ウマ娘 プリティーダービーを三話まで見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
2016年に1stPVが出て以来、いろいろ凸凹道をたどったサイゲームズのビッグプロジェクト、そのアニメ版。
疾走の神から愛され、異界の名馬の名と魂を背負った少女が、青春のど真ん中を駆け抜けていくお話である。
正直、見てからしばらくガードを上げていた。感想を三話まで絞ったのも、オタク男子向け萌え萌えビッグバジェットによくある記号化が何処まで食い込んでくるのか、中身がどれだけ詰まっているか、いまいち見切れなかったからだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
その警戒は、真摯な作り込みでホロホロと溶けていった。
いろいろ力強い部分があるのだが、自分が一番ズバンとやられたのは『ウマ娘は走る』という根っこの部分を、かなり頑張ってやってくれていることだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
昨今の風潮に逆らわず、主人公スペシャルウィークは目元涼やかな美馬娘・サイレンスズカに第1話で心を奪われる。
しかしそれは出会い頭、顔の良さや雰囲気でぐっと惹きつけられるわけではない。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
影も踏めないほどの疾走を頭からケツまで駆け抜け、やや低い姿勢で世界を切り裂いていく疾走の圧力に心を動かされて、スペシャルウィークの目はスズカに引き寄せられる。根っこにあるのは『走りの美』だ。
ウマ娘にとって走ることは天命であり、彼女たちの体はそういう存在として造られている。足も肩幅も、二次元美少女にしてはガッチリと太く、レースの足音は力強く重たい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
可愛い美少女(『娘』)であると同時に、あるいはそれ以上に、走る存在(『ウマ』)であるその在り方を、かなり大事に描いている
そこには直向きな情熱と勢い、才能がほとばしる天性の加速度がある。アイドル衣装を着て踊るステージと同じくらい、『走る』シーンは力強く躍動し、独特の魅力を放っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
その鼓動が、しっかり伝わってくるところがとても良い。
それを僕らに教えてくれるのは、やっぱり作品の窓である主人公で。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
スペシャルウィークが非常に表情豊かに、新しい出会い、走る喜びを表現してくれることが、ちょっと異質な世界の異質なレースの魅力を、力強く伝達してくれる。
細やかな作画が芝居に乗っていて、特に第1話の表現力は高い。
笑って、泣いて、喜んで。スペシャルウィークの感情の豊かさは、彼女が飛び込むトレセン学園、そこで展開する青春の躍動そのものに繋がる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
競走馬の擬人化で一部女体化。凄く歪んだ題材のはずなんだが、妙に生き生きと、青春が楽しそうなのだ。
これは授業やトレーニング、食事に寮生活と、学園生活を構築する細やかな部分をしっかり作り込んで、リアリティを出した結果だと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
トンチキな設定だからこそ、もう一つの現実としての分厚さを描写で担保して、世界に引き込む。そういう立地な勝負に、きっちり勝っている。
もりもり食うシーンが多いのが好みの部分で、食って動いて体作ってという、アスリートの根本がちゃんと描かれているのが良い。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
食うことは学友とのコミュニケーションにも繋がり、またそれを制御しきれなければ負ける。身の養いを体に入れていく行為に、独自のリスペクトを感じる。
そういう手触りを足場に、人間関係がじわじわと変化していく様子で楽しませてくれるのも、とても嬉しい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
最初スズカとスペの間にはちょっと溝があるんだが、『走り』へのスペのへの情熱、スズカの夢をお互い見つめることで、段々と距離が縮まっていく。
スピカの連中もタイムボカンめいた拉致から始まり、だんだんトンチキな素性と確かな実力、気のいい爽やかさが見えてきて、スペは彼らにココロを預けていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
そうなってもおかしくない楽しさが細かく画面に散りばめられていて、感情の動線がスムーズな所が良い。
明るく楽しい学園生活だが、彼女たちは競走馬だ。勝ちの裏には負けがあり、負けの果てに栄光が待っている。その陰りも、この作品はちゃんと描く。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
仲間でライバル。一つしかない頂点を目指し、肩を並べて走る。そこに漂う厳しくも爽やかな風が、ポップで楽しい画作りに確かな柱をおっ立てている。
スペの生い立ちを重たく描きつつ、『二人のお母ちゃん』のありがたさを笑い混じりで書いたシーンがマジで好きで。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
ウマ娘のフィジカルに人間はついて行けないのに、金髪のお母ちゃんは色々工夫をして、必死に鍛える。それは実践で生きるし、その意味をスズカもちゃんと知っている。
ああいうベタ足の人情を多めに入れて、脂っこいサービスを比較的少なめにしているのは、PAのセンスだなぁ、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
PAが持っているある種の清潔感が、作品世界と良いマッチングをして、独特の風味が出ていると感じる。その上で、みんな可愛いし。
濃い口のキャラもいい具合に振り回せていて、トンチキなんだがみんな『走り』に真剣であることが、仕草や目線の端々から感じ取れる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
みんな好きだけど、ゴルシくんとオグリ先輩が特に良いなぁ。顔の良いトンチキ人間がウロウロしてる話がね、僕はとーっても好きなの。
ちょっと遅れてスピカに入ったトウカイテイオーの描き方も、なにか楽しいものに出会っていく喜び、弾む心が力強く感じられて、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
ポジティブに世界を肯定し、走る喜び、出会う楽しみに飛び込んでいく。凄くど真ん中の青春の喜びを、テイオーは背負ってくれている。
凄くトンチキな世界とキャラなんだけども、彼女たちは彼女たちなりに生きていて、必死に走って全力で笑う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
そういう、創作の中でキャラが生きているという凄くベーシックな部分を、かなり力を入れてちゃんと作り上げてくれているところが、とても良い。
必死に走る美少女の共演。オッサンとしてはやはり、往年の名作”バトルアスリーテス大運動会”を思い出す。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
あの作品に漂っていた活力と風、柔らかなエロティシズムの潤いが、最新鋭の装いで戻ってきたような、懐かしくて新しい視聴感覚が、なんとも嬉しい。
超絶エリートのリギルと、跳ね返り集団スピカが、結構仲良くやってる空気もいい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
どっちが上だの下だの、くだらない泥にまみれるのは人間の仕事。『走る』ことに純化したウマ娘は、正々堂々競い合う理想の青春へ、脇目も触れず爆走するのだ。
リギルはケンタウルス座のα、スピカは乙女座のαである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
走る『ウマ』、可憐なる『娘』、それが人に憧れと夢を与える『星』であることを上手く取り入れた、いいネーミングだと思う。速度と可愛げ、両方あって『ウマ娘』なのだ。
ほんっと顔のいいトンチキ人間が好きな視聴者としては、ゴルシくんがなんか変なことする度にココロがほっこりして、『良いぞ…もっと変なことしろッ!』ていう気持ちになる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
ハルウララCHANGの底抜けな前向きな明るさも良いし、ドンドコキャラ好きになるのはええこっちゃな。
僕は原作(史実の競馬)に疎いので、その再現がどうなってるかは周辺情報でしかないんだけども、自分たちが扱っているものに強いリスペクトを持ち、しっかり作っていることは門外漢でも感じる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
それは美少女擬人化というメディアそれ自体にも、ちゃんと向けられていると思う。だからキャラ可愛いのだ
色んなモノがてんこ盛りになっている、かなりのキメラ・コンテンツなんだこけども、それ全部にしっかり勝負を仕掛けた上で、『走り』と青春を分厚く真ん中に据える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
この造りが豊かかつ強靭で、見ていて安心もするし、とても楽しい。とてもいいアニメだと思います。
三話までをひとかたまりに、主人公の人となり、運命の出会い、学園生活と愉快なな仲間、勝負の明暗まで一気に走り切る構成も、まとまりが良くて素晴らしい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月17日
代替この作品の顔立ちが見える序盤が終わり、さて、次に何を描いてくるか。次回がとても楽しみですね。