HUGっとプリキュアを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
ケイオス極まる番外ギャグエピを挟んで、今回は『お仕事』対応第二回!
厳しくも優しい世界に包まれて、一段上にステップアップ!
とかいうヌルい展開は、犬にでも食わせちまいなッ!
不才と惨めさの自覚、変身不能、無残なる犠牲。
追い込んでいく…追い込んでいくッ!
そういう感じの、笑顔の仮面をベリっと引き剥がすエピソード。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
普通最速でも中盤でやるエピソードだと思うが、この段階で思いっきり踏み込んでくる英断に、驚きつつ感心する。
『応援』の暴力性といい、自分たちが選び取った綺麗事の影の側面を、徹底的にやる気合を感じる。
今回ははなを主役に、第4話でほまれが追い込まれた局面に主人公を立たせるようなお話である。ヒーロー変身不能、良心の呵責すら怪物化の温床になるところとかも、ちとほまれエピっぽい感じだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
梅橋先生にしてもたこ焼き屋のオヤジにしても、善人だからこそ地獄絵図っての、結構繰り返すね…。
はなも善人であり、彼女の踏み込みの強さは、色んな人を救ってきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
しかしはなのセルフイメージは相変わらず低くて、自分の良さは自分ではなかなか分からない。
言葉で伝えてもらっても実感がわかないから、自己肯定感を足場に惨めさを乗り切る体力も、そんなにない。
むしろはなのむやみな明るさは、惨めさを寄せ付けないための自己防衛策でもあった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
ここら辺の『優等生の哀しさ』の書き方はさあやにも似ていいて、一面的な価値観でキャラを足踏みさせず、光と影を行き来させて変化させていく劇作が共通していることを感じさせる。
さて、はなはミライパッドさんのきっつい試練として、『たこ焼き屋』の衣装を与えられる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
元天才子役の秀才と、侠気と才能に満ち溢れたスケーター。既に何かを成し遂げている二人は、素敵なウェイトレスの衣装を与えられ、華麗に仕事を乗りこなす。
一方はなはパッとしない衣装で、パッとしない仕事を、パッとしないパフォーマンスで展開する…という認識に縛られる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
ウェイトレスさんに比べて、ねじり鉢巻でハッピの呼び込みはかっこ悪い『ものだ』という思い込みが、はなの前進を縛る。
『食べてないのに美味い不味い言うな』
おっさん良い事言う
たこやきさの惨めさも、秀才二人の自分を比べる行為も、全てははなの心の中で起きている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
『大きくなっても、なんにも出来ない』と自分を卑下するはなは、これまで通りポジティブな感情を外部に発露し、人の心を動かす才能をちゃんと駆動させている。だが、それは認識されない。
まだまだ小さな中学生でありつつ、ベビーなはぐたんに『大きくなっても』と言ってしまう、視野の狭さ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
それは物語が開始されたときからずっと描写されてきた、はなの特徴であり、今回は弱点となった。そしてそれは、万人に共通する弱さでもあると思う。
正しいことは分かりやすい。なぜなら、それは正しいからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
自分が一番。
他人と比べない。
何が出来るかではなく、何をするか。
まだまだ発展途上。
無限の可能性。
はなの外部にある正論は、まったくもって正しい。それに従って己を改めれば、全てが解決していくだろう。
しかしそれを実感できない愚かさが、人間には常に付きまとう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
正しいことだけ為せれば過ちなど起こりえないが、頭でわかっていても、心は正しさを裏切る。
何も出来ない惨めさ、役立たずの後ろめたさが、正しい結論を素直には飲み込ませない。
ハリーが『正しさ』を伝えようと向き合ってくれても、吹奏楽ボーイが凸凹の個性によってのみ成立するハーモニーを語っても、隠していたネガティブな気持ちに囚われたはなは、耳を傾けられない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
自分を守るための自意識の殻が、他人の言葉を遠ざけ、世界を認識する邪魔にもなる。
惨めさに囚われる側になって、はなは初めて、他人へのエールを素直に聞き届けられない状況に陥る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
これまで自分が無邪気に振り回してきたものが、他者の手に渡って殴られる感覚。それを経験させるためにハッピ着せたとしたら、パッドさんはホントエグい。
正論を大上段に振りかぶって、人間の心の機微、どうしようもないカルマを切り捨てる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
そうした方が『分かりやすい物語』にはなるだろう。なにしろ、そこで語られるのは『正しい』言葉だからだ。
しかしそこからはみ出してしまうものをこのアニメは見落とさなかったし、今回も見落とさない。
むしろ積極的に、早い段階で主人公(ヒーロー)もまたどうしようもなく人間であり、弱さと身勝手と狭い視野に踊らされる俗人なのだと強調してくる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
それを描くのは、そういうどうしようもなさを乗り越え、当たり前に前に進める可能性を、しっかり書きたいからだろう。『タメ』が大事なのだ。
はなには(あらゆる人間と同じように)強さと弱さがある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
これまで描写された『見えない』資質の他に、『見えすぎる』資質を掘り下げたのが、今回のエピソードな気がする。
何も出来ない惨めさ、冴えない凡人である苦しさは、今回急にはなに生えたわけではない。それはずっと、彼女に付きまとってきた
ある意味彼女自身ともいえる薄暗さを、彼女は見ないように、囚われないように走って、プリキュアになった。前向きな背中で少女たちを惹きつけ、親友になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
これまで話を牽引してきた光はしかし、はなの個人的な惨めさと癒着している。無視したり、切り離せはしないのだ。
さあやを『無謬の天使』、ほまれを『無敵の天才』として描かなかったように、はなも『無辜の主人公』としては描かない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
当たり前に辛いことは辛くて、苦しさに飲まれて道を間違えてしまうことだってある。そういう当たり前の人間として、プリキュアを掘り下げていく。
主人公を真ん中に据えるエピソードに二話使い、ガンッガンに下げて折り返した今回は、そういうシリーズの姿勢が見える回だった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
シリーズ構成が担当するスペシャルなエピソードではなく、各話担当のお仕事エピでこういう話になるのは、座組が機能している感じがして良いな、やっぱ。
はなの閉鎖と逃避は、はぐたんの昏倒という最悪の結果を導く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
はぐたんは刺激の強いジュースではなく麦茶を飲まなきゃいけないベイビーなのに、鉄火場でパワーを絞り出し弱いものを守れる。
尊敬できるベイビーである。麦茶をわっしと掴んでゴクゴク飲むシーン、パワーあって素晴らしかったですね。
耳をふさぎ、他人の言葉も自分の良さも届かなくなっているはなは、赤ん坊よりも弱い存在である。そういう存在に、変身アイテムは力を貸さない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
しかしその自閉は、周囲の助けと自ずからの変化で解かれていくものだと、ここまでの物語が語っている。他ならぬはなが、色んな人の扉を開けてきた。
極限まで下げた展開は、飛翔するためのバネ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
次回は当たり前の惨めさから主人公が飛び出し、秘められた可能性、それを信じてくれる他者のありがたさに目を向ける展開に、おそらくなるだろう。さーすがに二週下がりっぱは俺もメイン客層もしんどかろうよ。
はなの欠落や弱さだけでなく、今回のエピソードは彼女の強さ、それを認める世界の優しさも、ちゃんと描いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
しかしそれは、はなには届かない。そういう頑なさが全てを堰き止めてしまうのも、どうしようもない人間のカルマの一つである。
ということは、他者の助言や自分の真実を素直に受け止める気持ち、『正しく見る』目を獲得できれば、状況は良い方向に転がっていく、ということだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
それはこれまでのはなに欠けていたものだが、持ち前の強さだけでなく、新しい賢さに踏み出せる可能性も、このアニメはずっと描いている。
負のスパイラルに落ち込んでしまったはなを、どう引っ張り上げるか。エールを適切に届け、惨めさだけでない世界の実感を届けるか。よりよい世界、よりよい自分を信じる心持ちに、主人公がどうたどり着くか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
そういう問いかけに答えることは、キャラクターの人格を掘り下げ、作品の肌理を細かくする。
良い答えを出すための良い問いとして、情け容赦なく主人公を追い込み、脱出口になりそうな救いの手をバチバチ跳ね除ける、良いタメ回でした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月11日
お仕着せの救済策を今回かなり切ったということは、作品独自の答えを、はなの孤立と惨めさに叩きつける準備だと、僕は思う。
来週がとても楽しみですね。