌い…」という言葉をぶっ刺されたファララ、どういう感情で最終局面を迎えるのだろうか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月7日
その言葉の真実を聞くためには、夜と昼の運命を全部ひっくり返し、システムを改ざんする必要があるわけで。個人の感情が世界の命運に直結する、デカい話に仕上がってきたな。