ダーリン・イン・ザ・フランキスを見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
たくさんのハンプティ・ダンプティが壁から落ちて、比翼の鳥が空へと孵る。
約束された決戦の地、巨大な裂け目を封じるコルク栓を、数多の思いがこじ開ける。生まれんと欲するのなら、汝世界卵を卒啄せよ。
様々な蓋が激戦にこじ開けられる、幾度目かの勝負回
というわけで、OP省略からガッチュンガッチュンのロボ作画、自爆特攻に矢折れ弾尽きの極限戦、復活の2ndフォームからの大逆転と、超絶熱血ロボアニメな第15話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
とは言うものの、自分はアクションシーンを読むのが苦手なので、そこはあんま語れない。
びっくりするほど”男の戰い”な各種道具立てとか、あそこまで捻れてこじれたのに戦のテンションにノセられるように勢いよく和解していく流れとか、ツッコもうと思えばツッコめるが、ここまで見てきてそれもないだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
サゲテンションを引っ張らず、アツい描写で手早く反転させてくれたのはありがたい
冒頭、絵に描いたような死亡フラグを積み上げ、戦場へ向かう仲間たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
第1話と同じ『ロボットに乗れない、不能で無用な自分』を陰鬱に問うヒロであるが、そこで共有されている空気は14話の歩みを内包し、少し雰囲気が違う。
ここでロボ文脈依存のハラハラ爆弾を仕込むあたり、ホント性格悪いなぁ…
一緒にいて、戦って、すれ違い傷つけ合い分かりあった。現在進行系で切断中の部分もあるが、パラサイトはそれぞれのストーリーを背負い、ちょっとだけタフで優しく…こう言って良ければ『大人』になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
そうやって伸びた新芽を残酷に切るのが、戦場物語の常道でもあるのでハラハラするわけだが
大いなる裂け目から幾重にも出産される叫竜たち。超レーマン級以外は、これまで見せてた牙を抑え、ぶっ殺されてフランクスを消耗させるための数、数、数。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
博識な自衛官が見たら『我らはレギオン、大勢であるがゆえに』とでも言ってそうなワラワラ加減である。
それは王子様とお姫様の再開、決定的なロマンスが状況を打破しうる舞台を整えるための装置であり、同時に主役たち以外にとっては生々しい脅威でもある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
第26部隊は追い込まれ、故郷を自爆させられ、己自身も当たり前のように死んでいく。虚しい名誉を贈与され、死に飛び込む。第10話の再演。
あの時ゾロメは世界の真相に出会い、傷を追ってなお生き延び、少し『大人』になった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
名も無き26部隊は天井のない世界に生き延びる特権は当然持たず、『名誉なことだよ』というAPEの吠え声に導かれて、綺麗に死ぬ。第6話でヒロが拒絶した、ロボットアニメ的特攻主義に喰われる。
名前も顔もないことが当たり前の略奪世界で、特権的に名前に目覚め、個性を個性のまま思春期することを許された、イレギュラーでありアウトサイダーでありメインアクター。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
そこからはみ出してしまった26部隊のことなんて、忘れてしまえば良いのかもしれんが、やっぱり僕は気になるのだ。
反響もなくただ寒々しい、ホワイト・アウトの世界。自分たちが荒野のただ中にいることに気づき、怯えつつそこに飛び出していくこと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
天井(あるいは冠)を破壊するモチーフが連発する今回は、世界が間違っていることに気付けるヒロと、その英雄性に至近距離で祝福された13部隊が当然メインだ。
世界で一番巨大な炎の船、フリングホルニによって埋葬される光の御子。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
バルドルのモチーフは今回も顔を見せていたが、特別な名前を持つ特別な英雄になれないまま、悪意…名誉と善を装う最悪の悪意によって死んでいった少年たちは、主役たちに届かない思いを残して死んでいった。
ヒロが名前を与えつつ、荒野までたどり着けなかったガーデンの子供たち。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
手鏡だけを残して去っていったナオミ。
描写されない、ゼロツーが食いつぶしたピスティス。
巧妙に英雄の神話を組み立てつつ、様々なめぐりでそこにたどり着けなかった嬰児達の死骸で、クライマックスへの階段は造られている
生存か死か。特別か凡庸か。飛ぶか這うか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
残忍な線をかなり意図して引いている(と、流石に僕にも思えてきた)このアニメは、今回の飛翔と開放を超えて、たどり着けなかった者たちに目線を向けてくれるのだろうか。
全てがより良い方向へ向かう聖婚を喜びつつも、その足元が気になってしまう。
あんまいい視聴者じゃないなぁと思いつつ、物語が始まったときから主役が主役である理由に引っかかり、苛立ってきた自分としては、サラリとかかれる数多の死を、ヒロとゼロツーが次回以降どう見て、受け取り、もしかしたら悼むのかが、とても気になっている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
さて、はて。
そこは小さな傷として、メインはヒロの再起とゼロツーとの再開、二人の対話である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
女に乗っかる特権を再度剥奪されたヒロは、安全圏ではないが前線でもない『特等席』に押し込められて、己の不能を思い知る。
超レーマン級の隆起(侵入される女陰自体の自律反撃)によって、『特等席』は前線となる。
一生ゼーレごっこしながら、『人類』という巨大すぎる主語を振り回し、血が流れず飛びかかりもしない空中から見下ろすAPEの傲慢。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
今回の破壊と暴露が、クッソ思い上がった奴らの脚を払う所まで行くかは次回以降の話だが、ともかく後方はあっという間に前線と混じり合う。
敵の本陣(マグマ流れる子宮)に侵攻をかけて、逆にこちらのホームをぶっ壊される因果応報。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
それが中途半端なヒロの背中を押し、本来の自分への道を開くのは、今回の語りのトーンと面白くシンクロしている。
叫竜の正体が見えたり、明瞭に世界の外へ踏み出す意志を見せたり。突破口のエピソードだ。
ヒロは安全圏(APEの領域)に逃げるよう告げられ、ゼロツーの私室へ舞い戻る。傷だらけで薄暗く、光がある場所。ゼロツーの心理の具現である『ホーム』を再再訪し、傷に触れるすることで、ヒロはゼロツーが置き去りにした願いを回収していく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
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手鏡。他者に反射することでしか己の輪郭を見つめ得ない、人間認識の欠落を補助する機構。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
第2部のキーアイテムは前回、ゼロツーの破断を跳ね返して叩き壊され、傷だらけのまま修復される。それが、ヒロの現在を写す。
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それはナオミの遺産であり、ヒロがゼロツーに手渡したものであり、ゼロツーが『私と貴方』を幾度も投射し、自分の形を確認してきたフェティッシュだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
鏡よ鏡、私は人間なのかな。
王女ならぬゼロツーは幾重にも、この暗室で問うてきた。その問いかけが、ヒロ自身を反射し問いかける。
お前は何がしたくて、何を求め、何が出来るのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
かつてのヒロ自身が為していた名付けの儀式。アイデンティティを確定し、真っ白な雪原でも位置を見失わないための定位儀礼。
それを媒してくれるのが、かつてナオミのものであり、今はゼロツーに託された手鏡であるのは、納得の行く象徴操作だ。
他者を見る目。求める腕。それは醜く狂暴なセルフ・イメージを反射し、自傷を加速させる。それに耐えかねて、ゼロツーは鏡を割った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
しかしそれは、不格好でも修復可能で、取り返しはつくものなのだ。
作中の手鏡の描写に、ダリフラを覗き込む自分自身を写しても来た視聴者としては、いい仕事で満足だ
他者と自己の相互反射だけが照らしうる未来。そこに込められた可塑性と相互性を信じて、ヒロは駆ける。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
しかしそこに己を照らすのは、ヒロだけの特権ではない。色恋のアレコレをぶつけ合って少したくましくなった少年少女も、必死に戦いつつ、優しく他人を照らしていく。
フトシがタフで良かったなぁと、つくづく思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
食いしん坊の銃撃でエネルギー切れになっても、ゴハンが降ってくるのを待つのではなく、そこにある食材を目ざとく略奪し、命を繋ぐ。動けるデブの面目躍如、守るべき街を壊してでも生き残る生き汚さが、僕には嬉しかった。
ゾロメも第10話を反映して、『街を守る自分』というセルフ・イメージに必死にしがみつき、戦い続ける。彼自身は忘却し(あるいは忘却させられ)た、世界の真実が街との繋がりを切り裂くとしても、その姿は『母』の目に映り、硝子の手鏡は勇姿を反射する。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
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ジェニスタも、必死の砲撃で道を作る。フトシがココロを過剰に守っていた時代とはちょっと違う、己を火の粉に晒しながらの戦闘法。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
みな第2部のストーリーを背負って、幾重にも己を反射させながらアクションしていた。そんな物分りの良さから、当然イチゴは置き去りにされる。当たり前である。
選ばれなくてもヒロが欲しい。『ヒロのイチゴ』というセルフ・イメージを反射されたい。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
その思いはイチゴの目の前に覆いかぶさって、世界を塞ぐ。判っていても素直になれないねじれをぶっ飛ばすためには、完膚なきまでに負けきる必要がある。
そのための道をゴローが開けて、ヒロへ座を譲るのが印象的だ。第9話ではイチゴを守るためにコックピットに一人残ったゴローだが、今回はイチゴの歪みを至近距離で見て、耐えきれず外へと出ていく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
『愛しい人を正せるのは、自分ではない』という諦めを、ゴローはパートナーよりも速く先見する。
その物分りの良い正しさがなんとも哀しいし、愛おしくもある。あそこで内側から向かい入れなければ、ヒロはあるべき居場所にたどり着き、自分と半身の正しい輪郭を確認することは出来なかった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
都合が良くて正しい、為すべき仕事。ゴローが果たした献身に、物語がどっかで報いて欲しい。
ゴローはヒロだけではなく、ゼロツーのためにも座を明け渡す。イチゴもまた、散々憎みつつゼロツーを気にかけ、愛していたと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
我欲を動かすために公的立場を利用するズルさと、その仮面の奥にある赤心。『みんなのリーダー』『ヒロのイチゴ』という虚像に支配されすぎたイチゴは眼を塞がれている
第2話で完膚なきまでに失敗した、荒々しい接合。あの時蹂躙してしまったキスを二人はやり直す。何も知らなかった時代には繋がらなかった心が見えて、イチゴは自分がどこにもいないヒロの世界を、ついに実感してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
それは多分、第2話と変わりがない残酷な心象だ。
あの時失敗した自己受容を、イチゴが受け入れられたのは何故だろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
眼の前に死地が広がっていて、お試し感覚とは違う土壇場の真剣さがあったからか。
ゼロツーと幾度も触れ合っては離れ、少しは憎い相手の顔も見れるようになったからか。
繋がったヒロ自身が、ハニーを求める気持ちが鮮明だからか。
いろいろな理由が重なった上での変化だとは思うが、やっぱ根っこにはイチゴの善性があるのだと思う(思いたい)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
私的な領域と公的な領域のボーダーをズルく操作し、自分に都合の良い世界を引き寄せ、負け戦にしがみつくズルいイチゴと同じくらい、ゼロツー含めた『みんな』を思った彼女もホントだと
光が差し込む、薄暗い場所。ゼロツーの私室、そしてこの後描写されるストレリチアのコックピットと同じように、イチゴの心理は暗い部屋に暗示され、ヒロはおずおずとに踏み込んでいく。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
踏みしめるものの重たさを知り、それを足場に前に進む足取りで。
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かくしてヒロとイチゴは分かり合い、英雄は決戦の地へ進む優駿を手に入れるが、イチゴとゼロツーの角つき合わせはまだまだこれからである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
覆いを外し、身勝手でズルい自分をさらけ出しながら、その自己像を肯定する。武器に変えて、思い切り叩きつける。
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ロボットサイズに巨大化されたキャットファイトは、イチゴがよりよい自己像を手に入れるための手鏡だ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
第11話でココロが、ズルい自分をズルく肯定したのと似た動きだが、あっちは真実の恋を手に入れたのに対し、こっちは恋を手放すための暴力的対話である。負け役は大変だなぁイチゴ…。
グランドクレバスの上のドーム、第13都市を覆うガラスの天井、ゼロツーの肥大化した角(不自然で痛ましい追加のペニス)。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
ヴェールを脱がし真実を顕にしていくモチーフが、今回幾重にも重ねられるが、イチゴのビンタと頭突きも、その一環なのだろう。それはゼロツーだけでなく、イチゴ自身も照らす。
ヒロに負け、ゼロツーに苛立つ身勝手な自分を開放し、戦闘にも生き延びる。今後のイチゴがどういう表情を見せるかは、他のガキどもと同じように楽しみである。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
まぁ『ゴハンも掃除もみんなやってくれる』街は、ズッタズタになっちゃたから大変ではあるけど…どーなんのかなぁ。
かくしてイチゴ達の、誰かのためでもあり、自分のためでもある戦いの先で、ダーリンとハニーは幾度目かの再開を果たす。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
やっぱり頭部からは血が出ていて、生命の証明を見せることが真実、自分を相手に届ける鍵なのだということを、第11話のミツルと重ねて見せているように思う。
幾度目かの薄暗い部屋。産道へと繋がる自閉の奥に、ゼロツーがいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
獣の芽をして、鬼の角を伸ばし、自分も他人も見れないまま、輪郭を失った存在。それと再度出会うために、ヒロは恐れず角を握る。
かつて己の英雄性を奪った去勢を、快復のために行う。
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イチゴの暗室の中では『見られる』客体だったヒロは、ハニーの心の中では『見る』主体である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
忘却の中には記載されていない、引き剥がされた後の真実。血を飲み込むことで己を保つ、自傷のもう一つの意味を、ヒロと僕らは知っていく。
それもまた、重なり合う暴露の一つなのだろう。
僕は第12話の感想で、ゼロツーの自傷を『痛ましい』と評したわけだが、また一つ世界の形が見えて、上から目線の押しつけであったなぁと、すまない気持ちになった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
それは傷をつけることで記憶を刻む、必死の物語執筆、自己像の確保であった。青い血でしか、ゼロツーは己の肖像を描けない。
傷つけることでしか繋がれないのも、正しいやり方を欠片すら教えてくれない世界で、自分がなんとか成功したメソッドを他人に適応する、致命的で馬鹿らしくて、必死な間違いだったのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
それしか知らないんだから、それしか出来ない。でも、そんなどん詰まりから出ることも出来る…かもしれない。
混迷する自己像の迷宮の中で、必死に探していた『物語』
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
かつて世界と自己、他者の形を教えてくれた童話は、どこにもない。なぜならそれを己の血肉に変え、生き延びるための糧としていたからだ。
これ以上ないほど即物的に切実に描かれる、『物語』の内面化
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記憶も繋がりも、人間であり続けたいという憧れもホワイト・アウトしていく中で、ゼロツーは『物語』を食べ、名前を学んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
自分を、そして貴方を定位するためのアンカーを、異形の食事で体内に取り込んで、なんとか生き延びた。
それはヒロと仲間が、命名の儀礼に込めた祈りと同質だろう。
名前無しでは簡単に己を見失い、自殺すら『当たり前の誉れ』と受け入れてしまうような世界。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
その透明さな軽さに耐えられない子供たちは、傷つけ傷つけられること、名付け名付けられることで、己を獲得し、保持していく。
それは人も鬼も、多分同じなのだ。
ヒロはゼロツーの罪悪感を真正面から受け止め、餌呼ばわりに怪物呼ばわりを反射させた過去を、声高に叫ぶ。お互い様だと。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
踏みにじり、傷つけてしまう愚かでズルい自分。そういう赤裸々の自己像を、パートナーに反射して確認しながら、覆いなく生きていけるはずだと吠える。
復活のストレリチアが赤いのは、ゼロツーが『鬼である自分』を肯定できた現れであると思う。むろん、血に塗れ涙に暮れながら生まれるしかない、赤子としての再誕も意味しているだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
そういう自己像を確認し、肯定し得たのは、やはりヒロが善き手鏡として、明鏡の心持ちで向かい合ったからだ。
第6話を再演するように飛ぶ、比翼の鳥。その槍は核心を貫き、超絶アガるOPを背中に高く飛ぶ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
巨大なクレヴァスを隠蔽するドームはぶち砕かれ、青い空が広がる。先週ラストで、イチゴとのキスの後に見た狭い曇天とは大違いだ。
©ダーリン・イン・ザ・フランキス製作委員会 pic.twitter.com/NbnE8rH1Kk
ヒロは密室でゼロツーと抱き合いつつ、世界のあるべき形について語る(あるいは名付ける、もしくは物語る)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
世界は思っているより広くて、そこに飛び出す翼を僕らは持っていて、それを羽ばたかせることは正しいことなのだと、確信を持って叫ぶ
それは物語が、子供たちの狭いサークルから飛び出す狼煙だ
ちょうどよく腐れ街にも風穴が空いて、嫌でも荒野に暮らすことになる。楽園を守るケルビム達は、使命に準じるよりも塵世を生き延びることを選んだ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
それを、バビロンの空中庭園でふんぞり返るレマルキスト達はどう見るのか。クソAPEたちを地べたに引きずる落とす戦いが、今後始まるのか。
『ラブラブ超必殺技でBOSSをぶっ殺して超絶アガるぜー! 希望の未来のレディーゴー!』で終わらせず、巨大な腕が街を押しつぶして『次回に続く!』なのは、このアニメらしいしらしくない。第1話や第6話はもっとアゲてたでしょ!
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
でもまぁ、ロボアニメ的盛り上がりを存分に盛り込みつつ、ひねくれた自己言及と歪んだ愛情、過剰なまでの心理主義で積み上げたここまでの16話を思うと、ダリフラらしい一撃かな、とも思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
まぁ素直じゃない、性格の悪いアニメですよホント…それが多分好きな俺もなッ!!
王子と魔物の関係性はあるべき場所に収まり(あるいは帰還し)、サークルの構成員との関係も善い位置にハマった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
安定感を増した内面に対し、遠くて近くて優しくて残酷だった『街』は崩れ、硝子の天井は主人公ではなく、『敵』の手でぶち壊された。
どちらにせよ、物語は様相を大きく変えるだろう。
ここまでじっくりカメラを据えてきた少年少女のサークルは、良い意味で脳天気なロボアニメの文法を背中に受けて、素直になれない鬱屈を弾き飛ばした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
しかしまだまだ問題は山積みで、サークルの外には荒野と敵が待ち構えている。味方の仮面をかぶったやつも、怪物に見えるやつも。
天井がぶっ壊れた後の道行きを指し示すように、これまで不明だった部分もかなり露呈してきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
叫竜から転がりだしてきた、黄金の人形。それがAPEいうところの『人類』とどう照応するかは、今後物語が深化し、新たな設定が語られた時見えるのだろう。
APEが代表する『オトナ』がどうも、子供らしく思春期を暴れさせて今回ちょっと大人びた『コドモ』とはどうやら別種の存在っぽいことは、様々に示唆されている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
人間の成れの果ての叫竜からマグマエネルギーを窃盗しつつ、人間の幼体を防衛兵器に使い潰すインベーダーという構図なのかなぁ…最悪だ。
そのAPEに親しい立場にある9’S達は、ようやく専用機とコックピットを公開し、バトルファックスタイルのオーソドックスを見せてきた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
男が後ろを取られ、力と痛みの主体となる。子供たちのスタイルとは逆しまの異装に、なにか禍々しいものを感じる。
ゼロツーもスラットな捕食者を演じることで、寝床での男女の性役割を審判してくる存在だったが、赤い服を彼女と共有する9’Sも、オーソドックスを反転させる特別性を持っているのだろうか?
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
天使は両性を具有するとか、そういう話かなぁ…オカルトと文脈の読みは無限にやれちゃうんで、ストップストップ
子供たちを庇護し閉じ込めてきた『街』が破壊されることで、物語の舞台は拡大し、その視座は変貌を遂げた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
今後物語は、空の高みから傲慢に見下すAPEと、その僕(のように見えるが、いろいろ反逆の含みもある)たる9’sを暴き立てる方向に進んでいくと思う。
そして世界が敵対を強要する叫竜の秘密にも、深く切り込んでいくのだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
ガラスの天井と竜のドーム。二つの覆いが暴かれて、空は見えた。その先に広がる果てのない青空に、少年少女はどう飛ぶのか。魔物と王子は、飛ぶことを許されてあるのか。
まだまだ一筋縄ではいかないと釘を差しつつ、主人公とヒロインのロマンス、それを取り巻く仲間たちの成長を、細やかに過去の物語を引用してしっかり見せるエピソードでした。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
バリバリのアガるアクションが、巧いこと推進力になって、ウダウダした悩みの鎖をぶっちぎるパワーを与えていたと思います。
ぶっちゃけもっとサゲトーンが続くと思っていたので、ザックザックと切り捨てて先に進んだのは、意外でも有り難くもあり。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
思いが届いて空が見える。ノリと勢いのド根性主義で進めつつも、意地悪く茨の道のりを写しもする。ダリフラらしい勝負回の次に、何が見えるか。来週も楽しみですね。
追記 システムの用意した『差別されているものが、より差別されるべきものを差別する』というフレームからとびだせ! というメッセージが内包されているとしたら、ダリフラはゲットーの文学に届きうる…けどどうなるかねぇ…。
ダリフラ追記
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
赤いストレリチアを『己の肌の色を肯定する』表現だと考えると、ゼロツーには被差別人種≒鬼という文脈が備わっていることになる。
あらゆるコドモが超絶な搾取の渦中にある中で、角あるゼロツーはより強い抑圧を受ける『赤い肌の人間(以外)』である。
『白い』ストレリチア(あるいは『白い』ゼロツー)にホワイトウォッシュを見るのは過剰な視点だとは思うが、狙っていようがいまいが、『肌』はそういう非常に微細で危うくナイーブな争点にフォーカスしてしまうフェティッシュだ。単純な変化の可視化以上の圧力を、自動的に有してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
ゼロツーの『赤い肌の自己肯定』が、ゼロツー内部で完遂されず、彼女を取り巻くヒロ(個人的な友愛のパートナー)で終わりもせず、その周辺の人間関係(コドモたちのサークル)、そこを飛び越えた世界(人体実験し記憶を略奪した社会)にまで拡大するのか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
今後の描写にダリフラが何を見てるかが乗る
こういう文章を書いている以上、個人的にはゼロツーの(こう言って良ければ人種的)自己肯定がどんどん拡大し、強化されていってほしいと思っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
同時に、ポップなロボットアニメの文脈だと得てして踏みつけにされる部分であり、踏み込んだ表現を望むのは酷かな、とも思う。
『そこに踏み込んでくれる』という絶対の確信を作品と共犯し得ないところが、僕とダリフラのなんともめんどくさいところであり、『踏み込んでくれるかもしれないし、踏み込めるかも』という期待感が(多分散々文句行った二話の段階で)確かにあるのも、めんどくさい所である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年4月23日
どうなるか見守りたい。