ゆるキャン△を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
かくして、暖かな冬が終わる。新しい仲間が加わったクリスマスキャンプを豊かに描き、そこから続く春へ。
過剰に盛り上げず、なだらかなスロープを描いて『ああ、いいアニメだった…』という実感が胸に湧き出てくるような、それが幾度も突き上げてくるような、良い最終回だった。
というわけで、OPもEDも省略しないゆるキャン最終話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
この作品のキャンプは日常の先にある非日常で、特別楽しいが、切り離されているわけではない。なので、最後のお話もこれまでと同じように進め、しかし少し特別に終わる。
物語の形式が、語っているものを補足するような作りである。
これはドラマの作りにも言えて、そこまで『超感動ッ!!!』という高いピークは作らない。あくまで当たり前の野クルの風景、日常の延長線上にクリスマスキャンプはあって、しかしその風景、冷たい空気と温もり、はにかみと夜の会話は、特別な光を放っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
その傾斜が、非常に良かった。
前々回でどっしりと準備し、前回で夜までの流れを描き、今回眠って帰る。キャンプのトータルパッケージを贅沢に追っかける終盤の作り自体が、このアニメが取らえていた『キャンプ』そのものであった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
始まりがあり、終りがある。笑顔と盛り上がりがあり、しかし盛り上がらない所もそれとして楽しい。
今回の描き方もそんな感じで、どうでもいい冗談の言い合いとか、さり気ない仕草とかに幸福感が満ちていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
あの子らがよくお礼を言って、感謝を形にデキる子だったな、と思い出せるシーンが多かったのが、とても良かった。『連れてきてくれてありがとう』が言える斉藤さんは、マジ高徳。
最終回ということで気合もバリバリ入っており、特に撮影が凄まじいことになってた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
冬を舞台にし、肌を焼く寒さと、それゆえに伝わる温もりを大事に描いてきたアニメであるが、今回の『冬感』の出し方は鬼気迫るものを感じた。
それでも、ゆるっとしたトータルパッケージを壊さないのが凄いのだが。
ちくわが耐えられないほどの夜気の中で、少女たちは風呂を浴び、構えることのない感謝を言葉にし、同じ床で眠る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
ベタベタしていないが、たしかに繋がっている感覚。親密さに満ち、しかしそのグラデーションがだんだんと変わっていく気配。キャンプを一つ重ねるごとに、相手がわかる。幸せが増える。
そういう当たり前で、でも特別な時間の肌触りを、夜と光の表現で体感ささせる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
自然なんだけど圧力のある声優さんの演技も相まって、ゆるきゃん△は作り上げた臨場感、キャラクターと創作世界の肌触りを滑らかに伝えてくる。
Cパート、花守ゆみりの呼吸音だけの演技が冴え渡っていた。
みんなの朗らかな光景を描きつつ、話の中心にいた二人の特別な時間を切り取るのも、また忘れない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
枕を並べて星を見る。動きの少ないシーンだが、だからこそお互いの視界にお互いが写り、それが世界のすべてであるかのような夜の気配が、みっしりと伝わってくる。
寝そべった二人と星空。一度目のクライマックスは横方向に動き少なく印象を付けておいて、本栖湖での運命的最動は富士山をメジャーにして縦に、後ろから追いかけてくる運動をつける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
垂直と水平、二方向に広がるダブル・クライマックスは派手ではないが、完璧であった。たどり着いた場所と、その先。
そこに二人はいて、これからもあり続ける。そこに『キャンプ』があって、『キャンプ』の外側がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
道具も人間も、ソロもグループも、世界もあなたも。みんな素敵で、とても綺麗だ。そういう多様性への称揚は、ずっとこのアニメに満ちていたし、最終話でも静かにうねる。
少し食い足りないくらいの塩梅でクリスマスキャンプを終わらせ、その先にある風景を貪欲に書き連ねる筆が、すごく『らしい』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
野クルには参加しなくても、斎藤さんはキャンプに興味を持ち、雑誌を買った。大垣部長のおせっかいは、ちゃんと実りを生んだのだ。
道具をまとめ、アルコールを抜き、楽しかった時間を終わらせることすら楽しいという雰囲気を丁寧に書いていたのも、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
ピークだけではなく、そこに至る準備も、楽しんだ後の後片付けも、全部ひっくるめて『キャンプ』だし、そこにも色んな形の喜びがある。ずっと描いてきたことだ。
EDに乗せてクリスマスの後の『みんな』をスケッチし、季節は春。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
『冬』の白い野枯れをしっかり描いてきたからこそ、山肌の錦は鮮明に映る。
なでしこは出会い、物語が始まった場所へと帰還していく。しかし、その形相は全く異なっている。自分の足で自転車を漕ぎ、ソロキャンをする。
ここであえて、『ソロ』を描いたのは天才だな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
りんちゃんがなでしこの導きで接近し、その光を全身に浴びた『みんな』の喜びは、しかし『ソロ』を否定するわけではない。
なでしこの手付きはちょっと危なっかしいけども、しかし冬の経験を経て頼もしい。その成長が見れるのは『ソロ』ゆえだ
なでしこもまた、りんちゃんが背負っていた価値に飛び込み、染まった。『キャンプ』、あるいは『ソロ』。あるいは『みんな』。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
カレーメシの贈与から始まった物語は、色んなものを交換し、その価値を確認し高め合いながら、その基点へと帰ってくる。似通っていて、でも違う。変化と喜びがある。
そしてその『ソロ』は、LINEでの通話を経て『グループ』になる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
携帯情報端末による思いの交換を、非常にポジティブに描いてきた(部長の心遣いによる映像鑑賞会も、その一つだ)作品らしく、二人は電子に気持ちを載せて繋がる。振り返ればかけ出せる距離に君がいて、キャンプが始まる。
ゆるキャン12話の歩み全てを凝縮したようなCパートに、完璧な余韻が漂う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
第1話と主客を変え、あのときはキャンプと出会っていなかったなでしこが『ソロ』を、一人の楽しみを堪能していたりんちゃんが『グループ』を、それぞれ担当する作りが、変わるもの、変わらないもの、両方を照らしていた。
アレは具体的な日常のスケッチであると同時に、物語がどう歩いて、どう終わったのかをまとめ上げる抽象でもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
エンドカットにキャラクターらしい息吹と、明瞭な作品への視座が同居していることが、このアニメが作り上げたものの完成度と活力、真実さを証明しているように思えた。
いいアニメだった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
美麗な美術、小物へのこだわりが随所に溢れ、『ああ、良いな』という感慨を胸から引き出してくれた。
寒さや温もりを『絵』で伝える為の努力が随所に埋め込まれ、季節感と臨場感が強くあった。
食事シーンに熱を宿し、体を動かし心を繋ぐためのメディアとして、メシを大事にした。
個性豊かなキャラクターを派手に踊らせすぎず、慎重に人間関係の間合いを見れる賢さを宿して、丁寧に関係を変化させていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
多層な価値観をお互い尊重し、混じり合い、新しい自分に変わっていく喜びを静かに語っていた。
出会って、繋がって、続いていく喜びが、キャンプと日常の描写に満ちていた。
女の子は可愛かったし、彼女たちを包む服も髪型も、コロコロ変わって可愛かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
LINEやキャンプ道具、ゼニというマテリアルに様々な価値をこめて、物体以上の意味をしっかり持たせていた。
感動だけで押すのではなく、のんきなユーモアをキャラクターにしっかり持たせ、笑いで息抜きさせてくれた。
野クルのメンバーとワイワイやる楽しさ、ソロの静謐、両方大事に進めてくれた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
『みんな』と出会うこと、特別な『あなた』と出会うこと。それが排他ではなく、両立…否、その真価を確認するためには両方が必須であることを、穏やかな運びの中で語ってくれた。
なでしまが脈動し続けていた。
ドタバタした笑いで運命を包むことで、大上段に構えない青春を、しかし真実の体温を宿してしっかり描いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
派手すぎず、ゆるすぎず、実感はあるけど夢みたいに綺麗なキャンプと学園生活を、テンポを保って見事に語りきった。
なでしことりんちゃんが、お互いを求めあう視線が強かった。
いいとこ上げてきゃキリがない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月22日
作画、演出、テンポ、レイアウト、シリーズ構成、ダイアログ、撮影、BGM、音響、演技。アニメを構成する全てに隙がなく、その巧さを全力全開でぶん回して一つのパワーに変えれているアニメでした。
いいアニメで、好きになれるアニメでした。
ゆるキャン△、ありがとう