BEATLESSを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
空港ドンパチを後ろにおいて、青春は加速する。今度はツクバ・オブ・ザ・デッドだ! って感じの新章開幕。
人間の輪郭だけを真似続ける不気味な街に迷い込み、アラトの運命はさらに撹拌される。渡来さんかなり難しいこと言ってたが、ロボゾンビのIQの低さで全部ぶっ飛ぶな…。
というわけで、ゴロゴロ状況が転がるBEATLESS新章である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
かなり情報の圧縮率が高く、そのくせ食いにくい硬さでお出しされて咀嚼している内に次の場面へ行くという、BEATLESSアニメっぽい流れ。
絵の『圧』で煮込める腕力があれば、この圧縮率でも行けるんだが、そこら辺の押し込みはやっぱ弱い。
重要なのはリョウがアラト限定で、アラト並にチョロい、ということか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
一切説明無しで叩きつけられる二人の始原。会社の勢力争いに巻き込まれ、その巻き添えで死にかけた子供が、世界の殻をぶち破って手を差し伸べたことは、リョウの乾いた魂に強い傷を刻んだ。以来、目立たぬがアラトガチ勢である。
リョウ自身は夢の果てで涙を流す自分のガキっぽさに辟易しているが、それはアラトのチョロさと同じく、簡単に消えるものではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
炎の匂いをしたインファンテリズム。あの時からミームフレームという巨大機械にリョウは挟まれ、救いであり呪いでもあるアラトへの想いを、ずっと手余している。
その甘さを安易に『人間性』と呼んではいけないあたりが、この作品が人間定義を巡る物語故の難しさで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
リョウ周辺で渦を巻く(ずっと巻き続けている)、企業のロジック。それを生き延びるためには、内実を掘り下げず状況を乗り越える、hIE的知性が必要にもなる。冷たさが生存を呼び込む瞬間がある。
リョウはそれを認識しつつ、むしろ認識していればこそ、近親憎悪的にhIEを遠ざけ、区別しようとする。レイシアへのキツい当たりは、何も魂に刻まれた親友を略奪される危機感だけが呼び起こす反応でないのだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
ホントめんどくせーが、そうならざるを得ない家庭環境・社会状況でもある。
そんな親友の複雑な心境などいざしらず、『仲直りの筑波旅行』くらいの認識で電話を受ける、僕らのアラト。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
450万の罰金で済んで刑事罰を受けないのは、紅霞ちゃんが矢面に立った(立つよう、状況をレイシアさんが整えた)ことに、当然想像はいかない。世界は狭いままだ。
傷を修復するレイシアと、その素裸にドキッとするアラトのシーンは、なかなかに複雑な味わいでよかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
番号書き換えは、傷を治療=隠蔽するレイシアの語ったストーリでは解決していない。元々ブランクなhIEしかあの空港には存在せず、大立ち回り自体が巨大なフェイクだ。
その事実を、レイシアは言葉と裸体で隠蔽していく。柔らかい肉、触りたいけど手が届かないモノへの発情を的確に煽ることで、事象の中心核へ到達させない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
自走するクラウドサーバーとして、曖昧な雲の扱いはレイシアさん、おそらく世界で最高級に巧い。チョロ蔵が相手になるワケがないのだ。
渡来さんの難しいお話は、実は遠い概念のお話ではなく、目の前で歩いて話をしている人間型サーバーの根源について語ってもいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
しかしアラトはその隣接性に目を開けることなく、ピュグマリオンコンプレックス全開のヌルい答えを返す。それは理想であり信念であり、これから幾度も試されるものだ。
『中国人の部屋』めいた、意味の皮相と実相、認識と知覚の差異についてのレクチュア。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
あれは言外にリョウと同じく、『お前の目の前にいる女の人形、ほんとに女かね?』と問う形なんだが、アラトはまだ、それを真実省みたりはしない。ギャルゲチックな夢に踊り続ける。
面白いのは、そういうアラトの浮遊はちゃんと愚かで気持ち悪いものとして、作中で扱われていることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
周辺事態の洒落にならなさ、アナログハックの奥にある違和感とヤバさは、アラトの視座ではなく神の視座からちゃんと描かれ、視聴者に晒されている。僕らが気づいているものに、アラトは気づかない
その未熟さ、危うさに振り回されつつ、アラトは『形でしかないもの』に博愛を振りまく。それは浅薄なガキの決断であり、同時に体を張って身銭を切る(っても半分オヤジの銭だが)自分の問題でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
曖昧な立場にある、曖昧な知性の、曖昧な認識と決断。
その中途半端さを形上庇護しつつ、渡来はリョウに接触し、スノウドロップはつくばを死都へと変える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
気づかないだけで、世界は曖昧さを許すことなく、あるいは曖昧さに確固たるインターフェースを与えることで、状況を加速させている。そのうねりに気づかないまま、結果的に中心を占めるアラト。
親父さんも息子に似たのんびり顔してるが、専門領域を考えれば、嫁さん顔してるhIEのヤバさは存分に認識しているだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
それがそこにある意味、それに息子が巻き込まれている意味を認識してなお、ホームコメディを演じ続ける胆力。あるいはその崩壊。伊達や酔狂で人形都市を駆動させていない。
超AIとhIEが人間定義を揺るがす世界で、親父さんは一つの極端に位置している。抗体ネットワークとミームフレーム人類派が代表している(させられている)岸と、対極にある岸。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
人間の存在定義が、近い内に激変、あるいは蒸発してしまうかも知れないと認識し、ある程度肯定している側だ。
寂しい筑波の単身赴任先で、見た目通りののんびり家族なのは、息子と娘だけだ。語られない巨大な演算、社会というクラウドに埋め込まれた輪郭を、父と機械は正しく認識している。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
その上で、父は『GO』を出した。あの会話は多分、半分以上レイシアに聞かせるためにやってる。
さっすがにツクバ・オブ・ザ・デッドまでは予期していないだろうけども、200万で収まらない青春大冒険が世界を巻き込んでいく未来には、ある程度以上の覚悟ができていると思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
もっと掛かるし、次壊れるのは空港程度では済まないだろう。でも『GO』なのだ。
アラトさんに漂う、ネジがぶっ壊れた感じはオヤジ譲りだなぁと思う。技術の発展と社会の変化が望むなら、人間の形なんて壊れちゃうし、壊しちゃえばいいじゃん、みたいな無鉄砲。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
無論それが幸福に収まるよう、可能な限りの演算と調査は積んでいるわけだけども。そこら辺の対応と認識は息子と違うわな
とまれ、筑波の実験はオヤジなりの機械知性と人間知性のすり合わせというか、未来を軟着陸させるための足場作りというか。ただマッドなだけではなく、社会とつながった技術の意味を考えた結果、あの巨大なドールハウスを運営していた。が、それは緑の狂気によりぶっ壊れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
こっから先はノンストップメカゾンビアクションになるが、筑波の混乱はミコトの暗殺と同じく、機械と人間の存在定義が軋んだ政治的波紋としてある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
あんだけビルをボーボー燃やしても、壊せたのはミコトのインターフェースだけであって、その総体はクラウドの海に拡散している。
殺すためには社会を変えるか、厳重に保護されたサーバーを潰すか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
hiEを魂を殺し切るのは大変だが、それでも人間はインターフェースでしかない身体が傷つくと勝手に共感して、心が痛む。『死ぬ』とショックを受ける。そんな身勝手な共感が、hIEをヒトガタに形どってもいる。
形だけしかないhIEが、演算された人間性を打ち捨て、生きる屍、プログラムで動く物品としての本性を剥き出しにする。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
学術都市のゾンビパニックは、アラトがなかなか見ない機械の不気味さを、巧く切開する事件になるだろう。皮一つ剥けば、ヒトもモノもこんなもの、と。
人間に似ていて、人間とは違う。ゾンビ(ロボットと同じく、その起源には『強制労働』がつきまとう)の不気味さはそのまま、ヒロインたるレイシアの不気味さでもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年3月31日
否応なくゾンビ渦に巻き込まれ、それに直面することになる次回。アラトは何を見て、何を見落とすのか。来週も楽しみだ。