アイカツスターズを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
かくして、太陽は落ちる。『みんな』に接合された虹野ゆめのステージが天を触る時、『わたし』すらも見えていなかったエルザ・フォルテの幼年期が終わる。その先に待つ景色とは。
例によって例のごとく、どう飲み込めばいいか分からんエピソードであった。
というわけで、ランキング決勝の終わりである。太陽のドレスを一つの頂点とし進んできたスターズ二期が終わる回であり、エルザを縛り付けてきた因縁が解消される回でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
大きな勝負、大きな価値。それを背負えるだけの土台を、スターズが作ってきたか。わからん。
孤独に戦ったエルザと対照するように、ゆめは『みんな』に支えられ、思い出し、共有しながら闘う。それは先々週積んだ勝ちへの道筋に素直な、嘘のない展開だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
だが、そこを超えてのエピソードの蓄積を思った時、はたしてゆめは『みんな』に繋がるだけの資質と実績があるか。
ない、と実感しているからこそこういう修辞疑問も出てくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
白鳥ひめに勝ちを譲られた一年前を経験してなお、勝った後に敗者たるエルザに、ステージの上で言葉をかけてしまう姿を、傲慢としか取れないのは。
やはり第66話と第85話で見せた、トップアイドルとしてのゆめの欠損が、長く影を伸ばすからだ
それは作中では欠損ではなく美徳で、しかし見ている僕にとっては欠落で、そのギャップは埋まらないままここまで来た。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
ドン亀から始まり、小春と不本意に別れ、S4戦を勝ちきれないままトップに立ったゆめの中には、惨めであることへの視座があると、僕は勝手に想起していた。
しかし彼女の立ち居振る舞い、実際の描写から感じ取れる人格は、そういう惨めさからどこか遠い場所に、己を置いているようにみえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
世界全てが自分のための用意されている構築の中で、『みんな』を歌いつつどうにも『みんな』に繋がっていない感覚は、最終戦を経て解消されない。
惻隠の情が特定キャラにない、というのはスターズの特徴で、それはエルザと母親の関係からも見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
母から受けた情緒虐待を、自分を慕うきららやアリアに無意識に(という形で今回落着した)再演してしまうエルザと、『母親失格ね』と、先取りでで安全圏を確保する母の振る舞いは、よく似ている。
因果はそういう形でつながっていて、人間はそんなに綺麗な場所には旅立てないのだ、というビジョンを描くなら、この虐待の連鎖も納得は行く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
しかし、エルザと母の関係はキラキラした演出の中で浄化され、全てが解消したことになる。それで済むなら、とっとと終わらせておけばよかったものを。
非情の応報を受けろ、という話ではない。正しくなかろうと、繋がった絆の中でそれが是認されるなら、不法も不実も好きにすればいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
ただ、それを感動で押し流してしまうのであれば、ズレた感覚はどこにも繋がらない。いつものごとく、嘘はついていないのに端緒と結末が接合されない。
エルザがただの子供で、母に愛されるためだけにアイドルやってて、太陽のドレスという物質にのみ勝ちを見出している描写は、これまでも沢山積まれていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
だから、アイドルに物質以上の勝ちを見出し、広範な視座を持った(とされる)ゆめが、太陽のドレスを出してかつ流れ自体に嘘はない。
だが、エルザを孤独な密室で足踏みさせ、彼女を慕う少女たちとの距離を開けて、負けるべくして負けさせた大きな流れ自体が、はたして是であったのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
それにはやっぱり、否、というしかない。結局問題の解決権をエルザの母に委ねるしかない少女たちの惨めさは、回避できたものだと思う。
あのステージからエルザの母を遠ざけていたものは、一体何なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
たった2話しか出番のない母が、全てのカルマの救済を持っていく展開を飲ませるには、彼女の内面は薄い。薄いからこそ、あんなに人間を踏みにじって傲岸な立ち回りも出来る、ということかもしれないが。
そんな情のない人間に、壊される未来を約束された穴だらけの『パーフェクト』を着続けた少女が救済される。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
その狭さが、一年間物語を積み上げた結論だとするなら、それは少々寂しかないか。物分りのいい停滞で足を止めて、用意された感動の中で物分りよく結末を受け入れるのは、キツい。
それは傍から見てる外野の、あの世界(と、それを生み出す創作者の領域)に何らタッチできない無力な視聴者の、勝手な思い入れだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
でもまぁ、僕にはそういう蟷螂の斧しかないので、せいぜいぶん回す。
キツいんだよ。情緒虐待を受けて歪んでしまったカリスマが、変化なく負けの現場に叩き込まれるのは
それを正すチャンスは、レイちゃんやきららやアリア(エルザより真昼のほうが、影響力デカいだろキミ)には与えられなかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
閉ざされた扉の前で足踏みして、最後の最後の場面で脅迫と笑いを産んで、問題解決の決定権を『母の母』に委ねる形でしか、彼女達の思いは繋がらない。
その無力さや惨めさは、多分大したことじゃあないのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
S4のうち半分が、自分の力で勝利をもぎ取るのではなく、譲られた勝ちを身にまとって頂点を演じた。その歪さが、あんま掘り下げられなかったのと同じだ。
それは作中の視座では、大したことじゃあない。でも、俺には大事に思えた。
エルザが自分の身勝手さを思い返す時、どうやってもVAの名もなき生徒に思いが及ばないこととか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
二年目に入って道化以外の仕事をしていない『先生』を、あたかも優秀なメンターであるかのように『みんな』に含めてしまうゆめとか。
そういう部分が引っかかって、どうにも飲めない。
『みんな』を代表できるほどゆめは『みんな』の成立条件に思いを馳せていないし、説得力ある倫理を『みんな』に見せたとも、僕には思えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
なんとなくの『かたち』をなぞる以上の勝ち筋が、今回見せられたものにあるとは思えないし、それで轢き潰されるようエルザが足踏みさせられたのもイヤだ。
流れとして、演出としては壮大で、大きなものが終わったようにみえる最終決戦。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
でもそこにたどり着くための流れは、真実力強く、細密で、嘘のないものではなかったと、僕は思う。展開された感動巨編に苛立つのは、多分それが理由だ。スターズにコミットできてない以上、当然ではある。
エルザはもっとわがままに、母の怠慢と不誠実を糾弾してもいい。すべてがそこから始まって、何もしないからこそそこに押し流されてしまったのだから。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
だが、レイちゃんのエゴイズム/ナルシシズムと同じように、綺麗な看板がそういう身動ぎを略奪して、物分りよく彼女は真実に出会う。
そうさせたいなら、借りてきたキレイなかたちを繋ぎ合わせるのではなく、独自に見つけた何かを積み上げて、結論にたどり着いて欲しかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
その気配があるからこそ、僕はここまでスターズを見た。最後まで見るだろう。瓶をひっくり返して最後の一滴をすする、アルコール依存症患者みたいに。
ただ、もう酒はない。S4戦を『思い出した』描写を見せられて、『まだあります』とは流石に言えない。ないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
エルザが自分の中の子供を、がむしゃらに大暴れさせた上で残った真実にたどり着くことはない。抑圧に身動ぎするあらゆる子供に願うように、そうして欲しかったけども。
彼女も、彼女を愛しつつ密室に飛び込めなかった仲間たちも、予定されていたルートに嘘なく、綺麗な結末へたどり着いた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
『みんな』は大事、優しさは強い。
その真実を裏打ちするカウターウェイトを積まない以上、ゆめがたどり着いた勝利もまた、僕には軽く思える。
暗闇に巻かれた乱雑な星を、人は結んで星座に変える。物語の要素を勝手につなぎ合わせて、見たい景色を見るのは多分、物語る人の本能なのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
だから僕も、スターズに勝手に星座を見た。だがそれは、実際描かれた星座とは違う、押し付けがましい妄想だったのだろう。
今、僕の前に星座はない。スターズの総体がどうであったか、そこにコミットできなかった僕には見えない。『バラバラですね』としか言えない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月2日
あるいは、『星座を見つけたかったですね』か。
そんな僕を置き去りにして、母を許したエルザが港を出る。約束された終への歩みが、また進む。Bon Voyage VA.