宇宙よりも遠い場所を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
女子高生は潮とゲロで揉む!
遂に動き出した船に、いまいち馴染めないアホ四人。タフな大人たちのタフな生き様を前に、空回りしてみたり凹んでみたり…でも、アタマっから突っ込めば結構なんとかなるッ! というお話。
南極航路のハードさと楽しさを巧く描く変則日常回。
というわけで、ヒロインがゲロゲロ戻しまくる回である。キラキラ力満載の寝っ転がり構図を、ゲロで洗ってシオシオにしたBパートで再演するところが、確信犯的でいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
『うちのアニメ、あーんまピカピカはしてないんで…』って感じで。でも、その塩っぱさがいいのだ。
四人にとって『南極』は遠いあこがれであり、キラキラと輝くモノだった。それに惹きつけられ実際に乗ってみた瞬間、それはくすんだ日常になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
食って、吐いて、体力付けて、仕事があって。結束帯で縛り付けなきゃ、荷物だってゴロゴロ転がる。ひっくり返った胃腸からは、素敵ポエムも出てこない。
少女たちは日常になった『南極』に必死で潜りつつ、自分の無力さを痛感する。大人みたいに走れない、働けない。じゃがいもの皮むき一つ取っても、スピードも仕上がりも段違いだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
鍛錬が足らない三半規管に悩まされつつ、みんな心の何処かでこう思う。
『こんなはずじゃなかった』と。
しかしキマリが言うように、選択肢は無数にあって、選び取った先にこの『南極』があるのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
何も出来ない無力さは、何かしてみなきゃわからない。アタマに引っかかる水が海だってことは、潮を舐めてみるまで知り得ない。
それを知って初めて、無力さを埋めてタフに育つことが出来るのだ。
細やかな船内描写が生きた今回のエピソードは、そういう部分をしっかり納得させる、いい作りだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
やっぱ思い描くのと現実体験するのは別物で、そういうフィジカルなズレを埋めるエピソードがあると、体使う話は飲み込みやすい。身体性が主にメシとゲロで構成されてるのが、このアニメらしいところ
冒頭、部屋はバンドで固定されていない。心理状況を反映して全てがうわっついているわけだが、揺れる現実に揉まれて、ゲーゲー吐いて、少女たちは夢を固定することを覚える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
相変わらず象徴の圧縮率は非常に高く、的確に物語を切り取る。ガネーシャのぬいぐるみ一つで、彼女らの立場が判るのだ。
現実のハードさを叩きつける回なんだが、『思い描くこと』がバカにされていないバランス感覚は、非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
報瀬は母と一緒に、南極探検の厳しさを語り合い、思い描く。母がいなくなっても続けていた学習が、来るべき大波を前に、備えを造る。空想は、夢のために現実を積み上げる足場なのだ。
そもそもここに流れ着いたのだって、夢を見て、現実を選び取ったからこそ。キマリの言葉でそれを思い出した少女たちは、ゲロに慣れ、波を楽しむ。嵐のジェットコースターに飛び出して、未知なる風景に心を躍らせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
それはバカのやることだが、そういうバカだからここまで、僕もこのアニメ見とるのだ
かくして波に揉まれ、『南極』は彼女達の現実になる。食って体動かして、吐いて出して。生活描写を積み重ねる筆が、少女たちの精神変化に対応しているところが、非常に巧い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
頑張って食べた南極のメシは、彼女たちの身になり、お客さんからクルーになる助けになってくれるわけだ。
『助け』という意味では、無力なお客さんである女子高生たちを見守り、生き残り方を教えてくれる大人たちが、優しくありがたかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
奴らもなかなかのバカなんだが、タフなバカであり、少女たちの手本となる現実適応能力を持っている。そんな彼らもまた、何にもできない所から食って吐いて育った。
少女たちの細っい体を突き動かす、形のない夢。同じものを共有している大人たちは、自分の仕事を果たしつつ、バカガキどもの無力さをあざ笑いはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
そこからちゃんと歩きだして、地面に足がつけるように、色々教えてくれる。強くて優しい連中だ。
少女たちのいっぱいいっぱい加減を照らすように、デザート作ったり化粧したり、生活に潤いを与える余裕を確保できている描写が、今回は多かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
海水風呂で髪の毛キシキシするの気にしたり、ゲロまみれのリアルの中でも、余裕ってのはやっぱり大事だ。そう言うのひっくるめて『日常』である。
酔い止めの効果が切れるほど、ずーっと船に閉じ込められる経験。それを経て、『南極』への酔いは醒めて、少女たちは『現実』に覚醒する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
でも、それは夢を捨てたわけではない。輝く夢を思う存分堪能するためには、目を覚ます必要がある。そのための強力な酔い覚ましとして、今回の波風がある。
キラキラピカピカ進んできた(冒頭の寝っ転がり構図みたいに)物語を、うまーく笑いで収まる範囲のリアリティで擦って地金を見せつつ、それが支えてくれる夢の形を見せる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
『南極』を『現実』にした少女たちは、ちょっと冴えない見た目になったけど、地面に足がついて、パワフルでタフだ。
それは今後、本格的に『宇宙よりも遠い場所』に飛び込む物語にとっても、必要な変化だ。シャレですまないことに立ち向かうパワーと信頼感、お客さんじゃない馴染み方を、このタイミングで準備しておく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
それはなぜかと言えば、それがなければ生き残れない場所へ、物語が進んでいくからだ。
流氷をぶち破って玄関を開け、白い弔いの花を届けるために。温かい大地に寝転がれる場所から、大地そのものが揺れているような極地へ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年2月21日
でも、そこにはやっぱり夢と笑いがある。デザートだって作れるし、化粧もできる。厳しいけど、楽しくもある。
そういう『現実』が待つ『南極』へ。来週も楽しみだ。