BEATLESSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
僕のちょろさで世界がヤバい! 機械とのロマンスに浮かれるアラトの周辺で、少年と少女のポルカは加速する。運命を操る糸を引くのは、己か他者か。冷徹な恋心が策略と共に軋む時、物語のステージがまた一つ転がる。
アクターがそれぞれ手を打って、状況が転がりだすエピソード。
というわけで、色んな所で色んな事が起きている回である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
メトーデと契約した紫織は、ミームフレームという巨大組織に取り込まれつつ、己の意志を通すべく動く。
リョウは機械のリャナンシーにとりつかれた友人を救うべく、熱い壁ドンを叩き込む。
海内兄妹はホント、アラトが好きだなぁ…。
そんな好意を向けられても、チョロ蔵アラトはレイシアに夢中。巧妙なアナログハックと初恋の駆動に急き立てられて、すげーヤバいところまで脇目もふらずに真っ直ぐらである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
愚かと言うべきか、純情と言うべきか。リョウの苛立ちも理解できる真っ直ぐな盲目ぶりが、なかなかにキモい。
この作品、キャラの感情と価値観が切り離されつつ関連しているので、結構状況把握がめんどくさい。『それはそれとして』で動ける連中が多いのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
そういう冷静さを完全に欠いている(手に入れたと思うとハックで蒸発する)アラトが主役なのは、結構面白い対比であるが。
ミームフレームはレイシアの回収計画を、法務含めて丁寧に積み上げた。気づかれない内に、モノの特徴である製造番号の重複を責め立てられ、モノとして回収される寸前まで行っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
紫織はアラトへの情ゆえかレイシアへの反発心か、伏せてた札を役が成立する前に表に返した。甘い、若い、情けない。
メトーデと悪魔の契約を果たしてまで、手に入れたかった自分の居場所。そこにアラトの愛情も含まれていればこそ、あの接触がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
しかしメトーデもミームフレーム(の一部)も、そういう情は知ったこっちゃないし、それに流される甘さもない。己の目的を達成するべく、細やかに網を張る。
アラトは主人公特権で、子供っぽい直観主義で行動してもなんとかなっている。正確には、レイシアがなんとかするべく骨を折っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
紫織は大人の冷徹な装置の一部になることで、流されるだけの無力な子供を超越しようと頑張っているが、どうしても穴がある。それは巨大な装置の中では致命傷足りうる
なかなか残酷な対比だが、渡来へのカウンターウェイトとして紫織と契約し、利用し使い潰す気満々のメトーデが、その甘さを許してくれるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
レイシアはアラトのちょろさを最大限利用しつつ、そこに特別な何かを見出している感じでもある。子供の甘っちょろい直観主義に、価値を見出す機械。
レイシアのアナログハックは毎回見事で、今回も必要な情報をいいタイミングで与えつつ、『アラトが選んだ』という形式を整えて状況を作った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
時間がないのも事実、状況がヤバいのも事実。ただ、『レイシアを頼り、レイシアを守る』以外の解決法を見せはしない。的確に作られた細い道を歩くことになる
そこで『え? ヤバくね?』と正気に帰ってしまいそうになると、迷わず零距離接触し甘い言葉を真摯に囁く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
ロジックとエモーション、使えるものは何でも使うのがアナログハックの極意か。びっくりするほどエグい手管に、そらーチョロ蔵に決定権なんぞないわなぁ、と思わざるを得ない。
そんな親友にガツンと一発、人類サイドの正論をブチ込むリョウ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
ミームフレームの子供として、レイシア級のヤバさをアラトより知ってる彼にとって、アラトのちょろさは洒落にならない。
親友がモノの欲望に誘導されて、責任のアウトソース先として使い潰される未来を、彼は危惧している。
それはAIに人類定義を塗り替えられつつある世界で、それでもモノを商品として流通させる側にいるからこその視座だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
人間が、人間で在り続けること。
多分あの世界にありふれていて、いたるところでボーボー燃えてる信念を、リョウは強く持っている。これが別の形で燃えると抗体ネットワークだ。
一方アラトのロマンチシズムというか過共感というか、とにかくなんでも好きになっちゃうチョロさは、『人間に似たモノは、人間と同じだよ!』と叫ぶ。何しろ恋しちゃったしね。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
しかしその宣言こそを、人類定義の白紙委任状として待ち構えているのが、レイシア級かも知れないのだ。
レイシアさんは『追いかけたくなる、謎めいた少女』というイメージでアナログハックを仕掛けている素振りがあるので、真意は見えない。タワーでも製造目的言ってなかったし。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
メトーデは複数オーナーによる命令の衝突を意図的に作り出し、自己裁量で活動できる範囲を増やす戦術を取っている。
レイシアさんが『ボーイ・ミーツ・ガール』で穏当に(そして深甚に)ハックした自由(の貸与)を、メトーデは利益の共有と複雑な策略で獲得しようとする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
やり方は違えど、機械の姉妹は似通ったものを求めている。恋と陰謀、人間操作に有効なのはどっちだ。
マスターを媒にした水面下の争いは、あっという間に火を噴くだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
愛するか、利用するか。
方法論の違いが個体のこだわりに収まってればいいが、彼女らは人類範疇の外側に半歩足を出している超機械だ。リョウが正しく危惧するように、その戦いは人間の魂をモノに売りかねない。
リョウが冷静に、子供っぽくなく見通している状況を、ちょろいアラトは見ない。何しろニュースも見ない、アンテナの低い少年なのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
その鈍感さは人類に対する反逆罪だとリョウは指摘するが、素朴な恋と人間定義に首までどっぷりなチョロ蔵は、リョウの危惧を共有しない。見てる世界が違うのだ。
そういうすれ違い、アラトの愚かさまでリョウはしっかり見て取っている。その視力の良さで、ダチの本気の涙を見てしまうと、追求の声も弱まってしまう。お前ほんとアラト好きだな…。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
それはそれとして、リョウはミームフレームの中で生き延びる必要があり、親友への忠告はその一環でもある。
なかなかに裏腹な状況だが、自己の生存、あるいは好意をはみ出し、シンギュラリティ以降の世界でどう『人類』を生存させるかという、大きい視座ももっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
紫織が個人的な慕情で、会社組織とメトーデの不利益となる状況をスタートさせてしまったのとは、これまた残酷な対比だ。
学園ののんびりした風景から青春の激突へ、そして法律と交渉でモノを追い込む段階へ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
お話はアラトを取り巻く複雑なレイヤーを駆け抜けていくが、アラトはそれを理解しないまま、次回に待つ暴力の衝突へとまた巻き込まれていく。
そこに参加可能なのは、レイシア級のマスターという切符持ちだけだ。
まずは紫織のターンといったところだが、兄貴と対比する形で『器じゃない』のを示されていて、なんとも可愛そうではある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
兄貴が自分の感情を『それはそれとして』デカい視座で喋るのに対し、妹は会社やメトーデとの利益関係を『それはそれとして』アラトへの気持ちを先走らせちゃってるのだな。
さて、そんな複雑な綱引きの外側…のようでいて、レイシア級マスター権限をきっちり握り込んで内側に入り込んでいるエリカの姿も、今回強く描写された。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
サンリオをキッチリ作品世界に引き込んだおかげで、キャラクター性の持つ価値とhIEの連関は、かなり分かりやすい形で見える。
レイシアの少女性、健気で危うくて誠実な仮面は、ボトルに張り付いたハロー・キティの絵だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
それが張り付くことで価値が何倍にもなり、自分望む棚に己を押し上げることが出来ると判別したから、レイシアはヒトの形を精妙に真似る。
少なくとも、リョウはそう読んでいる。
キティちゃんが張り付いているからって、悪魔の閉じ込められた瓶を開けるな。それがただの鉄の塊だったとしても、お前は甘い声に乗っかって蓋を開けるか。どんだけキティラーなんだ。責任取れるのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
リョウが言っていた言葉は、こう翻訳できると思う。
100年のタイムリープを飛び越えたエリカは、リョウの人間意識とはまた違う価値観で、現在を泳いでいるように見える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
カタチはカタチ。リョウが無心に追い求める『人間の本質』もまた、カタチに宿った空疎に過ぎない。そういうニヒリズムが、学生服の奥から漂う。
彼女は紫織と違い、自分がサトゥルヌス改めマリアージュのオーナーであることを明らかにはしない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
深く、静かに。100年の激動を生き残ったハローキティ、兇猛なノスタルジーで武装しつつ、変貌してしまった世界を斜めから見ている。単純なラッダイトに移行しないあたり、冷静な凶悪さだ。
とはいえ、ヒトの本質ではなくカタチを模したhIEだけを周囲に置いたり、旧き人食いの神たる『サトゥルヌス』ではなく、調和と取り合わせ、結婚を意味する『マリアージュ』としてレイシア級と契約したり、人間に似た存在を単純に憎悪しているわけでもない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
メトーデがオーナー権の衝突で書き換えようしている自分の定義を、マリアージュは一足先に果たしてしまっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
名前を変えることは、あり方を変えること。エリカから与えられた『カワイイ』という価値観で己を塗り替えながら、彼女は何と何を取り合わせ、新しい子供を生み出すのか。
そこら辺はまだまだ先の話だが、アラトに対し個人的な情がないのは強みなのか、弱みなのか。彼女が『それはそれとして』でこだわるものは何なのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
ヒントは出されつつ、明言はされない。まだ頃合いではない、ということなのだろう。全ては紫織のターンが一回終わってからだよなぁ…。
アラトがレイシアに投影している『人間』というキャラクター。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
エリカはそれを投影する主体ではなく、マスコミや他者によって『眠り姫』というイメージを投影される客体だ。身勝手に投げかけられたイメージが何を傷つけ、損なうか。身を以て知っている立場。
学校で見せる朗らかな表情と、無人の邸宅でマリアージュと過ごす時の冷静さ。様々な顔を使いこなし、情を乗りこなすタフネスも持っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
さすが100と16才、アラトが知らない、見ようともしない世界の複雑さ、残酷さをよく知っていて、対処法も堂に入っている。
シンギュラリティ以前の、『人間が人間らしくいられた時代』とリョウなら言うかも知れない世界から切り離されたストレンジャーは、可愛いメイドに変貌した古き神をどう使い、どう定義するのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
少なくとも、関係性はある意味良好だ。愛着の持てる道具、異質なる隣人として、いい間合いに見える。
まあ残り二人がチョロ蔵を超計算でたらしこむメタルヴァンプと、オーナーを使い潰して自由を獲得しようとする武闘派なわけで、自分に自信あんまないガールたるマリアージュは、初期接触さえ巧く行けば与しやすい相手なのかも知れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
不安定な自分を書き換え、新しい意味をくれた。思わずメイド服も来ちゃうくらいマリアージュはエリカにぞっこんで、ある意味アラトとレイシアの関係性を逆に張っているとも言える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
機械の神と『婚礼』を果たしたエリカは、オーナーとしてマリアージュをどう使うか。
そこら辺は今後、更に加速し重要になるだろう。約束された炎の決戦を睨みつけつつ、異邦人は何を望むか。彼女の『それはそれとして』はどこにあるのか。目的と初期衝動は、未だ伏せ札だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
なかなかにミステリアスな第三極として、良い登場をしたと思う。
しかし次回は、人間型の超機械とそのオーナーが、直接バチバチぶつかるターンである。自分が置かれている位置を把握できないまま、火宅へ押し込まれる子供たちが、鉄火場で何を見つけ、何を望むか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
そして機械たちは、いかなる夢を抱いて戦いを踊るのか。
色んなモノが見えそうであったし、更に伏せ札が増えるエピソードでもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月11日
法と暴力を最適に行使しして『アラトの隣』という特等席を確保しようとするレイシアさんと、あらゆる意味で流されまくっているアラトくんの危うさ、面白い対比だなぁ。そこに近寄ろうと地雷原に全速で突っ込む紫織も。