BEATLESSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
皮相と深層に分断されつつ、物語は回る。
ライフスタイルをハックする、ボーイ・ミーツ・ガール広告戦略。それに初恋を掻っ攫われた紫織の焦り。新たなオーナーを手に入れたメトーデの暴力的な挨拶。我が子を食らう旧神は、主を求め人形を壊す。
甘い甘いポルノの奥で、経済がうねる
そんな感じの第7話である。色んなレイヤで別々の話が進行しつつ、それぞれが線でつながっている感じか。それは各キャラクターごとに分断され、またキャラクター内部でも分断されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
例えばレイシアが見せた、健全な青少年の妄想を掻き立てる仕草と、眼トーでとの戦闘で見せた超スペックの差異。
閨をともにすれば、簡単に頭をねじ切りかねない鋼鉄製の獣…人間サイズの工作機械を、レイシアは女の形に押し込めている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
アラトは自分が見たいポルノを押し付ける形で、彼女を『ガール』だと思いたがるし、ファビオンの広告戦略はその皮に広告の絵を描いて、莫大な利益を出そうとする。
人生の伴侶足り得る、特別な機械。アラトとレイシアはhIEという商品が背負う物魂(フェティッシュ)を書き換え、商品流通のためのラベルを全面的に張り替える広告戦略の瀬戸際にいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
『hIEを恋人扱いしてもいいんだ』というイメージ戦略で世界をハックすることで、新たな需要を根っこから掻き出す。
流石に塔での戦い、ミコトの死を目の当たりにしたアラトは、その舳先に立つリスクは危ぶむ。人間以下の機械を壊すことで自己を慰めるネオ・ラッダイトにとって、人間とhIEが対等以上の関係を結びうるという哲学(であり商品戦略)は、当然許容できないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
しかし明日菜が説明した、ファビオンの野望をアラトは苦笑いで逃がす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
『車を持っているのが当たり前』『携帯を持っているのが当たり前』という認識が、利益を超えて世界の形を塗り替えてしまったような、巨大な消費モードの変容。
それは暴力ではなく広告によってなされる、穏当で過激な革命だ。
その変革をもたらすカリスマがレイシア(とその付随品…『ボーイ』としてのアラト)にはあるし、消費欲求をドライブさせるだけの最高のポルノとしてきっちり広告してやるということを、ファビオン側は結構率直に伝えてきている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
これが駆動した時、世界は『銀色の恋人』というポルノを夢見るのだろう
結局その起動たる撮影は、メトーデという分厚い暴力によって分断・中止されてしまうわけだが。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
穏当で陰湿な広告ポルノと、直線的な暴力による遮断。メトーデ(の背後にいる渡来)は、ファビオンのアナログハックを実力で切断しようと思って襲ってきたわけではないが、結果としてそうなる。
経済と情報の網が世界中を覆い、実態を遥かに超えた虚構が加速している世界。世界中の誰もがデニムを履いてコーラを飲み、ビッグマックを食べる時代の中で、理想を押し付ける心地よいポルノは、窒息しそうなほどに溢れている。ファビオンは、その扱いがとてもうまい企業だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
そういう巨大なものでなくても、アラトはとても身近でベーシックなポルノ…女体への一方的な性欲求をブーストさせ続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
それがレイシアの手のひらの上…子宮の躍動無き冷徹な媚態で操られていることに、アラトは気づいて…いるんだが、足を止めて抗おうとはしない。ボーイは喉まで、ガールに浸かる
柔らかくて、いい匂いがして、お風呂に入る女体。メトーデとの接触(今回は戦闘シーン、緊張感と駆け引きがあってとても良かった)は、そんなアラトのポルノを引き剥がす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
超越種の戦いは、人間の理解を遥かに超えた速度で展開する。萌え萌え美少女は、人殺しの猛獣に十分なり得る危険な他者なのだ。
暴力によって露わにされるそういう実相を、アラトは見て、見ない。自分が見ているレイシアこそが真実で、『彼女は無理をして戦っているんだ』という妄想(あるいは恋)に溺れ続ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
その愚かないじましさが、彼の可愛げでもあるのだが。まーしょうがねぇレイシア可愛いからな。
それは欲望の反射でしかなく、それを主体に認識させないことこそが、ポルノを製造する側の戦略だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
対話可能で、リアルタイムに変化する『活きた物語』は、濫用できない。自分が身勝手な物語を押し付け、使い潰すこtが出来るという妄想こそが、ポルノ(と消費)を加速させる燃料だ。
だから広告/ポルノ/プロパガンダは巧みに感情と欲動を煽りつつ、情報を制限して世界を狭めていく。判断材料を略奪し、狭い世界へと意図的に追い込み、行動を望んだどおりに規定する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
当人は興奮状態で大喜び、実行者はカモが罠にかかって大歓喜。嘘に浸れている間は、ウィンウィンであろう。
アラトが溺れる『平穏な日常』という夢、レイシアというポルノが、何者かの欲望によって加速された虚飾であるというサインは、至る所にある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
企業のロジック(そこに都合のいい欲望の加速は『とても少ない』。詐術として使うことはある)に噛み潰される海内兄妹。
経済のリアルに焼き焦げたケンゴ。
身近な場所を探っても、『見たいと思う』ポルノと『願おうと願わまいとそこにある』事実のギャップは、ぎっしり広がっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
アラトがレイシアと萌え萌えしている間に、リョウはダチを売るように大人に脅迫され、紫織は悪魔と契約を果たす。
何よりレイシア自身が、幾度も誠実に『お前が見てるのは夢だよ』といい続けている。自分は機械で、赤らめ顔はアナログハックで、責任能力のアウトソース先としてお前を便利に使っているよ、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
恋に溺れた少年は、恋する少女の忠告すらも、まっすぐには聞けないのだ。幼さと恋ってそういうもんか。
レイシアとアラトがファビオンという企業体の好意(と、猛烈に利益を求める本音)に包まれているのに対し、海内兄妹は企業の冷たい部分を強制的に押し付けられている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
孤立無援のリョウと、『性』すらも見合いの釣り書として良いように使われている紫織、どっちがマシなのか…どっちも地獄か。
パワーを獲得し、利益体のなかで位置を確保したい。自分が自分でありたい。クソみたいな機械人形に、自分の好きな人を盗られたくない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
紫織をメトーデの契約に駆り立てたのもまた幼さと恋であり、それを愚かと切り捨てるのは酷だろう。いやまぁ、確実に地獄しか待ってねぇけども。
紫織が人気のない場所で、メトーデの契約スロットに指を突っ込む絵面が性的なのは、多分意図してのことだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
紫織もまた、メトーデとの契約の中にポルノを見ている。そこでドライブするのは性欲ではなく、圧倒的なパワーを手に入れて、自分の望みを叶える自己決定権への欲動、支配への意志だ。
しかしそれは多重契約の仕込まれた毒であり、メトーデは紫織の夢見るポルノをそのまま受け入れてくれる、都合のいい客体ではありえない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
道具存在として自分を縛るマスター契約の間を泳ぎ、どうにか『レイシア級完成体』としてのパワーを望むままに発揮するべく、環境をハックし続ける賢い獣だ。
そういう意味では、メトーデもまた『人間の尊厳』を夢見、ポルノを現実に引き寄せるべくあがいている存在なのかもしれない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
夢を見なければ、現実に窒息させられるだけ。ポルノを追い求めれば、欲望を投射した対象が自分勝手に動き出して、幻想が破綻する。
その危ういバランスの上を、皆歩く。
それぞれがそれぞれの願いと製造目的を抱え、別々の環境と現実認識のなかで動く。そうして生まれた波紋と幻想を、押し付け合い変化し合いながら状況が前に進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
なかなかいい感じに群像劇っぽくなってきたが、そこに褐色の彗星が颯爽登場である。エリカだいすき。
まぁ顔見世程度ではあるが、既にサトゥルヌスとの接触も果たし、レイシア級が引っ掻き回す戦場に横殴りかける資格は十分。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
ファビオンの頭として、多額の資金を燃料に『銀色の恋人』というライフスタイル・モデル/広告幻想ポルノを仕掛ける意図は、どこにあるのか。
サトゥルヌスとのマスター契約が果たされたか、否かも含めて、物語のチェス盤になかなかの大駒が乗った感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
結構大胆に再構築することで、複数のアクターが見ている夢、縛られている現状、手持ちの武器と欠点が見えやすくなってるのは、いい感じだと思う。
少年がポルノグラフィと出会う今回。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
もともとこのアニメは、空からメカ美少女・レイシアさんが落っこちてくる『イカニモ』な導入を用意し、嬉し恥ずかしギャルゲイベントを山盛りにしつつも、『アナログハック』という強いワードを前に打ち出すことで、幻想を弾いて進んできた。
お前が見たいと思う物語、配置されたパーツから想起されるポルノは、アラトが包まれている繭は、こちらが我欲で用意した戦術だし、その奥にはとんでもない裏切りが待っているよ、と。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
主人公周辺で展開する物語とは別の、冷たくて硬いロジックが、色んな場所で蠢いてているよ、と。
誠実に(あるいは残忍に)要所要所で告げて、レイシアさんに素直に萌え萌え出来ない怖さを見せつつ、このアニメは極力ポルノではない物語を駆動させようとしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
裏切りと生々しさと都合の悪さを詰め込みつつ、それでも譲れない魂の耀きが、異質化した未来の中で渦を巻く、その妖しさに。
引き寄せられたからこそ僕はこのアニメ見てて(原作も買って)いるわけだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
物語の内部(ファビオんによる広告戦略の開示)でも、物語の外部(都合のいいポルノとザリっとした現実の同居)でも、ポルノとロマンスは切り分けられつつ同居し、また侵犯しあう。
見たいと思った物語、加速させたい欲望を身勝手に投射し、対象をモノ化するポルノの視点。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
しかしそれが強く浴びせられかけた結果、ポルノ自身が変質したり、その幻像の奥にあるうねりを発見したりすることだって、多々ある。思い込みは、結構な頻度で変わる(変わってしまう)のだ。
そう思い込みたかった認識は、相手に裏切られたり、もう一つの側面を見せられることでヒビが入る。新たな妄想(あるいは恋)でそれを塗り固めたり、別の妄想に取り替えたり、欠けた認識を受容したり…様々に活きた反応を返すことで、一方的なポルノは対話可能な物語へと変貌する可能性を、常に秘める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
各キャラクターが置かれた幻想と現実、そこに投影される欲望を移した今回は、そういう物語の停滞とダイナミズムを、巧く切り取る回だったと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
おすまし顔で待機させられていた旧hIEは、災害を目の前にしてそのプログラムの根幹、人命の尊重を駆動させ、避難誘導をする。
そこに尊さを見るのもまた、過剰に『人間の形をしたモノ』に価値を見出すポルノだろう。しかしそれでも、やっぱり命を守ろうとしてぶっ壊れた人形たちの肖像は、物悲しく綺麗に僕には見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
そういう感傷を利用して、財布からたっぷり抜き取ろうってのがファビオンの戦略なわけだけども。
hIEの自己犠牲に心揺らすことが、ポルノなのか物語なのか。それをとえ、とこの物語はキャラクターに、あるいは視聴者に言い続けている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
その脚本を描くのが、エロゲの金字塔を打ち立てた高橋龍也と、ジュブナイルポルノというジャンルを駆動させた雑破業なところに、不思議な因業も感じるが。
固定観念と記号、停滞し押し付ける快楽に、オタクメディアは満ちている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
Newtypeで連載されていたこの作品も当然、そのポルノの視座から逃げられない中で、それを積極的に取り込み主題の一つに押し上げて、ポルノの力、非ポルノの力を問う。面白い取り組み、面白いサブタイトルだと思う。
まぁ別にオタクメディアに限った話ではなく、観察対象との対話を断絶するポルノスタンスが政治とか経済とかを軋ませる様子は、この作品にも現実にもたっぷり存在している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
200年越しの”モダン・タイムス”、300年越しの”虚栄の市”、あるいはAI世紀のパリサイ人との対話。そんな感じの古くて新しい話
かくしてアラトは性的興奮と、巧妙に組み上げられた恋と暴力に出会い直した。それが特権であることにすら気づいていない少年の背後で、レイシアを中心に経済と欲望、人間概念を巡る暴力は加速していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月3日
まずは次回、エリカ本格参戦である。楽しみだなぁ。商標の波を超えて”アレ”、出せるんだろうか。