ウマ娘を見る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
悲劇と奇跡の秋が過ぎて、年が巡る。新たな風吹く馬場を、新たなレースが駆け抜けていく。
何のため、誰と走るのか。愛が瞳を曇らせる時、蒼き炎が敗北を連れてくる。
スペとスズカとグラスとトレーナーと。様々な人々の第二章開幕。
というわけで、前回のドラマを引き受けて一気に時間が進む、第二章開幕である。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
あまりにも力強いドラマを展開し、主役の心は競技からヒロインへと傾く。しかし強すぎる献身は、走るべき場所、競うべき相手、磨くべき自分を見失うことにも繋がる。乱れと敗北、再起までを一話にまとめるお話。
とにかく先週が『強い』エピソードで、スペのスズキチっぷりがどんどん加速していく流れには納得がいく。自分を二の次にしてでも、スズカの復帰を支える。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
一意専心の執着が丁寧に積み上がっていくが、それは『走り』にとって夾雑物でもある。兎にも角にも、決戦で走るのは他でもない自分なのだ。
史実を追う勝敗の流れの中で、スペの愛と迷妄、スズカへの視線を丁寧に積み上げ、行き過ぎた愛のアンバランスを描いたのは、とても良かった。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
他人大事が過ぎて、自分も周囲も蔑ろにしてしまうような献身は、幸福には繋がりにくい。世界が二人きりで出来ているなら話は別だが、スペもスズカも競走馬だ
競い合う相手がいて、それを見守る人々がいる。何よりも、脚を使って必死に走る自分自身がいる。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
スペはスズカに寄り添う中で、それを見落としていく。ランチの約束はキャンセルし、自分のトレーニングよりもスズカのリハビリを優先してしまう。アスリートとしては、あまりよろしくない態度だ。
初詣のシーンで、ウマ娘を愛する一般ファンの姿を切り取っているのが、なかなかうまいな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
客観で見ると、スペもスズカも一人で戦っているわけではない。顔も名前も知らない人に愛され、復帰や活躍を願われる。そういう『走り』を、スペはちゃんと走り抜いている。
しかしスペの視界はスズカ一人に接近しすぎて、そういう世界、そういう自分を見失ってしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
あれだけの悲劇を乗り越えた後だと無理もないが、やはりそれは良い結果には繋がらない。個人に愛を注ぎすぎることは、競技を蔑ろにし、対戦相手を無下にすることに繋がっていく。競技する自分も疎かになる
そんなスペの間違いを追いかけつつ、正しく対戦相手を見て、自分自身も見据えるグラスが重力を高める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
第1話で「一緒に走りましょう」と繋いだ『約束』。スペを活かし支配もするスズカとの『約束』によく似ているが、スペはその重たさをちゃんと受け止められない。
そこでバランスを取れるなら、一意専心の走りで勝ちも掴めるのだろうが、少女はそこまで器用ではない。ただただ今目の前にある巨大な(巨大すぎる)『約束』を見て、グラスが心に秘めていた『約束』が蒸発してしまう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
そんな心理を乗り越えるためには、やっぱ一回負けきらないとダメなのだ。
スペが愛に溺れていく様子が丁寧だったので、愛が届かないグラスの存在感、重たさと強さもよく輝いていた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
三人のウマ娘の間で交錯する、思いの矢印。グラスは自分を見てくれないスペと同じくらい、『走り』と走る自分に向き合えていないスペに、強く苛立っていたように思う。
ウマ娘は『走る』動物だ。愛も熱意も、全てはそこに集約する。対戦相手がいて、ルールがあって、観客がいるターフに敬意を払えばこそ、勝利の女神も微笑む。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
スペはスズカが好きすぎて(無理もないが)、そういう初心を忘れてしまった。そんなライバルの夢うつつに、グラスの炎が燃え上がる。
愛の重さという意味では、スペもグラスも似通っている。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
しかしグラスは、走っている自分、向かい合うスペ、二人が走る馬場をちゃんと視界に入れている。
愛すればこそ走り、並び、勝つ。そういう形でしか感情を表現できないウマ娘の宿命に、ちゃんと向かい合っている。
スペがスパートタイミングを『スズカさんならこう走る』と判断していたのが、一番わかり易いかな、と思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
己の肉体、レースを流れる機運と語り合いつつ、自分自身が判断しなければいけない勝負時を、スペは頭の中のスズカに預けた。それは、『走り』も競技も対戦相手も下に見た判断だ。
対してグラスはピッタリと後ろについて、スペの視界から外れる。(周囲を見渡すスペは、物理的にも精神的にもグラスを見れていないわけだ)
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
自分の判断で、自分の足を使い『走る』ことで、並走すら許さない圧勝を果たす。それは自分と世界、他者と競技を見る視界の差が生み出した、残酷な勝敗だ。
勝った後、グラスがちゃんと喜んでいるのが良い描写だな、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
勝つために頑張ってきた自分、支えてくれたおハナさんと仲間、応援してくれるファン、競馬競技それ自体。
それがちゃんと見えているから、当然の権利としてグラスは歓喜し、微笑む。スペが自分を見なくて負けても、『それはそれ』だ
見えているものと、見えていないもの。己を走らせるものと、走らせるべき己を見失っているもの。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
残酷な対比で勝負がついて、スペは敗北者の切り株に戻ってくる。あの時と同じように、トレーナーさんがいる。アンタホンマ…人間試験二億兆点で合格な男やな…好きやで…。
トレーナーさんはほんと良い教師で、生徒の個性をしっかり把握した上で方向づけし、自腹を切ってモチベを上げ、チームの結束を高める。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
スピカの年越し(私服がみんな可愛くてグッドナイスだった)はほっこり息を抜きつつ、トレーナーさんの人間力を堪能できるいいシーンだったなぁ…。
トレーナーさんは物語の原点、『日本一のウマ娘』をスペに思い出させていく。母の命を引き継で生まれ、もう一人の母の愛でウマ娘に…『走る』生き物に育ったスペ。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
彼女が『日本一のウマ娘』を夢に掲げたのは、そんな自分をちゃんと見据えていたからだ。
トレーナーさんは出会ったときから、そんな夢を持つスペを笑わなかった。必死に走って、叶えればいい。俺が叶えさせてやるという気概で、チームに引き受けた。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
だから、初心を思い出させる仕事はトレーナーさんがやるのだ。愛から離れることで、愛を証明しろ、と。
スペが背負う愛は、色んな顔がある。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
今回はスズカだけに囚われて走ったけども、一般のファン、二人の母、仲間にライバルにトレーナーさん、色んな人と関わり合って生まれ、育ち、走ってきた。
そのことを知って学園に着たはずなのに、そこで出会った愛が大きすぎて、見失っていた。だから負けた。
なら、沢山の愛を背負い、沢山の愛を返す自分を思い出せば、また勝てるはず。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
ここら辺のロジックの回し方が非常にスマート、かつ体温のある作りで、非常に良かった。スペの狭い愛を頭ごなしに否定するのではなく、角度を変えて広い方向に導いていく作りが、とても良い。
スズカもまた、自分がスペの世界を塞いでしまっている現状に気づいて、ひっそりと夜にかけていく。その静かな決意はとても綺麗で、スズカっぽいなぁ、と思った。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
言葉にできない正解を、一人で『走る』ことで形にしていくのは、ウマ娘らしいストイックさでとても好きだ。
強く結びついた二人は、当然間違えていく。負けて学んで、また歩き出す。そういう靭やかさが作品にあるんだぞ、と見せるエピソードで、とても良かったです。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
第一部クライマックスで接近しまくったスペスズの距離を、グラスの重力でぐっと引き離し、『走り』の本道に戻す。良い尺の使い方だ。
やっぱ『走る』ことに常に本気で、大事に分厚く描き続けているのが、アニメウマ娘を加速させる最大のエンジンだと思う。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
スズカを救った絆にこだわりすぎると、『走り』そのものを描く筆が狭くなる。だからその尊さを崩さないよう、丁寧に描きつつ崩して、主役を『走り』に戻す。
そういう話を展開するためには、ときに大胆に省略もして、ドラマが躍動するスペースも作る。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
賛否あろうが、僕はすごく立派な創作姿勢だと思う。『語りきるんだ!』という情熱、それを可能にする鋭い視点を、大胆なカットからは感じる。いやまぁ、全部見たいけどさ正直言えば…。
一気に時間が進み、二年目の秋が来る。グラスが今回存在感をグンッと上げたことで、『走り』は更に面白くなるだろう。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
スズカのリハビリも、丁寧に描写を積み、段階を踏んで進んでいる。重たい故障だったので、それを蔑ろにせず一歩ずつ快癒してくれているのは、誠実でいい。
今回取り戻した初心、負けの悔しさを糧に、スペシャルウィークの『走り』はどう変わるのか。競技に、対戦相手に、自分自身に向き合うことが、物語をどう加速させるか。
— コバヤシ (@lastbreath0902) 2018年5月13日
スポ根の本道を爆走する熱い展開が、ジワジワと沸騰を始めた。非常に面白い第二部開始で、今後に期待◎であります。はー面白ぇマジ