ゆるキャン△を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
運命のクリスマス決戦に向け、着実に道が整えられていく。下手っぴ旅を助けてもらい、友がグイグイ押し込んで、ソロキャン人間も遂にグルキャンへ。
クライマックスへの中間点だが、夜気と温もりを丁寧に描く筆が、ただの『繋ぎ』にはしない、丁寧な仕上がりのお話。
というわけで、そろそろ終りが見えてきたゆるキャン。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
『クライマックスは”カッチリ”やるから…』という意欲を感じさせる運びで、ミッドナイトソロキャンを半分で終わらせ、斎藤とグビ姉とりんちゃんを仲間に引き込んで準備万端、期待十分。
こういう丁寧な運びが、感動のピークを天に届かせるわけだ。
とは言うものの、クライマックスだけを派手に飾るような雑な仕事はしないのがこのアニメ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
りんちゃんの下手っぴ一人旅は、部長との縁をつなぐ足場にもなるし、それ自体が楽しく、美しい経験にもなる。それが何処かに繋がる途中経過だとしても、軽んじられるものなどないのだ。
孤高の美少女、りんちゃんの距離感を、携帯電話の登録名だけで見せているのが非常に巧い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
部長は『大垣』で、なでしこは『なでしこ』だ。『各務原』ではないあたりに、りんちゃんのなでしこ大好き人間っぷりがよく見える。先週言ってったとおり、部長は『ちょっとニガテなやつ』だ。
でもそんな輩からの助言が、下手っぴ旅をギリギリ成立させる知恵を与えてくれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
偶然であってカレーメシを与えたなでしこから伸びて、部長を連れてりんちゃんに帰ってくる奇縁。それはうっとうしいときもあるけど、知恵と喜びを与えもくれる。通行止めの看板が、新しい景色をりんちゃんに見せる。
『繋がるためのツール』として、携帯電話を的確に使用する運びと合わせて、ソロキャンパー・志摩リンの世界がじわじわと変化していく様子を、このアニメはとても肯定的に描いている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
変わること、広がることだけが価値ではないけど、繋がることも良いもんだ、と。
ソロが好きなりんちゃんの個性を尊重しつつ、『でも、一緒なら楽しいと思うから』と接近し、声をかける少女たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
部長から斎藤、なでしこ。愛の波状攻撃を受けて、りんちゃんも遂に陥落する。それはお互い少しずつ優しさを持ち寄って、小さく歩み寄った成果だ。
そういう温もりに満ちた接近と、冬という季節、寒さの中だからこそ際立つ体温の描写が巧くシンクロしているのが、非常に強い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
寒さに膨らむ小鳥のように、モコモコした服を着た少女たちは寄り添い、楽しくさえずる。冬の中の温もりは、微笑ましくも尊い青春の色がする。
こういう細やかなブリッジの描写は、今回随所に見えた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
プレス豚まん(超うまそう)をモグモグするりんちゃんと、『豚まんでも勝ってかえろ』な犬子。スタイラスで落書きされるちくわと、新人顧問の正体を暴くモンタージュ。
色んな部分が思わず繋がっていて、人生は暖かくて面白い。
可愛らしい女の子達の柔らかな生活を切り取りつつ、人間関係の非常にベーシックな側面を丁寧に丁寧に積むことで、このアニメは独特の手触りをもっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
それが『キャンプ』という身体性のある題材と噛み合うことで、テーマに真実味も出ている。筆致と内実が共犯関係にあるのだ。
ここらへんはアニメスタッフの見事な原作理解、アニメーション・メディアへの落とし込みの妙味もあるのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
ゆるく楽しませる部分、夜景の美しさを際立たせる手腕、緊迫感のあるBGM。多彩な表現手段で、巧く緩急をつけて『楽しいアニメ』にしている。
もう一つ、このアニメに体温を宿すものがあるとすれば『貧富』だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
四万五千円ぽんと出せる斎藤家と、高いの買うと鼻血が出る部長。
経済状況は家庭によって様々だが、みんな知恵を絞り、無いゼニの使いみちを考えることも楽しみながら、楽しいキャンプを編み上げている。
銭があったらあったで、ないならないで。どっちにしてもキャンプは楽しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
でもそれは、なんにも考えず、何も感じずキャンプ場に行けば獲得できるものではない。知恵を絞って道具を準備し、一匹狼の外堀を交渉で埋め、色々整えているからこそ楽しいのだ。
クリスマスキャンプに向けて色々積み上げる今回、そういう多彩な『良さ』の確認が随所で行われていたように思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
部長の知恵に助けられたしまりんは、経験値の少ない野クルに良いキャンプ場を教えてあげる。そんなりんちゃんだって、大風のなかでテントをぶっ飛ばす。上手いも下手も、どれも楽しい。
それはやっぱり、何らかの形で『繋がって』いるからだ。ほうじ茶をくれたお姉さんへの感謝を、暖を取りつつりんちゃんは思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
そういう風景を書きつつ、りんちゃんが孤として出会った景色の美しさ、一人旅の透明な楽しさもまた、否定はされず価値あるものとして称揚される。
『みんな違って、みんな良い』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
綺麗な題目だが、それだけに軽くなりがちな言葉を、このアニメはけして振り回さない。
それは様々な描写の中から自然に湧き出してきて、『ああ、たしかにそうだね』と実感を持って飲み込める、温もりと歯ごたえのある感覚なのだ。メシ・フロにこだわるのも当然だなぁ。
そんなバランスの良い価値観を随所に見せつつ、りんちゃんの下手っぴ旅は『何か』を生み出して終わり、クライマックスへとつながっていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
大きな『何か』を関わった人たちに産むだろう、特別でありふれたキャンプ。それがとても大事なものなのだよ、という期待感を、丁寧に積む運びであった。
こういう『カウントを整える回』はシリーズの中での仕事だけが目立ちがちなわけだが、きっちり実感と詩情を込めて、価値ある個別の体験として楽しく仕上げるところに、腕が見とれる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月9日
お膳立ては十分、筆はいやます冴え渡り、待ちに待ったクリスマスキャンプがやってくる。非常に楽しみである。