宇宙よりも遠い場所を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
フリーマントル決戦前夜!
遂に運命の船に乗り込んだキマリ達を、山盛りのビールと足りない資金と少ない頭数が襲う!!
お前もバカ、あたしもバカ、みんな大バカだから南極なんて行くんだ!!!
キラキラしてねぇポンコツ船を探検しつつ、大人たちのワンスアゲンを見せる回
というわけで、シンガポールに引き続き、南極前のウォームアップというか、異郷にて世界と己を知る回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
ここまで袖に引っ込んでいた大人たちが、一体何を抱えているのか。僕らの大好きなアホバカたちと共通する部分はあるのか。そういう部分を笑いと情で包んで、一話でキッチリ飲ませてくる。
冒頭、ガッチンガッチンに緊張した隊長を和ませる報瀬ママ&かなえの姿は、ここまで見てきたアホバカ南極突撃隊と、強く重なる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
しかし三年前おふくろは死に、夢は潰えた。かつて三人だった場所が、二人になる。時間と運命は、約束の地だけでなく、冥府という『宇宙よりも遠い場所』も連れてくる。
ノンキにお船探検を楽しむ現在の少女たちには、そういうハードコアな運命は未来にある。かつての少女たちにとって、夢と挫折と死別は過去にあって、それを再び掴み直すために三年間、バカにされつつ罵られつつゼニを貯めてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
大人と子供、二つの青春は遠くて近い距離にある。
レポート巧く出来なくてガッチンガッチンな報瀬と、カメラの前でガチガチだった吟隊長は、年齢の離れた双子であり、母の死を中間点に挟んでの敵でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
ポンコツが引き締まるのは、敵を見つけた時。フニャフニャ報瀬が、隊長を目にすると顔色変わるのが面白い。
必死にしゃくまんえん貯めた報瀬は、おふくろの遺書に書いてあった『宝箱』を自分の手で開けるために、南極に行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
そのおふくろのマブダチどもは、死んだ女が夢見た空をもう一度見るために、三年前の自分を取り戻すために、南極に行く。
思いは同じで、同じ舟に乗るのだと確認するまでのエピソードだ
しかしそこには(大人サイドを初めて見る僕ら視聴者と同じように)距離があって、じっくり歩を進めないといけない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
それを巨大な船を活かした作画で、探検のドキドキを高めていく展開の中で埋めていく運びは、非常によりもいらしい。大きな図式を、具体的で楽しい描写でみっしり満たすのだ。
『大人がこれからお話の、大事な部分担当しますからね!』というサインとして、ビールの箱がてんこ盛り乗っかっていくのも、またよりもい力だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
大人はお酒を飲む。現実の硬さ苦さをアルコールで咀嚼して、一瞬の酩酊をエネルギーに変えて、大して面白くもない瑣末ごとを踏みしめながら前に進む。
自分が殺してしまった(という思いは、吟のみならずあの場の大人全員にあるだろう)の遺児を前に、過去の真実を語るための潤滑剤としても、お酒は機能する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
子供たちが口には出来ないけども、それがあることは知っておかなければいけない、かつて子供だった者たちに捧ぐソーマ。
その助けを借りて吟は、過去を語り貴子への思いを語り、散々ドタバタ探し回った『大人たちが隠しているもの』を語る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
それは目に見えなくて、言葉にするには重たくて、しかし確実にあるもので。南極に行く前に、おふくろが残した宝箱一つ、報瀬は開けることが出来たのだ。
壮行会で報瀬は、日向に背中を叩かれて前に出て、結月と練習したレポーーとの言葉を借りて、自分をみんなに紹介し、みんなの思いを一つにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
それは冒頭、貴子とかなえが吟にやってのけ、今は失われてしまった友情の再演だ。クールビューティー面でポンコツな二人は、やっぱり時を越えた双子なのだ
お船の中をウロウロして、大人の事情に接近していく中で、報瀬を支配していた吟への反発(それがポンコツに背骨入れてた部分もあるので、悪いことばっかじゃない)が、同じ女を慕って『南極』に赴く同志へと変化できたのは、とても良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
弔い合戦の悲壮さに支配されてる吟にとっても、だ。
報瀬が『船』や『仕事』に馴染む決定的なアシストを、調子を取り戻した日向がキメたのが嬉しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
それは報瀬が、むき出しの自分を叩きつけて前に進んだ報酬として、シンガポールから輸送されてきたものだ。ぶつかり合って分かりあって、支え合う。そういう働きが、あの船では無数に生きているのだ
同じ船に乗り、『南極』に行く大人たちが、肩肘張らないアホバカ仲間であり、同時に自分の中のキラキラを、負けたままでは終われない不屈を、言葉に出来ない尊厳、あるいは死者の言葉をすくい上げるために荒野に立ち向かう仲間だということも、船探検の中で見えてくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
アホバカであることはこのアニメに参加するパスポートみたいなもんで、コメディ調子の船探検、泥酔飲み会の中で『あ、大人もバカだ。同類だ』と思えたのは、凄く良かったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
バカの中にある本気の光、分厚い優しさに魅せられて、俺はこの亜に目を見続けているわけだから。それが同じと判るの大事
いよいよ『南極』が近づいてきて、子供らもハードコアな『仕事』に接近し始める。重たい荷物を持って買い出しに出て、船の一員として機能する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
無論、守られる子供への配慮はそこかしこにある。しかしその上で、子供らはただのお客さんではなく、極地に挑む同志として認められてもいる。
そういう扱いを、持てるだけの重荷を任せてもらう信頼と責任を求めて、彼女らは『南極』に来た。(という部分もある。このアニメが切り取るものは常に多層なので、『だけ』ということは全てにおいてない)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
キマリは相変わらず何も見えていないが、前に出る気質が『南極』で役立つこともあろう。
先週に引き続き、『アイドル』として大人にまじり『仕事』をこなしてきた結月のタフさが、高校生のゆるさを引き締める仕事をしていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
頼もしい女だが同時に相当いい性格もしてて、『あー、こりゃ忙しくなくても友達できねーかも…』と思わされるのに十分であった。
性格的には相当難アリの、書割じゃない普通の人間。泥酔もすれば痴話喧嘩もするし、死人の声を救うべく三年耐えもする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
この船はそういう輩でみっしり満ちてて、その乱雑さ、嘘の無さが最高に面白いことを、ここまで見てきた僕らは思い知っている。生っぽくて面白いのが、最高にイイ。
船の作画や演出が真に迫っていて、見たことも行ったこともないのに『ホントっぽい…』と思わされるのは、やっぱ強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
歌舞伎町や博物館の時もそうだが、ロケハンした現実を、物語に最適な形にシェイプし、現実よりも輝く象徴に仕立て上げる腕前が、非常に高い。
棚にロックが掛かったり、全てをベルトで止めたり。ディテールを積み重ねることで、極地に向かうワクワク感、そこで飯を食って死にかけるリアリティが、嘘っぱちの物語の中に宿る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
そういう足場があるから、バカどもの必死のあがき、そこに宿る魂の叫びも、重たい威力で迫ってくる。
そういう硬さや重さを入れ込みつつ、軽妙な会話と可愛い仕草で空気を抜いて、楽しいムードをしっかり出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
やはりこのバランス感覚は白眉であり、それを可能にしている映像記号の圧縮能力も素晴らしい。軽さと重さのバランスが、作品が見据えているものにドンピシャなのだ。
船の大人たちは思っていたよりバカで、お船は想像していたよりボロで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
でもそこには、何が何でも『南極』に行くという思いが、確かにあった。
失ってしまった死人の声を、もう一度聞きたいという切望があった。
それに導かれてフリーマントルまでたどり着いた、少女たちと、全く同じものだ。
年も立場も超えて共鳴し合う光が、『宇宙よりも遠い場所』へと人間を導いていくことを、僕らは知っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
その道程を描くこのアニメに、新しい仲間が加わった。酒飲みでよく働き、何がどうなってもおふくろの骨を持ち帰ると、無言で決意しているクルーだ。気持ちのいい奴らだ。
そういう連中とキマリ達を、僕らをしっかり出会わせ、お互いを紹介してくれるエピソードだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
そして、船は嵐に漕ぎ出す。ふんわり気分じゃいられない波の中で、冒険者たちは何と出会い、何にぶつかり乗り越えるか。
来週も非常に楽しみです。
イヤホントね、船の仲間たちがおふくろの骨を拾うという、物理的には何の足しにもならないけども、人間が人間であるためにはいっとう大事なことのために無言で、現実の苦味を噛み潰しながら一歩ずつ前に進んでくれたことを、ちゃんと見せてくれたことが嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
死人はもうなんにも言えないし、自分の力で歩くことも出来ない。一番の弱者じゃないですか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
そういうやつの遺言を拾い上げて、遺体を持ち帰って尊厳を取り戻してやるってのは、一番優しいことだと俺は思います。そういう大事なことを、あの船の連中は三年間見落とさず、諦めず、もう一度船に乗った。
ガキのままおふくろと引き裂かれちまった報瀬が挨拶した時、あの場の大人はマジキツかったと思うんですよ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
死人を前に言い訳できる言葉なんてないからこそ、自分たちが隠している札を表にはしないわけで。その言葉に導かれた遺児が、自分たちの夢に乗っかって、一緒に進むと言う。
あの言葉は、小淵沢貴子を殺しちまったクルーにとって過去の許しであり、キツイ南極で待ち構える未来を乗り越えるための、最上級のアルコールになったんじゃないかと、僕は思うわけです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月13日
主人公たちのビッカビカな今と同時に、後悔まみれの大人の過去と現在もちゃんと見せる。ありがたいアニメだ…。