HUGっとプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
星を掴み残った女が、道を探す。切り捨てた過去、くすぶる夢。痛みは魔物の形をなし、戦士は背中で声援を送る。輝きはいつでも、あなたの胸の中に。
二話じっくり使って、ほまれの第一歩を描き出すエピソードの後編。丁寧な足取りがキャラの陰影を見事に魅せた。
というわけで、先週と合わせて色んなことが起きている回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
メインはほまれの挫折と再起にあるわけだが、そこにプリキュアと妖精、同年齢の子供と大人がどのように関与できるか描くことで、各キャラクターの強さと弱さ、陰りと輝きを丁寧に掘り下げる形となった。
妖精ハリーの社会基盤となる、『ビューティーハリー』のオープニング。ともすれば一話使えるネタだが、ここはかなり早回しで進む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
ほまれは義侠心とカリスマだけでなく、繊細な美的センスと広報力を兼ね備えた『オトナ』な女の子だと、プロデュース成功から見て取れる。
HUGプリは三人(+ハリー)それぞれ出来ること、出来ないことがかなり明瞭であり、その凸凹が噛み合ってより大きな力に変わる構図を、とても大事にしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
賢いさあやも、パワフルなはなも、ほまれのセンスは持ち合わせていない。それはほまれだけが持つ輝きなのだ。
しかしほまれはそんな自分の光ではなく、失ってしまった幼さ、素直さ、パワーを残すはなに憧れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
冒頭、悪夢となったフィギュア断念の想い出。そこで切り捨てた髪の毛を、今回の怪物がくっつけているのは示唆的だ。
ほまれは時間を巻き戻したい。はなはその為のツールとして、憧れられる。
幼いということ、自分を制御できないパワーにあふれているということは、外部(あるいは成熟を果たした未来)からみれば羨ましい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
だがそのただ中にいる子供にとって、ガキでいることはシンドい。前に出すぎて嫌われたり、制御が効かなくて水に落ちたり。イノセンスは見た目ほど楽しくないのだ。
一足早くオトナになった(ならざるを得なかった)ほまれにとって、素直にエールを受け止められるはなは過去の自分を映して眩しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
早くオトナになりたいはなにとって、センスがあってかっこいいほまれは憧れの対象だ。お互いの思いはすれ違い、ほまれは一旦家を出る。
ここでハリーが凄くいい仕事をしている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
『頑張ってるやつに、頑張れ言うのは酷や』
それはインスタ映する少女たちの肖像からあえて距離を取り、成長の当事者ではなく観察者・保護者であることを選んだハリネズミだけが言える、優しい真実だ。
語彙も知恵もない(それはさあやの領分だ)はなのエールは、時に人を傷つける。熱い思いが無条件に人に届いて、全てを素直に受け止めてもらえる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
先週ラストと合わせて、HUIGプリは五話にして『この話は、そういう話ではない』と宣言したわけだ。その冷静さは、同時にエールが持つ力を掘る足場になる
自分の行動、性分が持つ暴力性を前に立ち止まったはなの手を、さあやが握る。賢い彼女は、その危うさを知りつつ、自分自身もはなのエールに、子供らしいパワーに助けられた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
今度は彼女の知性が、『それでも』へと友人を導く。傷つけるなら、巧く言葉を使おう、と。
遊技場のブランコは、ほまれを子供時代に戻してくれるかもしれないタイムマシーンだ。子供の仕草を続けていれば、素直な時代に戻れるかも。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
そんな淡い夢が欺瞞でしかないことを、中学生の身の丈が無言で教える。無邪気に本気でブランコを漕げる時代は、三人ともに既に遠い。
それでも。胸の中に小さな子供は生きていて、飛ぶ日を待っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
はなは自分なりに答えを探して、その事実を引き寄せていく。
『プリキュアだからとかじゃなくて、ほまれちゃんだから』
『天使』のイメージに囚われていたさあやの魂を開放したときと同じ、本質だけを追い求めるピュアな瞳。
『なりたい自分がそこにいるから、そこに近づいていくの』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
はなの誓いは未来に向かっている。今はまだ形のない『イケてるお姉さん』を探し求めながら、はなはときおり顔をぶつけつつ前に進む。
ほまれもまた、なりたい自分を探している。そのヒントは切り捨てた過去にこそある。
それはただの想い出ではなく、切断された痛みを受け止めつつ、そこに秘められていた輝きを再獲得する歩みだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
辛かったし、苦しかった。期待は重たく、失敗は痛い。それでも、あのとき夢は死んではくれなくて、もう一度羽ばたく瞬間を夢見ている。
その鼓動がねじ曲がると、強力な呪いになる。スケート靴を履いたドラゴンは、未来を諦め、どこにもいけなくなってしまったほまれの過去と現在、そして未来の象徴だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
それはとても強い。人間をねじ曲げ、固定してしまう重力に満ちている。
皮肉なことに、歪んでしまったほまれの夢は、ほまれが失った翼もスピンも持っている。切り捨てた髪の毛も。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
でもそれは、他人に都合良く使われる破壊の道具でしかなくて、ほまれの胸に宿る子供は、そんなことを望んでいない。でも、進めない、飛べない。
先週ほまれが取りこぼした星。それは外側にあって、必死に追いかけるものだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
今回ほまれがプリキュアへとなる光は、ほまれの中から生まれいづる。初期衝動を思い出し、内省により、友の言葉により、自分の中の真実と向き合った結果、星は形になる。
誰かに言われたからでもなく、『プリキュア』という責務に追い立てられたからでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
自分の中にあるもの、自分自身と向き合うパワーを絞り出した結果、ほまれは星を掴み、長い髪の毛を再獲得して、空を舞う魔法を手に入れた。
それは、ほまれ自身の翼だ。
しかしそこに、友情の助けは分厚く存在している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
たとえ星を見失っても、あなたが好き。愛を迷わず言葉にするはなの優しさ(あるいは思慮のなさ)と、結構考えた末に言葉にするさあやの踏み込み。
日常のなかの特別な出会いと言葉が、ほまれが翼を手に入れる手助けとなる。
そしてそれだけでなく、プリキュアが特別な戦士として闘う背中、不撓不屈の意志が、ほまれに大きな力を与えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
言葉が見つからないなら、一言も喋らなければいい。巨大な暴力、自分の夢をねじ曲げ乱用するパワーを前に、諦めない背中こそが最大のエールになる。正しく、愚者の知恵であろう。
スーパースターだったほまれは、先生に夢を見せた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
今回プリキュアの勇姿がほまれに踏み出させた一歩は、かつての(そして未来の)ほまれがスケーティングの中で与えたものと、同じ風を背に受けている。
今後ほまれは、そういう輝きに向かっていくのだ。プリキュアの魔法があっても、なくても。
かくして少女たちは、お互いいないものを求めつつ、自分だけにしかないものに出会う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
それを『好きだよ』と言ってくれる友の愛をエールにして、自分らしさが時に世界を、他人を傷つけてしまう当たり前の繊細な世界の泳ぎ方を、ゆっくり学んでいくのだろう。
その時、仲間がいるってのはとてもいいことだ。プリキュアとしても、プリキュアでなくても。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
パワフルだったり愚かだったり、賢かったり弱かったり、美しかったり意気地がなかったり。それぞれの凸凹を抱えた掛け替えのない『あなた』を、まるごと認めてくれる仲間がいる。
その第一歩が、あの店で、ブランコで、戦いの中で踏み出された。それは運命であるし、とてもありふれたものでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
そういう躍動を、キュアエトワールが初変身する今回しっかり見せられたのは、非常に良かったと思う。
やっぱなー、『出会っちまう』瞬間の瑞々しさ、最高なんだよなぁ…。
第2話でも強調されていた『あなたと違う私が、私と違うあなたと触れ合う。混じり合い、学び合い、成長していく』という、大きな絵。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
ほまれとはながそれぞれの欠落と憧れを交換する今回は、シリーズ全体を貫くだろう差異と交流について、非常にポジティブなシーンを作れていた。強い予感が生まれた。
今回の出会い、踏み出した一歩をどう使ってくるかは今後を見ないと分からんが、二話どっしり使ってほまれの陰影、そこに噛合い、あるいは噛み合えないはなの未熟、噛み合わせるさあやの補助と知性が見れたのは、今後のシリーズへの期待を大きく膨らませてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
エピソードの組み立てがクレバーだ。
そういうロジカルな部分だけでなく、はなの百面相、さあやの静かなグイグイ力、ほまれのカリスマと可愛げ。絵でエモーションをくすぐってくる芝居も非常に良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
はぐたんが小さな腕を伸ばしたり縮めたり、握ったり開いたりする度、脳髄の何処かがスパークすんだよなぁ…動きがいいよベイビーの。
やっぱハリーが凄くいいポジションを取っていて、子供と大人の境界線上でブランコに乗る少女を見守りつつ、自分はそのサークルに入らない立ち回りが、寂しくも頼もしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
自分が主役にはならないことに、プライドのある男の身ごなしですよアレは…無茶苦茶視力が良い。コメディもシリアスもやれる。
そんな感じの、エトワール加入回でした。栄光の過去を求めるほまれは、特別な魔法に身を浸すことで切り捨てた長い髪を再獲得し、飛ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
今は魔法の時間の特別なジャンプでしかないけども、そこで知り合った仲間の助けも借りつつ、傷ついた羽根はもう一度、空を掴む。
そういう期待の膨らむ回でした。
ここまでポジティブに描かれてきたはなの欠落、そこへの自己認識もちゃんと描かれ、思慮のなさを補い手を引くさあやの掛け替えなさも見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月5日
『3人目』を主役に据えて輝かせつつも、既に変身した二人の個性も抜け目なく描ききる、見事な運びでした。来週も楽しみですね。